心霊写真 -2-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7851 | 神 | 7.9 | 98.6% | 325.4 | 2590 | 35 | 61 | 2026/07/01 |
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問題文
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(「しょちょうはるすをしていますが」)
「所長は留守をしていますが」
(ぼくがとっさにそうこたえると、おとこはゆだんのないうごきでしつないにいりこみ、)
僕がとっさにそう答えると、男は油断のない動きで室内に入り込み、
(ですくのかげやらいきゃくようのぱーてぃしょんのむこうにだれもいないことをかくにんすると、)
デスクの影や来客用のパーティションの向こうに誰もいないことを確認すると、
(それまでこきざみだったいきをようやくひとつにまとめて、)
それまで小刻みだった息をようやくひとつにまとめて、
(「そうか、るすか」といった。らくたんしたようすだった。)
「そうか、留守か」と言った。落胆した様子だった。
(「しょちょうのともだちか。それともおがわちょうさじむしょへのようか」)
「所長の友だちか。それとも小川調査事務所への用か」
(かなこさんがざっしをおきながらそうたずねると、)
加奈子さんが雑誌を置きながらそう訊ねると、
(おとこは「まぶしいな。ぶらいんどをしめてくれ」といって、かおをしかめてみせた。)
男は「まぶしいな。ブラインドを閉めてくれ」と言って、顔をしかめて見せた。
(いったいどこのちていからきたにんげんなのかわからないが、)
いったいどこの地底から来た人間なのか分からないが、
(とりあえずいうとおりにすると、すこしうすぐらくなったしつないで)
とりあえず言うとおりにすると、少し薄暗くなった室内で
(おとこはくるしそうにかおをゆがめながら、「おがわさんに、たむらが、)
男は苦しそうに顔を歪めながら、「小川さんに、田村が、
(いやたむらのおとうとがあいたがっているとつたえてくれ」といった。)
いや田村の弟が会いたがっていると伝えてくれ」と言った。
(そうして、「ほかのだれにもこのことをいうな。わかったな」とつけくわえた。)
そうして、「他の誰にもこのことを言うな。分かったな」と付け加えた。
(よゆうのないくちぶりだった。)
余裕のない口ぶりだった。
(「しょちょうはどこにいけばあんたにあえるんだ」とかなこさんがきくと、)
「所長はどこに行けばあんたに会えるんだ」と加奈子さんが訊くと、
(おとこはかおをこわばらせながら「いきつけのばーでもつくっておけばよかったな」)
男は顔を強張らせながら「いきつけのバーでもつくっておけばよかったな」
(といったあと、もごもごとくちごもり、「やっぱりわすれてくれ。)
と言ったあと、もごもごと口ごもり、「やっぱり忘れてくれ。
(さっきいったことも、ぜんぶだ。おれはここにこなかった」とせんげんした。)
さっき言ったことも、全部だ。俺はここに来なかった」と宣言した。
(そうしてはいってきたばかりのどあのほうへむかおうとする。)
そうして入ってきたばかりのドアの方へ向かおうとする。
(あしをひきずっているようにみえた。そのくつのさきが、あかいせんをひいている。)
足を引きずっているように見えた。その靴の先が、赤い線を引いている。
など
(ちだ。)
血だ。
(そうおもったしゅんかん、おとこはつんのめるようにしてころがった。)
そう思った瞬間、男はつんのめるようにして転がった。
(そうなるかのうせいのあるでんきこーどはまだそのさきだというのに。)
そうなる可能性のある電気コードはまだその先だというのに。
(どすん、というおとがする。)
どすん、という音がする。
