風の行方 -8-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 Jyo 6138 A++ 6.3 97.2% 506.3 3197 89 64 2026/02/03

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問題文

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(それからふたりで、まちなかをひたすらかんさつしてまわった。) それから二人で、街なかをひたすら観察して回った。 (だが、そのゆくさきざきでかぜはふき、そのかぜのなかにはかみのけがまざっていた。) だが、その行く先々で風は吹き、その風の中には髪の毛が混ざっていた。 (ぼくはじてんしゃをこぎながら、こんらんしていた。いまおこっていることが) 僕は自転車をこぎながら、混乱していた。今起こっていることが (しんじられなかった。げんじつかんがない。いつのまにかべつのせかいにあしをふみいれた) 信じられなかった。現実感がない。いつの間にか別の世界に足を踏み入れた (ようだった。かぜはこうはんいでむきどうにふきあれ、しないのちゅうしんぶのいたるところで) ようだった。風は広範囲で無軌道に吹き荒れ、市内の中心部のいたるところで (かみのけがいっしょにながされているのをかくにんした。) 髪の毛が一緒に流されているのを確認した。 (めのまえでかぜにあおられ、かみのけをてでおさるじょせいをみて、ししょうはいった。) 目の前で風に煽られ、髪の毛を手でおさる女性を見て、師匠は言った。 (「このかみのけ、どこからともなくとんできてるわけじゃないな」) 「この髪の毛、どこからともなく飛んできてるわけじゃないな」 (つうこうにんのかみがきょうふうになでられ、) 通行人の髪が強風に撫でられ、 (そしてぬけおちたかみがそのままかぜにとらわれているのだ。) そして抜け落ちた髪がそのまま風に捕らわれているのだ。 (ししょうはかぶっていたきゃっぷのなかにじぶんのかみのけをおしこみ、) 師匠は被っていたキャップの中に自分の髪の毛を押し込み、 (ぼくにはちかくのふるぎやできせつはずれのにっとぼうをかってくれた。) 僕には近くの古着屋で季節外れのニット帽を買ってくれた。 (もちろんりょうしゅうしょをもらっていたが。) もちろん領収書をもらっていたが。 (ししょうにあたまからすっぽりとにっとぼうをかぶせられ、「あついです」ともんくをたれると) 師匠に頭からすっぽりとニット帽を被せられ、「暑いです」と文句を垂れると (「もうおそいかもしれんがな、がんめんをくだかれたくなかったらがまんしろ」) 「もう遅いかも知れんがな、顔面を砕かれたくなかったら我慢しろ」 (といわれた。) と言われた。 (がんめんを?) 顔面を? (まるであのにんぎょうだ。ぞくぞくしながらされるがままになる。) まるであの人形だ。ゾクゾクしながらされるがままになる。 (「よし」とぼくのあたまのてっぺんをたたくと、ししょうはかおをひきしめた。) 「よし」と僕の頭のてっぺんを叩くと、師匠は顔を引き締めた。 (「おうぞ」) 「追うぞ」
など
(「え?」とききかえすと、「きまってるだろ、かみを、あつめてるやつだ」) 「え?」と訊き返すと、「決まってるだろ、髪を、集めてるヤツだ」 (なにをいっているんだ。) 何を言っているんだ。 (あきれたようにししょうのかおをみながら、それでもぼくはじぶんのこころのおくそこでは) 呆れたように師匠の顔を見ながら、それでも僕は自分の心の奥底では (かのじょがそういいだすのをまっていたことにきがついていた。) 彼女がそう言い出すのを待っていたことに気がついていた。 (「そがですか」) 「曽我ですか」 (「たいみんぐがあいすぎている。わたしのかんでも、これはぐうぜんじゃない」) 「タイミングが合いすぎている。わたしの勘でも、これは偶然じゃない」 (おもいびとであるうきたさんのかみをてにはいれそこねたおとこが、だまされたことにいかりくるい、) 想い人である浮田さんの髪を手に入れ損ねた男が、騙されたことに怒り狂い、 (むさべつにひとのかみのけをかきあつめている、そんなきょうきのすがたがあたまにうかんだ。) 無差別に人の髪の毛をかき集めている、そんな狂気の姿が頭に浮かんだ。 (うきたさんはいえにとじこもっていてせいかいだったのだろう。) 浮田さんは家に閉じこもっていて正解だったのだろう。 (しかし、うしのこくまいりだけならまだしも、こんなありえないすさまじいげんしょうを、) しかし、丑の刻参りだけならまだしも、こんなありえない凄まじい現象を、 (ただのだいがくせいがおこしているというのか。) ただの大学生が起こしているというのか。 (「いや、わからん。そがはうきたのかみのけをてにはいれたが、) 「いや、分からん。曽我は浮田の髪の毛を手に入れたが、 (それがだれかほかのやつのてにわたったかのうせいはある」) それが誰か他のやつの手に渡った可能性はある」 (「ほかのやつって?」) 「他のやつって?」 (「・・・・・」) 「・・・・・」 (ししょうはすこしかんがえるそぶりをみせて、しんちょうなくちょうでこたえた。) 師匠は少し考えるそぶりを見せて、慎重な口調で答えた。 (「どうもこのあいだから、こんなことがおおいきがする」) 「どうもこのあいだから、こんなことが多い気がする」 (このあいだって。) このあいだって。 (くちのなかでそのことばをはんすうし、じぶんでもおもいあたる。) 口の中でその言葉を反芻し、自分でも思い当たる。 (ししょうがすこしまえにたいけんしたという、まちじゅうをまきこんだいへんのことだ。) 師匠が少し前に体験したという、街中を巻き込んだ異変のことだ。 (ぼくもみょうなじけんがつづくなあ、とおもってはいたがそのしんそうにたどりつこうなどとは) 僕も妙な事件が続くなあ、と思ってはいたがその真相にたどり着こうなどとは (かんがえつかなかった。そのあともししょうにはそのことでしつこくなじられていた。) 考え付かなかった。その後も師匠にはそのことでしつこく詰められていた。 (こういうだいきぼなかいげんしょうがたてつづくことに、) こういう大規模な怪現象が立て続くことに、 (ししょうなりのけいかいかんをおぼえているらしい。そのかいげんしょうのべーるのむこうに、) 師匠なりの警戒感を覚えているらしい。その怪現象のベールの向こうに、 (なにかおそろしいもののかげをかんじとっているかのようだった。) なにか恐ろしいものの影を感じ取っているかのようだった。 (「どうやっておうんです」) 「どうやって追うんです」 (すこしうわずりながらぼくがそうとうと、ししょうはじぶんのひとさしゆびをひとなめし、) 少し上ずりながら僕がそう問うと、師匠は自分の人差し指をひと舐めし、 (つばのついたそのゆびさきをかぜにさらした。かざむきをしるためにするどうさだ。) 唾のついたその指先を風に晒した。風向きを知るためにする動作だ。 (「かぜをおう」) 「風を追う」 (かぜのひとびとのかみのけをまきこみながら、まちじゅうをかけまわり、) 風の人々の髪の毛を巻き込みながら、街中を駆け回り、 (そしてそのいきつくさきがどこかにあるといっているのだ。) そしてその行き着く先がどこかにあると言っているのだ。 (「でもこんなにばらばらにふいてるのに」) 「でもこんなにバラバラに吹いてるのに」 (「ばらばらじゃない。たしかにとうざいなんぼく、どのほうがくからもかぜがふいている。) 「バラバラじゃない。確かに東西南北、どの方角からも風が吹いている。 (でもひとつのばしょではかならずおなじむきにかぜがふいている」) でも一つの場所では必ず同じ向きに風が吹いている」 (ししょうのそのことばに、おもわず「あっ」とおどろかされた。) 師匠のその言葉に、思わず「あっ」と驚かされた。 (いわれてみるとたしかにそうだったかもしれない。) 言われてみると確かにそうだったかも知れない。 (「めいろみたいにいりくんでいても、めにみえないかぜのみちがあるんだ」) 「迷路みたいに入り組んでいても、目に見えない風の道があるんだ」 (そうじゃなきゃ、かみをあつめられない。) そうじゃなきゃ、髪を集められない。 (そういってししょうはぼくのじてんしゃのこうりんにあしをのせ、いきさきをしめした。) そう言って支障は僕の自転車の後輪に足を乗せ、行き先を示した。 (つまり、かぜがむかうほうこうだ。) つまり、風が向かう方向だ。 (ぞくぞくとせすじになにかがはしった。きょうふではない。かんしんでもない。) ゾクゾクと背筋になにかが走った。恐怖ではない。感心でもない。 (いけいということばがちかいのか。) 畏敬という言葉が近いのか。 (このひとは、こんなわけのわからないできごとのねたどりついてしまうのだろうか。) この人は、こんなわけのわからない出来事の根たどり着いてしまうのだろうか。 (ちからづよくかたをつかまれ、「さあいけ」ということばがぼくのせなかをたたいた。) 力強く肩を掴まれ、「さあ行け」という言葉が僕の背中を叩いた。
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