バスカヴィル家の犬19
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問題文
(わたしがそうぞうしていたとおりです さーへんりーはいった。きゅうかのいえそのもの)
「私が想像していたとおりです」サー・ヘンリーは言った。「旧家の家そのもの
(というすがたではないですか?500ねんかんかけいのにんげんがすんでいたほーるだとおもうと)
という姿ではないですか?500年間家系の人間が住んでいたホールだと思うと
(げんしゅくなきもちになりますね わたしはかれがあたりをみまわしたとき、くろいかおが)
厳粛な気持ちになりますね」私は彼があたりを見回した時、黒い顔が
(しょうねんのようなこうきしんにみちているのをみた。かれがたっているところはひかりが)
少年のような好奇心に満ちているのを見た。彼が立っているところは光が
(あたっていたが、ながいかげがかべをつたい、おおきなくろいてんがいのように)
当たっていたが、長い影が壁をつたい、大きな黒い天蓋のように
(たれさがっていた。ばりもあはわたしたちのにもつをへやにおいてから)
垂れ下がっていた。バリモアは私たちの荷物を部屋に置いてから
(もどってきていた。かれはいま、よくくんれんされたしようにんのひかえめなたいどでわれわれのまえに)
戻ってきていた。彼は今、よく訓練された使用人の控えめな態度で我々の前に
(たっていた。かれはひぼんなかんじのおとこだった。せがたかく、ととのったかおだちで、)
立っていた。彼は非凡な感じの男だった。背が高く、整った顔立ちで、
(くろいしかくいあごひげに、あおじろいきひんのあるひょうじょうをしていた。すぐにゆうしょくに)
黒い四角い顎鬚に、青白い気品のある表情をしていた。「すぐに夕食に
(なさいますか?もうできているのか?ほんのすうふんでできます。)
なさいますか?」「もう出来ているのか?」「ほんの数分でできます。
(へやにはおゆがございます。さーへんりー、つまとわたしはへんりーさまがあらたな)
部屋にはお湯がございます。サー・ヘンリー、妻と私はヘンリー様が新たな
(だんどりをととのえるまでいっしょにいられてこうえいです。しかしかんきょうがあたらしくなれば、)
段取りを整えるまで一緒にいられて光栄です。しかし環境が新しくなれば、
(このいえにはたくさんのしようにんがひつようとなるでしょう あたらしいかんきょう?)
この家には沢山の使用人が必要となるでしょう」「新しい環境?」
(わたしがもうしあげたいのは、さーちゃーるずはひじょうにひっそりとせいかつしていた)
「私が申し上げたいのは、サー・チャールズは非常にひっそりと生活していた
(ことです。だから、わたしたちふうふでだんなさまのおせわをすることができました。)
ことです。だから、私たち夫婦で旦那様のお世話をする事ができました。
(へんりーさまはとうぜん、もっとひとをしょうたいしたいはずですから、しようにんをかえるひつようが)
ヘンリー様は当然、もっと人を招待したいはずですから、使用人を変える必要が
(ございます おまえたちふうふはやめたいというのか?へんりーさまの)
ございます」「お前たち夫婦は辞めたいというのか?」「ヘンリー様の
(ごつごうがよくなればです しかしおまえのかぞくはなんせだいにもわたってずっと)
御都合が良くなればです」「しかしお前の家族は何世代にも渡ってずっと
(ここではたらいていたんじゃないのか?あたらしいせいかつをはじめるにあたって、まっさきに)
ここで働いていたんじゃないのか?新しい生活を始めるにあたって、真っ先に
(ふるいかぞくのきずなをきるというのは、つらすぎる しつじのしろいかおにこころをうごかされた)
古い家族の絆を切るというのは、辛すぎる」執事の白い顔に心を動かされた
(ようすがみえたようにおもえた。わたしもおなじようにかんじています、わたしのつまも)
様子が見えたように思えた。「私も同じように感じています、私の妻も
(おなじです。しかしじつをいうと、わたしたちふうふはひじょうにさーちゃーるずをしたって)
同じです。しかし実を言うと、私達夫婦は非常にサー・チャールズを慕って
