バスカヴィル家の犬45

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プレイ回数2024難易度(4.2) 5136打 長文 かな 長文モード可
シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(ほーむずもわたしもみまちがえようがなかった。どくとくのあかみがかったついーどの)

ホームズも私も見間違えようがなかった。独特の赤味がかったツイードの

(すーつ、それはわれわれがべいかーがいでかれとはじめてあったあさ、かれがきていたまさに)

スーツ、それは我々がベイカー街で彼と初めて会った朝、彼が着ていたまさに

(そのふくだった。わたしたちはいっしゅん、それをはっきりとめにした。そのあとまっちのひは)

その服だった。私たちは一瞬、それをはっきりと目にした。その後マッチの火は

(ふたりのこころからきぼうのひがきえたかのように、ゆらめいてきえた。ほーむずは)

二人の心から希望の火が消えたかのように、揺らめいて消えた。ホームズは

(うめいた。そしてかれのかおはくらやみでしろくうかびあがった。けものめ!けものめ!わたしは)

うめいた。そして彼の顔は暗闇で白く浮かび上がった。「獣め!獣め!」私は

(りょうてをにぎりしめてさけんだ。ああ、ほーむず、かれからはなれてこんなめにあわせた)

両手を握り締めて叫んだ。「ああ、ホームズ、彼から離れてこんな目にあわせた

(じぶんじしんがゆるせない もっとひなんされるのはぼくのほうだ、わとそん。きれいに)

自分自身が許せない」「もっと非難されるのは僕の方だ、ワトソン。綺麗に

(まわりをかこってからけりをつけようとして、ぼくはいらいにんをぎせいにしてしまった。)

回りを囲ってからケリをつけようとして、僕は依頼人を犠牲にしてしまった。

(これは、ぼくがたんていぎょうでうけたさいだいのしょうげきだ。しかしゆめにもおもわなかった、)

これは、僕が探偵業で受けた最大の衝撃だ。しかし夢にも思わなかった、

(ゆめにもおもわなかった 、ぼくがあれほどけいこくしたのにもかかわらず、ひとりでこうやに)

―夢にも思わなかった―、僕があれほど警告したのにも関わらず、一人で荒野に

(いくようないのちしらずなまねをするとは わたしたちはかれのさけびごえをきいた)

行くような命知らずな真似をするとは」「私たちは彼の叫び声を聞いた

(のに、 ああ、あのさけびごえ! すくうことができなかった!かれをしにおいやった)

のに、―ああ、あの叫び声!―救う事が出来なかった!彼を死に追いやった

(やばんないぬはどこにいる?このしゅんかんもあのいわのあいだにひそんでいるかもしれん。そして)

野蛮な犬はどこにいる?この瞬間もあの岩の間に潜んでいるかもしれん。そして

(すていぷるとんだ。やつはどこだ?このつぐないをさせてやる つぐないはぼくがきっと)

ステイプルトンだ。奴はどこだ?この償いをさせてやる」「償いは僕がきっと

(させる。おじとおいがころされた、 ひとりはあのけものをみただけでそれをちょうしぜんのもの)

させる。叔父と甥が殺された、―一人はあの獣を見ただけでそれを超自然のもの

(だとおもい、きょうふでしんだ。もうひとりはそれからにげようととりみだしてしんだ。)

だと思い、恐怖で死んだ。もう一人はそれから逃げようと取り乱して死んだ。

(しかしいま、われわれはあのおとこと、そのけもののかんけいをしょうめいしなければならない。われわれが)

しかし今、我々はあの男と、その獣の関係を証明しなければならない。我々が

(みみにしたこえいがい、いぬのそんざいをしょうめいするものはない。さーへんりーのしいんは)

耳にした声以外、犬の存在を証明する物はない。サー・ヘンリーの死因は

(あきらかについらくしだ。しかし、ちくしょう、なんてずるがしこいやつだ。もういちにちあれば)

明らかに墜落死だ。しかし、畜生、なんてずる賢い奴だ。もう一日あれば

(あいつをつかまえられたのに!わたしたちは、ながくつらいほねおりがこんなにも)

あいつを捕まえられたのに!」私たちは、長くつらい骨折りがこんなにも

など

(かなしいけつまつでおわるという、とつぜんのとりかえしのつかないさんじにうちのめされ、)

悲しい結末で終わるという、突然の取り返しのつかない惨事に打ちのめされ、

(ねじまがったしたいのりょうがわでつらさをかみしめながらたっていた。そのときつきが)

捻じ曲がった死体の両側で辛さを噛み締めながら立っていた。その時月が

(のぼったので、わたしたちはあわれなゆうじんがおちたいわのちょうじょうにのぼった。そしてその)

