バスカヴィル家の犬3

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シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(だいにしょう ばすかヴぃるけののろい)

第二章 バスカヴィル家の呪い

(このぽけっとにあるのは、てがきのぶんしょうです)

「このポケットにあるのは、手書きの文章です」

(じぇーむずもーてぃまーいしはいった。あなたがへやにはいってきたとき、)

ジェームズ・モーティマー医師は言った。「あなたが部屋に入ってきた時、

(みえました ほーむずはいった。これはこもんじょです ほんものだとすれば、)

見えました」ホームズは言った。「これは古文書です」「本物だとすれば、

(18せいきしょとうのものですね どうしてそれがわかるんですか?)

18世紀初頭のものですね」「どうしてそれが分かるんですか?」

(ぽけっとから、いちいんちかにいんち、そのぶんしょがのぞいています。あなたが)

「ポケットから、一インチか二インチ、その文書がのぞいています。あなたが

(はなしているあいだ、わたしはずっとそれをみていました。ぶんしょのねんだいを10ねんぜんごの)

話している間、わたしはずっとそれを見ていました。文書の年代を10年前後の

(せいどではんだんできないようなせんもんかはにせものです。ぼくがこのしゅだいでかいたしょうろんぶんは、)

精度で判断できないような専門家は偽者です。僕がこの主題で書いた小論文は、

(もしかするとあなたもおよみになったことがあるかもしれませんね。それは)

もしかするとあなたもお読みになったことがあるかもしれませんね。それは

(1730ねんとみました せいかくなひづけは1742ねんです もーてぃまーいしは)

1730年と見ました」「正確な日付は1742年です」モーティマー医師は

(むねぽけっとからそのぶんしょをひきだした。このかぞくぶんしょは)

胸ポケットからその文書を引き出した。「この家族文書は

(さーちゃーるずばすかヴぃるから、あずかったものです。さんかげつまえ、かれが)

サー・チャールズ・バスカヴィルから、預かったものです。三ヶ月前、彼が

(とつぜんいたましいしにかたをし、でヴぉんしゃーではだいそうどうになりました。わたしはかれの)

突然痛ましい死に方をし、デヴォンシャーでは大騒動になりました。私は彼の

(しゅじいであるだけではなく、こじんてきにもゆうじんといっていいでしょう。)

主治医であるだけではなく、個人的にも友人と言っていいでしょう。

(ちゃーるずはきょうじんなせいしんをもっていました。そうめいで、げんじつてきで、わたしとおなじくらい)

チャールズは強靭な精神を持っていました。聡明で、現実的で、私と同じくらい

(ひくうそうてきでした。それなのにかれはこのぶんしょをひじょうにしんけんにうけとめ、けっかてきに)

非空想的でした。それなのに彼はこの文書を非常に真剣に受け止め、結果的に

(かれがむかえることになった、あのようなしをよかんしていたようです ほーむずは)

彼が迎える事になった、あのような死を予感していたようです」ホームズは

(ぶんしょにてをのばしてうけとり、ひざのうえでひろげた。わとそん、ながいsとみじかいsが)

文書に手を伸ばして受け取り、膝の上で広げた。「ワトソン、長いSと短いSが

(こうごにつかわれているのがわかるだろう。いろいろなてがかりのなかで、これがねんだいを)

交互に使われているのが分かるだろう。色々な手がかりの中で、これが年代を

(とくていするとくちょうのひとつだ わたしはほーむずのかたごしに、いろあせたもじがかいてある)

特定する特徴の一つだ」私はホームズの肩越しに、色褪せた文字が書いてある

など

(ちゃいろいかみをのぞきこんだ。じょうぶには ばすかヴぃるかん そのしたにおおきく)

茶色い紙を覗き込んだ。上部には「バスカヴィル館」その下に大きく

(1742というすうじがはしりがきされていた。せいめいぶんかなにかのようですね)

「1742」という数字が走り書きされていた。「声明文か何かのようですね」

(そうです。それはばすかヴぃるけにつたわる、あるでんせつのせいめいぶんです)

「そうです。それはバスカヴィル家に伝わる、ある伝説の声明文です」

(しかしさっきうかがったところでは、もっとさいきんのじつむてきなようけんでそうだんに)

「しかしさっき伺ったところでは、もっと最近の実務的な用件で相談に

(いらしたのでは?いますぐたいおうするひつようのある、じつむてきできんぱくしたようけんです。)

いらしたのでは?」「今すぐ対応する必要のある、実務的で緊迫した用件です。

(24じかんいないにきめなければなりません。しかしこのせいめいぶんは、それほどながく)

24時間以内に決めなければなりません。しかしこの声明文は、それほど長く

(ありませんし、このじけんにみっせつなかんけいがあるのです。よければわたしが)

ありませんし、この事件に密接な関係があるのです。よければ私が

(よみあげましょう ほーむずはゆびさきをあわせ、めをとじ、あきらめたふんいきで)

読みあげましょう」ホームズは指先を合わせ、目を閉じ、諦めた雰囲気で

(いすにもたれかかった。もーてぃまーいしはぶんしょをひかりのほうにむけ、かんだかく)

