森鴎外 山椒大夫4

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投稿者投稿者藤村 彩愛いいね5お気に入り登録1
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森鴎外の山椒大夫です。
とても長文です。

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問題文

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(ずしおうはきをとりなおして、ようようひるまでにいちがかり、ひるから)

厨子王は気を取り直して、ようよう午《ひる》までに一荷《が》苅り、午から

(またいちがかった。はまべにいくあねのあんじゅは、やまのきしをきたへいった。さてしおをくむ)

また一荷苅った。浜辺に往く姉の安寿は、山の岸を北へ行った。さて潮を汲む

(ばしょにおりたったが、これもしおのくみようをしらない。こころでこころをはげまして、)

場所に降り立ったが、これも汐の汲みようを知らない。心で心を励まして、

(ようようひさごをおろすやいなや、なみがひさごをとっていった。となりでくんでいる)

ようよう杓《ひさご》をおろすや否や、波が杓を取って行った。隣で汲んでいる

(おなごが、てばやくひさごをひろってもどした。そしてこういった。「しおは)

女子《おなご》が、手早く杓を拾って戻した。そしてこう言った。「汐は

(それではくまれません。どれくみようをおしえてあげよう。めてのひさごで)

それでは汲まれません。どれ汲みようを教えて上げよう。右手《めて》の杓で

(こうくんで、ゆんでのおけでこううける」とうとういちがくんでくれた。)

こう汲んで、左手《ゆんで》の桶でこう受ける」とうとう一荷汲んでくれた。

(「ありがとうございます。くみようが、あなたのおかげで、わかったようで)

「ありがとうございます。汲みようが、あなたのお蔭で、わかったようで

(ございます。じぶんですこしくんでみましょう」あんじゅはしおをくみおぼえた。)

ございます。自分で少し汲んでみましょう」安寿は汐を汲み覚えた。

(となりでくんでいるおなごに、むじゃきなあんじゅがきにいった。ふたりはひるげを)

隣で汲んでいる女子に、無邪気な安寿が気に入った。二人は昼餉《ひるげ》を

(たべながら、みのうえをうちあけて、きょうだいのちかいをした。これは)

食べながら、身の上を打ち明けて、姉妹《きょうだい》の誓いをした。これは

(いせのこはぎといって、ふたみがうらからかわれてきたおなごである。)

伊勢の小萩《こはぎ》といって、二見が浦から買われて来た女子である。

(さいしょのひはこんなぐあいに、あねがいいつけられたさんがのしおも、おとうとがいいつけ)

最初の日はこんな工合いに、姉が言いつけられた三荷の潮も、弟が言いつけ

(られたさんがのしばも、いちがずつかんじんをうけて、ひのくれまでにしゅびよくととのった。)

られた三荷の柴も、一荷ずつ勧進を受けて、日の暮れまでに首尾よく調った。

(あねはしおをくみ、おとうとはしばをかって、ひとひひとひとくらしていった。)

姉は潮を汲み、弟は柴を苅って、一日《ひとひ》一日と暮らして行った。

(あねははまでおとうとをおもい、おとうとはやまであねをおもい、ひのくれをまってこやにかえれば、ふたりは)

姉は浜で弟を思い、弟は山で姉を思い、日の暮れを待って小屋に帰れば、二人は

(てをとりあって、つくしにいるちちがこいしい、さどにいるははがこいしいと、いっては)

手を取り合って、筑紫にいる父が恋しい、佐渡にいる母が恋しいと、言っては

(なき、ないてはいう。とかくするうちにとおかたった。そしてしんざんこやを)

泣き、泣いては言う。とかくするうちに十日立った。そして新参小屋を

(あけなくてはならぬときがきた。こやをあければ、やっこはやっこ、)

明けなくてはならぬときが来た。小屋を明ければ、奴《やっこ》は奴、

(はしためははしためのくみにはいるのである。ふたりはしんでもわかれぬといった。)

婢《はしため》は婢の組に入るのである。二人は死んでも別れぬと言った。

など

(やっこがしらがだゆうにうったえた。だゆうはいった。「たわけたはなしじゃ。やっこはやっこのくみへ)

奴頭が大夫に訴えた。大夫は言った。「たわけた話じゃ。奴は奴の組へ

(ひきずっていけ。はしためははしためのくみへひきずっていけ」やっこがしらがうけたまわってたとうとしたとき)

引きずって往け。婢は婢の組へ引きずって往け」奴頭が承って起とうとしたとき

(じろうがかたわらからよびとめた。そしてちちにいった。「おっしゃるとおりに)

二郎がかたわらから呼び止めた。そして父に言った。「おっしゃる通りに

(わらべどもをひきわけさせてもよろしゅうございますが、わらべどもは)

