未 本編 -15-
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問題文
(ほかのきゃくがねしずまってから、これまでにかんぬしのれいのもくげきがおおかったばしょを)
他の客が寝静まってから、これまでに神主の霊の目撃が多かった場所を
(ちゅうしんにみはるというのだ。)
中心に見張ると言うのだ。
(「もしそれまでにでたら、とにかくすぐにわたしにしらせてください」)
「もしそれまでに出たら、とにかくすぐにわたしに知らせてください」
(おかみは、「じゅうぎょういんもすべてしょうちしておりますので、)
女将は、「従業員もすべて承知しておりますので、
(よろしくおねがいします」といってあたまをさげた。)
よろしくお願いします」と言って頭を下げた。
(おちゃをいれなおしてからおかみがへやをでていったあとで、)
お茶をいれなおしてから女将が部屋を出て行った後で、
(ししょうはにやりとわらっていった。)
師匠はニヤリと笑って言った。
(「こいつは、かなへびちゃんだぜ」)
「こいつは、カナヘビちゃんだぜ」
(かなへび?)
カナヘビ?
(なぜここでかなへびがでてくるのか。)
なぜここでカナヘビが出てくるのか。
(そのいみをきいても、はぐらかすように「ふろふろ、ふろにはいろう」と)
その意味を訊いても、はぐらかすように「風呂風呂、風呂に入ろう」と
(てをたたくだけだった。)
手を叩くだけだった。
(「ねえ、あれかれし?」)
「ねえ、あれ彼氏?」
(「ちがうよ」)
「違うよ」
(「うそぉ」)
「嘘ぉ」
(「まじで」)
「まじで」
(・・・・・)
・・・・・
(そんなきいろいこえがあたまのむこうからきこえてくる。)
そんな黄色い声が頭の向こうから聞こえて来る。
(ろてんぶろだった。)
露天風呂だった。
(かずおのいうとおり、ひろびろとしてなかなかよいゆだ。)
和雄の言うとおり、広々としてなかなか良い湯だ。
(そんなところをひとりでせんきょするのはなんともいえないよいきぶんだった。)
そんな所を一人で占拠するのはなんとも言えない良い気分だった。
(いわにあたまをもたせかけてそらをみあげていると、ざぁー、とからだをながすおとが)
岩に頭をもたせ掛けて空を見上げていると、ざぁー、と身体を流す音が
(とおくからかすかにきこえる。あたまのさきにはたけをくみあわせたかべがあり、)
遠くから微かに聞こえる。頭の先には竹を組み合わせた壁があり、
(そのむこうにはじょせいようのろてんぶろがあるはずだった。)
その向こうには女性用の露天風呂があるはずだった。
(ゆきがよぞらにあがっていき、すんだくうきのはてにあるほしをゆらゆらとかくしていく。)
湯気が夜空に上っていき、澄んだ空気の果てにある星をゆらゆらと隠していく。
(さむぞらのした、かおはつめたいのに、からだだけはあたたかい。いつもはしゃわーばかりで)
寒空の下、顔は冷たいのに、身体だけは温かい。いつもはシャワーばかりで
(おゆにつかるというしゅうかんがないぼくだったが、こういうのもたまにはよいものだ。)
お湯につかるという習慣がない僕だったが、こういうのもたまには良いものだ。
(「ねえ、ほんとにかれしじゃないの」)
「ねえ、ほんとに彼氏じゃないの」
(「ほんとだよ」)
「ほんとだよ」
(しょうきょくてきなみえをはったぼくとはおおちがいだ。)
消極的な見栄を張った僕とは大違いだ。
(ずるずるとせなかをすべらせ、そのままあたまのさきまでゆのなかにしずみこんだ。)
ズルズルと背中を滑らせ、そのまま頭の先まで湯の中に沈み込んだ。
(あたまのしんまでねつがはいりこんでくる。)
頭の芯まで熱が入り込んでくる。
(「かれしじゃないのに、りょこうしてんの?」「なんかそっちのほうがやらしいかんじ」)
「彼氏じゃないのに、旅行してんの?」「なんかそっちの方がやらしい感じ」
(などというこえがみずをとおしてきこえていくる。)
などという声が水を通して聞こえていくる。
(ししょうはさっそくolよんにんぐみをなかよくなったようだ。)
師匠はさっそくOL四人組を仲良くなったようだ。
(ししょうはいまにじゅうよんさいのはずだから、おなじとしくらいか。)
師匠は今二十四歳のはずだから、同じ年くらいか。
(そうだよな。ふつうならはたらいているねんれいなのだ。)
そうだよな。普通なら働いている年齢なのだ。
(それどころかこどもがいてもおかしくない。)
それどころか子どもがいてもおかしくない。
(ゆのなかにしずみながら、ひとりでそんなことをかんがえている。)
湯の中に沈みながら、一人でそんなことを考えている。
(ししょうからはあまり、おとなのおんな、というかんじをうけない。)
師匠からはあまり、大人の女、という感じを受けない。
(こどもがそのままおおきくなったようだ。)
子どもがそのまま大きくなったようだ。
(なんだっけ。せいぶつがくじょうで、こういうのを。)
なんだっけ。生物学上で、こういうのを。
(うーぱーるーぱーとかさんしょううおがそうだよな・・・・・)
ウーパールーパーとかサンショウウオがそうだよな・・・・・
(おもいだした。ねおてにーだ。ようけいせいじゅく、だったっけ。)
思い出した。ネオテニーだ。幼形成熟、だったっけ。
(まあししょうのばあい、あくまでそのせいかくじょうのはなしだが。)
まあ師匠の場合、あくまでその性格上の話だが。
(あたまのなかでさんしょううおのすがたがぐねぐねとへんけいし)
頭の中でサンショウウオの姿がぐねぐねと変形し
(ずかんでみたかなへびのすがたにかわった。)
図鑑で見たカナヘビの姿に変わった。
(こいつは、かなへびちゃんだぜ。)
こいつは、カナヘビちゃんだぜ。
(ゆからかおをだして、ししょうのことばをはんすうする。)
湯から顔を出して、師匠の言葉を反芻する。
(おかみがみたというだいじゃはなんだったのだろう。あのえだがわには)
女将が見たという大蛇はなんだったのだろう。あの枝川には
(そういう「ぬし」のいいつたえはとくになかったそうだ。ではいったい?)
そういう「主」の言い伝えは特になかったそうだ。では一体?
(おおあめ。どしゃくずれ。だいじゃ。)
大雨。土砂崩れ。大蛇。
(あのうらやまでししょうがみつけたいしにきざまれていたふしぎなあめかんむりのかんじと)
あの裏山で師匠が見つけた石に刻まれていた不思議な雨冠の漢字と
(なにかかんけいがあるのだろうか。)
なにか関係があるのだろうか。
(そしてそれはこのかんぬしのれいがでるというじけんとかんけいがあるのだろうか。)
そしてそれはこの神主の霊が出るという事件と関係があるのだろうか。
(しんけんにかんがえをめぐらせていると、またおんなゆのほうからきょうこえがあがった。)
真剣に考えを巡らせていると、また女湯の方からきょうせいが上がった。