坊ちゃん(16)

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難易度(4.2) 2831打 長文 かなタグ小説 長文 坊ちゃん 夏目漱石
夏目漱石の坊ちゃん(16)です。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ぬんぺっぺ 6658 S+ 6.9 96.4% 406.7 2813 105 53 2020/11/25
2 LIZI 5524 A 5.6 98.3% 494.2 2778 48 53 2020/10/07
3 うねりん 5311 B++ 5.5 95.7% 507.6 2822 126 53 2020/10/10
4 敦煌 4830 B 5.1 94.7% 555.4 2842 159 53 2020/10/23
5 ぷにょ69 4309 C+ 4.5 94.8% 618.1 2816 152 53 2020/10/04

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問題文

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(そのうちがっこうもいやになった。)

そのうち学校もいやになった。

(あるひのばんおおまちというところをさんぽしていたらゆうびんきょくのとなりにそばとかいて、)

ある日の晩大町と云う所を散歩していたら郵便局の隣に蕎麦とかいて、

(したにとうきょうとちゅうをくわえたかんばんがあった。おれはそばがだいすきである。)

下に東京と注を加えた看板があった。おれは蕎麦が大好きである。

(とうきょうにおったときでもそばやのまえをとおってやくみのにおいをかぐと、)

東京に居った時でも蕎麦屋の前を通って薬味の香をかぐと、

(どうしてものれんがくぐりたくなった。)

どうしても暖簾がくぐりたくなった。

(きょうまではすうがくとこっとうでそばをわすれていたが、)

今日までは数学と骨董で蕎麦を忘れていたが、

(こうしてかんばんをみるとすどおりができなくなる。)

こうして看板を見ると素通りが出来なくなる。

(ついでだからいっぱいくっていこうとおもってあがりこんだ。)

ついでだから一杯食って行こうと思って上がり込んだ。

(みるとかんばんほどでもない。)

見ると看板ほどでもない。

(とうきょうとことわるいじょうはもうすこしきれいにしそうなものだが、)

東京と断わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、

(とうきょうをしらないのか、かねがないのか、めっぽうきたない。)

東京を知らないのか、金がないのか、滅法きたない。

(たたみはいろがかわっておまけにすなでざらざらしている。)

畳は色が変ってお負けに砂でざらざらしている。

(かべはすすでまっくろだ。てんじょうはらんぷのゆえんでくすぼってるのみか、)

壁は煤で真黒だ。天井はランプの油烟で燻ぼってるのみか、

(ひくくって、おもわずくびをちぢめるくらいだ。)

低くって、思わず首を縮めるくらいだ。

(ただれいれいとそばのなまえをかいてはりつけたねだんつけだけはまったくあたらしい。)

ただ麗々と蕎麦の名前をかいて張り付けたねだん付けだけは全く新しい。

(なんでもふるいうちをかってにさんにちまえからかいぎょうしたにちがいなかろう。)

何でも古いうちを買って二三日前から開業したに違いなかろう。

(ねだんづけのだいいちごうにてんぷらとある。おいてんぷらをもってこいとおおきなこえをだした)

ねだん付の第一号に天麩羅とある。おい天麩羅を持ってこいと大きな声を出した

(するとこのときまですみのほうにさんにんかたまって、)

するとこの時まで隅の方に三人かたまって、

(なにかつるつる、ちゅうちゅうくってたれんじゅうが、ひとしくおれのほうをみた。)

何かつるつる、ちゅうちゅう食ってた連中が、ひとしくおれの方を見た。

(へやがくらいので、ちょっときがつかなかったがかおをあわせると、)

部屋が暗いので、ちょっと気がつかなかったが顔を合せると、

など

(みんながっこうのせいとである。)

みんな学校の生徒である。

(せんぽうであいさつをしたから、おれもあいさつをした。)

先方で挨拶をしたから、おれも挨拶をした。

(そのばんはひさしぶりにそばをくったので、うまかったからてんぷらをよんはいたいらげた。)

その晩は久し振に蕎麦を食ったので、旨かったから天麩羅を四杯平げた。

(よくじつなにのきもなくきょうじょうへはいると、)

翌日何の気もなく教場へはいると、

(こくばんいっぱいぐらいなおおきなじで、てんぷらせんせいとかいてある。)

