壊れたコンパス

(ねえどこにいるのどこからかきこえるこえ)

「ねえどこにいるの？」どこからか聞こえる声

(ひびにうもれわすれていくぼくはまたあるきだした)

日々に埋もれ忘れて行く　僕はまた歩き出した

(またおなじあさがぼくをてらすやめてまぶしいよ)

また同じ朝が僕を照らす　やめて眩しいよ

(そらはまだあおくくもをしろくみせてくれていた)

空はまだ青く雲を白く見せてくれていた

(いまもここでかくれたままずっとずっとにげてるだけだ)

今もここで隠れたままずっとずっと逃げてるだけだ

(どこにいるの)

「どこにいるの？」

(それはもうまぎれもないぼくのこえじぶんをさがしている)

それはもう紛れもない僕の声自分を探している

(どこにいるのこんぱすぐるぐるわからないよ)

どこにいるの？コンパスぐるぐる分からないよ

(にげるようにいきてるぼくをこわすしろいそのろくもじは)

逃げるように生きてる僕を壊す白いその６文字は

(ぼくのなかでこだましてずっとぼくをみつめてる)

僕の中でこだましてずっと僕を見つめてる

(なきたいのはうそだけどぼくもかわったとはおもえず)

泣きたいのは嘘だけど僕も変わったとは思えず

(あいもかわらずそらははいけいでうしろのほうへ)

相も変わらず空は背景で後ろの方へ

(はしのせきでぼくはねむるどこへいくのかもわからずになにもみえないまま)

端の席で僕は眠る　どこへ行くのかも分からずに何も見えないまま

(みみふさいだってしきりにきこえるききなれたぼくのこえ)

耳塞いだってしきりに聞こえる聞き慣れた僕の声

(どこにいくのこんぱすぐるぐるわからないよ)

どこにいくの？コンパスぐるぐる分からないよ

(そらはいつだってひとりそこにいてぼくのことみてるのに)

空はいつだってひとりそこにいて僕のこと見てるのに

(なぜだろうかぼくのめはずっとなにもみようとせずくさっていく)

何故だろうか僕の目はずっと何も見ようとせず腐って行く

(みずたまりひこうせんほたるたおれたはなすこーるひつじぐも)

水たまり、飛行船、蛍、倒れた花　スコール、ひつじ雲

(たくさんのしゃしんめのまえにあるけどむねにみえやしない)

たくさんの写真目の前にあるけど胸に見えやしない

(どこにもいないぼくをまださがしつづけている)

どこにもいない僕をまだ探し続けている

(きみにあいにいくよみせてあげるぼくのすがた)

僕(きみ)に会いに行くよ見せてあげる僕(ぼく)の姿

(きみにみえるよね)

僕(きみ)に見えるよね？

(ばかみたいにいきていけるのならばどれだけしあわせだろう)

馬鹿みたいに生きて行けるのならばどれだけ幸せだろう

(もうおそいよってわらわないでじぶんがどこにいるかわからずに)

もう遅いよって笑わないで自分がどこにいるか分からずに

(きょうをひとつずつすてていきどこだどこだとわめいてる)

「今日」を一つずつ捨てて行きどこだどこだと喚いてる

(ばかみたいだばかみたいにずっとじぶんをさがすのだろう)

馬鹿みたいだ　馬鹿みたいにずっと自分を探すのだろう

(もうこえすらもきこえやしないまぶたもひらきやしない)

もう声すらも聞こえやしない　瞼も開きやしない

(どこにもいないこんぱすなんてもういみないよ)

どこにもいない　コンパスなんてもういらないよ

(すれちがうきみとぼくこうさてんでとうぜんきづくはずもなく)

すれ違う僕(きみ)と僕(ぼく)交差点で当然気づくはずもなく

(どこにいるのずっとさまよいつづけてるのだろう)

どこにいるの？ずっと彷徨い続けるのだろう

(どこにいるのまじわらないきみとぼく)

どこにいるの？交わらない僕(きみ)と僕(ぼく)