桜雨 -6-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文
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(たすかった。そうおもうとほっとしてひざのちからがぬけた。)
助かった。そう思うとホッとして膝の力が抜けた。
(かれらはそのままこうえんをでていったようだ。)
彼らはそのまま公園を出て行ったようだ。
(へたにくちごたえなどしなかったからよかったのだろうか。)
ヘタに口答えなどしなかったから良かったのだろうか。
(なにをいわれたのかよくおぼえていないのだが。)
何を言われたのか良く覚えていないのだが。
(そうだ。ひろさんは?)
そうだ。ヒロさんは?
(まえをみると、くさむらにけとばされていたかずすくないかぐであるなべを、)
前を見ると、草むらに蹴飛ばされていた数少ない家具である鍋を、
(ちいさなからだをおりまげてひろっていた。)
小さな身体を折り曲げて拾っていた。
(「だいじょうぶ?」)
「大丈夫?」
(「うんうん」)
「うんうん」
(わたしのことばにふりむいててれくさそうにうなずいている。いつもこうえんを)
私の言葉に振り向いて照れくさそうに頷いている。いつも公園を
(とおりがかるたびに「おはようございます」とあいさつをしてくれているが、)
通りがかるたびに「おはようございます」と挨拶をしてくれているが、
(わたしのことはおぼえてくれているのだろうか。)
私のことは覚えてくれているのだろうか。
(ちかくのべんちにこしかけ、ぽけっとからたばこをとりだす。)
近くのベンチに腰掛け、ポケットから煙草を取り出す。
(「ひろさん、すう?」)
「ヒロさん、吸う?」
(わたしのもうしでに、めをまるくしてひだりてをさゆうにふった。)
私の申し出に、目を丸くして左手を左右に振った。
(どうやらもともとすわないらしい。)
どうやら元々吸わないらしい。
(かってないめーじで、ほーむれすのひとたちはみんなたばことさけが)
勝手なイメージで、ホームレスの人たちはみんなタバコと酒が
(ゆいいつのいきがいみたいになっているものだとおもっていたのだが。)
唯一の生きがいみたいになっているものだと思っていたのだが。
(こうえんのてあらいばでなべをあらいはじめたひろさんのちいさなせなかをみながら、)
公園の手洗い場で鍋を洗い始めたヒロさんの小さな背中を見ながら、
(くわえたたばこにひをつける。)
咥えたタバコに火をつける。
など
(「ひろさん。それ、みぎて、なにをにぎってるの」)
「ヒロさん。それ、右手、なにを握ってるの」
(くちにしてからきづいた。さっきのふりょうどもとおなじようなことをいっている。)
口にしてから気づいた。さっきの不良どもと同じようなことを言っている。
(そんなつもりはないのだが。)
そんなつもりはないのだが。
(あわてて、べつにいやだったらこたえなくていいよ、とつけたした。)
慌てて、別に嫌だったら答えなくていいよ、と付け足した。
(するとひろさんはにっこりわらうと、だいじなものだ、というようなことをいった。)
するとヒロさんはニッコリ笑うと、大事なものだ、というようなことを言った。
(「しあわせのようせい?」)
「幸せの妖精?」
(うんうん。)
うんうん。
(まえばのかけたかおでわらう。)
前歯の欠けた顔で笑う。
(よーこのいってたとおりだ。ひろさんは、ずっとむかしにつかまえたしあわせのようせいを)
ヨーコの言ってた通りだ。ヒロさんは、ずっと昔につかまえた幸せの妖精を
(にがさないためにそのみぎてをいつもにぎりしめているのだ。)
逃がさないためにその右手をいつも握り締めているのだ。
(「ねえひろさん」)
「ねえヒロさん」
(そふくらいのとしのそのこうえんのじゅうにんに、いったいなにをいおうとしたのか。)
祖父くらいの歳のその公園の住人に、いったいなにを言おうとしたのか。
(こうこうにあがったばかりのこむすめが、)
高校に上がったばかりの小娘が、
(わけしりかおでたにんのいきかたをひていするようなことを?)
訳知り顔で他人の生き方を否定するようなことを?
(わたしはくちをつぐみ、じぶんのてのひらをみつめる。)
私は口をつぐみ、自分の手のひらを見つめる。
(ひろさんはふしぎそうにしている。)
ヒロさんは不思議そうにしている。
(ふとこんなはなしをおもいだした。)
ふとこんな話を思い出した。
(ようせいがあらわれることでゆうめいなあるむらをおとずれたひとが、むらびとにこうたずねた。)
妖精が現れることで有名なある村を訪れた人が、村人にこう訊ねた。
(「あなたはようせいをしんじますか」)
「あなたは妖精を信じますか」
(むらびとは「いいや、しんじない」とこたえた。)
村人は「いいや、信じない」と答えた。
(さらにかれはであったむらびとにつぎつぎとおなじといかけをしたが、)
さらに彼はであった村人に次々と同じ問い掛けをしたが、
(みんなおなじように「しんじない」とこたえた。)
みんな同じように「信じない」と答えた。
(ふしぎにおもったかれは、さいごにであったむらびとにこうきいた。)
不思議に思った彼は、最後に出会った村人にこう訊いた。
(「このむらにはほんとうにようせいがあらわれるのだといううわさをきいてたずねてきたのですが、)
「この村には本当に妖精が現れるのだという噂を聞いて尋ねて来たのですが、
(あなたがたはみんなようせいをしんじないという。)
あなたがたはみんな妖精を信じないと言う。
(これはいったいどういうことでしょう」)
これはいったいどういうことでしょう」
(むらびとはこたえた。)
村人は答えた。
(「あたりまえさ。このあたりのようせいはみんなひどいうそつきなんだ。)
「あたりまえさ。このあたりの妖精はみんなひどい嘘つきなんだ。
(だれがしんじるものか」)
誰が信じるものか」
(・・・・・そんなはなしだ。)
・・・・・そんな話だ。
(しんじる、ということばがだぶるみーにんぐになっているじょーくだ。)
信じる、という言葉がダブルミーニングになっているジョークだ。
(しんちょうしたばかりらしいきれいなだんぼーるはうすは)
新調したばかりらしい綺麗な段ボールハウスは
(あさがたにふったあめでもうしめってしまっている。)
朝方に降った雨でもう湿ってしまっている。
(しあわせのようせいか。ひろさんがつかまえたのが、ほんとうにそうであればいい。)
幸せの妖精か。ヒロさんがつかまえたのが、本当にそうであればいい。
(そうねがわずにはいられなかった。)
そう願わずにはいられなかった。