家なき子 8

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数1難易度(4.5) 4628打 長文
作者 エクトール・マロ

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問題文

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(ふゆのあいだじゅう、ぼくたちはぽーというまちのまわりをあるきまわりました。) 冬の間中、僕たちはポーという町の周りを歩き回りました。 (どこでも、ぼくたちのしばいはひょうばんで、おおぜいのひとがみにきてくれました。) どこでも、僕たちの芝居は評判で、大勢の人が見に来てくれました。 (はるになると、いくつかのむらやまちをとおって、とぅーるーずというまちにつきました。) 春になると、いくつかの村や町を通って、トゥールーズという町に着きました。 (つぎのひ、ぼくたちがみちばたでしばいをしているとおまわりさんがやってきて) 次の日、僕たちが道端で芝居をしているとお巡りさんがやってきて (「ここで、しばいをやってはいかん」と、びたりすじいさんにいいました。) 「ここで、芝居をやってはいかん」と、ビタリス爺さんに言いました。 (おとなしくおまわりさんのいうことをきいていれば、なんでもなかったのですが) 大人しくお巡りさんの言うことを聞いていれば、なんでもなかったのですが (おじいさんは、わからずやのおまわりさんにはらをたてて) お爺さんは、わからずやのお巡りさんに腹を立てて (「どうしてやってはいけないのですか。そんなきまりがございますのですか?」) 「どうしてやってはいけないのですか。そんな決まりがございますのですか?」 (と、わざとばかていねいにたずねました。) と、わざと馬鹿丁寧に尋ねました。 (「もんくをいうな。とにかくいうことをきけばいいのだ」おまわりさんがいうと) 「文句を言うな。とにかく言うことを聞けばいいのだ」お巡りさんが言うと
(「はい、はい。しばいをしてはいけないというきまりがあるのなら) 「はい、はい。芝居をしてはいけないという決まりがあるのなら (あなたのいうとおりにいたしましょう」と、おじいさんはこたえました。) あなたの言う通りにいたしましょう」と、お爺さんは答えました。 (おまわりさんは、そのままだまってかえっていきました。) お巡りさんは、そのまま黙って帰って行きました。 (ところがつぎのひ、ぼくたちがおなじばしょでしばいをしていると) ところが次の日、僕たちが同じ場所で芝居をしていると (きのうのおまわりさんがやってきて「いぬにくちわをはめなくてはいかん」) 昨日のお巡りさんがやってきて「犬に口輪をはめなくてはいかん」 (と、おじいさんにどなりつけました。) と、お爺さんに怒鳴りつけました。 (「わしのいぬたちに、くちわをはめろですって!」) 「わしの犬たちに、口輪をはめろですって!」 (「そうだ。ちゃんときそくにかいてあるぞ」) 「そうだ。ちゃんと規則に書いてあるぞ」 (しばいのとちゅうをおまわりさんにじゃまされたので、けんぶつにんはおこりだして) 芝居の途中をお巡りさんに邪魔されたので、見物人は怒りだして (くちぐちにいいました。「じゃまをするな!」「すんでからにしろ!」) 口々に言いました。「邪魔をするな!」「すんでからにしろ!」
など
(すると、びたりすじいさんはてをあげてみんなをしずまらせてから) すると、ビタリス爺さんは手を上げてみんなをしずまらせてから (おまわりさんにむかっていいました。) お巡りさんに向かって言いました。 (「おえらいかたが、わしのいぬたちにくちわをはめよと、おっしゃるのですね?」) 「お偉い方が、わしの犬たちに口輪をはめよと、おっしゃるのですね?」 (「そのとおり。それも、いますぐにだ」) 「その通り。それも、今すぐにだ」 (「おえらいかたともあろうものが、なんというなさけないことをおっしゃるのでしょう。) 「お偉い方ともあろうものが、何という情けないことをおっしゃるのでしょう。 (このかぴは、いまおいしゃさんのやくをしているんですよ。) このカピは、今お医者さんの役をしているんですよ。 (くちわをしたおいしゃさんなんて、みたことがありますか?」) 口輪をしたお医者さんなんて、見たことがありますか?」 (おじいさんがおおごえでいったので、けんぶつにんはどっとわらいだしました。) お爺さんが大声で言ったので、見物人はどっと笑いだしました。 (すると、さるのじょりくーるが、おまわりさんのうしろにたって) すると、猿のジョリ・クールが、お巡りさんの後ろに立って (おまわりさんそっくりに、うでをくみ、そっくりかえったかっこうで) お巡りさんそっくりに、腕を組み、そっくり返った格好で (かおをしかめてみせました。) 顔をしかめて見せました。 (それをみると、けんぶつにんはますますおおわらいして、てをたたきました。) それを見ると、見物人はますます大笑いして、手を叩きました。 (おまわりさんは、かんかんにおこって「あした、いぬたちがくちわをしてなかったら) お巡りさんは、かんかんに怒って「明日、犬たちが口輪をしてなかったら (おまえをろうやにぶちこんでやるぞ」といって、そこからでていきました。) お前を牢屋にぶちこんでやるぞ」と言って、そこから出て行きました。 (おまわりさんがいってしまうと、またしばいをつづけました。) お巡りさんが行ってしまうと、また芝居を続けました。 (このひは、けんぶつにんがおおぜいだったのでおかねもたくさんあつまりました。) この日は、見物人が大勢だったのでお金もたくさん集まりました。 (ところが、しばいがおわってやどやにかえっても、びたりすじいさんは) ところが、芝居が終わって宿屋に帰っても、ビタリス爺さんは (いぬのくちわをかおうとしませんでした。ぼくがしんぱいして) 犬の口輪を買おうとしませんでした。僕が心配して (「くちわをかわなくてもだいじょうぶなの?」ときくと) 「口輪を買わなくても大丈夫なの?」と聞くと (「しんぱいしなくてもいい。こっちにはかんがえがあるから、) 「心配しなくてもいい。こっちには考えがあるから、 (あした、おまえはいつものじかんにじょりくーるをつれてあのばしょにいき) 明日、お前はいつもの時間にジョリ・クールを連れてあの場所に行き (はーぷをひいていなさい。きっと、けんぶつにんがつめかける。) ハープを弾いていなさい。きっと、見物人が詰めかける。 (あのじゅんさもくる。そこへ、わしがいぬたちをつれてでていくことにしよう」) あの巡査も来る。そこへ、わしが犬たちを連れて出て行くことにしよう」 (ぼくは、おじいさんがなにをかんがえているのか、さっぱりわかりませんでした。) 僕は、お爺さんが何を考えているのか、さっぱりわかりませんでした。 (でもつぎのひ、いわれたとおりじょりくーるをつれて、) でも次の日、言われた通りジョリ・クールを連れて、 (きのうのばしょにいき、そこではーぷをひいていました。) 昨日の場所に行き、そこでハープを弾いていました。 (すると、きのうのけんぶつにんがまたぞろぞろあつまってきました。) すると、昨日の見物人がまたぞろぞろ集まってきました。 (びたりすじいさんが、いばりやのおまわりさんをどんなふうにやりこめるか) ビタリス爺さんが、威張り屋のお巡りさんをどんな風にやり込めるか (それがたのしみでやってきたのです。) それが楽しみでやってきたのです。 (しばらくすると、おまわりさんがおおいばりでやってきました。) しばらくすると、お巡りさんが大威張りでやってきました。 (すると、さっそくじょりくーるがおまわりさんのあるきかたをまねしました。) すると、さっそくジョリ・クールがお巡りさんの歩き方を真似しました。 (けんぶつにんはそれをみて、わっとわらいだしました。) 見物人はそれを見て、わっと笑い出しました。 (するとおまわりさんは、まっかなかおをしてぼくをにらみつけ) するとお巡りさんは、真っ赤な顔をして僕をにらみつけ (いきなり、ぼくをなぐりつけました。そこへびたりすじいさんがやってきて) いきなり、僕を殴りつけました。そこへビタリス爺さんがやってきて (おまわりさんのうでをつかんで、さけびました。) お巡りさんの腕をつかんで、叫びました。 (「こどもをなぐるとは、なにごとだ。ひきょうなまねをするな」) 「子供を殴るとは、なにごとだ。卑怯な真似をするな」 (おまわりさんはうでをほどこうとしましたが、) お巡りさんは腕をほどこうとしましたが、 (おじいさんは、しっかりつかんではなしません。) お爺さんは、しっかりつかんで放しません。 (するとおまわりさんは、ちからをこめてうでをほどき、) するとお巡りさんは、力を込めて腕をほどき、 (おじいさんのえりをつかんで、つきとばしました。) お爺さんの襟をつかんで、突き飛ばしました。 (おじいさんはよろけましたが、すぐたちなおっておまわりさんのうでをなぐりつけました。) お爺さんはよろけましたが、すぐ立ち直ってお巡りさんの腕を殴りつけました。 (「おまえをたいほする。こうばんへこい」おまわりさんがどなりました。) 「お前を逮捕する。交番へ来い」お巡りさんが怒鳴りました。 (「なんで、こどもをなぐった?」) 「なんで、子どもを殴った?」 (「ぐずぐずいわずに、ついてくるんだ」) 「ぐずぐず言わずに、ついてくるんだ」 (するとびたりすじいさんは、ぼくにむかっていいました。) するとビタリス爺さんは、僕に向かって言いました。 (「しんぱいしなくてもいいよ、れみ。いぬたちといっしょにやどにかえっていなさい」) 「心配しなくてもいいよ、レミ。犬たちと一緒に宿に帰っていなさい」 (そこでぼくは、いぬたちとじょりくーるをつれてやどやにかえりました。) そこで僕は、犬たちとジョリ・クールを連れて宿屋に帰りました。 (でも、おじいさんのことがしんぱいでたまりませんでした。) でも、お爺さんのことが心配でたまりませんでした。 (それに、これからどうやってくらしたらいいのかもわかりません。) それに、これからどうやって暮らしたらいいのかもわかりません。 (すると、みっかめにおじいさんからのてがみがとどいて、) すると、三日目にお爺さんからの手紙が届いて、 (「つい、かっとなったために、こんなことになってしまった。) 「つい、カッとなったために、こんなことになってしまった。 (じゅんさをなぐったということで、わしはおもいばつをうけることになるだろう。) 巡査を殴ったということで、わしは重い罰を受けることになるだろう。 (さいばんのときは、ぜひきてほしい」とかいてありました。) 裁判のときは、ぜひ来てほしい」と書いてありました。 (さいばんのひ、ぼくがさいばんしょにでかけていくと、やがてびたりすじいさんが) 裁判の日、僕が裁判所に出かけていくと、やがてビタリス爺さんが (やくにんにつれられていちばんまえのいすにすわりました。) 役人に連れられて一番前の椅子に座りました。 (さいばんちょうは、おじいさんに、おまわりさんをなぐったかどうかたずねました。) 裁判長は、お爺さんに、お巡りさんを殴ったかどうか尋ねました。 (おじいさんがそれにこたえると、こんどはおまわりさんにききました。) お爺さんがそれに答えると、今度はお巡りさんに聞きました。 (おまわりさんがそれにこたえているとき、おじいさんはくびをまわして) お巡りさんがそれに答えている時、お爺さんは首を回して (ぼくをみて、さもうれしそうにうなずきました。) 僕を見て、さも嬉しそうにうなずきました。 (「さいごに、なにかいうことはないか?」さいばんちょうがおじいさんにたずねました。) 「最後に、何か言うことはないか?」裁判長がお爺さんに尋ねました。 (「わたしとしては、もうなにももうしあげることはありません。) 「私としては、もう何も申し上げることはありません。 (ただ、わたしのかわいがっているこどもがひとりぼっちになりますので) ただ、私の可愛がっている子供がひとりぼっちになりますので (なるべくはやく、いっしょになれるようにしてください。どうぞおねがいします」) なるべく早く、一緒になれるようにしてください。どうぞお願いします」 (と、おじいさんはいいました。) と、お爺さんは言いました。 (それから、さいばんかんとさいばんちょうは、しばらくはなしあっていましたが) それから、裁判官と裁判長は、しばらく話し合っていましたが (やがてさいばんちょうがいいました。「けいかんをあなどり、らんぼうをはたらいたつみで) やがて裁判長が言いました。「警官を侮り、乱暴を働いた罪で (びたりすはにかげつかんろうやにいれられ、ばっきんひゃくふらんをはらわなくてはならない」) ビタリスは二か月間牢屋に入れられ、罰金百フランを払わなくてはならない」 (ぼくは、わっとなきだし、さいばんしょをでました。) 僕は、わっと泣き出し、裁判所を出ました。
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