ジャニス・ジョプリン　①

(ふとったようしをからかわれたり、そのとくいなせいかくをひていされひどいいじめにも)

太った容姿をからかわれたり、その特異な性格を否定され酷いイジメにも

(あっていて、このことはかのじょのじんせいにくろいかげをおとした。)

あっていて、このことは彼女の人生に黒い影を落とした。

(こうこうそつぎょうごはじもとのめいもん、てきさすだいがくにしんがく。ぶるーぐらすのばんどに)

高校卒業後は地元の名門、テキサス大学に進学。ブルーグラスのバンドに

(くわわるが、２０さいのときにだいがくをどろっぷあうとしてあこがれのち、)

加わるが、20歳のときに大学をドロップアウトして憧れの地、

(さんふらんしすこへ。じんしゅさべつてっぱいのでもにさんかしたり、ばーにいりびたり、)

サンフランシスコへ。人種差別撤廃のデモに参加したり、バーに入り浸り、

(あこがれていたみゅーじしゃんたちのいきかたをまねるようになる。またこのごろから)

憧れていたミュージシャンたちの生き方を真似るようになる。またこの頃から

(そろとしてもうたいはじめ、はじめてふぉーくふぇすへさんか。ぼぶでぃらんにそうぐうし)

ソロとしても歌い始め、初めてフォークフェスへ参加。ボブ・ディランに遭遇し

(じしんもかしゅとしてのせいこうをつよくこころにちかうが、にちじょうかしていたさけとどらっぐの)

自身も歌手としての成功を強く心に誓うが、日常化していた酒とドラッグの

(ふくようによってたいちょうをくずし、せいようのためこきょうへおくりかえされることになる。)

服用によって体調を崩し、静養のため故郷へ送り返されることになる。

(しかしかのじょのじんせいはこれでおわらなかった。おんがくぎょうかいでかつやくしていたゆうじんから)

しかし彼女の人生はこれで終わらなかった。音楽業界で活躍していた友人から

(「あたらしいばんどをたちあげるのでぼーかるをやらないか」とこえをかけられ、)

「新しいバンドを立ち上げるのでボーカルをやらないか」と声をかけられ、

(２３さいでびっぐぶらざー＆ほーるでぃんぐかんぱにーのいちいんとしてでびゅー)

23歳でビッグ・ブラザー＆ホールディング・カンパニーの一員としてデビュー

(よくねん１９６７ねんにはもんたれーぽっぷふぇすてぃばるにしゅつえん。ぶるーすと)

翌年1967年にはモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演。ブルースと

(ろっくをおりまぜたどくじのかしょうほうとぱふぉーまんすでひょうばんをよび、)

ロックを織り交ぜた独自の歌唱法とパフォーマンスで評判を呼び、

(せんせーしょなるをまきおこす。そしてりりーすされたあるばむ「ちーぷ)

センセーショナルを巻き起こす。そしてリリースされたアルバム『チープ

(すりる」は１００まんどるをうりあげかのじょはいっきにすたーだむにおしあげられる。)

スリル』は100万ドルを売り上げ彼女は一気にスターダムに押し上げられる。

(しかしそのばんども２ねんでだったい、じゃにすはさらなるたかみをめざすために、)

しかしそのバンドも2年で脱退、ジャニスはさらなる高みを目指すために、

(２６さいのときにあらたにこずみっくぶるーすばんどをけっせい。しゃかいげんしょうとしても)

26歳のときに新たにコズミック・ブルース・バンドを結成。社会現象としても

(とりあげられたでんせつのろっくふぇす、うっどすとっくにしゅつえんする。へろいんで)

取り上げられた伝説のロックフェス、ウッドストックに出演する。ヘロインで

(ふらふらになりながらも、ちょうしゅうをふるいたたせるようなあぐれっしぶなすてーじを)

フラフラになりながらも、聴衆を奮い立たせるようなアグレッシブなステージを

(ひろう。またこせいてきなふぁっしょんせんすでもちゅうもくをあび、ひっぴーせだいの)

披露。また個性的なファッションセンスでも注目を浴び、ヒッピー世代の

(あいこんとしてむかえいれられる。だがそのうらで、しんばんどをせいこうにみちびく)

アイコンとして迎え入れられる。だがその裏で、新バンドを成功に導く

(ぷれっしゃーやどらっぐのかじょうせっしゅにより、じょじょにせいしんのばらんすをくずして)

プレッシャーやドラッグの過剰摂取により、徐々に精神のバランスを崩して

(いく。こころのよりどころとなるこいびとがいたじきもあったようだが、しあわせなきかんはながく)

