心霊写真 -42-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7866 | 神 | 7.9 | 98.9% | 352.0 | 2799 | 30 | 59 | 2026/08/19 |
| 2 | subaru | 7849 | 神 | 8.1 | 96.6% | 345.9 | 2812 | 97 | 59 | 2026/08/19 |
| 3 | HAKU | 7704 | 神 | 7.9 | 96.9% | 358.5 | 2851 | 89 | 59 | 2026/08/19 |
| 4 | だったかもしれな | 7664 | 神 | 7.8 | 97.6% | 368.2 | 2892 | 70 | 59 | 2026/08/25 |
| 5 | kaa | 7344 | 光 | 7.5 | 96.8% | 375.0 | 2847 | 93 | 59 | 2026/08/19 |
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(よこはまにあったすなみけのべっていのいっしつで、「ろうじん」をまんなかに、)
横浜にあった角南家の別邸の一室で、「老人」を真ん中に、
(そのかれをしたうようにしてじゅうにんのりくぐんせいねんしょうこうたちがしゅういにすわるしゃしん。)
その彼を慕うようにして十人の陸軍青年将校たちが周囲に座る写真。
(じょうほうやのたむらが「きんだいにほんしのやみ」としょうした、あってはならないはずのいちまい。)
情報屋の田村が「近代日本史の闇」と称した、あってはならないはずの一枚。
(そのしゃしんに、あきちゃんはゆっくりとてをのばしていく。)
その写真に、アキちゃんはゆっくりと手を伸ばしていく。
(ぼくのしんぞうはいやなおとをたてている。いっぽもうごいていないのに、こきゅうがみだれる。)
僕の心臓は嫌な音を立てている。一歩も動いていないのに、呼吸が乱れる。
(なにか、おそろしいことがおきるよかんにおそわれて。)
なにか、恐ろしいことが起きる予感に襲われて。
(ろうそくのあかりがてのひらにさえぎられ、そしてまたしゃしんがぼくらのがんかにあらわれる。)
蝋燭の明かりが手のひらに遮られ、そしてまた写真が僕らの眼下に現れる。
(せいきが、えねるぎーがぬきとられるようにきえた。)
精気が、エネルギーが抜き取られるように消えた。
(そのしょうしつかんにぼくはぞっとする。)
その消失感に僕はゾッとする。
(まるでじぶんのちをたいりょうにちゅうしゃばりでぬかれたかのようだった。)
まるで自分の血を大量に注射針で抜かれたかのようだった。
(しゃしんのなかのぜんいんがめをとじていた。)
写真の中の全員が目を閉じていた。
(だまって、もくとうでもしているように。さむけがした。)
黙って、黙祷でもしているように。寒気がした。
(あきちゃんがおびえたようなこえでつぶやく。)
アキちゃんが怯えたような声で呟く。
(「とじない」)
「閉じない」
(そうしてもういちどしゃしんにてをかざす。おなじようなうごきをして、またてをさげる。)
そうしてもう一度写真に手をかざす。同じような動きをして、また手を下げる。
(「とじない」)
「閉じない」
(またおなじどうさをくりかえした。)
また同じ動作を繰り返した。
(「どうして」)
「どうして」
(こえがふるえている。ぼくはおもわずしゃしんをくいいるようにしてみつめる。)
声が震えている。僕は思わず写真を食い入るようにして見つめる。
(なんだ。いったいなにが。)
なんだ。いったいなにが。
など
(はっとした。ぜんいんがめをとじているとおもったが、それはまちがいだった。)
ハッとした。全員が目を閉じていると思ったが、それは間違いだった。
(ただひとりだけ、めをあけたままのじんぶつがいたのだ。)
ただ一人だけ、目を開けたままの人物がいたのだ。
(いちばんひだりのすみにすわるおとこ。)
一番左の隅に座る男。
(そのえりにはぐんたいにおけるかいきゅうをあらわす、ごほんのしまとみっつのほし。)
その襟には軍隊における階級を表す、五本の縞と三つの星。
(まさおかてつおたいい。ゆうしゅうなぐんじんで、なかまのうちでももっともしょうしんがはやく、)
正岡哲夫大尉。優秀な軍人で、仲間のうちでも最も昇進が早く、
