王子とこじき 33

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数0難易度(4.5) 3097打 長文
作者 マーク・トウェイン

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問題文

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(「そなたはわたしをさんざんまたせたな」) 「そなたは私をさんざん待たせたな」 (えどわーどはうれしさのあまり、うらめしそうなくちぶりになっていた。) エドワードは嬉しさのあまり、恨めしそうな口ぶりになっていた。 (へんどんもそのことばをきくと、) ヘンドンもその言葉を聞くと、 ((ああ、まだびょうきはなおっていないな。かわいそうに)とおもったが、ここはさりげなく) (ああ、まだ病気は治っていないな。可哀想に)と思ったが、ここはさりげなく (「おまたせしてもうしわけございませんでした、へいか」) 「お待たせして申し訳ございませんでした、陛下」 (ところがそのとき、むらびとがうったえたとみえてやくにんがやってきて) ところがその時、村人が訴えたとみえて役人がやってきて (「どいつだ。おんなからものをうばったどろぼうは」とわめいたのである。) 「どいつだ。女からものを奪った泥棒は」と喚いたのである。 (えどわーどはすぐに「へんどん、あれがまちがいだったことはしっているはずだ。) エドワードはすぐに「ヘンドン、あれが間違いだったことは知っているはずだ。 (そんなやくにんは、おいかえしてしまえ」とへんどんにめいじたが) そんな役人は、追い返してしまえ」とヘンドンに命じたが (へんどんはしずかにくびをふって、こういった。) ヘンドンは静かに首を振って、こう言った。
(「やくにんは、さいばんかんのところへつれていくものとおもいます。) 「役人は、裁判官のところへ連れていくものと思います。 (いかなくてはなりません」) 行かなくてはなりません」 (「ばかな!こくおうがさいばんにかかるのだと?」) 「ばかな!国王が裁判にかかるのだと?」 (「ほうりつはこくおうへいかがおきめになったものです。) 「法律は国王陛下がお決めになったものです。 (そのほうりつを、へいかごじしんがやぶってよろしいでしょうか」) その法律を、陛下御自身がやぶってよろしいでしょうか」 (こういわれると、えどわーどはそのとおりにちがいないとおもった。) こう言われると、エドワードはそのとおりに違いないと思った。 (そこで、やくにんにつれていかれるほかなかった。) そこで、役人に連れて行かれるほかなかった。 (さいばんかんは、おんなのいうことをしんじて、えどわーどがぬすみのはんにんであると) 裁判官は、女の言うことを信じて、エドワードが盗みの犯人であると (きめてかかったし、はんたいのしょうげんをするひとはだれひとりいなかった。) 決めてかかったし、反対の証言をする人は誰一人いなかった。 (「よし。ゆうざいときまった。では、どのくらいのつみのおもさか。それをいまからきめる) 「よし。有罪と決まった。では、どのくらいの罪の重さか。それを今から決める
など
(さいばんかんはおごそかにいって、おんながぬすまれたというつつみをひらいてみた。) 裁判官は厳かに言って、女が盗まれたという包みを開いてみた。 (するとなかからは、こぶたのまるやきがでてきたではないか。) すると中からは、子豚の丸焼きが出てきたではないか。 (えどわーどは、ちょっとうまそうだぐらいにしかおもわなかった。) エドワードは、ちょっとうまそうだぐらいにしか思わなかった。 (しかし、それをみたへんどんもさいばんかんもかおいろがかわったのだ。) しかし、それを見たヘンドンも裁判官も顔色が変わったのだ。 (「これ。このこぶたはいくらしたか」) 「これ。この子豚はいくらしたか」 (「へえ。さんしりんぐはちぺんすでごぜえます」) 「へえ。三シリング八ペンスでごぜえます」 (「やはり、そうか・・・わしはできたら、このこのいのちをたすけてやりたいと) 「やはり、そうか・・・わしはできたら、この子の命を助けてやりたいと (おもったが・・・だめか」) 思ったが・・・だめか」 (さいばんかんは、かたをおとしてがっかりした。) 裁判官は、肩を落としてがっかりした。 (じつをいうと、このくにのほうりつでは、さんしりんぐいじょうのねうちのものをぬすんだものは) 実を言うと、この国の法律では、三シリング以上の値打ちの物を盗んだ者は (しばりくびときまっていたのである。) しばり首と決まっていたのである。 (へんどんは、なにもしらぬえどわーどを、どうしてすくったらいいものか) ヘンドンは、何も知らぬエドワードを、どうして救ったらいいものか (あたまをはたらかせた。だが、すぐにいいかんがえはうかばなかった。) 頭を働かせた。だが、すぐにいい考えは浮かばなかった。 (さいばんかんはおんなにいった。) 裁判官は女に言った。 (「では、はんけつのまえにひとこというが、さんしりんぐいじょうのこぶたを) 「では、判決の前にひとこと言うが、三シリング以上の子豚を (ぬすんだこのこどもは、ほうのめいずるところによれば、しばりくびということになるが」) 盗んだこの子供は、法の命ずるところによれば、しばり首ということになるが」 (これをきいたおんなは、とびあがらんばかりにおどろいて、きいきいごえをはりあげた。) これを聞いた女は、飛び上がらんばかりに驚いて、きいきい声を張り上げた。 (「と、とんでもないことでごぜえますよ。こぶたぐれえのことで) 「と、とんでもないことでごぜえますよ。子豚ぐれえのことで (こんなかわいらしいこどものいのちをとるなんて、わしには、そんなことはできねえだ。) こんな可愛らしい子供の命をとるなんて、わしには、そんなことはできねえだ。 (さいばんかんさま、たすけてやってくだせえ」) 裁判官様、助けてやってくだせえ」 (「いや、そういうわけにはいかぬ。しかしいまはまだせいしきのはんけつをしたわけではない) 「いや、そういう訳にはいかぬ。しかし今はまだ正式の判決をしたわけではない (そこで、わしはひとことつけくわえよう。もしこぶたのねだんが、ぐっとやすければ・・」) そこで、わしはひと言付け加えよう。もし子豚の値段が、ぐっと安ければ・・」 (さいばんかんのこのいいかけで、ひとのいいおんなのひとはたちまちどうしたらいいかわかった) 裁判官のこの言いかけで、人のいい女の人はたちまちどうしたらいいかわかった (「わかりましただ。このこぶたははちぺんすでごぜえます。) 「わかりましただ。この子豚は八ペンスでごぜえます。 (どうか、たったのはちぺんすということにして、このこをすくってくだせえ」) どうか、たったの八ペンスということにして、この子を救ってくだせえ」 (このことばに、さいばんかんはにっこりした。そして、ただちにしょきに) この言葉に、裁判官はにっこりした。そして、ただちに書記に (「はちぺんすのこぶたをぬすみしつみにより・・・」とかかしたのだった。) 「八ペンスの子豚を盗みし罪により・・・」と書かしたのだった。 (さいばんは、まだおわったのではなかったが、こぶたはおんなにかえされて) 裁判は、まだ終わったのではなかったが、子豚は女に返されて (さきにほうていからそとへだされた。) 先に法廷から外へ出された。 (へんどんはろうかにいたが、さっきここへ、えどわーどをひっぱってきたやくにんが) ヘンドンは廊下にいたが、さっきここへ、エドワードを引っぱってきた役人が (こんどはおんなにこういうのをきいた。) 今度は女にこう言うのを聞いた。 (「おい、おかみさん。そのこぶたははちぺんすならやすいもんだ。おれにうってくれや」) 「おい、おかみさん。その子豚は八ペンスなら安いもんだ。俺に売ってくれや」 (「なにいってんだよ。ほんとのねだんは・・・」) 「なに言ってんだよ。ほんとの値段は・・・」 (「おっと。それじゃ、おまえさんはさいばんかんのまえでうそをついたんだな。) 「おっと。それじゃ、おまえさんは裁判官の前で嘘をついたんだな。 (そいつがばれたら、つみがおもいぜ。おれは、もっとおおきなまちのさいばんしょへ) そいつがばれたら、罪が重いぜ。俺は、もっと大きな町の裁判所へ (うったえでることだってできるんだからな」) 訴えでることだってできるんだからな」 (じつにわるいやくにんだった。とうとう、まるまるとしたこぶたのまるやきを) 実に悪い役人だった。とうとう、丸々とした子豚の丸焼きを (おんなから、たったはちぺんすでかいとった。そして、どこかへかくすと) 女から、たった八ペンスで買いとった。そして、どこかへ隠すと (またほうていへもどってきた。) また法廷へ戻ってきた。
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