語り継ぐこと　=元ちとせ

(なみだいくつこぼれて)

なみだ いくつ 零(こぼ)れて

(しんげつのよるひとつうみがうまれた)

新月の夜 ひとつ海が生まれた

(とおくつむいだことば)

遠く紡いだ言葉

(かたりべたちのものがたりのなかに)

語りべたちの物語の中に

(むかしだれかがここで)

むかし だれかが ここで

(はりさけそうなむねをそっとひらいた)

張り裂けそうな胸をそっと開いた

(うたにかなでてずっと)

歌に奏でてずっと

(どんなばしょにもたずさえてゆけるよ)

どんな場所にも携えてゆけるよ

(けさないであなたのなかの)

消さないで あなたの中の

(ともしびはつらなりいつしかかがやくから)

ともしびは連なりいつしか 輝くから

(かたりつぐことやつたえてゆくこと)

語り継ぐことや伝えてゆくこと

(じだいのうねりをわたってゆくふね)

時代のうねりを渡ってゆく舟

(かぜひかるきょうのひのそらを)

風光る 今日の日の空を

(うけついでそれをあすにてわたして)

受け継いで それをあすに手渡して

(ゆびにひたいにかみに)

指に 額に 髪に

(あなたのむこうかいまみえるおもかげ)

あなたの向う 垣間見える面影

(もしもときのながれを)

もしも時の流れを

(さかのぼれたらそのひとにであえる)

さかのぼれたら その人に出逢える

(このせかいうまれてそして)

この世界 生まれてそして

(あたえられたあらゆるなまえにねがいがある)

与えられた あらゆる名前に願いがある

(いとしいえがおにこころうごかして)

愛しい笑顔に心 動かして

(あらしにゆらいでたちどまるときも)

嵐に揺らいで立ち止まる時も

(まもりたいすべてをささげても)

守りたい すべてを捧げても

(おもいはちからにすがたをかえるから)

思いは力に姿を変えるから

(かたりついでつたえてゆくこと)

語り継いで 伝えてゆくこと

(じだいのうねりをわたってゆくふね)

時代のうねりを渡ってゆく舟

(かぜひかるきょうのひのそらを)

風光る 今日の日の空を

(うけついでそれをあすにてわたして)

受け継いで それをあすに手渡して