(おりました。わたしたちはだんなさまのしにしょっくをうけ、このばしょはひじょうにつらいばしょに)
おりました。私達は旦那様の死にショックを受け、この場所は非常に辛い場所に
(なりました。わたしはばすかヴぃるかんではにどとこころがやすらぐときがないだろうと)
なりました。私はバスカヴィル館では二度と心が安らぐ時がないだろうと
(おもっています しかしどうするつもりだ?なにかのしごとをみつけて、きっと)
思っています」「しかしどうするつもりだ?「何かの仕事を見つけて、きっと
(せいかつできるようになるとおもいます。かんだいなさーちゃーるずにいただいたしきんが)
生活できるようになると思います。寛大なサー・チャールズにいただいた資金が
(もとでになるはずです。さあ、まずは、あなたがたをおへやにごあんない)
元手になるはずです。さあ、まずは、あなた方をお部屋にご案内
(いたしましょう ふるいほーるのじょうぶをとりかこむように、しかくいてすりつきの)
いたしましょう」古いホールの上部を取り囲むように、四角い手すりつきの
(かいろうがあり、そこにあがるかいだんがふたつあった。このちゅうおうのばしょから、ながいろうかが)
回廊があり、そこに上る階段が二つあった。この中央の場所から、長い廊下が
(にほん、たてものぜんたいにのびており、しんしつのとびらはすべてそのろうかにあった。わたしのしんしつは)
二本、建物全体に伸びており、寝室の扉はすべてその廊下にあった。私の寝室は
(ばすかヴぃるのしんしつとおなじとうにあり、ほとんどとなりどうしだった。これらのへやは)
バスカヴィルの寝室と同じ棟にあり、ほとんど隣同士だった。これらの部屋は
(いえのちゅうおうぶぶんにくらべると、かなりあたらしいもののようだった。そしてあかるいかべがみと)
家の中央部分に比べると、かなり新しいもののようだった。そして明るい壁紙と
(たくさんのろうそくによって、わたしたちがとうちゃくしたときにかんじたくらいいんしょうがすこしうすれた。)
沢山のロウソクによって、私たちが到着した時に感じた暗い印象が少し薄れた。
(しかしほーるにつながるしょくどうは、くらくていんきなばしょだった。それはほそながいへやで、)
しかしホールに繋がる食堂は、暗くて陰気な場所だった。それは細長い部屋で、
(かぞくがすわるこうざは、しようにんのためによういされたひくいぶぶんとだんさで)
家族が座る高座は、使用人のために用意された低い部分と段差で
(しきられていた。つきあたりのへやをみくだすようなばしょにえんそうかのさじきが)
仕切られていた。突き当たりの部屋を見下すような場所に演奏家の桟敷が
(あった。くろいはりがあたまのうえをのび、そのうえはけむりでくろくなったてんじょうになっていた。)
あった。黒い梁が頭の上を延び、その上は煙で黒くなった天井になっていた。
(かつてのように、ゆらめくたいまつのれつがへやをてらし、あざやかなしきさいと)
かつてのように、揺らめくたいまつの列が部屋を照らし、鮮やかな色彩と
(あらっぽいえんかいでもあれば、へやのふんいきもちがったかもしれない。しかしいま、)
荒っぽい宴会でもあれば、部屋の雰囲気も違ったかもしれない。しかし今、
(おおいをつけたらんぷがなげかけるちいさなひかりのわのなかに、くろいふくをきたおとこが)
覆いをつけたランプが投げかける小さな光の輪の中に、黒い服を来た男が
(ふたりだけでせきにつくと、はなしごえはちいさくなりきもちはおちこんできた。ずじょうには)
二人だけで席につくと、話し声は小さくなり気持ちは落ち込んできた。頭上には
(ぼんやりと、えりざべすじだいのないとからせっしょうじだいのしゃれものまで、さまざまな)
ぼんやりと、エリザベス時代のナイトから摂政時代のしゃれ者まで、様々な
(ふくそうをしたそせんたちのしょうぞうががならんでいて、わたしたちをじっとみおろしていた。)
服装をした祖先たちの肖像画が並んでいて、私たちをじっと見下ろしていた。
(そしてこのものいわぬどうせきしゃにわたしたちはいあつされた。わたしとばすかヴぃるはほとんど)
そしてこの物言わぬ同席者に私たちは威圧された。私とバスカヴィルはほとんど
