バスカヴィル家の犬44

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プレイ回数1865難易度(4.2) 5253打 長文 かな 長文モード可
シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。

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問題文

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(しかしそれはたしかなのか、ほーむず?どうやってあのじょせいがかれのつまだと)

「しかしそれは確かなのか、ホームズ?どうやってあの女性が彼の妻だと

(わかったんだ?すていぷるとんがきみとはじめてあったとき、じぶんのほんとうのかこを)

分かったんだ?」「ステイプルトンが君と初めて会った時、自分の本当の過去を

(ちょっともらすという、うかつなことをやったからだ。おそらくかれは、なんども)

ちょっと漏らすという、うかつなことをやったからだ。おそらく彼は、何度も

(こうかいしただろうな。かれはもといぎりすほくぶのきょういんだった。さてここで、きょうしほど)

後悔しただろうな。彼は元イギリス北部の教員だった。さてここで、教師ほど

(かんたんにけいれきをおえるしょくぎょうはほかにない。がっこうかんけいのきかんがあって、それをつかえば)

簡単に経歴を追える職業は他にない。学校関係の機関があって、それを使えば

(このしょくぎょうにじゅうじしたことがあるにんげんはだれでもさがしだせる。ちょっとしらべただけで)

この職業に従事したことがある人間は誰でも探し出せる。ちょっと調べただけで

(あるがっこうがひどいじょうたいではたんしていたことがわかった。そしてそのしょゆうしゃだった)

ある学校がひどい状態で破綻していたことが分かった。そしてその所有者だった

(おとこは、なまえはちがっていたが、つまといっしょにしっそうしていた。そのふたりのにんそうは)

男は、―名前は違っていたが― 、妻と一緒に失踪していた。その二人の人相は

(すていぷるとんといっちした。ゆくえふめいのおとこがこんちゅうがくにせんしんしていたことをぼくが)

ステイプルトンと一致した。行方不明の男が昆虫学に専心していたことを僕が

(つかんだとき、もううたがいはなくなった やみがはれつつあったが、ほとんどのぶぶんは)

つかんだ時、もう疑いはなくなった」闇が晴れつつあったが、ほとんどの部分は

(まだかげのなかだった。もしあのじょせいがまちがいなくかれのつまなら、)

まだ影の中だった。「もしあの女性が間違いなく彼の妻なら、

(みせすろーららいおんずのたちばはどうなる?わたしはたずねた。きみのちょうさに)

ミセス・ローラ・ライオンズの立場はどうなる?」私は尋ねた。「君の調査に

(よってはっきりしたてんのひとつがそれだ。きみはあのじょせいとはなしをして、じょうきょうを)

よってはっきりした点のひとつがそれだ。君はあの女性と話をして、状況を

(ひじょうにはっきりさせた。ぼくはかのじょとおっとのあいだにりこんばなしがもちあがっているとは)

非常にはっきりさせた。僕は彼女と夫の間に離婚話が持ち上がっているとは

(しらなかった。しかしこのりこんばなしと、すていぷるとんがみこんのおとこのふりを)

知らなかった。しかしこの離婚話と、ステイプルトンが未婚の男の振りを

(していることをかんがえれば、かのじょはまちがいなくすていぷるとんのつまになることを)

していることを考えれば、彼女は間違いなくステイプルトンの妻になることを

(かんがえている ということは、かのじょがだまされたとしればどうなる?)

考えている」「ということは、彼女が騙されたと知ればどうなる?」

(そうなれば、あのじょせいはわれわれのみかたになるだろう。まず、まっさきにするべきは)

「そうなれば、あの女性は我々の味方になるだろう。まず、真っ先にするべきは

(あしたふたりでかのじょとあうことだ。しかし、わとそん、きみはじぶんのにんむをかなり)

明日二人で彼女と会うことだ。しかし、ワトソン、君は自分の任務をかなり

(ながいあいだほうきしているとはおもわないか。きみはいまごろ、ばすかヴぃるかんにいなければ)

長い間放棄しているとは思わないか。君は今頃、バスカヴィル館にいなければ

など

(ならないはずだ さいごのあかいかがやきがにしのそらにきえ、こうやによるがおとずれていた。)

ならないはずだ」最後の赤い輝きが西の空に消え、荒野に夜が訪れていた。

(さいごにきかせてくれ、ほーむず わたしはたちあがりながらいった。きみとわたしの)

「最後に聞かせてくれ、ホームズ」私は立ち上がりながら言った。「君と私の

(あいだでひみつにしておくひつようないだろう。いったいぜんたい、このじけんにはどういういみが)

間で秘密にしておく必要ないだろう。一体全体、この事件にはどういう意味が

(あるんだ?かれのもくてきはなんだ?へんとうするとき、ほーむずのこえはちいさくなった。)