(かれらせいねんしょうこうたちのあいだのじっしつてきりーだーだったおとこ。)
彼ら青年将校たちの間の実質的リーダーだった男。
(そして、そのしゃしんがとられる、すくなくともにかげついじょうまえにしんでいたおとこ。)
そして、その写真が撮られる、少なくとも二ヶ月以上前に死んでいた男。
(えたいのしれないかんかくに、からだじゅうがざわめく。)
得体の知れない感覚に、体中がざわめく。
(どういうことなんだ。)
どういうことなんだ。
(せんじちゅう、たいぎゃくじけんをおこしたかどで、ひみつりにしょけいされたというわかきしょうこうたち。)
戦時中、大逆事件を起こしたかどで、秘密裏に処刑されたという若き将校たち。
(そしてすなみけのとうしゅとしてくんりんし、せいかいやざいかいにえいきょうをおよぼしつづけたあと、)
そして角南家の当主として君臨し、政界や財界に影響を及ぼし続けた後、
(いまからじゅうすうねんまえにしんだ「ろうじん」。)
今から十数年前に死んだ「老人」。
(それらがすべてめをとじているのに、なぜまさおかたいいがめをあけたままなのか。)
それらがすべて目を閉じているのに、なぜ正岡大尉が目を開けたままなのか。
(しんでいるはずのこのおとこがうつってしまっているからこそおきている)
死んでいるはずのこの男が写ってしまっているからこそ起きている
(このそうどうだというのに。)
この騒動だというのに。
(ぼくはこんらんし、ししょうのかおをうかがう。)
僕は混乱し、師匠の顔を伺う。
(さすがにむずかしいひょうじょうをうかべていたが、ゆっくりとくちをひらくと、こういった。)
さすがに難しい表情を浮かべていたが、ゆっくりと口を開くと、こう言った。
(「こいつは、いきたにんげんじゃないな」)
「こいつは、生きた人間じゃないな」
(まさおかたいいをゆびさす。)
正岡大尉を指さす。
(いや、ちょっとまて。しんでいないからこそ、めをあけたままなんじゃないか。)
いや、ちょっと待て。死んでいないからこそ、目を開けたままなんじゃないか。
(それもひとりだけ。)
それも一人だけ。
(ぼくのこんわくをよそに、ししょうはつづける。)
僕の困惑を他所に、師匠は続ける。
(「こいつは、ししゃでもしょうじゃでもない。つくりものだ。)
「こいつは、死者でも生者でもない。作り物だ。
(だからめをとじない。そうだな?」)
だから目を閉じない。そうだな?」
(かくにんするようにとわれ、あきちゃんはくびをかしげたあと、ちいさくうなずいた。)
確認するように問われ、アキちゃんは首を傾げた後、小さく頷いた。
(ぼくはおどろいた。つくりもの?それはどういういみなんだ。)
僕は驚いた。作り物?それはどういう意味なんだ。
(しゃしんのぎぞうのことかとおもったが、しゃしんのせんもんかがあれだけめいかくにひていしたのだ。)
写真の偽造のことかと思ったが、写真の専門家があれだけ明確に否定したのだ。
(それはないようにおもえた。)
それはないように思えた。
(はっとする。にんぎょう?せいこうなにんぎょうがおかれていたのか。)
ハッとする。人形?精巧な人形が置かれていたのか。
(いや、どうみてもいきているにんげんにしかみえない。)
いや、どうみても生きている人間にしか見えない。
(そんなにんぎょうをつくるりゆうもおもいうかばない。)
そんな人形を作る理由も思い浮かばない。
(まさか、このきねんしゃしんのためだけに?だったらなおさらすわるいちがおかしい。)
まさか、この記念写真のためだけに?だったらなおさら座る位置がおかしい。
(ふりょのじこで、てんのうしゅうげきけいかくのけっこうをまえにいのちをおとしたりーだーをしのんで、)
不慮の事故で、天皇襲撃計画の決行を前に命を落としたリーダーを偲んで、
(こうしてにんぎょうをつくりいっしょにしゃしんをとったというのなら、)
こうして人形を作り一緒に写真を撮ったというのなら、
(こんなすみのほうにおいやっていいわけがない。)
こんな隅の方に追いやっていいわけがない。
(「ろうじん」のとなりにいてしかるべきだ。)
「老人」の隣にいてしかるべきだ。
(「nengraphy・・・・・ねんしゃだな」)
「Nengraphy・・・・・念写だな」
(ぼくのかんがえがまとまらないうちに、ししょうのくちからでたそのことばに)
僕の考えがまとまらないうちに、師匠の口から出たその言葉に
(にのくがつげなかった。)
二の句が継げなかった。