(はなしをしなかった。そしてしょくじがおわり、あたらしいびりやーどしつにもどってはまきを)
話をしなかった。そして食事が終わり、新しいビリヤード室に戻って葉巻を
(いっぷくしたとき、わたしはすくわれたようなきもちだった。いやはや、あまり)
一服した時、私は救われたような気持ちだった。「いやはや、あまり
(たのしいばしょではないな さーへんりーがいった。あれでおちつくひとも)
楽しい場所ではないな」サー・ヘンリーが言った。「あれで落ち着く人も
(いるかとおもうが、いまはちょっとなじめないきがするな。こんないえにひとりで)
いるかと思うが、今はちょっとなじめない気がするな。こんな家に一人で
(すんでいたら、おじがちょっとしんけいしつになったのもふしぎではない。しかし、)
住んでいたら、叔父がちょっと神経質になったのも不思議ではない。しかし、
(もしよかったら、きょうははやくやすまないか。たぶんあさがくればもっとたのしく)
もし良かったら、今日は早く休まないか。たぶん朝が来ればもっと楽しく
(おもえるだろう わたしはべっどにいくまえに、かーてんをあけ、まどからそとをながめた。)
思えるだろう」私はベッドに行く前に、カーテンを開け、窓から外を眺めた。
(まどはげんかんほーるのしょうめんにいちするしばふにめんしていた。そのむこうには、)
窓は玄関ホールの正面に位置する芝生に面していた。その向こうには、
(つよくなってきたかぜにうなりをあげてゆれるぞうきがにほんたっていた。きそいあうように)
強くなってきた風に唸りを上げて揺れる雑木が二本立っていた。競い合うように
(ながれるくものきれまからはんげつがすがたをあらわした。そのつめたいげっこうのなかで、わたしはきの)
流れる雲の切れ間から半月が姿を現した。その冷たい月光の中で、私は木の
(むこうにみえるぎざぎざしたいわのりんかくとながくひくくうねるいんうつなこうやをながめた。)
向こうに見えるギザギザした岩の輪郭と長く低くうねる陰鬱な荒野を眺めた。
(このひのさいごのいんしょうもたいしてかわりばえがしないなとおもいながら、わたしは)
この日の最後の印象もたいして変わり映えがしないなと思いながら、私は
(かーてんをしめた。しかしそれはほんとうにさいごのいんしょうではなかったのだ。わたしは)
カーテンを閉めた。しかしそれは本当に最後の印象ではなかったのだ。私は
(つかれていたがめがさえてなかなかねむれず、ひっきりなしにねがえりをうった。)
疲れていたが目が冴えてなかなか眠れず、ひっきりなしに寝返りを打った。
(はるかとおくで、15ふんごごとにとけいのちゃいむがなった。しかしそれがおわると)
はるか遠くで、15分後ごとに時計のチャイムが鳴った。しかしそれが終わると
(このふるいいえはしのようなちんもくにつつまれた。よるがかんぜんにふけきったそのとき、とつぜん、)
この古い家は死のような沈黙に包まれた。夜が完全にふけきったその時、突然、
(わたしのみみにはっきりとひびきわたるおとがとびこんできた。ききまちがえようがなかった。)
私の耳にはっきりと響き渡る音が飛び込んで来た。聞き間違えようがなかった。
(それはじょせいのすすりなくこえだった。のどをつまらせたようにあえぎ、こえをおしころし)
それは女性のすすり泣く声だった。喉を詰まらせたようにあえぎ、声を押し殺し
(どうしようもないかなしみにこころをひきさかれたようななきごえだった。わたしはべっどに)
どうしようもない悲しみに心を引き裂かれたような泣き声だった。私はベッドに
(おきあがりいっしんにみみをかたむけた。それはとおくからきこえたものではありえない。)
起き上がり一心に耳を傾けた。それは遠くから聞こえたものではありえない。
(まちがいなくいえのなかからのこえだった。30ぷんかん、わたしはぜんしんけいをはりつめて)
間違いなく家の中からの声だった。30分間、私は全神経を張り詰めて
(まちかまえた。しかしもうおとはきこえなかった。きこえてきたのは、ただとけいの)
待ち構えた。しかしもう音は聞こえなかった。聞こえてきたのは、ただ時計の
(ちゃいむとかべのつたがゆれるおとだけだった。)
チャイムと壁のツタが揺れる音だけだった。