いく。心の拠り所となる恋人がいた時期もあったようだが、幸せな期間は長く

(つづかず、ひとたびぶたいをおりるとこどくにおそわれ、かのじょはこうしゅういにもらす)

続かず、ひとたび舞台を降りると孤独に襲われ、彼女はこう周囲に漏らす

(ようになる。「らいぶはげんそう。しょーがおわればかんきゃくやめんばーはいえじにつき、)

ようになる。「ライブは幻想。ショーが終われば観客やメンバーは家路につき、

(そしてわたしはひとりぼっちになる」と。)

そして私はひとりぼっちになる」と。

(うたでならしゃかいにみとめられる。そうしんじつきすすんできたはずなのに、なぜ)

歌でなら社会に認められる。そう信じ突き進んできたはずなのに、なぜ

(こんなにもこどくでくるしいのだろう。ながねんのこころのかっとうは、あるできごとがひきがねと)

こんなにも孤独で苦しいのだろう。長年の心の葛藤は、ある出来事が引き金と

(なって、じんせいをおおきくくるわせていく。つぎのばんどがかいさんしたよくねんの１９７０ねん、)

なって、人生を大きく狂わせていく。次のバンドが解散した翌年の1970年、

(じゃにすはこうこうのどうそうかいにほうどうじんをひきつれてしゅっせきするのだが、そこでかつての)

ジャニスは高校の同窓会に報道陣を引き連れて出席するのだが、そこでかつての

(とらうまをおもいおこさせるようなひさんなできごとをけいけんしてしまう。)

トラウマを思い起こさせるような悲惨な出来事を経験してしまう。

(すたーとなり１０ねんぶりにがいせんしたかのじょに、どうきゅうせいたちはだれひとりとして)

スターとなり10年ぶりに凱旋した彼女に、同級生たちは誰ひとりとして

(ちかよらず、とうじとかわらないつめたいあしらいをうけたのだった。)

近寄らず、当時と変わらない冷たいあしらいを受けたのだった。

(「そつぎょうまえのだんすぱーてぃだって、だれもわたしをえすこーとしなかったのよ。)

「卒業前のダンスパーティだって、誰も私をエスコートしなかったのよ。

(あれからずっとみじめだったわ」とかめらのまえでわらってみせるじゃにす。しかし)

あれからずっと惨めだったわ」とカメラの前で笑ってみせるジャニス。しかし

(ないしんはそうぞうをぜっするくらいふかくきずついたにちがいない。このじけんがきっかけに)

内心は想像を絶するくらい深く傷ついたに違いない。この事件がきっかけに

(なったかはさだかではないが、どうねんの１９７０ねん、かのじょはあるこーるとへろいんの)

なったかは定かではないが、同年の1970年、彼女はアルコールとヘロインの

(かじょうせっしゅにより、れこーでぃんぐのためにたいざいしていたほてるで、ひっそりと)

過剰摂取により、レコーディングのために滞在していたホテルで、ひっそりと

(このよをさる。２７さいのはやすぎるしだった。)

この世を去る。27歳の早すぎる死だった。

(おさないころからいたんじとしてしゃかいからはじかれ、ずっとあいにうえていたじゃにす。)

幼い頃から異端児として社会から弾かれ、ずっと愛に飢えていたジャニス。

(さべつされることのいたみやつらさがわかるからこそ、こくじんたちのるーつ)

差別されることの痛みや辛さがわかるからこそ、黒人たちのルーツ

(みゅーじっくでもあるぶるーすにつよくひかれ、ふあんやこどくをかきけすために、)

ミュージックでもあるブルースに強く惹かれ、不安や孤独をかき消すために、

(どらっぐにおぼれたのかもしれない。しかしひにくにも、そんなつらいはいけいが、)

ドラッグに溺れたのかもしれない。しかし皮肉にも、そんな辛い背景が、

(かのじょにしかできないひょうげんほうほうをかくりつさせたこともたしかだ。ぶきようながらも、)

彼女にしかできない表現方法を確立させたことも確かだ。不器用ながらも、

(じんせいをかけてゆめのじつげんにしんけつをそそいだかのじょ。じゃにすのいんでぃぺんでんとな)

人生をかけて夢の実現に心血を注いだ彼女。ジャニスのインディペンデントな

(いきかたは、みんなとおなじことがよしとされるいまのじだいに、”ひととちがうことこそが)

生き方は、皆と同じことが善しとされる今の時代に、”人と違うことこそが

(さいだいのつよみであり、そのこせいをとぎすませたものだけがなにかをそうぞうでき、せいこうを)

最大の強みであり、その個性を研ぎ澄ませた者だけが何かを創造でき、成功を

(てにできる”という、つよいめっせーじをおくりつづけている。)

手にできる”という、強いメッセージを送り続けている。

(たましいをふるわすこえとぱふぉーまんす)

