めおと鎧5

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(ふたつ、みっつ、なぐりつけ、そこへぐいぐいねじふせたとおもうと)

二つ、三つ、なぐりつけ、そこへぐいぐい捻伏せたと思うと

(ゆきながはとつぜんいっぷうのしょじょうとたんとうをまごべえのてにつかませ、)

幸長はとつぜん一封の書状と短刀を孫兵衛の手につかませ、

(「これをとくがわどのまでおとどけもうせ」)

「これを徳川殿までお届け申せ」

(とささやくようなこえでいった。)

と囁くようなこえで云った。

(「やしきまわりはじぶのしょうのめがある、いかなるほうほうでもよい、きづかれぬように)

「屋敷まわりは治部少輔の眼がある、いかなる方法でもよい、気付かれぬように

(ぬけだしてゆけ」こえはひくかったがそのないようのじゅうだいさはかみなりのようにまごべえの)

ぬけだしてゆけ」声は低かったがその内容の重大さは雷のように孫兵衛の

(むねをうった。はっとさげるあたまを、ゆきながはさらにひとつうち)

胸をうった。はっとさげる頭を、幸長はさらに一つ打ち

(「ふこころえものめ、このたびはゆるす、いごはきっともうしつけるぞ」)

「不心得者め、このたびはゆるす、以後はきっと申付けるぞ」

(そうどなりつけると、おおまたにごてんのほうへとさっていった。)

そうどなりつけると、大股に御殿のほうへと去っていった。

(まごべえはじめんにうちふしたまま、)

孫兵衛は地面にうち伏したまま、

(すばやくふうしょとたんとうをふところへねじこんだ。)

すばやく封書と短刀をふところへねじこんだ。

(しょじょうのうらにはかずしげ(みつなり)とはっきりかいてあった。)

書状の裏にはかずしげ(三成)とはっきり書いてあった。

(みっしょである。かしんにもしれぬように)

密書である。家臣にも知れぬように

(わざわざそのようなしかたでまごべえにたくさなければならぬほど、)

わざわざそのような仕方で孫兵衛に托さなければならぬほど、

(それはじゅうだいなみっしょにちがいない。)

それは重大な密書にちがいない。

(したがって、やしきまわりにじぶのしょうのきびしいみはりがあることも、)

したがって、屋敷まわりに治部少輔のきびしい見張りがあることも、

(じじつだろう。いまこのやしきをでるものは、)

事実だろう。いまこの屋敷を出る者は、

(そのめをのがれることはできない。)

その眼をのがれることはできない。

(どうしたらよいか、まごべえはしずかにたちあがり、)

どうしたらよいか、孫兵衛はしずかに立ちあがり、

(いふくのつちをはらいながらとおざぶらいのほうへもどった。)

衣服の土を払いながら遠侍のほうへもどった。

など

(そしておこうえんへあがろうとしたとき、)

そしてお広縁へあがろうとしたとき、

(きくおかよきちろうとばったりであった。)

菊岡与吉郎とばったりであった。

(かれはどうやくのものよんにんといっしょだった。)

かれは同役の者四人といっしょだった。

(まごべえのまゆが、とつぜんびくっとひきつった。)

孫兵衛の眉が、とつぜんびくっとひきつった。

(「よきちろうまとうぞ」かれはそうさけびながらとびあがり、)

「与吉郎待とうぞ」かれはそう叫びながらとびあがり、

(よきちろうのまえにたちせきふさがった。)

与吉郎の前にたち塞ふさがった。

(そのようすがあまりせっぱくしていたし、)

そのようすがあまり切迫していたし、

(じぶんにうしろめたくおもいあたることがあったのだろう。)

自分にうしろめたく思い当ることがあったのだろう。

(よきちろうはみをひきながらはんしゃてきにかたなのつかつかへてをかけた。)

与吉郎は身をひきながら反射的に刀の柄つかへ手をかけた。

(しかしまごべえはそれよりはやくとびこむと、)

しかし孫兵衛はそれより早くとびこむと、

(「みれんもの、にわへでろ」とくみつき、おのれもろとも)

「みれん者、庭へでろ」と組みつき、おのれもろとも

(だっとえんからしたへころげおちた。)

だっと縁から下へころげ落ちた。

(「こうだなにをする」「あぶない」よんにんのつれが、)

「香田なにをする」「あぶない」四人のつれが、

(びっくりしてこえをかけたとき、はねおきたよきちろうが)

びっくりして声をかけたとき、はね起きた与吉郎が

(ぬきうちにどうへきりつけた、まごべえはにどまで)

ぬきうちに胴へ斬りつけた、孫兵衛は二度まで

(そのきっさきをくぐった、そしてからだがひょいとちぢみ、)

その切尖をくぐった、そしてからだがひょいと縮み、

(つぶてのようにちょうやくしたとみると)

つぶてのように跳躍したとみると

(よきちろうはひばらからぎゃくにかたのあたりまできりはなされ、)

与吉郎は脾腹から逆に肩のあたりまで斬り放され、

(かたなをてからとりおとしながらみをねじるようにてんとうした)

刀を手からとり落しながら身をねじるように顛倒した。

(「おぼえたか!」まごべえのさけびごえは、)

「おぼえたか!」孫兵衛の叫びごえは、

(ひとをよびたてるよんにんのこえにけされた、)

人を呼びたてる四人の声に消された、

(「けんかだ」「であえ」というよんにんのこえにつれて、)

「喧嘩だ」「出会え」という四人のこえにつれて、

(ろうかのあちらこちらからひとがかけつけてきた。)

廊下のあちらこちらから人が駈けつけて来た。

(まごべえはちょっとゆきばにまよっているふうだったが、)

孫兵衛はちょっとゆき場に迷っている風だったが、

(かけつけてきたひとびとがにわへとびおりるのといっしょに、)

駈けつけて来た人々が庭へとびおりるのといっしょに、

(けっとうをさげたままはしりだし、)

血刀をさげたまま走りだし、

(そのままやしきのもんからそとへとびだしていった。)

そのまま屋敷の門からそとへとびだしていった。

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