童《わらべ》どもを引き分けさせてもよろしゅうございますが、童どもは

(しんでもわかれぬともうすそうでございます。おろかなものゆえ、しぬるかも)

死んでも別れぬと申すそうでございます。愚かなものゆえ、死ぬるかも

(しれません。かるしばはわずかでも、くむしおはいささかでも、ひとでをへらす)

知れません。苅る柴はわずかでも、汲む潮はいささかでも、人手を耗《へ》らす

(のはそんでございます。わたくしがいいようにはからってやりましょう」)

のは損でございます。わたくしがいいように計らってやりましょう」

(「それもそうか。そんになることはわしもきらいじゃ。どうにでもかってにしておけ」)

「それもそうか。損になることはわしも嫌いじゃ。どうにでも勝手にしておけ」

(だゆうはこういってわきへむいた。じろうはさんのきどにこやをかけさせて、あねとおとうととを)

大夫はこう言って脇へ向いた。二郎は三の木戸に小屋を掛けさせて、姉と弟とを

(いっしょにおいた。あるひのくれにふたりのこどもは、いつものようにふぼのことを)

一しょに置いた。ある日の暮れに二人の子供は、いつものように父母のことを

(いっていた。それをじろうがとおりかかってきいた。じろうはやしきをみまわって、つよいやっこが)

言っていた。それを二郎が通りかかって聞いた。二郎は邸を見廻って、強い奴が

(よわいやっこをしえたげたり、いさかいをしたり、ぬすみをしたりするのを)

弱い奴を虐《しえた》げたり、諍《いさか》いをしたり、盗みをしたりするのを

(とりしまっているのである。じろうはこやにはいってふたりにいった。「ふぼは)

取り締まっているのである。二郎は小屋にはいって二人に言った。「父母は

(こいしゅうてもさどはとおい。つくしはそれよりまたとおい。こどものいかれるところでは)

恋しゅうても佐渡は遠い。筑紫はそれよりまた遠い。子供の往かれる所では

(ない。ふぼにあいたいなら、おおきゅうなるひをまつがよい」こういって)

ない。父母に逢いたいなら、大きゅうなる日を待つがよい」こう言って

(でていった。ほどへてまたあるひのくれに、ふたりのこどもはふぼのことを)

出て行った。ほど経てまたある日の暮れに、二人の子供は父母のことを

(いっていた。それをこんどはさぶろうがとおりかかってきいた。さぶろうはねとりをとることが)

言っていた。それを今度は三郎が通りかかって聞いた。三郎は寝鳥を取ることが

(すきでやしきのうちのこだちこだちを、てにゆみやをもってみまわるのである。)

好きで邸のうちの木立ち木立ちを、手に弓矢を持って見廻るのである。

(ふたりはふぼのことをいうたびに、どうしようか、こうしようかと、あいたさの)

二人は父母のことを言うたびに、どうしようか、こうしようかと、逢いたさの

(あまりに、あらゆるてだてをはなしあって、ゆめのようなそうだんをもする。きょうは)

あまりに、あらゆる手立てを話し合って、夢のような相談をもする。きょうは

(あねがこういった。「おおきくなってからでなくては、とおいたびができないというのは)

姉がこう言った。「大きくなってからでなくては、遠い旅が出来ないというのは

(それはあたりまえのことよ。わたしたちはそのできないことがしたいのだわ。)

それは当たり前のことよ。わたしたちはその出来ないことがしたいのだわ。

(だがわたしよくおもってみると、どうしてもふたりいっしょにここをにげだしては)

だがわたしよく思ってみると、どうしても二人一しょにここを逃げ出しては

(だめなの。わたしにはかまわないで、おまえひとりでにげなくては。そしてさきへ)

駄目なの。わたしには構わないで、お前一人で逃げなくては。そしてさきへ

(つくしのほうへいって、おとうさまにおめにかかって、どうしたらいいか)

筑紫の方へ往って、お父うさまにお目にかかって、どうしたらいいか

(うかがうのだね。それからさどへおかあさまのおむかえにいくがいいわ」さぶろうが)

伺うのだね。それから佐渡へお母さまのお迎えに往くがいいわ」三郎が

(たちぎきをしたのは、あいにくこのあんじゅのことばであった。さぶろうはゆみやを)

立聞きをしたのは、あいにくこの安寿の詞《ことば》であった。三郎は弓矢を

(もって、つとこやのうちにはいった。「こら。おぬしたちはにげるだんごうをして)

持って、つと小屋のうちにはいった。「こら。お主たちは逃げる談合をして

(おるな。とうぼうのくわだてをしたものにはやきいんをする。それがこのやしきの)

おるな。逃亡の企てをしたものには烙印《やきいん》をする。それがこの邸の

(おきてじゃ。あこうなったてつはあついぞよ」ふたりのこどもはまっさおになった。あんじゅはさぶろうが)