椅子にもたれかかった。モーティマー医師は文書を光の方に向け、甲高く

(はりのあるこえで、つぎのようなふるいじだいのふしぎなものがたりをよみあげた。)

張りのある声で、次のような古い時代の不思議な物語を読み上げた。

(ばすかヴぃるけのいぬのきげんについて、いろいろなきじゅつがのこされている。しかし)

「バスカヴィル家の犬の起源について、色々な記述が残されている。しかし

(わたしはひゅーごーばすかヴぃるからちょっけいしそんであり、このはなしは、そふからちちへ、)

私はヒューゴー・バスカヴィルから直系子孫であり、この話は、祖父から父へ、

(ちちからわたしへつたえられたものである。わたしはここにかかれているのが、じっさいに)

父から私へ伝えられたものである。私はここに書かれているのが、実際に

(おきたことだということを、しんねんをもってかきおろす。そしてむすこたちよ、わたしは)

起きた事だということを、信念を持って書き下ろす。そして息子達よ、私は

(おまえたちにもそうしんじさせたいのだ。つみをばっするかみは、どうじにひろいみこころでゆるしうる)

お前達にもそう信じさせたいのだ。罪を罰する神は、同時に広い御心で許しうる

(かみでもあるのだ。のろいはそれほどつよくない。いのり、くいあらためれば、)

神でもあるのだ。呪いはそれほど強くない。祈り、悔い改めれば、

(さけうるのだ。このものがたりから、かこのむくいをおそれず、みらいについてしんちょうに)

避け得るのだ。この物語から、過去の報いを恐れず、未来について慎重に

(はいりょすることをしるべし。そして、わがかけいがひさんなくるしみをうけるもととなった)

配慮することを知るべし。そして、我が家系が悲惨な苦しみを受ける元となった

(げれつなねつじょうが、ふたたびかけいがはめつするきっかけとなることをさけよ)

下劣な熱情が、再び家系が破滅するきっかけとなる事を避けよ」

(だいないらんじだいのころとしるがよい。わたしは、きょうようあるくられんどんきょうがかたる)

「大内乱時代の頃と知るがよい。私は、教養あるクラレンドン卿が語る

(このれきしにちゅういをはらうよう、おまえたちにつよくすすめる。このばすかヴぃるしょうえんは)

この歴史に注意を払うよう、お前達に強く勧める。このバスカヴィル荘園は

(ひゅーごーばすかヴぃるにとうちされていた。かれは、ひとのいうことにみみをかさず、)

ヒューゴー・バスカヴィルに統治されていた。彼は、人の言う事に耳をかさず、

(ひじょうにあらあらしく、ふけいで、むしんじんのおとこだった。せいじゃはこのちほうでかつどうして)

非常に荒々しく、不敬で、無信心の男だった。聖者はこの地方で活動して

(いなかったので、まわりのにんげんがあまやかしたためかもしれない。しかしかれには)

いなかったので、回りの人間が甘やかしたためかも知れない。しかし彼には

(かってきままでざんこくなせいかくがあり、そのなはせいぶでしらぬものがいないほどになった。)

勝手気ままで残酷な性格があり、その名は西部で知らぬ者がいない程になった。

(ふとしたことでこのひゅーごーは、ばすかヴぃるのりょうちのちかくにとちをもっていた)

ふとした事でこのヒューゴーは、バスカヴィルの領地の近くに土地を持っていた

(きょうどのむすめにこいをした、もしほんとうにかれのくろいじょうねんを、このような)

郷土の娘に恋をした、・・・・もし本当に彼の黒い情念を、このような

(うつくしいことばでよぶことができるならだが。しかし、ふんべつがありひょうばんもよかった)

美しい言葉で呼ぶ事が出来るならだが。しかし、分別があり評判もよかった

(このわかいじょせいが、かれのあくみょうにおそれをなし、ずっとさけつづけた。そのため、)

この若い女性が、彼の悪名に恐れをなし、ずっと避けつづけた。そのため、

(あるせいみかえるさいのひ、このひゅーごーは、なまけものでふどうとくななかまをご、ろくにん)

ある聖ミカエル祭の日、このヒューゴーは、怠け者で不道徳な仲間を五、六人

(つれて、のうじょうにしのびこみこのじょせいをゆうかいした。このひ、ちちおやときょうだいが)

連れて、農場に忍び込みこの女性を誘拐した。この日、父親と兄弟が

(ふざいだったのをしっていたのだ。かのじょはやかたにはこびこまれ、うえのかいのへやに)

不在だったのを知っていたのだ。彼女は館に運び込まれ、上の階の部屋に

(かんきんされた。まいよのしゅうかんとして、ひゅーごーとなかまはながいさかもりをはじめた。)

監禁された。毎夜の習慣として、ヒューゴーと仲間は長い酒盛りを始めた。

(うえのかいのあわれなしょうじょは、うたやらさけびやらおそろしいあくたいがしたからきこえてきて、)

上の階の哀れな少女は、歌やら叫びやら恐ろしい悪態が下から聞こえてきて、

(おそらくたいへんなおもいをしただろう。さけをのんだときにひゅーごーばすかヴぃるが)

