太宰治 斜陽23

投稿者藤村 彩愛 プレイ回数292
難易度(4.5) 6505打 長文 タグ長文 小説 太宰治 文豪 斜陽
超長文です
太宰治の中編小説です
順位名前スコア称号打鍵/秒正誤率時間(秒)打鍵数ミス問題日付
1 kumi 5152 B+ 5.6 92.5% 1162.1 6511 523 98 2020/01/04
2 chun 5020 B+ 5.0 98.5% 1291.0 6580 99 98 2020/01/18

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問題文

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(そうしてわたしたちさんにんはだまってのんだ。「みなさん、おつよいのね」とおかみさんは)

そうして私たち三人は黙って飲んだ。「みなさん、お強いのね」とおかみさんは

(なぜだか、しんみりしたくちょうでいった。がらがらとおもてのとのあくおとがきこえて、)

なぜだか、しんみりした口調で言った。がらがらと表の戸のあく音が聞えて、

(「せんせい、もってまいりました」というわかいおとこのこえがして、「なんせ、うちの)

「先生、持ってまいりました」という若い男の声がして、「何せ、うちの

(しゃちょうったら、がっちりしていますからね、にまんえんといってねばったのですが、)

社長ったら、がっちりしていますからね、二万円と言ってねばったのですが、

(やっといちまんえん」「こぎってか?」とうえはらさんのしゃがれたこえ。「いいえ、)

やっと一万円」「小切手か?」と上原さんのしゃがれた声。「いいえ、

(げんなまですが。すみません」「まあ、いいや、うけとりをかこう」)

現なまですが。すみません」「まあ、いいや、受取りを書こう」

(ぎろちん、ぎろちん、しゅるしゅるしゅ、のかんぱいのうたが、そのあいだもいちざに)

ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、の乾杯の歌が、そのあいだも一座に

(おいてたえることなくつづいている。「なおさんは?」と、おかみさんはまじめな)

於いて絶える事無くつづいている。「直さんは?」と、おかみさんは真面目な

(かおをしてちえちゃんにたずねる。わたしは、どきりとした。「しらないわ。なおさんの)

顔をしてチエちゃんに尋ねる。私は、どきりとした。「知らないわ。直さんの

(ばんにんじゃあるまいし」と、ちえちゃんは、うろたえて、かおをかれんに)

番人じゃあるまいし」と、チエちゃんは、うろたえて、顔を可憐《かれん》に

(あかくなさった。「このごろ、なにかうえはらさんと、まずいことでもあったんじゃないの?)

赤くなさった。「この頃、何か上原さんと、まずい事でもあったんじゃないの?

(いつも、かならず、いっしょだったのに」とおかみさんは、おちついていう。)

いつも、必ず、一緒だったのに」とおかみさんは、落ちついて言う。

(「だんすのほうが、すきになったんですって。だんさあのこいびとでもできたんで)

「ダンスのほうが、すきになったんですって。ダンサアの恋人でも出来たんで

(しょうよ」「なおさんたら、まあ、おさけのうえにまたおんなだから、しまつがわるいね」)

しょうよ」「直さんたら、まあ、お酒の上にまた女だから、始末が悪いね」

(「せんせいのおしこみですもの」「でも、なおさんのほうが、たちがわるいよ。あんな)

「先生のお仕込みですもの」「でも、直さんのほうが、たちが悪いよ。あんな

(おぼっちゃんくずれは、・・・」「あの」わたしはほほえんでくちをはさんだ。)

お坊ちゃんくずれは、・・・」「あの」私は微笑んで口をはさんだ。

(だまっていては、かえってこのおふたりにしつれいなことになりそうだとおもったのだ。)

黙っていては、かえってこのお二人に失礼なことになりそうだと思ったのだ。

(「わたし、なおじのあねなんですの」おかみさんはおどろいたらしく、わたしのかおをみなおしたが、)

「私、直治の姉なんですの」おかみさんは驚いたらしく、私の顔を見直したが、

(ちえちゃんはへいきで、「おかおがよくにていらっしゃいますもの。あのどまのくらい)

チエちゃんは平気で、「お顔がよく似ていらっしゃいますもの。あの土間の暗い

(ところにおたちになっていたのをみて、わたし、はっとおもったわ。なおさんかと」)

ところにお立ちになっていたのを見て、私、はっと思ったわ。直さんかと」

など

(「さようでございますか」とおかみさんはごちょうをあらためて、「こんなむさくるしい)

「左様でございますか」とおかみさんは語調を改めて、「こんなむさくるしい

(ところへ、よくまあ。それで?あの、うえはらさんとは、まえから?」「ええ、)

ところへ、よくまあ。それで?あの、上原さんとは、前から?」「ええ、

(ろくねんまえにおあいして、・・・」いいよどみ、うつむき、なみだがでそうに)

