黒蜥蜴6
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 123 | 6088 | A++ | 6.2 | 96.9% | 463.8 | 2916 | 92 | 44 | 2024/09/28 |
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問題文
(くろてんしは、やさしくほほえんで、じゅんいちのひろいかたにてをまわして、こどもをでも)
黒天使は、やさしくほほえんで、潤一の広い肩に手を廻して、子供をでも
(あやすように、ちょうしをとって、かるくたたいてやった。ふじんのひざにあついしずくが)
あやすように、調子を取って、軽く叩いてやった。夫人の膝に熱いしずくが
(ぽたぽたとおちるのが、きものをとおしてかんじられた。ははははは、こっけいだわね。)
ポタポタと落ちるのが、着物を通して感じられた。「ハハハハハ、滑稽だわね。
(ふたりとも、いやにせんちになっちゃったわね。よしましょう。それよりだいじな)
二人とも、いやにセンチになっちゃったわね。よしましょう。それより大事な
(はなしがあるのよ ふじんはてをはなして、あんた、あたしをなにものだとおもう?)
話があるのよ」夫人は手をはなして、「あんた、あたしを何者だと思う?
(わからないでしょう なんだっていいんです。たとえあなたがおんなどろぼうだって、)
わからないでしょう」「なんだっていいんです。たとえあなたが女泥棒だって、
(ひとごろしだってかまいません。ぼくはあなたのどれいです ほほほほほ、)
人殺しだってかまいません。僕はあなたの奴隷です」「ホホホホホ、
(あてちゃったわね。そのとおりよ、あたしはおんなどろぼう。それから、ひとごろしもしたかも)
あてちゃったわね。その通りよ、あたしは女泥棒。それから、人殺しもしたかも
(しれないわ え、あなたが?ほほほほほ、やっぱりびっくりしたでしょ。)
しれないわ」「え、あなたが?」「ホホホホホ、やっぱりびっくりしたでしょ。
(でも、あんたにはなにをいったって、いのちをあずかっているんだからだいじょうぶ。まさか)
でも、あんたには何をいったって、命をあずかっているんだから大丈夫。まさか
(にげだしゃしないわね。それともにげだす?ぼくはあなたのどれいです かのじょの)
逃げ出しゃしないわね。それとも逃げ出す?」「僕はあなたの奴隷です」彼女の
(ひざにかけているおとこのゆびに、ぎゅっとちからがこもった。まあ、かわいいことを)
膝にかけている男の指に、ギュッと力がこもった。「まあ、可愛いことを
(いうわね。きょうからあんた、あたしの、いちのこぶんよ。ずいぶんはたらいて)
いうわね。きょうからあんた、あたしの、一の子分よ。ずいぶん働いて
(もらわなくちゃならないわ。ところで、あたしがなぜ、こんなほてるなんかに)
もらわなくちゃならないわ。ところで、あたしがなぜ、こんなホテルなんかに
(とまっているとおもう?し、ごにちまえから、みどりかわふじんというなで、このへやをかりて)
泊っていると思う?四、五日前から、緑川夫人という名で、この部屋を借りて
(いるのよ。それはね、ねらったとりがおなじほてるにたいざいしているからなの。それが)
いるのよ。それはね、ねらった鳥が同じホテルに滞在しているからなの。それが
(たいへんなおおもので、あたしひとりじゃ、ちょっとこころぼそかったところへ、)
大へんな大物で、あたし一人じゃ、ちょっと心細かったところへ、
(うまいぐあいにあんたがきてくれてこころじょうぶだわ かねもちですか ああ、)
うまいぐあいにあんたがきてくれて心丈夫だわ」「金持ちですか」「ああ、
(かねもちもかねもちだけれど、あたしのもくてきはおかねではないの。このよの)
金持ちも金持ちだけれど、あたしの目的はお金ではないの。この世の
(うつくしいものといううつくしいものを、すっかりあつめてみたいのがあたしの)
美しいものという美しいものを、すっかり集めてみたいのがあたしの
(ねんがんなのよ。ほうせきやびじゅつひんやうつくしいひとや・・・・・・え、にんげんまでも?そうよ。)