掟じゃ。赤うなった鉄は熱いぞよ」二人の子供は真っ蒼になった。安寿は三郎が

(まえにすすみでていった。「あれはうそでございます。おとうとがひとりでにげたって、まあ、)

前に進み出て言った。「あれは噓でございます。弟が一人で逃げたって、まあ、

(どこまでいかれましょう。あまりおやにあいたいので、あんなことをもうしました。)

どこまで往かれましょう。あまり親に逢いたいので、あんなことを申しました。

(こないだもおとうとといっしょに、とりになってとんでいこうともうしたこともございます。)

こないだも弟と一しょに、鳥になって飛んで往こうと申したこともございます。

(でほうだいでございます」ずしおうはいった。「ねえさんのいうとおりです。いつでも)

出放題でございます」厨子王は言った。「姉えさんの言う通りです。いつでも

(ふたりでいまのような、できないことばかしいって、ふぼのこいしいのをまぎらして)

二人で今のような、出来ないことばかし言って、父母の恋しいのを紛らして

(いるのです」さぶろうはふたりのかおをみくらべて、しばらくのあいだだまっていた。)

いるのです」三郎は二人の顔を見較べて、しばらくの間黙っていた。

(「ふん。うそならうそでもいい。おぬしたちがいっしょにおって、なんのはなしをするという)

「ふん。噓なら噓でもいい。お主たちが一しょにおって、なんの話をするという

(ことを、おれがたしかにきいておいたぞ」こういってさぶろうはでていった。)

ことを、おれがたしかに聞いておいたぞ」こう言って三郎は出て行った。

(そのばんはふたりがきみわるくおもいながらねた。それからどれだけねたかわからない。)

その晩は二人が気味悪く思いながら寝た。それからどれだけ寝たかわからない。

(ふたりはふとものおとをききつけてめをさました。いまのこやにきてからは、)

二人はふと物音を聞きつけて目をさました。今の小屋に来てからは、

(ともしびをおくことがゆるされている。そのかすかなあかりでみれば、)

燈火《ともしび》を置くことが許されている。そのかすかな明りで見れば、

(まくらもとにさぶろうがたっている。さぶろうは、つとよって、りょうてでふたりのてを)

枕もとに三郎が立っている。三郎は、つと寄って、両手で二人の手を

(つかまえる。そしてひきたててとぐちをでる。あおざめたつきをあおぎながら、ふたりは)

つかまえる。そして引き立てて戸口を出る。蒼ざめた月を仰ぎながら、二人は

(めみえのときにとおった、ひろいめどうをひかれていく。はしをさんだん)

目見えのときに通った、広い馬道《めどう》を引かれて行く。階《はし》を三段

(のぼる。ほそどのをとおる。めぐりめぐってさきのひにみたひろまに)

登る。廊《ほそどの》を通る。廻《めぐ》り廻ってさきの日に見た広間に

(はいる。そこにはおおぜいのひとがだまってならんでいる。さぶろうはふたりをすみびのまっかに)

はいる。そこには大勢の人が黙って並んでいる。三郎は二人を炭火の真っ赤に

(おこったろのまえまでひきずってでる。ふたりはこやでひきたてられたときから、)

おこった炉の前まで引きずって出る。二人は小屋で引き立てられたときから、

(ただ「ごめんなさいごめんなさい」といっていたが、さぶろうはだまってひきずって)

ただ「ご免なさいご免なさい」と言っていたが、三郎は黙って引きずって

(いくので、しまいにはふたりともだまってしまった。ろのむかいがわにはしとね)

行くので、しまいには二人とも黙ってしまった。炉の向い側には茵《しとね》

(さんまいをかさねてしいて、さんしょうだゆうがすわっている。だゆうのあかかおが、)

三枚を畳《かさ》ねて敷いて、山椒大夫がすわっている。大夫の赤顔が、

(ざのさゆうにたいてあるたてあかしをてりかえして、もえるようで)

座の左右に焚《た》いてある炬火《たてあかし》を照り反して、燃えるようで

(ある。さぶろうはすみびのなかから、あかくやけているひばしをひきだす。それを)

ある。三郎は炭火の中から、赤く焼けている火筯《ひばし》を引き出す。それを

(てにもって、しばらくみている。はじめすきとおるようにあかくなっていたてつが、)

手に持って、しばらく見ている。初め透き通るように赤くなっていた鉄が、

(しだいにくろずんでくる。そこでさぶろうはあんじゅをひきよせて、ひばしをかおにあてようと)

次第に黒ずんで来る。そこで三郎は安寿を引き寄せて、火筯を顔に当てようと

(する。ずしおうはそのひじにからみつく。さぶろうはそれをけたおしていしのひざにしく。)