六年前にお逢いして、・・・」言い澱《よど》み、うつむき、涙が出そうに

(なった。「おまちどおさま」じょちゅうさんが、おうどんをもってきた。「めしあがれ。)

なった。「お待ちどおさま」女中さんが、おうどんを持って来た。「召し上れ。

(あついうちに」とおかみさんはすすめる。「いただきます」おうどんのゆげにかおを)

熱いうちに」とおかみさんはすすめる。「いただきます」おうどんの湯気に顔を

(つっこみ、するするとおうどんをすすって、わたしは、いまこそいきていることの)

つっ込み、するするとおうどんを啜って、私は、いまこそ生きている事の

(わびしさの、きょくげんをあじわっているようなきがした。ぎろちん、ぎろちん、)

佗びしさの、極限を味わっているような気がした。ギロチン、ギロチン、

(しゅるしゅるしゅ、ぎろちん、ぎろちん、しゅるしゅるしゅ、とひくくくちずさみ)

シュルシュルシュ、ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、と低く口ずさみ

(ながら、うえはらさんがわたしたちのへやにはいってきて、わたしのそばにどかりとあぐらを)

ながら、上原さんが私たちの部屋にはいって来て、私の傍にどかりとあぐらを

(かき、むごんでおかみさんにおおきいふうとうをてわたした。「これだけで、あとを)

かき、無言でおかみさんに大きい封筒を手渡した。「これだけで、あとを

(ごまかしちゃだめですよ」おかみさんは、ふうとうのなかをみもせず、それをながひばちの)

ごまかしちゃだめですよ」おかみさんは、封筒の中を見もせず、それを長火鉢の

(ひきだしにしまいこんでわらいながらいう。「もってくるよ。あとのしはらいは、)

引出しに仕舞い込んで笑いながら言う。「持って来るよ。あとの支払いは、

(らいねんだ」「あんなことを」いちまんえん。それだけあれば、でんきゅうがいくつかえるだろう。)

来年だ」「あんな事を」一万円。それだけあれば、電球がいくつ買えるだろう。

(わたしだって、それだけあれば、いちねんらくにくらせるのだ。ああ、なにかこのひとたちは、)

私だって、それだけあれば、一年らくに暮せるのだ。ああ、何かこの人たちは、

(まちがっている。しかし、このひとたちも、わたしのこいのばあいとおなじように、こうでも)

間違っている。しかし、この人たちも、私の恋の場合と同じ様に、こうでも

(しなければ、いきていかれないのかもしれない。ひとはこのよのなかにうまれてきた)

しなければ、生きて行かれないのかも知れない。人はこの世の中に生れて来た

(いじょうは、どうしてもいききらなければいけないものならば、このひとたちのこの)

以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの

(いききるためのすがたも、にくむべきではないかもしれぬ。いきていること。)

生き切るための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。

(いきていること。ああ、それは、なんというやりきれないいきもたえだえのだいじぎょうで)

生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業で

(あろうか。「とにかくね」とりんしつからしんしがおっしゃる。「これからとうきょうで)

あろうか。「とにかくね」と隣室から紳士がおっしゃる。「これから東京で

(せいかつしていくにはだね、こんちわぁ、というけいはくきわまるあいさつがへいきでできる)

生活して行くにはだね、コンチワァ、という軽薄きわまる挨拶が平気で出来る

(ようでなければ、とてもだめだね。いまのわれらに、じゅうこうだの、せいじつだの、)

ようでなければ、とても駄目だね。いまのわれらに、重厚だの、誠実だの、

(そんなびとくをようきゅうするのは、くびをくくりのあしをひっぱるようなものだ。じゅうこう?)

そんな美徳を要求するのは、首をくくりの足を引っぱるようなものだ。重厚?

(せいじつ?ぺっ、ぷっだ。いきていけやしねえじゃないか。もしもだね、)

誠実?ペッ、プッだ。生きて行けやしねえじゃないか。もしもだね、

(こんちわぁをかるくいえなかったら、あとは、みちがみっつしかないんだ、ひとつは)

コンチワァを軽く言えなかったら、あとは、道が三つしか無いんだ、一つは

(きのうだ、ひとつはじさつ、もうひとつはおんなのひもさ」「そのひとつもできやしねえ)

帰農だ、一つは自殺、もう一つは女のヒモさ」「その一つも出来やしねえ

(かわいそうなやろうには、せめてさいごのゆいいつのしゅだん」とべつなしんしが、「うえはらじろうに)

可哀相な野郎には、せめて最後の唯一の手段」と別な紳士が、「上原二郎に

(たかって、つういん」ぎろちん、ぎろちん、しゅるしゅるしゅ、ぎろちん、)

たかって、痛飲」ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、ギロチン、

(ぎろちん、しゅるしゅるしゅ。「とまるところが、ねえんだろ」と、うえはらさんは、)

