数字の手紙
(リクエストユーザー:ジョナジュリ)
【2019/03/05】 次の問題を表示するようにしました。
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問題文
(むかしむかし、なつになってもさむいひがつづいて、さくもつがそだたなくなりました。)
むかしむかし、夏になっても寒い日が続いて、作物が育たなくなりました。
(このままでは、ねんぐをおさめることができません。)
このままでは、年貢を納めることが出来ません。
(こまったむらびとたちはそうだんをして、)
困った村人たちは相談をして、
(やくしょへねんぐをすくなくしてもらえるようにねがいでることにしました。)
役所へ年貢を少なくしてもらえるように願い出ることにしました。
(そのやくめにえらばれたのが、でんすけととんへいというなまえのふたりです。)
その役目に選ばれたのが、伝助ととん兵という名前の二人です。
(「おそれながら、むらのだいひょうでまいりました」)
「恐れながら、村の代表で参りました」
(やくしょへやってきたふたりはふところからかきつけをとりだすと、)
役所へやって来た二人はふところから書き付けを取り出すと、
(やくにんにさしだしました。)
役人に差し出しました。
(やくにんがそれをみてみると、)
役人がそれを見てみると、
(いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、く、じゅう)
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十
(と、いちからじゅうまでのすうじしかかいていません。)
と、一から十までの数字しか書いていません。
(「これは、なんだ?」)
「これは、何だ?」
(やくにんはくびをかしげると、でんすけがいいました。)
役人は首をかしげると、伝助が言いました。
(「おそれながら、おらがわけをはなします。)
「恐れながら、おらが訳を話します。
(いちは、いちいちかたるも。)
一は、いちいち語るも。
(には、にがにがしい。)
二は、にがにがしい。
(さんは、さんざんな。)
三は、さんざんな。
(しとごは、しごとをして。)
四と五は、仕事をして。
(ろくは、ろくなことがない。)
六は、ろくなことがない。
(しちとはちは、しちにばちおいても。)
七と八は、質にばち置いても。
(くは、くっていけません。)
九は、食っていけません。
(じゅうは、じゅうぶんにさくもつがみのらん。)
十は、十分に作物が実らん。
(つまり、いちいちかたるも、にがにがしい。)
つまり、いちいち語るも、苦々しい。
(さんざん、しごとをしても、ろくなことがない。)
さんざん、仕事をしても、ろくなことがない。
(しちにばちをおいても、くっていけません。)
質にばちを置いても、食っていけません。
(それは、じゅうぶんにさくもつがみのらないからです。)
それは、十分に作物が実らないからです。
(と、いう、ねんぐをまけてもらうためのねがいです」)
と、言う、年貢をまけてもらうための願いです」
(それをきいたやくにんは、このおもしろいかきつけにかんしんしました。)
それを聞いた役人は、この面白い書き付けに感心しました。
(「うむ。おまえたちのねがいはわかった。ちょっとまっていろ」)
「うむ。お前たちの願いはわかった。ちょっと待っていろ」
(やくにんはふたりのめのまえで、さらさらさらとかきつけるとふたりにわたしました。)
役人は二人の目の前で、さらさらさらと書き付けると二人に渡しました。
(「これをもっていけ」)
「これを持っていけ」
(うけとったふたりが、そのかきつけをみてみると、)
受け取った二人が、その書き付けを見てみると、
(じゅう、く、はち、しち、ろく、ご、し、さん、に、いち)
十、九、八、七、六、五、四、三、二、一
(と、さっきとははんたいに、じゅうからいちまでのすうじをかいてあるだけです。)
と、さっきとは反対に、十から一までの数字を書いてあるだけです。
(こんどはふたりがくびをかしげて、やくにんにたずねました。)
今度は二人が首をかしげて、役人に尋ねました。
(「おやくにんさま。これは、なんでしょうか?」)
「お役人様。これは、なんでしょうか?」
(するとやくにんは、にやりとわらっていいました。)
すると役人は、にやりと笑って言いました。
(「いいか、よくきけ。)
「いいか、よく聞け。
(じゅうは、じゅうぶんにさくもつをしゅうかくしておきながら。)
十は、十分に作物を収穫しておきながら。
(くは、くじょうをいう。)
九は、苦情を言う。
(はちは、いやなやつら。)
八は、いやな奴ら。
(しちは、しちにおくようなものは。)
七は、質に置くようなものは。
(ろくは、ろくでもない。)
六は、ろくでもない。
(ごは、ごんごどうだんにて。)
五は、言語道断にて。
(しは、つかまえてしばってやりたいが。)
四は、捕まえて縛ってやりたいが。
(さんは、さんぜんせかいのひゃくしょうは。)
三は、三千世界の百姓は。
(には、にくいけれども。)
二は、にくいけれども。
(いちは、いちどだけゆるす。)
一は、一度だけ許す。
(つまり、じゅうぶんにしゅうかくしておきながら、くじょうをいういやなやつらめ。)
つまり、十分に収穫しておきながら、苦情を言ういやな奴らめ。
(しちにおくようなものはないのに、ごんごどうだん。)
質に置くようなものはないのに、言語道断。
(つかまえてしばってやりたいが、さんぜんせかいのひゃくしょうは、にくいけれども、いちどだけゆるす」)
捕まえて縛ってやりたいが、三千世界の百姓は、憎いけれども、一度だけ許す」
(やくにんのせつめいをきいて、でんすけととんへいはふかぶかとあたまをさげました。)
役人の説明を聞いて、伝助ととん兵は深々と頭を下げました。
(「ありがとうございます」)
「ありがとうございます」
(こうしてむらのねんぐは、)
こうして村の年貢は、
(こんかいいちどだけまけてもらえるようになったということです。)
今回一度だけまけてもらえるようになったと言うことです。