第四解剖室 スティーヴン・キング 5

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プレイ回数54難易度(4.5) 60秒 長文

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問題文

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(そしていま、べつのじんぶつのかおがしかいにしんにゅうしてくる。こちらのじんぶつは)

そして今、べつの人物の顔が視界に侵入してくる。こちらの人物は

(みどりのしゅじゅつぎではなくはくいをきており、うつくしいおれんじいろのかみのけは)

緑の手術着ではなく白衣を着ており、美しいオレンジ色の髪の毛は

(みだれほうだいだ。ちのうしすうのしゅっけつおおやすうりーーそれがだいいちいんしょう。)

乱れ放題だ。知能指数の出血大安売りーーそれが第一印象。

(これがらすてぃにちがいない。こうこうせいのせんばいとっきょとしかおもえない、)

これがラスティにちがいない。高校生の専売特許としか思えない、

(ばかまるだしのにやけずらをみせている。ひんじゃくなにのうでに、)

馬鹿丸出しのニヤけ面を見せている。貧弱な二の腕に、

(<いきがいはぶらじゃーはずしだぜ>などというたとぅーを)

<生きがいはブラジャー外しだぜ>などというタトゥーを

(いれているがきにこそおにあいのえがお。)

いれているガキにこそお似合いの笑顔。

(「まいける!」らすてぃがさけぶ。「すげえ、ほんとにおとこまえじゃんか!)

「マイケル!」ラスティが叫ぶ。「すげえ、ほんとに男前じゃんか!

(だいかんげきだよ!おれたちにさいんをしてくれ、だいすたー!)

大感激だよ!俺たちにサインをしてくれ、大スター!

(くたばったおけつでうたってくれよ!」)

くたばったおケツで歌ってくれよ!」

(はいごからひややかないしのこえがきこえてくる。もはや、このかるくちを)

背後から冷ややかな医師の声が聞こえてくる。もはや、この軽口を

(ゆかいにおもっているふりをしてもいない。)

愉快に思っているふりをしてもいない。

(「やめなさい、らすてぃ」それから、わずかにことなるほうこうにこえをむけて、)

「やめなさい、ラスティ」それから、わずかに異なる方向に声をむけて、

(「どういうじじょうなの、まいく?」まいくというのは、さいしょのこえのぬしーー)

「どういう事情なの、マイク?」マイクと言うのは、最初の声の主ーー

(らすてぃのあいぼうだ。はいゆうのあんどれーだいすくれいをりそうとあおぐ)

ラスティの相棒だ。俳優のアンドレー・ダイス・クレイを理想とあおぐ

(しょうねんじだいをすごしてきたようなおとこといっしょにしごとをすることを、)

少年時代を過ごしてきたような男と一緒に仕事をすることを、

(はずかしくおもっているくちょうだ。「はっけんされたのは、)

恥ずかしく思っている口調だ。「発見されたのは、

(でりーちょうえいかんとりーくらぶのじゅうよんばんほーるです。といっても、)

デリー町営カントリークラブの十四番ホールです。といっても、

(こーすをはずれたらふのなかでした。もしふぉあさむでぷれーせず、)

コースを外れたラフの中でした。もしフォアサムでプレーせず、

(ぷれーなかまがかんぼくのしげみからつきでているこのおとこのかたあしをはっけん)

プレー仲間が灌木の茂みから突き出ているこの男の片足を発見

など

(しなければ、いまごろはありのすになっていたでしょうね」)

しなければ、今頃は蟻の巣になっていたでしょうね」

(あたまのなかで、またしても、”ばしっ!”というおとがひびくーー)

頭の中で、またしても、”バシッ!”という音が響くーー

(ただしこんかいは、もっとふかいなものおとがあとにつづく。どらいばーのへっどで)

ただし今回は、もっと不快な物音が後に続く。ドライバーのヘッドで

(かんきのしげみをなぎはらうおとだ。だったら、あれはじゅうよんばんほーるだったに)

灌木の茂みをなぎはらう音だ。だったら、あれは十四番ホールだったに

(ちがいない。うわさでは、どくうるしがはえているというばしょだった。)

ちがいない。噂では、毒漆が生えているという場所だった。

(どくうるしだけではなく・・・。)

毒漆だけではなく・・・。

(らすてぃはばかまるだしのかおで、あいかわらずまじまじとわたしをみつめている。)

ラスティは馬鹿丸出しの顔で、相変わらずまじまじと私を見つめている。

(しにきょうみがあるわけではないーーわたしがまいけるぼるとんににているという)

死に興味があるわけではないーー私がマイケル・ボルトンに似ているという

(じじつにかんしんをもっているだけ。ああ、じぶんでもわかっているし、)

事実に関心をもっているだけ。ああ、自分でも分かっているし、

(あるしゅのじょせいのこきゃくあいてにはそのてんをはずかしげもなくりようしていた。)

ある種の女性の顧客相手にはその点を恥ずかしげもなく利用していた。

(ただし、たちまちかおがふけこみはしたが。それに、かみよ、)

ただし、たちまち顔が老け込みはしたが。それに、神よ、

(いまのじょうきょうでは・・・。「たんとうのいしは?」じょいがしつもんをする。)

今の状況では・・・。「担当の医師は?」女医が質問をする。

(「かざりあんだったの?」「いいえ」まいくがこたえ、それからしばらく)

「カザリアンだったの?」「いいえ」マイクが答え、それからしばらく

(わたしをみおろす。らすてぃより、すくなくともじゅっさいはとしうえだ。)

私を見下ろす。ラスティより、少なくとも十歳は年上だ。

(くろかみには、あちこちはいいろのものがまじっている。めがね。)

黒髪には、あちこち灰色のものが混じっている。眼鏡。

(<なんでこのれんちゅうは、わたしがしんでいないことにきづかないのか?>)

<なんでこの連中は、私が死んでいないことに気づかないのか?>

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