心霊写真 -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 berry 7954 8.0 98.2% 318.3 2577 45 56 2026/07/01

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問題文

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(ぼくはらいきゃくようのそふぁにおとこのからだをよこたえ、) 僕は来客用のソファに男の身体を横たえ、 (ししょうのしじでそのままゆをわかしにかかる。) 師匠の指示でそのまま湯を沸かしにかかる。 (ししょうのほうはぞうきんをかたてにどあのそとにでて、ゆかをふいている。) 師匠の方は雑巾を片手にドアの外に出て、床を拭いている。 (どうやらおとこのちをぬきとっているらしい。) どうやら男の血を抜き取っているらしい。 (そのままかまでおりて、もどってきたとき、) そのまま下まで降りて、戻ってきた時、 (どうじにかいだんをかけあがってくるあしおとがきこえた。) 同時に階段を駆け上がってくる足音が聞こえた。 (「ちょっと、だいじょうぶなの」) 「ちょっと、大丈夫なの」 (おおきなきゅうきゅうはこをかかえたじょせいがじむしょのなかにとびこんできた。) 大きな救急箱を抱えた女性が事務所の中に飛び込んできた。 (ねんれいはごじゅっさいくらい。かたといわず、ぜんしんでいきをしている。) 年齢は五十歳くらい。肩と言わず、全身で息をしている。 (そのよこでししょうが、ぱん、とかおのまえでてのひらをうち、「ごめん」とあやまった。) その横で師匠が、パン、と顔の前で手のひらを打ち、「ごめん」と誤った。 (じむしょのとけいのはりをみると、でんわをきってからじゅっぷんあまりがたっていた。) 事務所の時計の針を見ると、電話を切ってから十分あまりが経っていた。 (「ほんとごめん、って」) 「ほんとごめん、って」 (「はなしかけないで。てもとがくるうから」) 「話しかけないで。手元が狂うから」 (じょせいはあやまる、というよりなかばじゃましているししょうをあしらいながら、) 女性は謝る、というより半ば邪魔している師匠をあしらいながら、 (てきぱきとしたうごきでおとこのきずぐちをしょちしていった。) テキパキとした動きで男の傷口を処置していった。 (あとできいたところによると、のむらさん、というなまえのかんごふらしい。) 後で聞いたところによると、野村さん、という名前の看護婦らしい。 (いぜんあるびょういんににゅういんしていたししょうのかんごをしていらいのくされえんで、) 以前ある病院に入院していた師匠の看護をして以来の腐れ縁で、 (いまでもこうりゅうがつづいているそうだ。) 今でも交流が続いているそうだ。 (いつもむちゃばかりする、じぶんのむすめのようなとしのししょうをしんぱいして) いつも無茶ばかりする、自分の娘のような年の師匠を心配して (あれこれとせわをやいてくれるのを、) あれこれと世話を焼いてくれるのを、
など
(とうのししょうのほうはこうかつにりようしているようだった。) 当の師匠の方は狡猾に利用しているようだった。 (やきんあけのところをたたきおこされたことにめをつぶるとしても、) 夜勤明けのところを叩き起こされたことに目をつぶるとしても、 (こんかいのできごとはさすがにめいわくのたどをこえていたのか、) 今回の出来事はさすがに迷惑の度を超えていたのか、 (まっさおなかおをして、それでもするべきことはしてくれた。) 真っ青な顔をして、それでもするべきことはしてくれた。 (おとこもむごんでされるがままになっている。) 男も無言でされるがままになっている。 (おうきゅうしょちをおえ、かたをいからせながらのむらさんはたちあがった。) 応急処置を終え、肩をいからせながら野村さんは立ち上がった。 (なにかせつめいをしようとするししょうのくちをふさぐようにしてまくしたてる。) なにか説明をしようとする師匠の口をふさぐようにして捲し立てる。 (「なにもききたくない。どうせろくでもないことにきまってるから!) 「なにも聞きたくない。どうせろくでもないことに決まってるから! (きずはふかくない。けっかんをそれててしゅっけつもおおくない。) 傷は深くない。血管をそれてて出血も多くない。 (このていどでひんけつになるなんて、ふだんからえいようがたりてないしょうこ!) この程度で貧血になるなんて、普段から栄養が足りてない証拠! (あとねぶそくならちゃんとねなさい。いじょう!」) あと寝不足ならちゃんと寝なさい。以上!」 (きゅうきゅうはこをらんぼうにもちあげて、のむらさんはあっというまもなくどのほうへむかった。) 救急箱を乱暴に持ち上げて、野村さんはあっという間もなくどの方へ向かった。 (そしてくるりとふりかえると、) そしてくるりと振り返ると、 (「そのきずはほうごうがいるから、なるべくはやくせいきのてじゅんでいしゃにかかりなさい。) 「その傷は縫合がいるから、なるべく早く正規の手順で医者に掛かりなさい。 (あと、わたしはここにこなかった!いいわね」) あと、私はここに来なかった!いいわね」 (といってから、でていった。) と言ってから、出ていった。 (のむらかんごふがさっていったじむしょのどあをみつめながら、) 野村看護婦が去って行った事務所のドアを見つめながら、 (ししょうはくしょうしていった。) 師匠は苦笑して言った。 (「やたらとひとがここにこなかったことになるな」) 「やたらと人がここに来なかったことになるな」 (そうしてはらにほうたいをまかれたおとこをみる。) そうして腹に包帯を巻かれた男を見る。 (おとこのかおはうっすらとぶしょうひげがはえ、めもとにはくまがあった。) 男の顔はうっすらと無精ひげが生え、目元にはクマがあった。 (はらのきずがなくてもたおれそうなほどひろうしているようにみえた。) 腹の傷がなくても倒れそうなほど疲労しているように見えた。 (それでもかおをあげ、ぼくらのほうをみながらくちをひらいた。) それでも顔を上げ、僕らの方を見ながら口を開いた。 (「おがわさんのところのちょうさいんか」) 「小川さんのところの調査員か」 (「ばいとだよ。こいつはそのじょしゅ」) 「バイトだよ。こいつはその助手」 (「そうか」) 「そうか」 (そふぁにからだをよこたえたまま、おとこはてんじょうをあおいだ。) ソファに身体を横たえたまま、男は天井を仰いだ。 (「かねじゃなく、ひとをつかえるやつは、いいたんていだ」) 「金じゃなく、人を使えるやつは、いい探偵だ」 (ぼそりとそういうのをむしして、ししょうはおとこをきつもんする。) ぼそりとそう言うのを無視して、師匠は男を詰問する。 (「あんたしょちょうのじょうほうやか」) 「あんた所長の情報屋か」 (それをきいて、くっくっく、とおとこはわらう。) それを聞いて、くっくっく、と男は笑う。 (「るぽらいたーだ。ばいぶんやといってもらってもいい」) 「ルポライターだ。売文屋と言ってもらってもいい」 (「ようするにじょうほうやだろう。しょちょうにようなら、でなおしたらそうだ。) 「ようするに情報屋だろう。所長に用なら、出直したらそうだ。 (とっととびょういんへいけ」) とっとと病院へ行け」 (「おがわさんにはせわになったよ。いや、めいわくのかけどおしだった」) 「小川さんには世話になったよ。いや、迷惑のかけどおしだった」 (「めいわくだとおもってるなら、もうでてってくれないか」) 「迷惑だと思ってるなら、もう出てってくれないか」
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