バスカヴィル家の犬32
関連タイピング
-
プレイ回数10万歌詞200打
-
プレイ回数3.2万歌詞1030打
-
プレイ回数4309かな314打
-
プレイ回数75万長文300秒
-
プレイ回数6147歌詞かな767打
-
プレイ回数6万長文1159打
-
プレイ回数89歌詞959打
-
プレイ回数1.3万長文かな822打
問題文
(ほんとうなのか、ばりもあ?はい、さーへんりー。すべてそのとおりです)
「本当なのか、バリモア?」「はい、サー・ヘンリー。すべてその通りです」
(よし、じぶんのつまをかばったものをとがめることはできない。わたしがさっきいったことは)
「よし、自分の妻をかばった者を咎める事はできない。私がさっき言ったことは
(みずにながしてくれ。ふたりともへやにさがりなさい。このけんについては、あしたのあさ)
水に流してくれ。二人とも部屋に下がりなさい。この件については、明日の朝
(よくはなしあおう かれらがさったあと、わたしたちはもういちどまどのそとをながめた。)
よく話し合おう」彼らが去った後、私たちはもう一度窓の外を眺めた。
(さーへんりーがまどをさっとあけると、つめたいよかぜがわれわれのかおをうった。はるか)
サー・ヘンリーが窓をさっと開けると、冷たい夜風が我々の顔を打った。はるか
(とおくのくらやみに、まだちいさなきいろいひかりのてんがかがやいていた。だいたんなやつだな)
遠くの暗闇に、まだ小さな黄色い光の点が輝いていた。「大胆な奴だな」
(さーへんりーはいった。ここからしかみえないようにおいてあるのだろう)
サー・ヘンリーは言った。「ここからしか見えないように置いてあるのだろう」
(おそらくそうだろうな。あそこまでどれくらいのきょりがあるかな?)
「おそらくそうだろうな。あそこまでどれくらいの距離があるかな?」
(くれふととーからきているようだ せいぜい1-2まいるぐらいか)
「クレフト・トーから来ているようだ」「せいぜい1~2マイルぐらいか」
(そこまでないかもしれない ばりもあがたべものをはこんでいたとすれば)
「そこまでないかもしれない」「バリモアが食べ物を運んでいたとすれば
(それほどとおいはずがない。しかもこのあくとうはろうそくのそばでまっている。よし、)
それほど遠いはずがない。しかもこの悪党はロウソクの側で待っている。よし、
(わとそん、あそこまでいってあのおとこをつかまえてやろう!わたしもおなじことを)
ワトソン、あそこまで行ってあの男を捕まえてやろう!」私も同じ事を
(かんがえていた。ばりもあふさいはじしゅてきにひみつをあかしたのではない。わたしたちが)
考えていた。バリモア夫妻は自主的に秘密を明かしたのではない。私たちが
(むりにききだしたものだ。あのおとこはしゃかいにとってきけんだ。あわれみもしゃくめいも)
無理に聞き出したものだ。あの男は社会にとって危険だ。哀れみも釈明も
(ひつようのないじゅんぜんたるあくとうだ。わたしたちはこのきかいをりようして、ただかれがきょうあくな)
必要のない純然たる悪党だ。私たちはこの機会を利用して、ただ彼が凶悪な
(こういをできないばしょにつれもどすというしめいをはたすだけだ。もしわれわれがてを)
行為を出来ない場所に連れ戻すという使命を果たすだけだ。もし我々が手を
(こまねいていれば、かれのざんにんできょうぼうなせいかくによってぎせいしゃがでるかもしれない。)
こまねいていれば、彼の残忍で凶暴な性格によって犠牲者がでるかもしれない。
(たとえばこんやにでも、りんじんのすていぷるとんきょうだいがかれにおそわれるかのうせいが)
例えば今夜にでも、隣人のステイプルトン兄妹が彼に襲われる可能性が
(あるのだ。もしかすると、さーへんりーはそうかんがえたから、このぼうけんに)
あるのだ。もしかすると、サー・ヘンリーはそう考えたから、この冒険に
(のりだしたのかもしれない。いっしょにいくよ わたしはいった。ではけんじゅうをもって)
乗り出したのかもしれない。「一緒に行くよ」私は言った。「では拳銃を持って
(くつをはいてくれ。はやくしゅっぱつしたほうがいいだろう。せるでんがひかりをけしてとうそうする)
