虹猫の話2 宮原晃一郎

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虹色をしたおとぎの国の猫が、雲の国へ冒険するお話

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問題文

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(だれもかれも、みんなやってきました。おきゃくさまのうちには、ほうきぼしもみえました。)

誰もかれも、みんなやって来ました。お客様のうちには、慧星も見えました。

(よっぽどりっぱなえんかいでなければ、めったにでたことのないほうきぼしがみえたのです)

よっぽどりっぱな宴会でなければ、めったに出たことのない慧星が見えたのです

(またほっきょくこうも、なにともいえないうつくしいひかりのふくをきてでました。むろん、はなよめの)

又北極光も、何とも言えない美しい光りの服を着て出ました。むろん、花嫁の

(りょうしん、まほうじまのおうとそのしんじゅがいのきさきとはそこにしゅっせきしました。 ごちそうがでて)

両親、魔法島の王とその真珠貝の妃とはそこに出席しました。  御馳走がでて

(みんながにぎやかに、おもしろくたべたりのんだりして、はなしているまっさいちゅう、)

みんながにぎやかに、面白く喰べたり飲んだりして、話しているまっ最中、

(そこへあたふたととびこんできたのはつばめでした。そのはなしによると、おおおとこのかみなりさまが)

そこへあたふたと飛びこんで来たのは燕でした。その話によると、大男の雷様が

(えらいいきおいでこっちをさしてはしってくる。なんでも、ぼうえきふうがおおいそぎで)

えらい勢いでこっちをさして走ってくる。なんでも、貿易風が大急ぎで

(とおるとき、ひょっとかみなりさまのねていたあしのさきにけつまづいたから、すっかり)

通るとき、ひょっと雷様の寝ていた足のさきにけつまづいたから、すっかり

(おこらしてしまったんだということでした。 「それはまあ、どうしたら)

怒らしてしまったんだということでした。 「それはまあ、どうしたら

(いいだろう。」と、だれもかれもあおくなってくちぐちにいいました。「おいわいも)

いいだろう。」と、誰もかれも青くなって口々に言いました。「お祝いも

(めちゃめちゃにあらされっちまうだろう。」 そして、おきゃくさまもしゅじんも)

めちゃめちゃに荒らされっちまうだろう。」  そして、お客様も主人も

(あわててちりぢりににげだしました。 けれども、なないろのにじねこはおちつき)

あわててちりぢりに逃げ出しました。  けれども、七色の虹猫は落ちつき

(はらっていました。このねこはなかなかちえがあったのです。 ねこは)

はらっていました。この猫はなかなか智慧があったのです。  猫は

(そっとひとりてーぶるのしたにもぐりこみ、そのもってきたちいさなふくろをあけて、)

そっとひとりテーブルの下にもぐりこみ、そのもって来た小さな袋を開けて、

(なかのものをあらためながら、じっとかんがえておりました。 が、まもなく)

中のものをあらためながら、じっと考えておりました。  が、間もなく

(でてきました。 「どうにか、わたしがかみなりさまをこさせないようにしてみましょう。」)

出て来ました。 「どうにか、私が雷様を来させないようにしてみましょう。」

(と、ねこはもうしました。「どうぞ、おいわいはもとのとおりつづけておやり)

と、猫は申しました。「どうぞ、お祝いはもとのとおりつづけておやり

(ください。わたしがまいって、まあひとつなんとかやってみましょうから。」)

下さい。私が参って、まあ一つ何とかやってみましょうから。」

(みんなは、なないろのにじねこのゆうきがあっておちついているのに、たいへん)

みんなは、七色の虹猫の勇気があつて落ちついているのに、たいへん

(びっくりしました。けれども、おいわいがとちゅうでじゃまをされないだろうというので)

びっくりしました。けれども、お祝いが途中で邪魔をされないだろうというので

など

(よろこんでそこにあつまり、そのときにはもうとおくにはっきりきこえるかみなりさまの)

よろこんでそこに集まり、そのときにはもう遠くにはっきり聞える雷様の

(ごろごろいうこえをききながら、そのほうへずんずんはしっていく、なないろのにじねこを)

ごろごろいう声をききながら、その方へずんずん走って行く、七色の虹猫を

(みていました。 なないろのにじねこははしっていくと、もうはるかむこうにおおきな)

見ていました。  七色の虹猫は走って行くと、もうはるか向うに大きな

(かみなりさまのすがたをみつけたので、そこにたちどまってふくろをあけ、なかからいちまいのおおきな)

雷様の姿を見つけたので、そこに立ちどまって袋を開け、中から一枚の大きな

(まんとをひきだしてそれをき、あたまのうえからみみまですっぽりとずきんをかぶり)

マントを引き出してそれを着、頭の上から耳まですっぽりと頭巾をかぶり

(そこにすわってなにやらふかいしあんにふけっているようなふうをしました。)

そこに坐って何やら深い思案にふけっているようなふうをしました。

(かみなりさまはこのふしぎなすがたをしたものが、てんのみちのなかほどにいるところまでくると)

雷様はこのふしぎな姿をしたものが、天の道の中ほどにいるところまでくると

(そこにたちどまりました。 「おい。きさまはなにものだ、またここにいてなにを)

そこに立ち止まりました。 「おい。きさまは何者だ、又ここにいて何を

(しているんだ。」と、おおきなこえでどなりました。 「わたしかい。わたしはゆうめいなまじゅつし)

しているんだ。」と、大きな声でどなりました。 「私かい。私は有名な魔術師

(にゃんぷうこだ。」と、なないろのにじねこはいかめしい、もったいらしいつくりごえで)

ニャンプウ子だ。」と、七色の虹猫はいかめしい、もったいらしい作り声で

(こたえました。 「わたしのこのふくろをみなさい。このなかにまじゅつのたねがはいって)

答えました。 「私のこの袋を見なさい。この中に魔術の種子がはいって

(いるんだよ。かみなりさん、わたしはまえからあなたのことをちゃんとしって)

いるんだよ。雷さん、わたしは前からあなたのことをちゃんと知って

(いるんだよ。あなたはえらいゆうめいなひとなんだから。」 かみなりさまはそういわれると、)

いるんだよ。あなたはえらい有名な人なんだから。」 雷様はそう言われると、

(すこしとくいになりきげんをなおしかけました。けれども、あしをいためたので、)

少し得意になりきげんを直しかけました。けれども、足をいためたので、

(まだいくぶんおこっています。 「ふん、おれはまじゅつしなんてものをたいしてえらいとは)

まだ幾分怒っています。 「ふん、おれは魔術師なんてものを大してえらいとは

(おもいっちゃいない。おまえいったい、なにができるのだ。」 「わたしはあなたのこころのなかが)

思つちゃいない。お前一たい、何ができるのだ。」 「私はあなたの心の中が

(わかるのだ。」 「ふふん、そうか。じゃ、いまおれはなにをかんがえているのか、)

分るのだ。」 「ふふん、そうか。じゃ、今おれは何を考えているのか、

(あててみなさい」 「そんなことはわけはない。あなたは、じぶんのあしを)

当ててみなさい」 「そんなことはわけはない。あなたは、自分の足を

(いためたことをおこって、あなたのそこまめをけとばしたやつをつかまえてやろうとおもって)

いためたことを怒って、あなたの底豆をけとばしたやつを掴えてやろうと思って

(いるんじゃないか。」 なないろのにじねこは、まえにつばめからちゃんとそれをきいて)

いるんじゃないか。」  七色の虹猫は、前に燕からちゃんとそれを聞いて

(しっていたのです。 かみなりさまはびっくりしました。)

知っていたのです。  雷様はびっくりしました。

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