念願なのよ。宝石や美術品や美しい人や……」「え、人間までも?」「そうよ。
(うつくしいにんげんは、びじゅつひんいじょうだわ。このほてるにいるとりっていうのはね、)
美しい人間は、美術品以上だわ。このホテルにいる鳥っていうのはね、
(おとうさんにつれられた、それはそれはうつくしいおおさかのいとはんなの じゃ、その)
お父さんに連れられた、それはそれは美しい大阪のいとはんなの」「じゃ、その
(おじょうさんをぬすもうというのですか ことごとにいがいなくろてんしのことばに、)
お嬢さんを盗もうというのですか」ことごとに意外な黒天使の言葉に、
(じゅんいちせいねんは、またしてもめんくらわなければならなかった。そうなの。でも、)
潤一青年は、またしてもめんくらわなければならなかった。「そうなの。でも、
(ただのしょうじょゆうかいともちがうのよ。そのむすめさんをたねに、おとうさんのもっている)
ただの少女誘拐ともちがうのよ。その娘さんを種に、お父さんの持っている
(にほんいちのだいやもんどをちょうだいしようってわけなの。おとうさんていうのは、おおさかの)
日本一のダイヤモンドを頂戴しようってわけなの。お父さんていうのは、大阪の
(おおきなほうせきしょうなのよ じゃ、あのいわせしょうかいじゃありませんか よく)
大きな宝石商なのよ」「じゃ、あの岩瀬商会じゃありませんか」「よく
(しってるわね。そのいわせしょうべえさんがここにとまっているの。ところがすこし)
知ってるわね。その岩瀬庄兵衛さんがここに泊っているの。ところが少し
(めんどうなのは、せんぽうにはあけちこごろうっていうしりつたんていがついていることです)
面倒なのは、先方には明智小五郎っていう私立探偵がついていることです」
(ああ、あけちこごろうが ちょっとてごわいあいてでしょう。さいわい、あいつは)
「ああ、明智小五郎が」「ちょっと手ごわい相手でしょう。幸い、あいつは
(あたしをすこしもしらないからいいようなものの、あけちって、むしのすかない)
あたしを少しも知らないからいいようなものの、明智って、虫のすかない
(やつだわ どうして、しりつたんていなんかやとったのでしょう。せんぽうは)
やつだわ」「どうして、私立探偵なんかやとったのでしょう。先方は
(かんづいてでもいるのですか あたしがかんづかせたのさ。あたしはね、じゅんちゃん)
感づいてでもいるのですか」「あたしが感づかせたのさ。あたしはね、潤ちゃん
(ふいうちなんてひきょうなまねはしたくないのよ。だから、いつだって、よこくなしに)
不意打ちなんて卑怯なまねはしたくないのよ。だから、いつだって、予告なしに
(どろぼうをしたことはないわ。ちゃんとよこくして、せんぽうにじゅうぶんけいかいさせておいて、)
泥棒をしたことはないわ。ちゃんと予告して、先方に充分警戒させておいて、
(たいとうにたたかうのでなくっちゃ、おもしろくない。ものをとるということよりも、)
対等に戦うのでなくっちゃ、おもしろくない。物をとるということよりも、
(そのたたかいにねうちがあるんだもの じゃ、こんどもよこくをしたのですね)
その戦いに値打ちがあるんだもの」「じゃ、こんども予告をしたのですね」
(ええ、おおさかでちゃんとよこくしてあるのよ。ああ、なんだかむねがどきどき)
「ええ、大阪でちゃんと予告してあるのよ。ああ、なんだか胸がドキドキ
(するようだわ。あけちこごろうならあいてにとってふそくはない。あいつといっきうちの)
するようだわ。明智小五郎なら相手にとって不足はない。あいつと一騎打ちの
(しょうぶをするのかとおもうと、あたしゆかいだわ。ね、じゅんちゃん、すばらしいとは)
勝負をするのかと思うと、あたし愉快だわ。ね、潤ちゃん、すばらしいとは
(おもわない?かのじょはわれとわがことばにだんだんこうふんしながら、じゅんいちせいねんのてを)
思わない?」彼女はわれとわが言葉にだんだん昂奮しながら、潤一青年の手を
(とって、かのじょのかんじょうのまにまに、それをぎゅっとにぎりしめたり、きでも)
とって、彼女の感情のまにまに、それをギュッと握りしめたり、気でも
(ちがったようにうちふったりするのであった。)
ちがったようにうち振ったりするのであった。