ギロチン、シュルシュルシュ。「泊るところが、ねえんだろ」と、上原さんは、

(ひくいこえでひとりごとのようにおっしゃった。「わたし?」わたしはじしんにかまくびをもたげた)

低い声でひとりごとのようにおっしゃった。「私?」私は自身に鎌首をもたげた

(へびをいしきした。けいい。それにちかいかんじょうで、わたしはじぶんのからだをかたくしたので)

蛇を意識した。敬意。それにちかい感情で、私は自分のからだを固くしたので

(ある。「ざこねができるか。さむいぜ」うえはらさんは、わたしのいかりにとんちゃくなくつぶやく。)

ある。「ざこ寝が出来るか。寒いぜ」上原さんは、私の怒りに頓着なく呟く。

(「むりでしょう」とおかみさんは、くちをはさみ、「おかわいそうよ」)

「無理でしょう」とおかみさんは、口をはさみ、「お可哀そうよ」

(ちぇっ、とうえはらさんはしたうちして、「そんなら、こんなところへこなけれあ)

ちぇっ、と上原さんは舌打ちして、「そんなら、こんなところへ来なけれあ

(いいんだ」わたしはだまっていた。このひとは、たしかに、わたしのあのてがみをよんだ。)

いいんだ」私は黙っていた。このひとは、たしかに、私のあの手紙を読んだ。

(そうして、だれよりもわたしをあいしている、と、わたしはそのひとのことばのふんいきから)

そうして、誰よりも私を愛している、と、私はそのひとの言葉の雰囲気から

(すばやくさっした。「しようがねえな。ふくいさんのとこへでも、たのんでみようかな。)

素早く察した。「仕様がねえな。福井さんのとこへでも、たのんでみようかな。

(ちえちゃん、つれていってくれないか。いや、おんなだけだと、とちゅうがきけんか。)

チエちゃん、連れて行ってくれないか。いや、女だけだと、途中が危険か。

(やっかいだな。かあさん、このひとのはきものを、こっそりおかってのほうに)

やっかいだな。かあさん、このひとのはきものを、こっそりお勝手のほうに

(まわしておいてくれ。ぼくがおくりとどけてくるから」そとはしんやのけはいだった。)

廻して置いてくれ。僕が送りとどけて来るから」外は深夜の気配だった。

(かぜはいくぶんおさまり、そらにいっぱいほしがひかっていた。わたしたちは、ならんで)

風はいくぶんおさまり、空にいっぱい星が光っていた。私たちは、ならんで

(あるきながら、「わたし、ざこねでもなんでも、できますのに」うえはらさんは、ねむそうな)

歩きながら、「私、ざこ寝でも何でも、出来ますのに」上原さんは、眠そうな

(こえで、「うん」とだけいった。「ふたりっきりに、なりたかったのでしょう。)

声で、「うん」とだけ言った。「二人っきりに、なりたかったのでしょう。

(そうでしょう」わたしがそういってわらったら、うえはらさんは、「これだから、いやさ」)

そうでしょう」私がそう言って笑ったら、上原さんは、「これだから、いやさ」

(とくちをまげて、にがわらいなさった。わたしはじぶんがとてもかわいがられていることを、)

と口をまげて、にが笑いなさった。私は自分がとても可愛がられている事を、

(みにしみていしきした。「ずいぶん、おさけをおめしあがりますのね。まいばんですの?」)

身にしみて意識した。「ずいぶん、お酒をお召し上りますのね。毎晩ですの?」

(「そう、まいにち、あさからだ」「おいしいの?おさけが」「まずいよ」そういう)

「そう、毎日、朝からだ」「おいしいの?お酒が」「まずいよ」そう言う

(うえはらさんのこえに、わたしはなぜだか、ぞっとした。「おしごとは?」「だめです。)

上原さんの声に、私はなぜだか、ぞっとした。「お仕事は?」「駄目です。

(なにをかいても、ばかばかしくって、そうして、ただもう、かなしくってしようが)

何を書いても、ばかばかしくって、そうして、ただもう、悲しくって仕様が

(ないんだ。いのちのたそがれ。げいじゅつのたそがれ。じんるいのたそがれ。それも、きざだね」)

無いんだ。いのちの黄昏。芸術の黄昏。人類の黄昏。それも、キザだね」

(「ゆとりろ」わたしは、ほとんどむいしきにそれをいった。「ああ、ゆとりろ。)

「ユトリロ」私は、ほとんど無意識にそれを言った。「ああ、ユトリロ。

(まだいきていやがるらしいね。あるこーるのもうじゃ。しがいだね。さいきんじゅうねんかんの)

まだ生きていやがるらしいね。アルコールの亡者。死骸だね。最近十年間の

(あいつのえは、へんにぞくっぽくて、みなだめ」「ゆとりろだけじゃ)