する。厨子王はその肘にからみつく。三郎はそれを蹴倒して石の膝に敷く。

(とうとうひばしをあんじゅのひたいにじゅうもんじにあてる。あんじゅのひめいがいちざのちんもくをやぶって)

とうとう火筯を安寿の額に十文字に当てる。安寿の悲鳴が一座の沈黙を破って

(ひびきわたる。さぶろうはあんじゅをつきはなして、ひざのしたのずしおうをひきおこし、そのひたいにも)

響き渡る。三郎は安寿を衝き放して、膝の下の厨子王を引き起し、その額にも

(ひばしをじゅうもんじにあてる。あらたにひびくずしおうのなきごえが、ややかすかになったあねの)

火筯を十文字に当てる。新たに響く厨子王の泣き声が、ややかすかになった姉の

(こえにまじる。さぶろうはひばしをすてて、はじめふたりをこのひろまへつれてきたときの)

声に交じる。三郎は火筯を棄てて、初め二人をこの広間へ連れて来たときの

(ように、またふたりのてをつかまえる。そしていちざをみわたしたのち、ひろいおもやを)

ように、また二人の手をつかまえる。そして一座を見渡したのち、広い母屋を

(まわって、ふたりをさんだんのはしのところまでひきだし、こおったつちのうえにつきおとす。)

廻って、二人を三段の階《はし》の所まで引き出し、凍った土の上に衝き落す。

(ふたりのこどもはきずのいたみとこころのおそれとにきをうしないそうになるのを、)

二人の子供は創《きず》の痛みと心の恐れとに気を失いそうになるのを、

(ようようこらえしのんで、どこをどうあるいたともなく、さんのきどのこやに)

ようよう堪え忍んで、どこをどう歩いたともなく、三の木戸の小家《こや》に

(かえる。ふしどのうえにたおれたふたりは、しばらくしがいのようにうごかずに)

帰る。臥所《ふしど》の上に倒れた二人は、しばらく死骸のように動かずに

(いたが、たちまちずしおうが「ねえさん、はやくおじぞうさまを」とさけんだ。あんじゅは)

いたが、たちまち厨子王が「姉えさん、早くお地蔵様を」と叫んだ。安寿は

(すぐにおきなおって、はだのまもりぶくろをとりだした。わななくてに)

すぐに起き直って、肌の守袋《まもりぶくろ》を取り出した。わななく手に

(ひもをといて、ふくろからだしたぶつぞうをまくらもとにすえた。ふたりはさゆうにぬかずいた。)

紐を解いて、袋から出した仏像を枕もとに据えた。二人は左右にぬかずいた。

(そのときはをくいしばってもこらえられぬひたいのいたみが、かきけすようにうせた。)

そのとき歯をくいしばってもこらえられぬ額の痛みが、掻き消すように失せた。

(てのひらでひたいをなでてみれば、きずはあともなくなった。はっとおもって、ふたりはめを)

掌で額を撫でてみれば、創は痕もなくなった。はっと思って、二人は目を

(さました。ふたりのこどもはおきなおってゆめのはなしをした。おなじゆめをおなじときに)

さました。二人の子供は起き直って夢の話をした。同じ夢を同じときに

(みたのである。あんじゅはまもりほんぞんをとりだして、ゆめですえたときとおなじように、)

見たのである。安寿は守本尊を取り出して、夢で据えたときと同じように、

(まくらもとにすえた。ふたりはそれをふしおがんで、かすかなともしびのあかりにすかして、)

枕もとに据えた。二人はそれを伏し拝んで、かすかな燈火の明りにすかして、

(じぞうそんのひたいをみた。びゃくごうのさゆうに、たがねでほったような)

地蔵尊の額を見た。白毫《びゃくごう》の左右に、鏨《たがね》で彫ったような

(じゅうもんじのきずがあざやかにみえた。)

十文字の疵《きず》があざやかに見えた。

(ふたりのこどもがはなしをさぶろうにたちぎきせられて、そのばんおそろしいゆめをみたときから、)

二人の子供が話を三郎に立聞きせられて、その晩恐ろしい夢を見たときから、

(あんじゅのようすがひどくかわってきた。かおにはひきしまったようなひょうじょうがあって、)

安寿の様子がひどく変って来た。顔には引き締まったような表情があって、

(まゆのねにはしわがより、めははるかにとおいところをみつめて)

眉《まゆ》の根には皺《しわ》が寄り、目ははるかに遠いところを見つめて

(いる。そしてものをいわない。ひのくれにはまからかえると、これまではおとうとのやまから)

いる。そして物を言わない。日の暮れに浜から帰ると、これまでは弟の山から

(かえるのをまちうけて、ながいはなしをしたのに、いまはこんなときにも)

帰るのを待ち受けて、長い話をしたのに、今はこんなときにも

(ことばすくなにしている。)

詞少《ことばすく》なにしている。

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