(「おい、だいじょうぶか」)
「おい、大丈夫か」
(ししょうがかけよる。)
師匠が駆け寄る。
(だきおこそうとすると、おとこはうめきごえをあげた。)
抱き起こそうとすると、男はうめき声を上げた。
(ししょうはこーとのすそをつかんでひろげた。)
師匠はコートの裾をつかんで広げた。
(しゃつのわきばらのあたりにきじがきれたかしょがあり、)
シャツのわき腹のあたりに生地が切れた箇所があり、
(そこからちがにじみでていた。)
そこから血がにじみ出ていた。
(「きゅうきゅうしゃ」)
「救急車」
(ししょうがたんてきにぼくにしじをとばす。)
師匠が端的に僕に指示を飛ばす。
(すぐにですくのうえのでんわにてをのばそうとしたが、)
すぐにデスクの上の電話に手を伸ばそうとしたが、
(「まて」というするどいこえにとめられた。)
「待て」という鋭い声に止められた。
(「まってくれ」)
「待ってくれ」
(おとこはこーどできずぐちをかくしながらいう。)
男はコードで傷口を隠しながら言う。
(「きゅうきゅうしゃはだめだ」)
「救急車はだめだ」
(「だめなきゅうきゅうしゃじゃないのをよこすよういってやるよ」)
「だめな救急車じゃないのを寄越すよう言ってやるよ」
(「たのむ」)
「頼む」
(ちのけがうせてふるえているくちびるで、おとこはそうこんがんした。)
血の気が失せて震えている唇で、男はそう懇願した。
(ししょうがへんじのかわりに、)
師匠が返事の代わりに、
(「しょちょうのともだちなのか、きゃくなのか」とさっきとおなじことをたずねた。)
「所長の友だちなのか、客なのか」とさっきと同じことを訪ねた。
(「めいわくをかけてばかりだ。どっちでもない」)
「迷惑をかけてばかりだ。どっちでもない」
(おとこはたちあがろうとした。)
男は立ちあがろうとした。
(「いま、そとへでるといちかいまでころがりおちるぞ」)
「今、外へ出ると一階まで転がり落ちるぞ」
(ししょうはそういってぼくにめくばせをし、おとこをおしとどめるやくをばとんたっちするや、)
師匠はそう言って僕に目配せをし、男をおしとどめる役をバトンタッチするや、
(でくすのじゅわきをとりあげた。)
デクスの受話器を取り上げた。
(1・1・9)
1・1・9
(ではなかった。)
ではなかった。
(もっとながい。しないきょくばんからはじまっている。)
もっと長い。市内局番から始まっている。
(あいてがでんわにでたとたん、ししょうはいきなりこわいろをかえてしゃべりはじめた。)
相手が電話に出た途端、師匠はいきなり声色を変えて喋り始めた。
(「わたし。ごめん。へたうった。はらのあたり、ないふでさされた。)
「わたし。ごめん。ヘタうった。腹のあたり、ナイフで刺された。
(ぬけてる。うん。はやくきて。おねがい。)
抜けてる。うん。早く来て。お願い。
(きゅうきゅうしゃはだめ。ぜったい。ともだちがまちがってさしたから、じけんにしたくない。)
救急車はだめ。絶対。友だちが間違って刺したから、事件にしたくない。
(ぼすとんのうえのじむしょ」)
ボストンの上の事務所」
(じゅわきをおいたしゅんかん、さっきまでのくるしそうなこえとはうってかわって)
受話器を置いた瞬間、さっきまでの苦しそうな声とは打って変わって
(あっけらかんとしたこえでいう。)
あっけらかんとした声で言う。
(「きょねん、しないのきゅうきゅうしゃのへいきんとうちゃくじかんはななふんはんだったってよ。)
「去年、市内の救急車の平均到着時間は七分半だったってよ。
(さあどのぐらいでくるでしょうか」)
さあどのぐらいで来るでしょうか」
(おとこはそのししょうのようすをみながら、ほっとしたようにちからをぬいた。)
男はその師匠の様子を見ながら、ほっとしたように力を抜いた。
(そのしゅんかんにまたいたみにおそわれたのか、かおをしかめる。)
その瞬間にまた痛みに襲われたのか、顔をしかめる。