おそらく大変な思いをしただろう。酒を飲んだ時にヒューゴー・バスカヴィルが

(つかうことばは、いっているほんにんがのろわれるとうわさされるほどだったのだ。きょうふに)

使う言葉は、言っている本人が呪われると噂されるほどだったのだ。恐怖に

(おしつぶされそうになり、ついにじょせいはもっともゆうかんでたいりょくのあるおとこでさえ、)

押しつぶされそうになり、遂に女性は最も勇敢で体力のある男でさえ、

(おじけづくかもしれないことをやってのけた。みなみのかべをおおっていた)

怖気づくかもしれないことをやってのけた。南の壁を覆っていた

(いまもおおっている しげったつたのたすけをかりてかのじょはひさしからおりた。そして)

(今も覆っている)茂ったツタの助けをかりて彼女はひさしから下りた。そして

(じぶんのいえにかえろうとして、こうやにあしをふみいれた。ばすかヴぃるかんとじょせいの)

自分の家に帰ろうとして、荒野に足を踏み入れた。バスカヴィル館と女性の

(ちちおやののうじょうはさんりーぐはなれていた しばらくじかんがたったとき、ひゅーごーは)

父親の農場は三リーグ離れていた」「しばらく時間がたった時、ヒューゴーは

(ふとおもいたち、きゃくをのこして、とじこめたむすめにたべものをもっていった、 おそらく)

ふと思い立ち、客を残して、閉じ込めた娘に食べ物を持って行った、―おそらく

(べつのじゃあくなものもいっしょにだ。そして、かごがからになっていてとりがにげたことを)

別の邪悪なものも一緒にだ。そして、籠がカラになっていて鳥が逃げた事を

(しった。そのあと、どうやらかれはあくまにとりつかれはじめたらしい。かれは、かいだんを)

知った。その後、どうやら彼は悪魔に取り付かれ始めたらしい。彼は、階段を

(かけおりてしょくどうにとびこみ、おおきなしょくたくにとびのった。さかびんやきざらをなげつけ、)

駆け下りて食堂に飛び込み、大きな食卓に飛び乗った。酒瓶や木皿を投げつけ、

(なかまぜんいんのまえでおおごえでこうさけんだ、 もしおんなにおいつけるなら、このせいなるよる、)

仲間全員の前で大声でこう叫んだ、―もし女に追いつけるなら、この聖なる夜、

(おれはにくたいとたましいをあくまにささげる、と。このいかりくるったひゅーごーと、さけによった)

俺は肉体と魂を悪魔に捧げる、と。この怒り狂ったヒューゴーと、酒に酔った

(おとこたちがみつめあってたっていたとき、もっとせいかくのわるい、いや、もしかすると、)

男達が見つめ合って立っていた時、もっと性格の悪い、いや、もしかすると、

(もっとよっぱらったおとこが、いぬをけしかけろときせいをあげた。そのしゅんかん)

もっと酔っぱらった男が、犬をけしかけろと気勢をあげた。その瞬間

(ひゅーごーは、めてたちにたいして、うまにくらをつけてりょうけんぜんぶをこやから)

ヒューゴーは、馬手たちに対して、馬に鞍をつけて猟犬全部を小屋から

(だすようにと、さけびながらいえをはしりでた。そしてじょせいのずきんをいぬにかがせ、)

出すようにと、叫びながら家を走り出た。そして女性の頭巾を犬に嗅がせ、

(つきあかりのこうやのむこうへと、はげしいいきおいであとをおわせた よったおとこたちは、)

月明かりの荒野の向こうへと、激しい勢いで跡を追わせた」「酔った男達は、

(あまりにもあわただしいてんかいに、なにがおこったのかぜんようをりかいできず、しばらく)

あまりにもあわただしい展開に、何が起こったのか全容を理解できず、しばらく

(ぽかんとくちをあけてたっていた。しかしまもなく、これからこうやで)

ぽかんと口を開けて立っていた。しかしまもなく、これから広野で

(くりひろげられようとしているこういのいみにきづいた。おおさわぎになった。)

繰り広げられようとしている行為の意味に気づいた。大騒ぎになった。

(ぴすとるをようきゅうするものもあり、うまをよぶものもあり、わいんをもうひとびん)

ピストルを要求する者もあり、馬を呼ぶ者もあり、ワインをもう一瓶

(ようきゅうするものまでいた。13にんのおとこたちは、ほとんどしょうきをうしなっていたが、まもなく)

要求する者までいた。13人の男達は、ほとんど正気を失っていたが、まもなく

(れいせいさをとりもどし、うまにのってついせきにのりだした。ずじょうにはつきがあざやかに)

冷静さを取り戻し、馬に乗って追跡に乗り出した。頭上には月が鮮やかに

(かがやいていた。かれらは、もしじょせいがじぶんのいえにかえるつもりなら、まちがいなく)

輝いていた。彼らは、もし女性が自分の家に帰るつもりなら、間違いなく

(むかったはずのほうこうをめざし、ならんでうまをしっそうさせた)

向かったはずの方向を目指し、並んで馬を疾走させた」

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