オバマ大統領広島演説⑤

(しかし、それでもまだじゅうぶんではない。こんにち（こんにち）のせかいをみわたすと、)

しかし、それでもまだ十分ではない。今日(こんにち)の世界を見渡すと、

(もっともそまつならいふるやたるばくだん（たるばくだん）でさえ、おそろしいきぼの)

最も粗末なライフルや樽爆弾(たるばくだん)でさえ、恐ろしい規模の

(ぼうりょくをもたらすことができる。われわれはがいこうをつうじてふんそうをふせぎ、)

暴力をもたらすことができる。我々は外交を通じて紛争を防ぎ、

(おきてしまったふんそうをおわらすため、せんそうじたいにかんするかんがえかたを)

起きてしまった紛争を終わらすため、戦争自体に関する考え方を

(かえなければならない。われわれのそうごいぞんのかくだいをぼうりょくてきなたいりつではなく、)

変えなければならない。我々の相互依存の拡大を暴力的な対立ではなく、

(へいわきょうちょうへのりねんとみなそう。はかいのちからではなく、つくりあげるもので)

平和協調への理念と見なそう。破壊の力ではなく、創り上げるもので

(くにをていぎしよう。そして、おそらくなんにもまして、われわれはひとつのじんるいのなかま)

国を定義しよう。そして、恐らく何にもまして、我々は一つの人類の仲間

(として、おたがいのつながりをあらためておもいおこさなければならない。これも、)

として、お互いのつながりを改めて思い起こさなければならない。これも、

(われわれじんるいをたぐい（たぐい）ないそんざいとしている。われわれはいでんしじょうほうによって、)

我々人類を類(たぐい)ない存在としている。我々は遺伝子情報によって、

(かこのあやまちをくりかえすようきていされてはいない。われわれはまなぶことができる。)

過去の過ちを繰り返すよう規定されてはいない。我々は学ぶことができる。

(えらぶことができる。われわれはこどもたちにべつのものがたりをはなすことができる。)

選ぶことができる。我々は子供達に別の物語を話すことができる。

(きょうつうのにんげんせいをえがいたり、せんそうのかのうせいをへらし、ざんぎゃくさをそれほど)

共通の人間性を描いたり、戦争の可能性を減らし、残虐さをそれほど

(かんたんにはうけいれたりしないものがたりだ。われわれはひばくしゃのこうしたはなしを)

簡単には受け入れたりしない物語だ。我々は被爆者のこうした話を

(しっている。げんばくをおとしたばくげききのぱいろっとをゆるしたじょせいがいる。)

知っている。原爆を落とした爆撃機のパイロットを許した女性がいる。

(ほんとうににくんでいたのがせんそうそれじたいだったとわかったためだ。)

本当に憎んでいたのが戦争それ自体だったと分かったためだ。

(このちでしぼうしたべいこくじんのかぞくをさがしだしただんせいがいる。)

この地で死亡した米国人の家族を捜し出した男性がいる。

(かれらとじぶんじしんのそんしつはおなじとしんじていたからだ。)

彼らと自分自身の損失は同じと信じていたからだ。

(わたしじしんのくにのものがたりも、かんたんなことばからはじまった。「すべてのにんげんは)

私自身の国の物語も、簡単な言葉から始まった。「全ての人間は

(うまれながらにしてびょうどうであり、そのそうぞうしゅによって、せいめい、じゆうおよび)

生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由および

(こうふくのついきゅうをふくむふかしんのけんりをあたえられている」（べいどくりつせんげん）。)

幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」(米独立宣言)。