【魂を震わす声とパフォーマンス】

(ろっくしにのこるいだいなしんがーとして、いまもなおかたりつがれるじゃにすのみりょく。)

ロック史に残る偉大なシンガーとして、今もなお語り継がれるジャニスの魅力。

(それはなんといっても、こくじんかしゅさながらのえねるぎっしゅなうたごえと)

それは何といっても、黒人歌手さながらのエネルギッシュな歌声と

(ぱふぉーまんすにある。ぶるーじーなはすきーぼいすとこうおんのしゃうとを)

パフォーマンスにある。ブルージーなハスキーボイスと高音のシャウトを

(つかいわけ、ちょうしゅうにうったえかけるようにうたうすがたは、かうんたーかるちゃーにわく)

使い分け、聴衆に訴えかけるように歌う姿は、カウンターカルチャーに湧く

(とうじのわかもののむねをつよくうった。)

当時の若者の胸を強く打った。

(ひっぴーむーぶめんとのちょうじに)

【ヒッピームーブメントの寵児に】

(じゃにすがいきた６０～７０ねんだいのあめりかは、かうんたーかるちゃーがりゅうせいを)

ジャニスが生きた60〜70年代のアメリカは、カウンターカルチャーが隆盛を

(きわめたじだい。きそんのかちかんにｎｏをつきつけ、じゆうをおうかするわかものがあらたな)

極めた時代。既存の価値観にNOを突きつけ、自由を謳歌する若者が新たな

(むーぶめんとをうみだすなか、もんたれーぽっぷやうっどすとっくなるはつの)

ムーブメントを生み出す中、モンタレー・ポップやウッドストックなる初の

(やがいろっくふぇすもかいさい。かのじょはだんせいかおまけのぱわふるなすてーじんぐをひろうし)

野外ロックフェスも開催。彼女は男性顔負けのパワフルなステージングを披露し

(しじをあつめた。)

支持を集めた。

(せくしゃるまいのりてぃないきかた)

【セクシャルマイノリティな生き方】

(あまりしられていないが、じゃにすがつきあったこいびとのなかにはなんにんかじょせいも)

あまり知られていないが、ジャニスが付き合った恋人の中には何人か女性も

(ふくまれており、じつはばいせくしゃるだったというじじつがある。いまでこそ)

含まれており、実はバイセクシャルだったという事実がある。今でこそ

(ｌｇｂｔをかくさないじょせいみゅーじしゃんはおおいが、とうじではごくしょうすうは。)

LGBTを隠さない女性ミュージシャンは多いが、当時ではごく少数派。

(こていがいねんにしばられることなく、かんじょうのおもむくままにいきたかのじょらしいえぴそーどだ)

固定概念に縛られることなく、感情の赴くままに生きた彼女らしいエピソードだ

(こうせいのみゅーじしゃんへのえいきょう)

【後世のミュージシャンへの影響】

(こくじんのるーつでもあるぶるーすをあっとうてきなうたごえとひょうげんりょくをもってじぶんのものに)

黒人のルーツでもあるブルースを圧倒的な歌声と表現力をもって自分のものに

(する。とうじはくじんにはむりとされていたことをじゃにすはかるがるとやってのけ、)

する。当時白人には無理とされていたことをジャニスは軽々とやってのけ、

(しゅういのどぎもをぬいたが、そのこうせきはあとにつづくあらたなさいのうのきぼうにもなっていた)

周囲の度肝を抜いたが、その功績は後に続く新たな才能の希望にもなっていた

(ようで、えいみーわいんはうすやぴんくをひっとうに、えいきょうをこうげんするじょせい)

ようで、エイミー・ワインハウスやピンクを筆頭に、影響を公言する女性

(しんがーはかずしれない。)

シンガーは数知れない。

(だれもまねできないひっぴーるっく)

【誰も真似できないヒッピールック】

(みんぞくちょうのとっぷすやふれあぱんつをまとい、ふぁーのれっどぴーすやさいけな)

民族調のトップスやフレアパンツを纏い、ファーのレッドピースやサイケな

(すかーふ、むなもとにはびーずのねっくれす・・・など。じゃにすはどくそうてきな)

スカーフ、胸元にはビーズのネックレス・・・など。ジャニスは独創的な

(せんすをもちあわせたひっぴーせだいのすたいるあいこんでもあった。その)

センスを持ち合わせたヒッピー世代のスタイルアイコンでもあった。その

(きこなしはでざいなーたちのあいでぃあそーすにもなり、げんだいのとれんどとして)

着こなしはデザイナーたちのアイディアソースにもなり、現代のトレンドとして

(はんえいされることもただ。)

反映されることも多々。