靴を履いてくれ。早く出発した方がいいだろう。セルデンが光を消して逃走する
(かもしれない 5ふんご、わたしたちはとびらのそとにでてたんけんにしゅっぱつした。くらいていぼくをこえ、)
かもしれない」5分後、私達は扉の外に出て探検に出発した。暗い低木を越え、
(にぶいあきのかぜのうなりと、かさかさいうおちばのなかをいそいですすんだ。よるのくうきは)
鈍い秋の風のうなりと、カサカサいう落ち葉の中を急いで進んだ。夜の空気は
(つよいしめりけをおび、ふしょくしたにおいがただよっていた。つきがいっしゅん、かおをのぞかせたことも)
強い湿り気を帯び、腐蝕した臭いが漂っていた。月が一瞬、顔をのぞかせた事も
(なんどかあったが、くもがそらをおおいはじめ、わたしたちがちょうどこうやにたどりついたころには)
何度かあったが、雲が空を覆い始め、私達がちょうど荒野にたどり着いた頃には
(こまかいあめがふりだした。ひかりはまだしょうめんでずっともえつづけていた。ぶきをもって)
細かい雨が降り出した。光はまだ正面でずっと燃え続けていた。「武器を持って
(いるか?わたしはたずねた。しゅりょうむちをもっている さっとおいつめないと)
いるか?」私は尋ねた。「狩猟鞭を持っている」「さっと追い詰めないと
(いけない。じぼうじきになっているというはなしだ。ふいをついておそいかかり、)
いけない。自暴自棄になっているという話だ。不意をついて襲い掛かり、
(ていこうするまえにみがらをかくほしなければ なあ、わとそん じゅんだんしゃくはいった。)
抵抗する前に身柄を確保しなければ」「なあ、ワトソン」準男爵は言った。
(ほーむずはこんかいのことをどういうかな?いまは、あくまのちからがこうようするくらやみのじかん)
「ホームズは今回の事をどう言うかな?今は、悪魔の力が高揚する暗闇の時間
(だろう?とつぜん、このことばにこたえるかのように、こうやのこうだいなやみのなかからきみょうな)
だろう?」突然、この言葉に答えるかのように、荒野の広大な闇の中から奇妙な
(さけびごえがわきおこった。わたしがこのまえぐりんぺんぬまのふちできいたのとおなじこえ)
叫び声が湧き起こった。私がこの前グリンペン沼の縁で聞いたのと同じ声
(だった。それはかぜとともにやってきた。よるのせいじゃくをつらぬいて、ながくふかいつぶやきから)
だった。それは風と共にやってきた。夜の静寂を貫いて、長く深いつぶやきから
(うなりごえへとおおきくなり、そのあとかなしげなうめきへときえていった。そのこえは)
唸り声へと大きくなり、その後悲しげなうめきへと消えていった。その声は
(なんどもなんどもひびき、たいきぜんたいが、そのおとにあわせてかんだかく、あらあらしく、いあつてきに)
何度も何度も響き、大気全体が、その音に合わせて甲高く、荒々しく、威圧的に
(みゃくどうした。じゅんだんしゃくはわたしのそでぐちをつかんだが、くらやみでもかおがあおざめているのが)
脈動した。準男爵は私の袖口をつかんだが、暗闇でも顔が青ざめているのが
(わかった。なんだあれは、わとそん?わからない。こうやでおきるおとだろう。)
分かった。「何だあれは、ワトソン?」「分からない。荒野で起きる音だろう。
(まえにいちどきいたことがある そのこえはきえさり、あたりはかんぜんなせいじゃくにつつまれて)
前に一度聞いたことがある」その声は消え去り、あたりは完全な静寂に包まれて
(いた。わたしたちはみみをこらしてじっとたっていたが、もうなにもきこえなかった。)
いた。私達は耳を凝らしてじっと立っていたが、もう何も聞こえなかった。
(わとそん じゅんだんしゃくはいった。あれはいぬのなきごえだった わたしはちのけのひく)
「ワトソン」準男爵は言った。「あれは犬の鳴き声だった」私は血の気の引く
(おもいがした。このとつぜんのきょうふたいけんをはなすとき、かれがあまりにもよわよわしいこえになって)
思いがした。この突然の恐怖体験を話す時、彼があまりにも弱々しい声になって
(いたからだ。かれらはこのおとをなんとよんでいる?かれはたずねた。)
いたからだ。「彼らはこの音を何と呼んでいる?」彼は尋ねた。
(だれのことだ?このちほうのにんげんだが?ああ、むがくなひとたちだろう。)
