バスカヴィル家の犬26
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問題文
(さんにんはもどるとちゅう、めりぴっとはうすにたちよりちゅうしょくをとった。)
三人は戻る途中、メリピット・ハウスに立ち寄り昼食をとった。
(さーへんりーがすていぷるとんじょうとであったのはこのせきだった。さいしょにかのじょを)
サー・ヘンリーがステイプルトン嬢と出会ったのはこの席だった。最初に彼女を
(みたしゅんかんから、さーへんりーはつよくひきつけられたようだった。そして、)
見た瞬間から、サー・ヘンリーは強く惹きつけられたようだった。そして、
(わたしがとんでもないごかいをしているのでなければ、かのじょもおなじおもいだったようだ。)
私がとんでもない誤解をしているのでなければ、彼女も同じ思いだったようだ。
(さーへんりーはわたしといえにもどるとちゅうで、なんどもなんどもかのじょのはなしをした。そして)
サー・ヘンリーは私と家に戻る途中で、何度も何度も彼女の話をした。そして
(それいこう、このあにかいもうとをみかけないひはなくなった。こんやは、かれらがきてやかたで)
それ以降、この兄か妹を見かけない日はなくなった。今夜は、彼らが来て館で
(しょくじし、らいしゅうはわたしたちがほうもんするはなしになっている。すていぷるとんはこのふたりの)
食事し、来週は私たちが訪問する話になっている。ステイプルトンはこの二人の
(けっこんをかんげいすると、だれでもそうぞうするにちがいない。しかし、さーへんりーが)
結婚を歓迎すると、誰でも想像するに違いない。しかし、サー・ヘンリーが
(かれのいもうとにやさしくしたとき、わたしはいちどならず、すていぷるとんがはげしくふんがいした)
彼の妹に優しくした時、私は一度ならず、ステイプルトンが激しく憤慨した
(ひょうじょうになっているのをみかけた。かれはまちがいなくいもうとにたいして、ひじょうなあいちゃくを)
表情になっているのを見かけた。彼は間違いなく妹に対して、非常な愛着を
(もっている。それに、かのじょがいないとさびしいせいかつをおくることになるだろうが、)
持っている。それに、彼女がいないと寂しい生活を送る事になるだろうが、
(いもうとのこんなにすばらしいけっこんをわざわざぼうがいするのは、みがってさのきょくちにしか)
妹のこんなに素晴らしい結婚をわざわざ妨害するのは、身勝手さの極致にしか
(おもえない。しかしすていぷるとんが、ふたりっきりではなしをするきかいをあたえない)
思えない。しかしステイプルトンが、二人っきりで話をする機会を与えない
(ようにとかくさくするばめんをなんどもめにしたので、ふたりのしんこうがあいにかわるのを)
ようにと画策する場面を何度も目にしたので、二人の親交が愛に変わるのを
(のぞんでいないのは、ぎもんのよちがなかった。それはともかくとして、きみは)
望んでいないのは、疑問の余地がなかった。それはともかくとして、君は
(ぼくにたいしてさーへんりーをけっしてひとりでがいしゅつさせないようにとしじしたが、)
僕に対してサー・ヘンリーを決して一人で外出させないようにと指示したが、
(これはただでさえむずかしいのに、れんあいというじじょうがそれにくわわれば、いままでより)
これはただでさえ難しいのに、恋愛という事情がそれに加われば、今までより
(いっそうめんどうなことになるだろう。もしきみのめいれいをもじどおりじっこうにうつせば、)
いっそう面倒な事になるだろう。もし君の命令を文字通り実行に写せば、
(わたしのひょうばんはすぐにちにおちてしまいかねない。べつのひ、 せいかくにいえばこのまえの)
私の評判はすぐに地に落ちてしまいかねない。別の日、―正確に言えばこの前の
(もくようだ 、もーてぃまーいしといっしょにちゅうしょくをとった。かれはろんぐだうんで)
木曜だ―、モーティマー医師と一緒に昼食をとった。彼はロング・ダウンで
(こふんをはっくつし、せんしじだいのずがいこつをてにいれたので、それがうれしくてたまらない)
古墳を発掘し、先史時代の頭蓋骨を手にいれたので、それが嬉しくてたまらない
