怪人二十面相72 江戸川乱歩

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プレイ回数1972難易度(5.0) 2769打 長文 長文モード可
少年探偵団シリーズ1作目
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ねね 4048 C 4.2 96.3% 661.9 2784 104 40 2024/02/23

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問題文

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(「それにはまた、じつにだいたんふてきなしゅだんが、よういしてあったのです。)

「それにはまた、実に大胆不敵な手段が、用意してあったのです。

(ゆうべの3にんのしゅくちょくいんというのは、けさ、それぞれじたくへかえったのでしょう。)

夕べの三人の宿直員というのは、今朝、それぞれ自宅へ帰ったのでしょう。

(ひとつその3にんのじたくへでんわをかけて、しゅじんがかえったかどうか、たしかめて)

ひとつその三人の自宅へ電話をかけて、主人が帰ったかどうか、確かめて

(みてください」 あけちがまたしてもみょうなことをいいだしました。3にんのしゅくちょくいんは)

みてください」  明智がまたしても妙な事を言い出しました。三人の宿直員は

(だれもでんわをもっていませんでしたが、それぞれふきんのしょうかによびだしでんわが)

誰も電話を持っていませんでしたが、それぞれ付近の商家に呼び出し電話が

(つうじますので、かんいんのひとりがさっそくでんわをかけてみますと、3にんが3にんとも、)

通じますので、館員の一人が早速電話を掛けてみますと、三人が三人とも、

(ゆうべいらいまだじたくへかえっていないことがわかりました。しゅくちょくいんたちのかていでは)

夕べ以来まだ自宅へ帰っていないことが分かりました。宿直員たちの家庭では

(こんなじけんのさいですから、きょうも、とめおかれているのだろうと、あんしんして)

こんな事件の際ですから、今日も、留め置かれているのだろうと、安心して

(いたというのです。 「3にんがはくぶつかんをでてからもう8、9じかんもたつのに、)

いたというのです。 「三人が博物館を出てからもう八、九時間も経つのに、

(そろいもそろってまだきたくしていないというのは、すこしおかしいじゃありませんか。)

揃いも揃ってまだ帰宅していないというのは、少しおかしいじゃありませんか。

(ゆうべてつやをしたつかれたからだで、まさかあそびまわっているわけではありますまい。)

夕べ徹夜をした疲れた身体で、まさか遊び回っている訳ではありますまい。

(なぜ3にんがかえらなかったのか、このいみがおわかりですか」 あけちは、また)

何故三人が帰らなかったのか、この意味がお分かりですか」  明智は、また

(いちどうのかおをぐるっとみまわしておいて、ことばをつづけました。 「ほかでもありません)

一同の顔をグルッと見回しておいて、言葉を続けました。 「外でもありません

(3にんは、にじゅうめんそういちみのためにゆうかいされたのです」 「え、ゆうかいされた?)

三人は、二十面相一味のために誘かいされたのです」 「え、誘かいされた?

(それはいつのことです」 かんいんがさけびました。)

それはいつの事です」  館員が叫びました。

(「きのうのゆうがた、3にんがそれぞれやきんをつとめるために、じたくをでたところをです」)

「昨日の夕方、三人がそれぞれ夜勤を勤めるために、自宅を出たところをです」

(「え、え、きのうのゆうがたですって?じゃあ、ゆうべここにいた3にんは・・・・・・」)

「え、え、昨日の夕方ですって? じゃあ、夕べここにいた三人は……」

(「にじゅうめんそうのぶかでした。ほんとうのしゅくちょくいんはぞくのそうくつへおしこめておいて、)

「二十面相の部下でした。本当の宿直員は賊の巣窟へ押し込めておいて、

(そのかわりにぞくのぶかがはくぶつかんのしゅくちょくをつとめたのです。なんてわけのない)