昇ったので、私たちは哀れな友人が落ちた岩の頂上に登った。そしてその

(いただきからはんぶんぎんいろではんぶんやみのくらいこうやにめをこらした。とおく、すうまいるむこう、)

頂きから半分銀色で半分闇の暗い荒野に目を凝らした。遠く、数マイル向こう、

(ぐりんぺんのほうがくに、ひとつのきいろいひかりがずっとかがやきつづけていた。それはひとざと)

グリンペンの方角に、一つの黄色い光がずっと輝き続けていた。それは人里

(はなれたすていぷるとんきょうだいのいえのあかりにちがいなかった。わたしはそれをみながら、)

離れたステイプルトン兄弟の家の明かりに違いなかった。私はそれを見ながら、

(にがいののしりをつぶやいて、こぶしをつきだした。なぜすぐにかれをつかまえない?)

苦い罵りをつぶやいて、拳を突き出した。「なぜすぐに彼を捕まえない?」

(このじけんはかいけつできていない。あのおとこはきょくどにようじんぶかくずるがしこい。なにをしって)

「この事件は解決できていない。あの男は極度に用心深くずる賢い。何を知って

(いるかがもんだいではない、なにをしょうめいできるかだ。もしまちがったこうどうをとれば、あの)

いるかが問題ではない、何を証明できるかだ。もし間違った行動をとれば、あの

(あくとうはここからにげだすかもしれない わたしたちになにができるんだ?あしたに)

悪党はここから逃げ出すかもしれない」「私たちに何ができるんだ?」「明日に

(なればやることはいっぱいある。こんやできるのはかわいそうなゆうじんのつやをする)

なればやることはいっぱいある。今夜出来るのは可哀想な友人の通夜をする

(ことだけだ わたしたちはいっしょにきりたったしゃめんをくだり、ぎんいろのいわのうえにくろく)

事だけだ」私たちは一緒に切り立った斜面を下り、銀色の岩の上に黒く

(はっきりとうかぶしたいにちかづいた。ねじまげられたししのくつうが、ちんつうなしょうどうと)

はっきりと浮かぶ死体に近づいた。捻じ曲げられた四肢の苦痛が、沈痛な衝動と

(ともにわたしのこころをうち、めからなみだがあふれてきた。たすけをよばないといけないな、)

共に私の心を打ち、目から涙が溢れてきた。「助けを呼ばないといけないな、

(ほーむず!かれをやかたまではこんでいくのはむりだ。なにごとだ。きでもくるったか?)

ホームズ!彼を館まで運んでいくのは無理だ。何事だ。気でも狂ったか?」

(かれはさけびごえをあげ、したいにかがみこんでいた。いま、かれはこおどりしてわらいながら)

彼は叫び声を上げ、死体にかがみこんでいた。今、彼は小躍りして笑いながら

(わたしのてをにぎりしめた。これがきびしく、じせいしんのあるわたしのゆうじんか?こんなにあついおとこ)

私の手を握り締めた。これが厳しく、自制心のある私の友人か?こんなに熱い男

(だったとは!あごひげだ!あごひげだ!このおとこはあごひげがある!)

だったとは!「あごひげだ!あごひげだ!この男はあごひげがある!」

(あごひげ?これはじゅんだんしゃくじゃない、 このしたいは 、なんとぼくの)

「あごひげ?」「これは準男爵じゃない、―この死体は―、なんと僕の

(こうやなかまだ。あのしゅうじんだよ!わたしたちは、こうふんにいきせききってしたいをひっくり)

荒野仲間だ。あの囚人だよ!」私たちは、興奮に息せき切って死体をひっくり

(かえした。ちがしたたるあごひげがつめたくさえたつきをさした。つきでたひたいとどうぶつの)

返した。血がしたたるあごひげが冷たく冴えた月を差した。突き出た額と動物の

(ようなくぼんだめは、みまちがえようがなかった。いわのうえのろうそくのひかりにてらし)

ような窪んだ目は、見間違えようがなかった。岩の上のロウソクの光に照らし

(だされたしゅうじんのせるでんのかおだった。そのしゅんかんわたしにはすべてがめいはくになった。わたしは)

出された囚人のセルデンの顔だった。その瞬間私には全てが明白になった。私は

(じゅんだんしゃくがじぶんのふるぎをばりもあにわたしたとはなしたのをおぼえていた。ばりもあは)

準男爵が自分の古着をバリモアに渡したと話したのを覚えていた。バリモアは

(とうぼうするときのふくとして、それをせるでんにわたしたのだ。くつ、しゃつ、ぼうし、)

逃亡する時の服として、それをセルデンに渡したのだ。靴、シャツ、帽子、

(それはすべてさーへんりーのものだった。もちろん、だれがしんだにせよ、この)