「誰のことだ?」「この地方の人間だが?」「ああ、無学な人たちだろう。
(どうよぶか、なぜきにするんだ?おしえてくれ、わとそん。このこえをなんと)
どう呼ぶか、なぜ気にするんだ?」「教えてくれ、ワトソン。この声を何と
(いっているんだ?わたしはこたえるのをためらったが、はぐらかすことが)
言っているんだ?」私は答えるのをためらったが、はぐらかすことが
(できなかった。ばすかヴぃるけのいぬのさけびごえだといっている かれはうめいて)
出来なかった。「バスカヴィル家の犬の叫び声だと言っている」彼はうめいて
(しばらくだまっていた。あれはいぬだった かれはついにいった。たぶん、そっちの)
しばらく黙っていた。「あれは犬だった」彼はついに言った。「多分、そっちの
(ほうがくだったとおもう。なんまいるもむこうからにきこえたようなきがする)
方角だったと思う。何マイルも向こうからに聞こえたような気がする」
(どこからきこえてきたかはっきりしないな あのこえはかぜでふるえていたな。)
「どこから聞こえて来たかはっきりしないな」「あの声は風で震えていたな。
(ぐりんぺんぬまのほうこうではなかったかな?ああ、そうだな そうだ、)
グリンペン沼の方向ではなかったかな?」「ああ、そうだな」「そうだ、
(あそこからきこえてきた。なあ、わとそん、きみもあれはいぬのなきごえと)
あそこから聞こえて来た。なあ、ワトソン、君もあれは犬の鳴き声と
(おもわなかったか?わたしはこどもではない。かまわないからほんしんをうちあけてくれ)
思わなかったか?私は子供ではない。構わないから本心を打ち明けてくれ」
(わたしがこのまえにきいたとき、すていぷるとんといっしょだった。かれはきみょうなとりのなきごえ)
「私がこの前に聞いた時、ステイプルトンと一緒だった。彼は奇妙な鳥の鳴き声
(かもしれないといっていた いや、いや、あれはいぬだった。あのはなしになにか)
かもしれないと言っていた」「いや、いや、あれは犬だった。あの話に何か
(しんじつがふくまれているのか?ほんとうにそんなにふきつなげんいんで、わたしがきけんにさらされて)
真実が含まれているのか?本当にそんなに不吉な原因で、私が危険に晒されて
(いることなどありうるのだろうか?きみはしんじていないだろう、わとそん?)
いることなどありうるのだろうか?君は信じていないだろう、ワトソン?」
(もちろんだ それでも、ろんどんでわらいとばしていたのと、このこうやの)
「もちろんだ」「それでも、ロンドンで笑い飛ばしていたのと、この荒野の
(くらやみにたってあんななきごえをきくのとでは、まったくべつものだな。それにわたしの)
暗闇に立ってあんな鳴き声を聞くのとでは、まったく別物だな。それに私の
(おじだ!おじがたおれていたちかくにいぬのあしあとがあった。これはすべてつじつまがあう。)
叔父だ!叔父が倒れていた近くに犬の足跡があった。これは全て辻褄があう。
(わたしはじぶんをいくじなしとはおもわないが、わとそん、あのおとをきいてちが)
私は自分を意気地なしとは思わないが、ワトソン、あの音を聞いて血が
(こおりついたようにかんじたよ。てをさわってみてくれ!そのてはだいりせきの)
凍りついたように感じたよ。手を触って見てくれ!」その手は大理石の
(かたまりのようにつめたかった。あしたにはげんきになるよ あのさけびごえがあたまから)
塊のように冷たかった。「明日には元気になるよ」「あの叫び声が頭から
(はなれるとはおもえない。これからどうすればいいとおもう?ひきかえそうか?)
離れるとは思えない。これからどうすればいいと思う?」「引き返そうか?」
(いや、とんでもない。あのおとこをつかまえにでてきたんだ。ぜひそうしよう。)
「いや、とんでもない。あの男を捕まえに出てきたんだ。是非そうしよう。
(われわれはしゅうじんをおう。そして、もしかすると、じごくのいぬがわれわれのあとをおう。)
我々は囚人を追う。そして、もしかすると、地獄の犬が我々の後を追う。
(いこう!じごくのあくまがいっぴきのこらずこうやにでてきたのか、みとどけてやろう)
行こう!地獄の悪魔が一匹残らず荒野に出てきたのか、見届けてやろう」