セロ弾きのゴーシュ(1/9)宮沢賢治

投稿者もりつしんプレイ回数2005  順位2089位
難易度(4.5) 2719打 長文タグ小説 文学 長文 宮沢賢治
・問題文の文字数制限の都合により、一部の平仮名を漢字に直したり、句読点を省いている箇所があります
・読み辛い箇所は、平仮名を漢字に直したり、句読点を追加している箇所があります
・「ヴァイオリン」の「ヴ」がふりがなとしてNGらしいので、「バイオリン」としました
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ぱんこ 6577 S+ 7.0 93.3% 377.8 2677 192 50 2020/08/05
2 SBB 3540 D+ 3.7 95.1% 716.0 2670 135 50 2020/09/18

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問題文

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(ごーしゅはまちのかつどうしゃしんかんでせろをひくかかりでした。)

ゴーシュは町の活動写真館でセロを引く係でした。

(けれどもあんまりじょうずでないというひょうばんでした。)

けれどもあんまり上手でないという評判でした。

(じょうずでないどころではなく、じつはなかまのがくしゅのなかではいちばんへたでしたから、)

上手でないどころではなく、実は仲間の楽手の中では一番下手でしたから、

(いつでもがくちょうにいじめられるのでした。)

いつでも楽長にいじめられるのでした。

(ひるすぎ、みんなはがくやにならんで、)

昼過ぎ、みんなは楽屋にならんで、

(こんどのまちのおんがくかいへだすだいろくこうきょうきょくのれんしゅうをしていました。)

今度の町の音楽会へ出す第六交響曲の練習をしていました。

(とらんぺっとはいっしょうけんめいうたっています。)

トランペットは一生けん命歌っています。

(ばいおりんもふたいろ、かぜのようになっています。)

バイオリンも二いろ、風のように鳴っています。

(くらりねっともぼーぼーとそれにてつだっています。)

クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。

(ごーしゅもくちをりんとむすんでめをさらのようにして)

ゴーシュも口をりんと結んで眼を皿のようにして

(がくふをみつめながらもういっしんにひいています。)

楽譜を見つめながらもう一心に弾いています。

(にわかにぱたっとがくちょうがりょうてをならしました。)

にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。

(みんなぴたりときょくをやめて、しんとしました。がくちょうがどなりました。)

みんなぴたりと曲をやめて、しんとしました。楽長がどなりました。

(「せろがおくれた。とぉてて てててい、ここからやりなおし。はいっ。」)

「セロがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやり直し。はいっ。」

(みんなはいまのところのすこしまえのところからやりなおしました。)

みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。

(ごーしゅはかおをまっかにして、ひたいにあせをだしながら)

ゴーシュは顔をまっ赤にして、額に汗を出しながら

(やっといまいわれたところをとおりました。ほっとあんしんしながら、)

やっといま云われたところを通りました。ほっと安心しながら、

(つづけてひいていますとがくちょうがまたてをぱっとうちました。)

つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍(う)ちました。

(「せろっ。いとがあわない。こまるなあ。)

「セロっ。糸が合わない。困るなあ。

(ぼくはきみにどれみふぁをおしえてまでいるひまはないんだがなあ。」)

ぼくはきみにドレミファを教えてまでいる暇は無いんだがなあ。」

など

(みんなはきのどくそうにして、わざとじぶんのふをのぞきこんだり)

みんなは気の毒そうにして、わざと自分の譜をのぞき込んだり

(じぶんのがっきをはじいてみたりしています。ごーしゅはあわてていとをなおしました。)

自分の楽器をはじいて見たりしています。ゴーシュは慌てて糸を直しました。

(これはじつはごーしゅもわるいのですが、せろもずいぶんわるいのでした。)

これは実はゴーシュも悪いのですが、セロもずいぶん悪いのでした。

(「いまのまえのしょうせつから。はいっ。」みんなはまたはじめました。)

「今の前の小節から。はいっ。」みんなはまた始めました。

(ごーしゅもくちをまげていっしょうけんめいです。そしてこんどはかなりすすみました。)

ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そして今度はかなり進みました。

(いいあんばいだとおもっていると、がくちょうがおどすようなかたちをして)

いい塩梅だと思っていると、楽長がおどすような形をして

(またぱたっとてをうちました。またかとごーしゅはどきっとしましたが)

またぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたが

(ありがたいことにこんどはべつのひとでした。)

ありがたいことに今度は別の人でした。

(ごーしゅはそこで、さっきじぶんのときみんながしたように、)

ゴーシュはそこで、さっき自分の時みんながしたように、

(わざとじぶんのふへめをちかづけてなにかかんがえるふりをしていました。)

わざと自分の譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。

(「ではすぐいまのつぎ。はいっ。」そらとおもってひきだしたかとおもうと、)

「ではすぐ今の次。はいっ。」そらと思って弾き出したかと思うと、

(いきなりがくちょうがあしをどんとふんでどなりだしました。)

いきなり楽長が足をどんと踏んでどなり出しました。

(「だめだ。まるでなっていない。このへんはきょくのしんぞうなんだ。)

「だめだ。まるでなっていない。このへんは曲の心臓なんだ。

(それがこんながさがさしたことで。しょくん。えんそうまでもうあととおかしかないんだよ。)

それがこんながさがさした事で。諸君。演奏までもう後十日しか無いんだよ。

(おんがくをせんもんにやっているぼくらがあのかなぐつかじだの)

音楽を専門にやっているぼくらがあの金沓鍛治(かなぐつかじ)だの

(さとうやのでっちなんかのよりあつまりにまけてしまったら)

砂糖屋の丁稚なんかの寄り集りに負けてしまったら

(いったいわれわれのめんもくはどうなるんだ。おいごーしゅくん。きみにはこまるんだがなあ。)

一体我々の面目はどうなるんだ。おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。

(ひょうじょうということがまるでできてない。)

表情ということがまるで出来てない。

(おこるもよろこぶもかんじょうというものがさっぱりでないんだ。)

怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。

(それにどうしてもぴたっとそとのがっきとあわないもなあ。)

それにどうしてもぴたっと外の楽器と合わないもなあ。

(いつでもきみだけとけたくつのひもをひきずってみんなのあとをついてあるくようなんだ、)

いつでも君だけとけた靴のひもを引きずって皆の後をついて歩くようなんだ、

(こまるよ、しっかりしてくれないとねえ。こうきあるわがきんせいおんがくだんが、)

困るよ、しっかりしてくれないとねえ。光輝(こうき)ある我が金星音楽団が、

(きみひとりのためにあくひょうをとるようなことでは、みんなへもまったくきのどくだからな。)

君一人のために悪評をとるような事では、皆へも全く気の毒だからな。

(ではきょうはれんしゅうはここまで、)

では今日は練習はここまで、

(やすんでろくじにはかっきりぼっくすへはいってくれたまえ。」)

休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれ給え。」

(みんなはおじぎをして、それからたばこをくわえてまっちをすったり)

みんなはおじぎをして、それからたばこを咥えてマッチをすったり

(どこかへでていったりしました。)

どこかへ出て行ったりしました。

(ごーしゅはそのそまつなはこみたいなせろをかかえて、かべのほうへむいてくちをまげて)

ゴーシュはその粗末な箱みたいなセロを抱えて、壁の方へ向いて口を曲げて

(ぼろぼろなみだをこぼしましたが、きをとりなおして、じぶんだけたったひとり)

ぼろぼろ泪をこぼしましたが、気をとり直して、自分だけたった一人

(いまやったところをはじめからしずかにもいちどひきはじめました。)

今やった所を初めから静かにも一度弾き始めました。

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