(らしい。かれのようにむちゅうになるにんげんはちょっといないな!すていぷるとんきょうだいが)
らしい。彼のように夢中になる人間はちょっといないな!ステイプルトン兄妹が
(あとでやってきた。せんせいはさーへんりーのもとめにおうじて、あのうんめいのよる、じっさいに)
後でやって来た。先生はサー・ヘンリーの求めに応じて、あの運命の夜、実際に
(どのようなことがおきたかをせいかくにしめすためにいちいのこみちにぜんいんを)
どのような事が起きたかを正確に示すためにイチイの小道に全員を
(つれていった。いちいのこみちは、せんていされたせのたかいいけがきのかべのあいだにあり、)
連れて行った。イチイの小道は、剪定された背の高い生垣の壁の間にあり、
(そのりょうがわがせまいくさちになっている、ながいいんきなほどうだった。つきあたりはいまにも)
その両側が狭い草地になっている、長い陰気な歩道だった。突き当たりは今にも
(くちはてそうななつのべっそうごやがあった。こみちをはんぶんくらいいったところに、)
朽ち果てそうな夏の別荘小屋があった。小道を半分くらい行ったところに、
(こうやにつづくもんがある。さーちゃーるずがはまきのはいをおとしたところだ。もんは)
荒野に続く門がある。サー・チャールズが葉巻の灰を落としたところだ。門は
(しろいきんだいてきなかたちで、かけがねがついていた。むこうはあれはてたこうやだ。わたしは)
白い近代的な形で、掛け金がついていた。向こうは荒れ果てた荒野だ。私は
(きみのじけんにたいするりろんをおもいだし、ここでおきたことをすべてあたまで)
君の事件に対する理論を思い出し、ここで起きた事をすべて頭で
(おもいえがこうとした。ろうじんがここにたっている。そのとき、かれはなにかがこうやを)
思い描こうとした。老人がここに立っている。その時、彼は何かが荒野を
(よこぎってくるのをみる。なにかかれをぞっとさせるものだ。そのためかれはしょうきをうしない)
横切ってくるのを見る。何か彼をぞっとさせるものだ。そのため彼は正気を失い
(じゅんすいなきょうふとひろうによってしにいたるまで、はしりつづけた。かれがにげたのは、)
純粋な恐怖と疲労によって死に至るまで、走り続けた。彼が逃げたのは、
(このながくうすぐらいとんねるだ。しかしなにからにげたのか?こうやのぼくようけんか?)
この長く薄暗いトンネルだ。しかし何から逃げたのか?荒野の牧羊犬か?
(またはくろくしずかなかいぶつのようなゆうれいけんか?このじけんにかいざいしているにんげんは)
または黒く静かな怪物のような幽霊犬か?この事件に介在している人間は
(いたのか?あのあおじろくようじんぶかそうなばりもあはなにかかくしているのか?すべてが)
いたのか?あの青白く用心深そうなバリモアは何か隠しているのか?すべてが
(ぼんやりとあやふやだったが、そこにはつねにはんざいのくろいかげがひそんでいるように)
ぼんやりとあやふやだったが、そこには常に犯罪の黒い影が潜んでいるように
(おもえた。わたしがこのまえのてがみをかいてからあったじんぶつがもうひとりいる。それは)
思えた。私がこの前の手紙を書いてから会った人物がもう一人いる。それは
(らふたーていのふらんくらんどしだ。かれはわれわれのみなみ、やくよんまいるのばしょに)
ラフター邸のフランクランド氏だ。彼は我々の南、約四マイルの場所に
(すんでいる。あからがおで、かみはしろく、たんきなろうじんだった。かれはいぎりすほうにじょうねつを)
住んでいる。赤ら顔で、髪は白く、短気な老人だった。彼はイギリス法に情熱を
(かたむけ、そしょうにたいきんをつぎこんでいる。かれはただたたかうよろこびのためにたたかっている。)
傾け、訴訟に大金をつぎ込んでいる。彼はただ戦う喜びのために戦っている。
(そして、こうしゅどちらがわにもおなじようにたつよういがある。したがってかれのあそびが)
そして、攻守どちら側にも同じように立つ用意がある。したがって彼の遊びが
(たかくついたとしても、おどろくにはあたらない。あるとき、かれはこうようちをふさぎ、それを)
高くついたとしても、驚くにはあたらない。ある時、彼は公用地を塞ぎ、それを