あいつの絵は、へんに俗っぽくて、みな駄目」「ユトリロだけじゃ

(ないんでしょう?ほかのまいすたーたちもぜんぶ、・・・」「そう、すいじゃく。しかし、)

ないんでしょう?他のマイスターたちも全部、・・・」「そう、衰弱。しかし、

(あたらしいめも、めのままですいじゃくしているのです。しも。ふろすと。せかいじゅうに)

新しい芽も、芽のままで衰弱しているのです。霜。フロスト。世界中に

(ときならぬしもがおりたみたいなのです」うえはらさんはわたしのかたをかるくだいて、わたしの)

時ならぬ霜が降りたみたいなのです」上原さんは私の肩を軽く抱いて、私の

(からだはうえはらさんのにじゅうまわしのそででつつまれたようなかたちになったが、わたしはきょひせず)

からだは上原さんの二重廻しの袖で包まれたような形になったが、私は拒否せず

(かえってぴったりよりそってゆっくりあるいた。ろぼうのじゅもくのえだ。はのいちまいも)

かえってぴったり寄りそってゆっくり歩いた。路傍の樹木の枝。葉の一枚も

(ついていないえだ、ほそくするどくよぞらをつきさしていて、「きのえだって、うつくしい)

附いていない枝、ほそく鋭く夜空を突き刺していて、「木の枝って、美しい

(ものですわねえ」とおもわずひとりごとのようにいったら、「うん、はなとまっくろい)

ものですわねえ」と思わずひとりごとのように言ったら、「うん、花と真黒い

(えだのちょうわが」とすこしうろたえたようにおっしゃった。「いいえ、わたし、はなもはも)

枝の調和が」と少しうろたえたようにおっしゃった。「いいえ、私、花も葉も

(めも、なにもついていない、こんなえだがすき。これでも、ちゃんといきて)

芽も、何もついていない、こんな枝がすき。これでも、ちゃんと生きて

(いるのでしょう。かれえだとちがいますわ」「しぜんだけは、すいじゃくせずか」)

いるのでしょう。枯枝とちがいますわ」「自然だけは、衰弱せずか」

(そういって、またはげしくくしゃみをいくつもいくつもつづけてなさった。)

そう言って、また烈しくくしゃみをいくつもいくつも続けてなさった。

(「おかぜじゃございませんの?」「いや、いや、さにあらず。じつはね、これは)

「お風邪じゃございませんの?」「いや、いや、さにあらず。実はね、これは

(ぼくのきへきでね、おさけのよいがほうわてんにたっすると、たちまちこんなぐあいの)

僕の奇癖でね、お酒の酔いが飽和点に達すると、たちまちこんな工合いの

(くしゃみがでるんです。よいのばろめーたーみたいなものだね」「こいは?」)

くしゃみが出るんです。酔いのバロメーターみたいなものだね」「恋は?」

(「え?」「どなたかございますの?ほうわてんくらいにすすんでいるおかたが」)

「え?」「どなたかございますの?飽和点くらいにすすんでいるお方が」

(「なんだ、ひやかしちゃいけない。おんなは、みなおなじさ。ややこしくて)

「なんだ、ひやかしちゃいけない。女は、みな同じさ。ややこしくて

(いけねえ。ぎろちん、ぎろちん、しゅるしゅるしゅ、じつは、ひとり、いや、)

いけねえ。ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、実は、ひとり、いや、

(はんにんくらいある」「わたしのてがみ、ごらんになって?」「みた」「ごへんじは?」)

半人くらいある」「私の手紙、ごらんになって?」「見た」「ご返事は?」

(「ぼくはきぞくは、きらいなんだ。どうしても、どこかに、はなもちならないごうまんな)

「僕は貴族は、きらいなんだ。どうしても、どこかに、鼻持ちならない傲慢な

(ところがある。あなたのおとうとのなおさんも、きぞくとしては、おおできのおとこなんだが、)

ところがある。あなたの弟の直さんも、貴族としては、大出来の男なんだが、

(ときどき、ふっと、とてもつきあいきれないこなまいきなところをみせる。ぼくはいなかの)

時々、ふっと、とても附き合い切れない小生意気なところを見せる。僕は田舎の

(ひゃくしょうのむすこでね、こんなおがわのそばをとおるとかならず、こどものころ、こきょうのおがわで)

百姓の息子でね、こんな小川の傍をとおると必ず、子供のころ、故郷の小川で

(ふなをつったことや、めだかをすくったことをおもいだしてたまらないきもちに)

鮒《ふな》を釣った事や、めだかを掬った事を思い出してたまらない気持に

(なる」くらやみのそこでかすかにおとをたててながれているおがわに、そったみちを)

なる」暗闇の底で幽かに音を立てて流れている小川に、沿った路《みち》を

(わたしたちはあるいていた。)

私たちは歩いていた。

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