そのかわりに賊の部下が博物館の宿直を勤めたのです。なんて訳のない

(はなしでしょう。ぞくがみはりばんをつとめたんですから、にせもののびじゅつひんのおきかえなんて)

話でしょう。賊が見張り番を務めたんですから、贋物の美術品の置き換えなんて

など

(じつにぞうさもないことだったのです。 みなさん、これがにじゅうめんそうのやりくちですよ。)

実に造作もない事だったのです。  皆さん、これが二十面相のやり口ですよ。

(にんげんわざではできそうもないことを、ちょっとしたあたまのはたらきで、やすやすとやって)

人間技では出来そうもない事を、ちょっとした頭の働きで、易々とやって

(のけるのです」 あけちたんていは、にじゅうめんそうのあたまのよさをほめあげるようにいって)

のけるのです」  明智探偵は、二十面相の頭の良さを褒め上げるように言って

(ずっとてをつないでいたかんちょうきたこうじろうはかせのてくびをいたいほど、ぎゅっと)

ずっと手を繋いでいた館長北小路老博士の手首を痛いほど、ギュッと

(にぎりしめました。 「うーん、あれがぞくのてしただったのか。うかつじゃった。)

握り締めました。 「ウーン、あれが賊の手下だったのか。うかつじゃった。

(わしがうかつじゃった」 ろうはかせはしらひげをふるわせて、さもくやしそうにうめきました。)

儂が迂闊じゃった」  老博士は白髯を震わせて、さも悔しそうに呻きました。

(りょうめがつりあがって、かおがまっさおになって、みるもおそろしいふんぬのぎょうそうです。)

両眼が吊り上って、顔が真っ青になって、見るも恐ろしい憤怒の形相です。

(しかし、ろうはかせは、3にんのにせものをどうしてみやぶることができなかったのでしょう。)

しかし、老博士は、三人の偽者をどうして見破る事が出来なかったのでしょう。

(にじゅうめんそうならしらぬこと、てしたの3にんが、かんちょうにもわからないほどじょうずにへんそうして)

二十面相なら知らぬ事、手下の三人が、館長にも分からない程上手に変装して

(いたなんて、かんがえられないことです。きたこうじはかせともあろうひとが、)

いたなんて、考えられないことです。北小路博士ともあろう人が、

(そんなにやすやすとだまされるなんて、すこしおかしくはないでしょうか。)

そんなに易々と騙されるなんて、少しおかしくはないでしょうか。

(かいとうほばく 「だが、あけちくん」)

【怪盗捕縛】 「だが、明智君」

(けいしそうかんは、せつめいがおわるのをまちかまえていたように、あけちたんていに)

警視総監は、説明が終わるのを待ちかまえていたように、明智探偵に

(たずねました。 「きみはまるで、きみじしんがにじゅうめんそうででもあるように、)

尋ねました。 「君はまるで、君自身が二十面相ででもあるように、

(びじゅつひんとうだつのじゅんじょをくわしくせつめいされたが、それはみんな、きみのそうぞうなのかね。)

美術品盗奪の順序を詳しく説明されたが、それは皆、君の想像なのかね。

(それとも、なにかたしかなこんきょでもあるのかね」 「もちろん、そうぞうではありません。)

それとも、何か確かな根拠でもあるのかね」 「勿論、想像ではありません。

(ぼくはこのみみで、にじゅうめんそうのぶかから、いっさいのひみつをききしったのです。)

僕はこの耳で、二十面相の部下から、一切の秘密を聞き知ったのです。

(いま、きいてきたばかりなのです」 「え、え、なんだって?きみはにじゅうめんそうの)

今、聞いてきたばかりなのです」 「え、え、なんだって? 君は二十面相の

(ぶかにあったのか。いったいどこで?どうして?」 さすがのけいしそうかんも)

部下に会ったのか。一体どこで? どうして?」  さすがの警視総監も

(このふいうちには、どぎもをぬかれてしまいました。)

この不意打ちには、度胆を抜かれてしまいました。

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