禁酒の心 太宰治(2/2)

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禁酒の心 太宰治

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(「つぎはぶたのにこみときたか。わるくないなあ。おやじ、はなせるぞ。」などと)

「次は豚の煮込みと来たか。わるくないなあ。おやじ、話せるぞ。」などと

(まったくみえすいたおろかなおせじをいいながら、まけじおとらじとほかのおきゃくも、)

全く見え透いた愚かなお世辞を言いながら、負けじ劣らじと他のお客も、

(ひとさらにえんのあやしげなにこみをちゅうもんする。けれども、このへんでかいちゅうこころぼそくなり、)

一皿二円のあやしげな煮込みを注文する。けれども、この辺で懐中心細くなり、

(らくごするものもある。「ぼく、ぶたのにこみ、いらない。」とまったく)

落伍《らくご》する者もある。「ぼく、豚の煮込み、いらない。」と全く

(いきしょうちんして、ろくごうかつじほどのちいさいこえでいって、たちあがり、「いくら?」)

意気消沈して、六号活字ほどの小さい声で言って、立ち上り、「いくら?」

(という。ほかのおきゃくは、このあわれなるはいぼくしゃのたいじんをめおくりし、ばかなゆうえつかんで)

という。他のお客は、このあわれなる敗北者の退陣を目送し、ばかな優越感で

(ぞくぞくしてくるらしく、「ああ、きょうはくった。おやじ、もっとなにか、)

ぞくぞくして来るらしく、「ああ、きょうは食った。おやじ、もっと何か、

(おいしいものはないか。たのむ、もうひとさら。」とちまよったことまでくちばしる。)

おいしいものは無いか。たのむ、もう一皿。」と血迷った事まで口走る。

(さけをのみにきたのか、ものをたべにきたのか、わからなくなってしまうらしい。)

酒を飲みに来たのか、ものを食べに来たのか、わからなくなってしまうらしい。

(なんともさけは、まものである。)

なんとも酒は、魔物である。

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