それはすべてサー・ヘンリーのものだった。もちろん、誰が死んだにせよ、この

(さんげきはむごたらしかった。しかしこのおとこはいぎりすのほうりつではすくなくともしに)

惨劇はむごたらしかった。しかしこの男はイギリスの法律では少なくとも死に

(あたいするようなことをしたのだ。わたしはほーむずにこのじじょうをせつめいした。わたしのこころは)

値するような事をしたのだ。私はホームズにこの事情を説明した。私の心は

(かんしゃとよろこびではちきれんばかりだった。ではこのふくがあわれなおとこにしをまねいた)

感謝と喜びではちきれんばかりだった。「ではこの服が哀れな男に死を招いた

(わけか かれはいった。いぬがさーへんりーのもちものから、かれのにおいをおう)

わけか」彼は言った。「犬がサー・ヘンリーの持ち物から、彼の臭いを追う

(ようにちょうきょうされたのはめいはくだ。 どうかんがえてもほてるからぬすんだくつだ 、だから)

ように調教されたのは明白だ。―どう考えてもホテルから盗んだ靴だ―、だから

(このおとこもおいかけられたのだ。しかしひとつひじょうにきみょうなことがある。どうやって)

この男も追いかけられたのだ。しかし一つ非常に奇妙なことがある。どうやって

(せるでんは、このくらやみのなかで、いぬがおいかけてくるときづいたんだろう?)

セルデンは、この暗闇の中で、犬が追いかけてくると気づいたんだろう?」

(こえをきいたんだ こうやでいぬのこえをきいたとしても、このしゅうじんのようにがんきょうな)

「声を聞いたんだ」「荒野で犬の声を聞いたとしても、この囚人のように頑強な

(おとこが、ほっさてきなきょうふをかんじて、もういちどつかまるきけんをおかしてまでおおごえでたすけを)

男が、発作的な恐怖を感じて、もう一度捕まる危険を冒してまで大声で助けを

(よぶようなせいしんじょうたいになるわけがない。あのさけびごえからすれば、かれはいぬに)

呼ぶような精神状態になるわけがない。あの叫び声からすれば、彼は犬に

(おわれているとわかったあと、かなりながいきょりをはしったはずだ。どうやっていぬが)

追われていると分かった後、かなり長い距離を走ったはずだ。どうやって犬が

(やってくるとわかったんだろう?わたしがいちばんふしぎなのは、もしわれわれのおくそくが)

やってくると分かったんだろう?」「私が一番不思議なのは、もし我々の憶測が

(すべてただしいとかていすれば、なぜこのいぬが ぼくにおくそくはない)

すべて正しいと仮定すれば、なぜこの犬が・・・・」「僕に憶測はない」

(そうか。では、なぜこのいぬがこんやはなされたのかだ。わたしはいつもこうやをじゆうに)

「そうか。では、なぜこの犬が今夜放されたのかだ。私はいつも荒野を自由に

(うろついていたのではないとおもう。すていぷるとんはさーへんりーがこうやに)

うろついていたのではないと思う。ステイプルトンはサー・ヘンリーが荒野に

(いるとおもうりゆうがないかぎりはなさなかったはずだ ぼくのぎもんのほうが、きみのよりも)

いると思う理由がない限り放さなかったはずだ」「僕の疑問の方が、君のよりも

(はるかにてにおえないな。なぜなら、きみのぎもんはまもなくかいしょうされるだろうが、)

はるかに手に負えないな。なぜなら、君の疑問はまもなく解消されるだろうが、

(ぼくのぎもんはえいえんになぞになるかもしれない。とうめんのもんだいは、このあわれなおとこのしたいを)

僕の疑問は永遠に謎になるかもしれない。当面の問題は、この哀れな男の死体を

(どうすればいいかだ。ほっておいてきつねやからすのえさにするわけにもいかない)

どうすればいいかだ。放っておいて狐やカラスの餌にするわけにもいかない」

(けいさつにれんらくがつくまでこやのひとつにいれたらどうかな そうだな。)

「警察に連絡がつくまで小屋の一つに入れたらどうかな」「そうだな。

(そこまでならふたりではこんでいけるにちがいない。おや、わとそん、なんだあれは?)

そこまでなら二人で運んでいけるに違いない。おや、ワトソン、何だあれは?

(あのおとこがみずからおでましだ、なんとおそろしくだいたんなやつだ!ひとこともうたがっているような)

あの男が自らお出ましだ、なんと恐ろしく大胆な奴だ!一言も疑っているような

(いいかたはするなよ、 ひとこともだ。そうしないとぼくのけいかくはめちゃくちゃになる)

言い方はするなよ、―一言もだ。そうしないと僕の計画は滅茶苦茶になる」

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