雪女 YUKI-ONNA 小泉八雲 ②(終)

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難易度(4.5) 3624打 長文タグ雪女 小泉八雲 昔話 小説 長文
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1 aria 8025 8.2 96.9% 436.1 3614 114 67 2021/12/20
2 はーちゃん 6910 S++ 7.3 94.7% 499.4 3655 204 67 2022/01/15
3 meg 5536 A 5.7 96.3% 628.7 3620 139 67 2022/01/19
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5 chikako7 1335 G+ 1.4 90.7% 2431.3 3617 369 67 2021/12/31

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問題文

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(よくとしのふゆのあるばん、いえにかえるとちゅう、)

翌年の冬のある晩、家に帰る途中、

(ぐうぜんおなじみちをたびしているひとりのわかいおんなにおいついた。)

偶然同じ途を旅している一人の若い女に追いついた。

(かのじょはせのたかい、ほっそりしたしょうじょで、たいそうきれいであった。)

彼女は背の高い、ほっそりした少女で、大層綺麗であった。

(そしてみのきちのあいさつにこたえたかのじょのこえはうたうとりのこえのように、)

そして巳之吉の挨拶に答えた彼女の声は歌う鳥の声のように、

(かれのみみにゆかいであった。)

彼の耳に愉快であった。

(それから、かれはかのじょとならんであるいた、そしてはなしをしだした。)

それから、彼は彼女と並んで歩いた、そして話をし出した。

(しょうじょはなは「おゆき」であるといった。)

少女は名は「お雪」であると云った。

(それからこのころりょうしんともなくなったこと、それからえどへいくつもりであること、)

それからこの頃両親共なくなった事、それから江戸へ行くつもりである事、

(そこになんけんかまずしいしんるいのあること、)

そこに何軒か貧しい親類のある事、

(そのひとたちはじょちゅうとしてのちいをみつけてくれるだろうということなど。)

その人達は女中としての地位を見つけてくれるだろうと云う事など。

(みのきちはすぐにこのしらないしょうじょになつかしさをかんじてきた、)

巳之吉はすぐにこの知らない少女になつかしさを感じて来た、

(そしてみればみるほどかのじょがいっそうきれいにみえた。)

そして見れば見るほど彼女が一層綺麗に見えた。

(かれはかのじょにやくそくのおっとがあるかときいた、)

彼は彼女に約束の夫があるかと聞いた、

(かのじょはわらいながらなんのやくそくもないとこたえた。)

彼女は笑いながら何の約束もないと答えた。

(それから、こんどは、かのじょのほうでみのきちはけっこんしているか、)

それから、今度は、彼女の方で巳之吉は結婚しているか、

(あるいはやくそくがあるかとたずねた、)

あるいは約束があるかと尋ねた、

(かれはかのじょに、やしなうべきははがひとりあるが、)

彼は彼女に、養うべき母が一人あるが、

(およめのもんだいは、まだじぶんがわかいから、かんがえにあがったことはないとこたえた。)

お嫁の問題は、まだ自分が若いから、考えに上った事はないと答えた。

(こんなうちあけばなしのあとで、かれらはながいあいだものをいわないであるいた、)

こんな打明け話のあとで、彼等は長い間ものを云わないで歩いた、

(しかしことわざにあるとおり「きがあればめもくちほどにものをいい」であった。)

しかし諺にある通り『気があれば眼も口ほどにものを云い』であった。

など

(むらにつくころまでに、かれらはおたがいにたいそうきにいっていた。)

村に着く頃までに、彼等はお互に大層気に入っていた。

(そして、そのときみのきちはしばらくじぶんのいえでやすむようにとおゆきにいった。)

そして、その時巳之吉はしばらく自分の家で休むようにとお雪に云った。

(かのじょはしばらくはにかんでためらっていたが、かれとともにそこへいった。)

彼女はしばらくはにかんでためらっていたが、彼と共にそこへ行った。

(そしてかれのはははかのじょをかんげいして、かのじょのためにあたたかいしょくじをよういした。)

そして彼の母は彼女を歓迎して、彼女のために暖かい食事を用意した。

(おゆきのたちいふるまいは、そんなによかったので、)

お雪の立居振舞は、そんなによかったので、

(みのきちのはははきゅうにすきになって、かのじょにえどへのたびをのばすようにすすめた。)

巳之吉の母は急に好きになって、彼女に江戸への旅を延ばすように勧めた。

(そしてしぜんのなりゆきとして、おゆきはえどへはついにいかなかった。)

そして自然の成行きとして、お雪は江戸へは遂に行かなかった。

(かのじょは「およめ」としてそのいえにとどまった。)

彼女は「お嫁」としてその家にとどまった。

(おゆきはたいそうよいよめであることがわかった。)

お雪は大層よい嫁である事が分った。

(みのきちのははがしぬようになったときーーごねんばかりのあとーーかのじょのさいごのことばは、)

巳之吉の母が死ぬようになった時ーー五年ばかりの後ーー彼女の最後の言葉は、

(かのじょのよめにたいするあいじょうとしょうさんのことばであった、)

