吾輩は猫である5
出典:青空文庫「吾輩は猫である」(夏目漱石)
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問題文
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(わがはいがこのいえへすみこんだとうじは)
吾輩がこの家へ住み込んだ当時は
(しゅじんいがいのものにははなはだふじんぼうであった)
主人以外のものにははなはだ不人望であった
(どこへいってもはねつけられてあいてにしてくれてがなかった)
どこへ行っても跳ね付けられて相手にしてくれ手がなかった
(いかにちんちょうされなかったかは)
いかに珍重されなかったかは
(こんにちにいたるまでなまえさえつけてくれないのでもわかる)
今日に至るまで名前さえつけてくれないのでも分る
(わがはいはしかたがないから)
吾輩は仕方がないから
(できうるかぎりわがはいをいれてくれたしゅじんのそばにいることをつとめた)
出来得る限り吾輩を入れてくれた主人の傍にいる事をつとめた
(あさしゅじんがしんぶんをよむときはかならずかれのひざのうえにのる)
朝主人が新聞を読むときは必ず彼の膝の上に乗る
(かれがひるねをするときはかならずそのせなかにのる)
彼が昼寝をするときは必ずその背中に乗る
(これはあながちしゅじんがすきというわけではないが)
これはあながち主人が好きという訳ではないが
(べつにかまいてがなかったからやむをえんのである)
別に構い手がなかったからやむを得んのである
(そのごいろいろけいけんのうえ)
その後いろいろ経験の上
(あさはめしびつのうえ)
朝は飯櫃の上
(よるはこたつのうえ)
夜は炬燵の上
(てんきのよいひるはえんがわへねることとした)
天気のよい昼は椽側へ寝る事とした
(しかしいちばんこころもちのよいのはよるにはいって)
しかし一番心持の好いのは夜に入って
(ここのうちのこどものねどこへもぐりこんでいっしょにねることである)
ここのうちの小供の寝床へもぐり込んでいっしょにねる事である
(このこどもというのはいつつとみっつでよるになると)
この小供というのは五つと三つで夜になると
(ふたりがひとつどこへはいってひとまへねる)
二人が一つ床へ入って一間へ寝る
(わがはいはいつでもかれらのちゅうかんにおのれをいるべき)
吾輩はいつでも彼等の中間に己れを容るべき
など
(よちをみいだしてどうにかこうにかわりこむのであるが)
余地を見出してどうにかこうにか割り込むのであるが
(うんわるくこどものひとりがめをさますがさいごたいへんなことになる)
運悪く小供の一人が眼を醒ますが最後大変な事になる
(こどもはことにちいさいほうがたちがわるい)
小供はことに小さい方が質がわるい
(ねこがきたねこがきたといってよなかでもなんでもおおきなこえでなきだすのである)
猫が来た猫が来たといって夜中でも何でも大きな声で泣き出すのである
(するとれいのしんけいいじゃくせいのしゅじんはかならずめをさまして)
すると例の神経胃弱性の主人は必ず眼をさまして
(つぎのへやからとびだしてくる)
次の部屋から飛び出してくる
(げんにせんだってなどはものさしでしりぺたをひどくたたかれた)
現にせんだってなどは物指で尻ぺたをひどく叩かれた