めおと鎧7

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問題文

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(いえやすは、そのときごじゅうはっさいだった。)

家康は、そのとき五十八歳だった。

(こづくりのからだはろうねんのこえかたをみせはじめていたが、)

小づくりのからだは老年の肥えかたをみせはじめていたが、

(ひにやけたはだはつやつやとはっているし、)

日にやけた肌はつやつやと張っているし、

(しらがをまじえたあついまゆにも、ほそくてつぶらなそうがんにも、)

白毛をまじえた厚い眉にも、細くてつぶらな双眼にも、

(いくじゅうねんのそうせつをしのんでようやくえんじゅくのきょうにたっしたひとの、)

いく十年の霜雪をしのんでようやく円熟の境に達した人の、

(おおらかにおもおもしいふうかくがにじみでていた。)

おおらかに重々しい風格がにじみ出ていた。

(みっしょのないようはつたわっていないが、そのよくねん、)

密書の内容は伝わっていないが、その翌年、

(せきがはらかっせんというかたちでげんじつとなった)

関ヶ原合戦というかたちで現実となった

(そのきかくのいざないであることだけは、)

そのきかくの誘いであることだけは、

(たしかだった。いえやすはよみおわると、すぐに、)

たしかだった。家康は読みおわると、すぐに、

(しょくのひをうつしてそれをはいにした。)

燭の火をうつしてそれを灰にした。

(たんとうはよしみつのきゅうすんごぶ、みつなりがひぞうのしなとしてなだかいものである。)

短刀は吉光の九寸五分、三成が秘蔵の品として名だかいものである。

(いえやすはよくよくあらためたのち、)

家康はよくよくあらためたのち、

(それはおのれのふところにおさめた。)

それはおのれのふところにおさめた。

(「ゆきながどのから、なにかこうじょうはなかったか」)

「幸長どのから、なにか口上はなかったか」

(「なにもござりません」)

「なにもござりません」

(「そうか、さぞつかれたであろう。こよいはここへねてゆくがよい」)

「そうか、さぞつかれたであろう。今宵はここへ寝てゆくがよい」

(そういっていえやすはこじゅうをよび、)

そう云って家康は扈従をよび、

(まごべえにしょくじをあたえるようにめいじた。)

孫兵衛に食事を与えるように命じた。

(しゅびよくたいやくをはたしたまごべえは、)

しゅびよく大役をはたした孫兵衛は、

など

(せったいのさけにもこころよくよって、あたえられたしんじょにはいった。)

接待の酒にもこころよく酔って、与えられた寝所にはいった。

(そこまではりつめたきもちで、ひとすじにあやまりなく)

そこまで張りつめた気持で、ひとすじに誤りなく

(やりとおしてきたが、やくめをぶじにはたして、)

やりとおして来たが、やくめを無事にはたして、

(はりつめていたこころがゆるんだときに、)

はりつめていた心がゆるんだときに、

(そのときにかれの「かくご」がよろめきだした。)

そのときにかれの「覚悟」がよろめきだした。

(やはんにふとめざめたかれは、そのままねつかれぬままに)

夜半にふと眼ざめたかれは、そのまま寝つかれぬままに

(さてこれからどうするか、ということをかんがえた。)

さてこれからどうするか、ということを考えた。

(じぶのしょうのめつけのめをくらますためには、)

治部少輔のめつけの眼をくらますためには、

(いかなるほうほうをとってもよい、ごしゅくんはそういわれた。)

いかなる方法をとってもよい、ごしゅくんはそう云われた。

(またよきちろうをきったことは、じぶんとしては)

また与吉郎を斬ったことは、自分としては

(なすべきことをなしたといういみでくいはないけれども、)

為すべきことを為したという意味で悔いはないけれども、

(それではこのままやしきへかえれるかというぎもんがあった。)

それではこのまま屋敷へ帰れるかという疑問があった。

(よきちろうにはおとうとがいる。しんぞくもある。)

与吉郎には弟がいる。親族もある。

(かれらがだまって、まごべえのしたことをうけいれるはずはない。)

かれらが黙って、孫兵衛のしたことをうけいれる筈はない。

(ことによると、やごろうはもうおれのあとをおって)

ことによると、弥五郎はもうおれのあとを追って

(やしきをでているかもしれぬ。)

屋敷を出ているかもしれぬ。

(ぶべんしゃのやごろうは、おそらくはんときはんときも)

武弁者の弥五郎は、おそらく半刻はんときも

(あんかんとしてはいないだろう、やしきをでかけるかれの)

安閑としてはいないだろう、屋敷をでかけるかれの

(きおったかおつきが、まごべえにはみえるようにおもえた。)

気負った顔つきが、孫兵衛には見えるように思えた。

(これがあたりまえのはたしあいだったら、)

これがあたりまえのはたしあいだったら、

(よきちろうをうったそのばでかっぷくするか、そうでなければ)

与吉郎を討ったその場で割腹するか、そうでなければ

(おとうとやごろうをむかえてしょうぶしたであろう。しかしそれとこれとは)

弟弥五郎を迎えて勝負したであろう。しかしそれとこれとは

(じじょうがちがうのである。このうえやごろうをきるひつようは)

事情がちがうのである。このうえ弥五郎を斬る必要は

(すこしもないし、またよきちろうづれのいのちとじぶんを)

すこしもないし、また与吉郎づれの命と自分を

(ひきかえにするのもまっぴらだ。)

ひきかえにするのもまっぴらだ。

(ではいったいどうしたらよいのか。)

ではいったいどうしたらよいのか。

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