黒板一杯ぐらいな大きな字で、天麩羅先生とかいてある。

(おれのかおをみてみんなわあとわらった。)

おれの顔を見てみんなわあと笑った。

(おれはばかばかしいから、てんぷらをくっちゃおかしいかときいた。)

おれは馬鹿馬鹿しいから、天麩羅を食っちゃ可笑しいかと聞いた。

(するとせいとのひとりが、しかしよんはいはすぎるぞな、もし、といった。)

すると生徒の一人が、しかし四杯は過ぎるぞな、もし、と云った。

(よんはいくおうがごはいくおうがおれのぜにでおれがくうのにもんくがあるもんかと、)

四杯食おうが五杯食おうがおれの銭でおれが食うのに文句があるもんかと、

(さっさとこうぎをすましてひかえじょへかえってきた。)

さっさと講義を済まして控所へ帰って来た。

(じゅっぷんたってつぎのきょうじょうへでるとひとつてんぷらよんはいなり。)

十分立って次の教場へ出ると一つ天麩羅四杯なり。

(ただしわらうべからず。とこくばんにかいてある。)

但し笑うべからず。と黒板にかいてある。

(さっきはべつにはらもたたなかったがこんどはしゃくにさわった。)

さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障った。

(じょうだんもどをすごせばいたずらだ。やきもちのくろこげのようなものでだれもほめてはない。)

冗談も度を過ごせばいたずらだ。焼餅の黒焦のようなもので誰も賞め手はない。

(いなかものはこのこきゅうがわからないから)

田舎者はこの呼吸が分からないから

(どこまでおしていってもかまわないというりょうけんだろう。)

どこまで押して行っても構わないと云う了見だろう。

(いちじかんあるくとけんぶつするまちもないようなせまいみやこにすんで、)

一時間あるくと見物する町もないような狭い都に住んで、

(ほかになんにもげいがないから、てんぷらじけんをにちろせんそうのようにふれちらかすんだろう)

外に何にも芸がないから、天麩羅事件を日露戦争のように触れちらかすんだろう

(あわれなやつらだ。こどものときから、こんなにきょういくされるから、)

憐れな奴等だ。小供の時から、こんなに教育されるから、

(いやにひねっこびた、うえきばちのかえでみたようなしょうじんができるんだ。)

いやにひねっこびた、植木鉢の楓みたような小人が出来るんだ。

(むじゃきならいっしょにわらってもいいが、こりゃなんだ。)

無邪気ならいっしょに笑ってもいいが、こりゃなんだ。

(こどものくせにおつにどくけをもってる。)

小供の癖に乙に毒気を持ってる。

(おれはだまって、てんぷらをけして、こんないたずらがおもしろいか、ひきょうなじょうだんだ。)

おれはだまって、天麩羅を消して、こんないたずらが面白いか、卑怯な冗談だ。

(きみらはひきょうといういみをしってるか、といったら、)

君等は卑怯と云う意味を知ってるか、と云ったら、

(じぶんがしたことをわらわれておこるのがひきょうじゃろうがな、もしとこたえたやつがある。)

自分がした事を笑われて怒るのが卑怯じゃろうがな、もしと答えた奴がある。

(やなやつだ。)

やな奴だ。

(わざわざとうきょうから、こんなやつをおしえにきたのかとおもったらなさけなくなった。)

わざわざ東京から、こんな奴を教えに来たのかと思ったら情なくなった。

(よけいなへらずぐちをきかないでべんきょうしろといって、じゅぎょうをはじめてしまった。)

余計な減らず口を利かないで勉強しろと云って、授業を始めてしまった。

(それからつぎのきょうじょうへでたら)

それから次の教場へ出たら

(てんぷらをくうとへらずぐちがききたくなるものなりとかいてある。)

天麩羅を食うと減らず口が利きたくなるものなりと書いてある。

(どうもしまつにおえない。あんまりはらがたったから、)

どうも始末に終えない。あんまり腹が立ったから、

(そんななまいきなやつはおしえないといってすたすたかえってきてやった。)

そんな生意気な奴は教えないと云ってすたすた帰って来てやった。

(せいとはやすみになってよろこんだそうだ。こうなるとがっこうよりこっとうのほうがまだましだ。)

生徒は休みになって喜んだそうだ。こうなると学校より骨董の方がまだましだ。

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