(あけろというきょうかいくにはんこうする。べつのとき、かれはたにんのもんをじぶんのてでこわし、)
開けろという教会区に反抗する。別の時、彼は他人の門を自分の手で壊し、
(しょゆうしゃがふほうしんにゅうをうったえるのもかまわず、たいこのむかしからそこはみちだったと)
所有者が不法侵入を訴えるのも構わず、太古の昔からそこは道だったと
(しゅちょうする。かれはふるいりょうちやきょうゆうのけんりにくわしく、そのちしきをかつようし、ときには)
主張する。彼は古い領地や共有の権利に詳しく、その知識を活用し、時には
(ふぁーんわーしーのむらびとのりえきをもたらし、ときにはふりえきをもたらしている。)
ファーンワーシーの村人の利益をもたらし、時には不利益をもたらしている。
(そのけっか、かれはさいしんのはんけつけっかにおうじて、むらのみちをいきようようとはこばれるか、)
その結果、彼は最新の判決結果に応じて、村の道を意気揚々と運ばれるか、
(にんぎょうとなってもやされるかをていきてきにくりかえしている。かれはげんざい7つほどの)
人形となって燃やされるかを定期的に繰り返している。彼は現在7つほどの
(そしょうをかかえているが、おそらくこれでかれはざいさんをつかいはたし、きばをぬかれて)
訴訟を抱えているが、おそらくこれで彼は財産を使い果たし、牙を抜かれて
(こんごはおとなしくなるだろうといわれている。ほうりつのことさえなければ、かれは)
今後はおとなしくなるだろうと言われている。法律のことさえなければ、彼は
(しんせつな、きのいいせいかくのじんぶつだ。だから、きみがまわりにいるにんげんのとくちょうについて)
親切な、気のいい性格の人物だ。だから、君が周りにいる人間の特徴について
(かきおくるようにと、とくにうるさくいっていなかったら、わざわざふれなかった)
書き送るようにと、特にうるさく言っていなかったら、わざわざ触れなかった
(かもしれない。かれはげんざいきみょうなことにむちゅうになっている。かれはあまちゅあの)
かもしれない。彼は現在奇妙なことに夢中になっている。彼はアマチュアの
(てんもんがくしゃで、すばらしいぼうえんきょうをもっており、それをじぶんのいえのやねのうえに)
天文学者で、素晴らしい望遠鏡を持っており、それを自分の家の屋根の上に
(おいて、いちにちじゅうこうやをなめるようにみはっている。にげたしゅうじんのすがたを)
置いて、一日中荒野をなめるように見張っている。逃げた囚人の姿を
(ちらっとでもみつけられないかときたいしているようだ。もしかれがじぶんの)
ちらっとでも見つけられないかと期待しているようだ。もし彼が自分の
(えねるぎーをこれだけについやしておれば、なにもかもへいわだ。しかし、)
エネルギーをこれだけに費やしておれば、何もかも平和だ。しかし、
(もーてぃまーはかせがしんせっきじだいのずがいこつをろんぐだうんのこふんから)
モーティマー博士が新石器時代の頭蓋骨をロング・ダウンの古墳から
(ほりだしたため、このろうじんは、きんしんしゃのどういなしにはかをあばいたというりゆうで)
掘り出したため、この老人は、近親者の同意なしに墓を暴いたという理由で
(はかせをこくそするといううわさがある。かれがいるとたいくつしないし、いきぬきがぜひとも)
博士を告訴するという噂がある。彼がいると退屈しないし、息抜きが是非とも
(ひつようなばしょにわらいをていきょうしているとおもう。いじょうで、きみに、だっそうしたしゅうじん、)
必要な場所に笑いを提供していると思う。以上で、君に、脱走した囚人、
(すていぷるとんきょうだい、もーてぃまーはかせ、らふたーていのふらんくらんどについて)
ステイプルトン兄妹、モーティマー博士、ラフター邸のフランクランドについて
(さいしんじょうほうをつたえた。さいごにいちばんじゅうようなことにふれるとしよう。ばりもあふうふに)
最新情報を伝えた。最後に一番重要な事に触れるとしよう。バリモア夫婦に
(ついてもうすこしせつめいしたい。とくにさくやのおどろくべきこうどうについてだ。)
ついてもう少し説明したい。特に昨夜の驚くべき行動についてだ。