あるんだ?彼の目的は何だ?」返答する時、ホームズの声は小さくなった。

(さつじんだ、わとそん、 せんれんされた、れいけつな、けいかくてきさつじんだ。しょうさいはきかないで)

「殺人だ、ワトソン、―洗練された、冷血な、計画的殺人だ。詳細は聞かないで

(くれ。ぼくのあみはかれのまわりですぼめられつつある。かれのあみがさーへんりーに)

くれ。僕の網は彼の周りですぼめられつつある。彼の網がサー・ヘンリーに

(かかっていても、きみのたすけでかれはほとんどぼくのてのなかにある。しかしわれわれを)

かかっていても、君の助けで彼はほとんど僕の手の中にある。しかし我々を

(おどかすきけんがひとつある。それはわれわれのじゅんびがととのうまえにかれがこうどうをおこすことだ。)

脅かす危険が一つある。それは我々の準備が整う前に彼が行動を起こすことだ。

(あといちにちで、さいちょうでもふつかで、ぼくはこのじけんをかいけつできる。しかしそれまで)

あと一日で、―最長でも二日で―、僕はこの事件を解決できる。しかしそれまで

(さいあいのははおやがびょうきのこどもをかんびょうするように、しっかりとめをくばってきみのにんむを)

最愛の母親が病気の子供を看病するように、しっかりと目を配って君の任務を

(はたしてくれ。きみのきょうのこうどうはせいとうなものだが、それでも、ぼくはおもわずきみが)

果たしてくれ。君の今日の行動は正当なものだが、それでも、僕は思わず君が

(かれのそばについていてほしかったとかんがえたりする。あれはなんだ!)

彼の側についていて欲しかったと考えたりする。あれは何だ!」

(おそろしいさけびごえ、きょうふとくつうのながいひめいが、とつじょこうやのせいじゃくをやぶった。)

恐ろしい叫び声、―恐怖と苦痛の長い悲鳴が―、突如荒野の静寂を破った。

(そのおそろしいさけびごえにわたしはちがこおるおもいがした。なんだ!わたしはあえいだ。)

その恐ろしい叫び声に私は血が凍る思いがした。「何だ!」私はあえいだ。

(あれはなんだ?どういうことだ?ほーむずはぱっとたちあがった。そして)

「あれは何だ?どういうことだ?」ホームズはぱっと立ち上がった。そして

(こやのとぐちにかれのくろいきょうけんなしるえっとがみえた。かれは、かたをまるめ、あたまをまえに)

小屋の戸口に彼の黒い強健なシルエットが見えた。彼は、肩を丸め、頭を前に

(つきだし、かおはくらやみのなかをのぞきこんでいた。しっ!かれはささやいた。)

突き出し、顔は暗闇の中を覗きこんでいた。「シッ!」彼はささやいた。

(しっ!もうれつなこえだったのでさけびはおおきくきこえた。しかしそれはくらいだいちの)

「シッ!」猛烈な声だったので叫びは大きく聞こえた。しかしそれは暗い大地の

(どこかはるかかなたからひびいてきていた。そのときぜんかいいじょうにちかく、おおきく、)

どこかはるか彼方から響いてきていた。その時前回以上に近く、大きく、

(きんぱくしたさけびがみみにとびこんできた。どこだ?ほーむずはささやいた。)

緊迫した叫びが耳に飛び込んで来た。「どこだ?」ホームズはささやいた。

(そしてわたしはかれのこえのふるえからてつのおとこのほーむずがかんぜんにどうようしていると)

そして私は彼の声の震えから鉄の男のホームズが完全に動揺していると

(わかった。どこだ、わとそん?あっちじゃないかとおもうが わたしはくらやみを)

分かった。「どこだ、ワトソン?」「あっちじゃないかと思うが」私は暗闇を

(ゆびさしした。いや、あっちだ!ふたたびくのうのさけびが、これまでよりもおおきく、)

指差した。「いや、あっちだ!」再び苦悩の叫びが、これまでよりも大きく、

(ずっとちかくから、しずかなよるをこえてやってきた。そしてそれにまじってべつのおとが)

ずっと近くから、静かな夜を越えてやってきた。そしてそれに混じって別の音が

(きこえた。おもくふめいりょうなごろごろというおと、おんがくてきだがいあつかんがあり、ひくい、)

聞こえた。重く不明瞭なゴロゴロという音、音楽的だが威圧感があり、低い、

(たえまないうみのざわめきのようにじょうげするおとだった。いぬだ!ほーむずが)

絶え間ない海のざわめきのように上下する音だった。「犬だ!」ホームズが

(さけんだ。こい、わとそん、こい!なんということだ。ておくれでなければ)

叫んだ。「来い、ワトソン、来い!なんということだ。手遅れでなければ

(いいが!かれはこうやへすばやくかけだしていた。そしてわたしはかれのすぐあとをおって)