彼女の嫁に対する愛情と賞賛の言葉であった、

(ーーそしておゆきはみのきちにだんじょじゅうにんのこどもをうんだ、)

ーーそしてお雪は巳之吉に男女十人の子供を生んだ、

(ーーみなきれいなこどもでいろがひじょうにしろかった。)

ーー皆綺麗な子供で色が非常に白かった。

(いなかのひとびとはおゆきを、うまれつきじぶんらとちがったふしぎなひととかんがえた。)

田舎の人々はお雪を、生れつき自分等と違った不思議な人と考えた。

(たいがいののうふのおんなははやくとしをとる、)

大概の農夫の女は早く年を取る、

(しかしおゆきはじゅうにんのこどものははとなったあとでも、)

しかしお雪は十人の子供の母となったあとでも、

(はじめてむらへきたひとおなじようにわかくて、みずみずしくみえた。)

始めて村へ来た日と同じように若くて、みずみずしく見えた。

(あるばんこどもらがねたあとで、おゆきはあんどんのひかりではりしごとをしていた。)

ある晩子供等が寝たあとで、お雪は行燈の光で針仕事をしていた。

(そしてみのきちはかのじょをみつめながらいった、)

そして巳之吉は彼女を見つめながら云った、

(「おまえがそうしてかおにあかりをうけて、はりしごとをしているのをみると、)

『お前がそうして顔にあかりを受けて、針仕事をしているのを見ると、

(わしがじゅうはちのしょうねんのときあったふしぎなことがおもいだされる。)

わしが十八の少年の時遇った不思議な事が思い出される。

(わしはそのとき、いまのおまえのようにきれいなそしていろじろなひとをみた。)

わしはその時、今のお前のように綺麗なそして色白な人を見た。

(まったく、そのおんなはおまえにそっくりだったよ」)

全く、その女はお前にそっくりだったよ』

(しごとからめをあげないで、おゆきはこたえた、)

仕事から眼を上げないで、お雪は答えた、

(「そのひとのはなしをしてちょうだい。どこでおあいになったの」)

『その人の話をしてちょうだい。どこでおあいになったの』

(そこでみのきちはわたしもりのこやですごしたおそろしいよるのことをかのじょにはなした、)

そこで巳之吉は渡し守の小屋で過ごした恐ろしい夜の事を彼女に話した、

(そして、にこにこしてささやきながら、じぶんのうえにかがんだしろいおんなのこと、)

そして、にこにこしてささやきながら、自分の上に屈んだ白い女の事、

(それから、もさくろうじんのものもいわずにしんだこと。)

それから、茂作老人の物も云わずに死んだ事。

(そしてかれはいった、「ねむっているときにでもおきているときにでも、)

そして彼は云った、『眠っている時にでも起きている時にでも、

(おまえのようにきれいなひとをみたのはそのときだけだ。)

お前のように綺麗な人を見たのはその時だけだ。

(もちろんそれはにんげんじゃなかった。)

もちろんそれは人間じゃなかった。

(そしてわしはそのおんながおそろしかった、)

そしてわしはその女が恐ろしかった、

(たいへんおそろしかった、がそのおんなはたいへんしろかった。)

大変恐ろしかった、がその女は大変白かった。

(じっさいわしがみたのはゆめであったかそれともゆきおんなであったか、わからないでいる」)

実際わしが見たのは夢であったかそれとも雪女であったか、分らないでいる』

(おゆきはぬいものをなげすててたちあがってみのきちのすわっているところで、)

お雪は縫物を投げ捨てて立ち上って巳之吉の坐っている処で、

(かれのうえにかがんで、かれのかおにむかってさけんだ、)

彼の上に屈んで、彼の顔に向って叫んだ、

(「それはわたし、わたし、わたしでした。それはゆきでした。)

『それは私、私、私でした。それは雪でした。

(そしてそのときあなたが、そのことをひとことでもいったら、)

そしてその時あなたが、その事を一言でも云ったら、

(わたしはあなたをころすといいました。)

私はあなたを殺すと云いました。

(そこにねむっているこどもらがいなかったら、いますぐあなたをころすのでした。)

そこに眠っている子供等がいなかったら、今すぐあなたを殺すのでした。

(でもいまあなたはこどもらをだいじにだいじになさるほうがいい、)

でも今あなたは子供等を大事に大事になさる方がいい、

(もしこどもらがあなたにふへいをいうべきりゆうでもあったら、)

もし子供等があなたに不平を云うべき理由でもあったら、

(わたしはそれそうとうにあなたをあつかうつもりだから」)

私はそれ相当にあなたを扱うつもりだから』

(かのじょがさけんでいるさいちゅう、かのじょのこえはほそくなっていった、かぜのさけびのように、)

彼女が叫んでいる最中、彼女の声は細くなって行った、風の叫びのように、

(ーーそれからかのじょはかがやいたしろいかすみとなってやねのむなぎのほうへあがって、)

ーーそれから彼女は輝いた白い霞となって屋根の棟木の方へ上って、

(それからけむりだしのあなをとおってふるえながらでていった。)

それから煙出しの穴を通ってふるえながら出て行った。

(もうふたたびかのじょはみられなかった。)

もう再び彼女は見られなかった。

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