顔

(「ほめてもらえてうれしいけど)

「褒めてもらえて嬉しいけど

(わたしこのかおがきらいなんだ)

私　この顔が嫌いなんだ

(ばかにされてきたしいまさらおもえないよ」)

馬鹿にされてきたし　今更思えないよ」

(いつもどおりあきらめたえがお)

いつも通り　諦めた笑顔

(さあきょうもあさがきたよ)

さあ　今日も朝が来たよ

(いちにちのはじまりです)

一日の始まりです

(かがみのまえでつったったまんま)

鏡の前で　突っ立ったまんま

(きょうはすこしはましかなっておもえたのに)

今日は少しはマシかなって思えたのに

(でんしゃのまどにうつったしんだようなひょうじょうが)

電車の窓に映った　死んだような表情が

(なさけなくてもうかえりたくて)

情けなくて　もう帰りたくて

(きょうはそうわたしのたんじょうびだ)

今日はそう　私の誕生日だ

(めがおおきいからなんだとかはながちいさいからどうだとか)

目が大きいから何だとか　鼻が小さいからどうだとか

(うまれたときからくらべられいつのまにかみんなこわくなる)

生まれた時から比べられ　いつの間にか皆怖くなる

(「ひとよりきれいになりなさい」あきらめたんだもうそんなの)

「人より綺麗になりなさい」　諦めたんだ　もうそんなの

(なのにどうしていまだにきたいしてしまうのだろう)

なのにどうして未だに　期待してしまうのだろう

(こんなかおがあるからきょうも)

こんな顔が　あるから今日も

(どこかでだれかがまたないてる)

何処かで誰かがまた泣いてる

(もしもみんなおなじかおで)

もしも皆　同じ顔で

(うまれてきたならだれもかなしまずにすむだろうか)

生まれてきたなら　誰も悲しまずに済むだろうか

(いたみときずをみせないままでだれもがわらっている)

痛みと傷を見せないままで　誰もが笑っている

(いきたくないなあいたくないよな)

行きたくないな　会いたくないよな

(だけどこのわたしをいわうために)

だけど　この私を祝う為に

(みんながまっているからきっとそのはずだから)

皆が待っているから　きっとその筈だから

(いかないとなあのひとのいえまで)

行かないとな　あの人の家まで

(なみだをふいたらいかないとな)

涙を拭いたら行かないとな

(ちいさくてほそいこのめもぶかっこうなてあしもすすけたかみも)

小さくて細いこの眼も　不格好な手足も煤けた髪も

(あれたきいろいはだもささいなことでくるしくなるしんぞうも)

荒れた黄色い肌も　些細なことで苦しくなる心臓も

(こんなかたちでうまれたからだからみつけてもらえたのなら)

こんな形で生まれたから　だから見つけてもらえたのなら

(わるくはないわるくはないわるくはないよきっと)

悪くはない　悪くはない　悪くはないよきっと

(いつかそうおもいたいんだ)

いつかそう思いたいんだ

(こんなかおがあるからきょうも)

こんな顔が　あるから今日も

(どこかでだれかがまたないてる)

何処かで誰かがまた泣いてる

(だけどいつかいつかそれを)

だけどいつか　いつかそれを

(ありがとうということができたなら)

ありがとうと言うことが出来たなら

(こんなかおでこんなわたしで)

こんな顔で　こんな私で

(たいせつなひとがわらっている)

大切な人が笑っている

(ああせかいはなんてびょうどうだ)

ああ　世界は　なんて平等だ

(うまれたからにはもうあるくしかないんだよな)

生まれたからには　もう歩くしかないんだよな

(まちがいだらけのわたしは)

間違いだらけの私は

(きょうもたしかにいきている)

今日も　確かに生きている

(ずっとこうしていきてゆく)

ずっと　こうして生きてゆく