いいが!」彼は荒野へ素早く駆け出していた。そして私は彼のすぐ後を追って

(いた。しかしこのとき、われわれのすぐまえにあるぬかるんだだいちのどこかから、さいごの)

いた。しかしこの時、我々のすぐ前にあるぬかるんだ大地のどこかから、最後の

(ぜつぼうてきなさけびがあがり、それにつづいてにぶくおもいどさっというおとがきこえた。)

絶望的な叫びが上がり、それに続いて鈍く重いドサッという音が聞こえた。

(われわれはたちどまりみみをすました。かぜのないよるのおもくるしいちんもくをやぶるおとはもう)

我々は立ち止まり耳を澄ました。風のない夜の重苦しい沈黙を破る音はもう

(こなかった。わたしはほーむずがとりみだしたようにひたいにてをあてるのをみた。かれは)

来なかった。私はホームズが取り乱したように額に手を当てるのを見た。彼は

(じぶんのにんむをほうきしたけっかがこれだ!しかし、かならず、もしさいあくのことが)

「自分の任務を放棄した結果がこれだ!しかし、必ず、もし最悪のことが

(おきたならかならずかたきをとってやる!わたしたちはくらやみのなかをてさぐりではしった。いわに)

起きたなら必ず仇をとってやる!」私達は暗闇の中を手探りで走った。岩に

(ぶつかり、はりえにしだのしげみをかきわけ、いきをきらせておかをのぼり、しゃめんを)

ぶつかり、ハリエニシダの茂みをかき分け、息を切らせて丘を登り、斜面を

(かけおり、おそろしいこえがやってきたほうこうにむかってひたすらはしった。)

駆け下り、恐ろしい声がやって来た方向に向かってひたすら走った。

(たかいところにくるたびにほーむずはねっしんにあたりをみまわしたが、こうやのかげはくらく)

高いところに来るたびにホームズは熱心にあたりを見回したが、荒野の影は暗く

(こうりょうとしたじめんにうごくものはなかった。なにかみえるか?なにも いや、)

荒涼とした地面に動くものはなかった。「何か見えるか?」「何も」「いや、

(みみをすませろ、あれはなんだ?ひくいうめきがわれわれのみみにいった。ひだりがわからまた)

耳を澄ませろ、あれは何だ?」低いうめきが我々の耳に入った。左側からまた

(きこえた!そのほうこうは、いわのりょうせんがきりたったがけになっていて、いわがちりばめ)

聞こえた!その方向は、岩の稜線が切り立った崖になっていて、岩がちりばめ

(られたしゃめんのうえにつきでていた。そのぎざぎざしためんに、はねをひろげたわしのような)

られた斜面の上に突き出ていた。そのギザギザした面に、羽を広げた鷲のような

(くろいみょうなかたちのぶったいがあった。わたしたちがそこへはしっていくと、ぼんやりとした)

黒い妙な形の物体があった。私達がそこへ走っていくと、ぼんやりとした

(りんかくせんがはっきりとしたかたちをとった。それはうつぶせにじめんにたおれたおとこだった。)

輪郭線がはっきりとした形をとった。それはうつ伏せに地面に倒れた男だった。

(あたまはからだのしたにおそろしいかくどでおりたたまれていた。あたかもちゅうがえりをしているさいちゅう)

頭は体の下に恐ろしい角度で折り畳まれていた。あたかも宙返りをしている最中

(のようにかたはまるめられせはゆみなりになっていた。そのしせいがあまりにもきかい)

のように肩は丸められ背は弓なりになっていた。その姿勢があまりにも奇怪

(だったので、わたしはきこえてきたうめきごえがかれのだんまつまだったことに、いっしゅん)

だったので、私は聞こえてきたうめき声が彼の断末魔だったことに、一瞬

(きづかなかった。わたしたちがかがみこんでいるくろいぶったいは、もうなんのおとも)

気づかなかった。私たちがかがみ込んでいる黒い物体は、もう何の音も

(たてなかった。ほーむずはそのからだにふれ、おそろしいさけびをあげてもういちどてを)

たてなかった。ホームズはその体に触れ、恐ろしい叫びを上げてもう一度手を

(あげた。かれがすったまっちのきらめきが、ちがべっとりとついたてをてらし、)

上げた。彼が吸ったマッチのきらめきが、血がべっとりとついた手を照らし、

(ぎせいしゃのくだけたずがいこつからでてゆっくりとひろがっていくちだまりをてらした。)

犠牲者の砕けた頭蓋骨から出てゆっくりと広がっていく血だまりを照らした。

(そのまっちは、わたしたちをぼうぜんとさせるべつのぶったいをもてらしだした。そのしたいは)

そのマッチは、私たちを呆然とさせる別の物体をも照らし出した。その死体は

(さーへんりーばすかヴぃるだったのだ!)

サー・ヘンリー・バスカヴィルだったのだ!

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