黒蜥蜴35
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ひま | 5070 | B+ | 5.4 | 93.5% | 609.8 | 3320 | 228 | 49 | 2024/10/15 |
2 | daifuku | 3372 | D | 3.6 | 93.3% | 899.7 | 3268 | 234 | 49 | 2024/10/19 |
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問題文
(それじゃもしや、sばしのかしで、みょうなさけびごえをたてたりみずおとをさせたり)
「それじゃもしや、S橋の河岸で、妙な叫び声を立てたり水音をさせたり
(したのも、あんたのしわざじゃなかったの?)
したのも、あんたの仕業じゃなかったの?」
(はやくみんなをよべ。じょうぶななわをもってこい。)
(手帳の文字)ハヤクミンナヲ呼ベ。丈夫ナ縄ヲモッテコイ。
(おさっしのとおりだよ。あのとききみがあぶらしょうじからかおをだしさえしなければ、)
「お察しの通りだよ。あの時君が油障子から顔を出しさえしなければ、
(こんなことにはならなかったかもしれないぜ やっぱりそうだったの。で、)
こんなことにはならなかったかもしれないぜ」「やっぱりそうだったの。で、
(それから、どうしてびこうなすったの?このかいわのうちに、じゅんいちせいねんは、)
それから、どうして尾行なすったの?」この会話のうちに、潤一青年は、
(ぬきあしさしあし、しつがいにたちさった。じてんしゃをかりてね、きみのふねを)
ぬき足さし足、室外に立ち去った。「自転車を借りてね、君の船を
(みうしなわぬように、かしからかしと、りくじょうをびこうしていったのさ。そして、よるが)
見失わぬように、河岸から河岸と、陸上を尾行して行ったのさ。そして、夜が
(ふけるのをまって、こぶねをたのんでこのほんせんにこぎつけ、くらやみのなかできょくげいのような)
ふけるのを待って、小舟を頼んでこの本船に漕ぎつけ、暗闇の中で曲芸のような
(まねをして、やっとかんぱんのうえまでのぼりついたのだよ でも、かんぱんには)
まねをして、やっと甲板の上まで登りついたのだよ」「でも、甲板には
(みはりのものがいたでしょう いたよ。だから、せんしつへおりるのにひどく)
見張りの者がいたでしょう」「いたよ。だから、船室へ降りるのにひどく
(てまどってしまった。それから、さなえさんのかんきんされているへやをみつけるのが)
手間取ってしまった。それから、早苗さんの監禁されている部屋を見つけるのが
(たいへんだった。やっとみつかったかとおもうと、ははははは、ざまをみろ、ふねは)
大へんだった。やっと見つかったかと思うと、ハハハハハ、ざまを見ろ、船は
(もうしゅっぱんしていたんだ どうしてはやくにげださなかったの?こんなところに)
もう出帆していたんだ」「どうして早く逃げ出さなかったの?こんな所に
(かくれていたら、みつかるにきまっているじゃありませんか ぶるぶるぶる、)
かくれていたら、見つかるにきまっているじゃありませんか」「ブルブルブル、
(このさむさにみずのなかはごめんだ。ぼくはそんなにおよぎがうまくないんだ。それよりは)
この寒さに水の中はごめんだ。僕はそんなに泳ぎがうまくないんだ。それよりは
(このあたたかいくっしょんのしたにねころんでいたほうが、どんなにからくだからね)
この暖かいクッションの下に寝ころんでいた方が、どんなにか楽だからね」
(じつにへんてこなかいわであった。ひとりはいすのなかのやみによこたわっているのだ。)
実にへんてこな会話であった。一人は椅子の中の闇に横たわっているのだ。
(ひとりはそのからだのうえに、くっしょんをへだててこしかけているのだ。おたがいに)
一人はそのからだの上に、クッションをへだてて腰かけているのだ。お互いに
(たいおんをかんじあわぬばかりである。しかもこのふたりはうらみかさなるきゅうてき。)
体温を感じ合わぬばかりである。しかもこの二人はうらみかさなる仇敵。
(すきもあらばてきののどぶえにとびかからんとするにひきのもうこ。そのくせ、ことばだけは)
すきもあらば敵の喉笛に飛びかからんとする二匹の猛虎。そのくせ、言葉だけは
(いようにやさしく、まるでおっととつまのねものがたりのようであった。ねえきみ、ぼくは)
異様にやさしく、まるで夫と妻の寝物語のようであった。「ねえ君、僕は
(ゆうしょくからずっとここにねているので、あきあきしてしまったよ。それに、きみの)
夕食からずっとここに寝ているので、あきあきしてしまったよ。それに、君の
(うつくしいかおもみたくなった。ここからでてもいいかい いかなるしんさんきぼうが)
美しい顔も見たくなった。ここから出てもいいかい」いかなる神算鬼謀が
(あるのか、あけちはますますだいたんふてきである。しっ、いけません。そこを)
あるのか、明智はますます大胆不敵である。「シッ、いけません。そこを
(でちゃいけません。おとこたちにみつかったら、あなたのいのちがありません。もうすこし)
出ちゃいけません。男たちに見つかったら、あなたの命がありません。もう少し
(じっとしていらっしゃい へえー、きみはぼくをかばってくれるのかい ええ、)
じっとしていらっしゃい」「ヘエー、君は僕をかばってくれるのかい」「ええ、
(こうてきしゅをうしないたくないのよ そこへ、じゅんいちせいねんをせんとうに、ごにんのせんいんが、)
好敵手を失いたくないのよ」そこへ、潤一青年を先頭に、五人の船員が、
(ながいろーぷをもって、おとをたてぬようにちゅういしながらはいってきた。)
長いロープを持って、音をたてぬように注意しながらはいってきた。
(あけちをいすのなかにとじこめたまま、そとからなわをまきつけて、)
(手帳の文字)明智ヲイスノ中ニトジコメタママ、ソトカラ縄ヲマキツケテ、
(いすごとかんぱんからうみへなげこんでしまえ。)
イスゴト甲板カラ海ヘナゲコンデシマエ。
(おとこたちはむごんのめいれいにしたがって、ながいすのはしから、そっとなわをまきはじめた。)
男たちは無言の命令にしたがって、長椅子の端から、ソッと縄を巻きはじめた。
(くろこふじんはにやりとわらいながら、さぎょうのじゃまにならぬよう、いすを)
黒衣婦人はニヤリと笑いながら、作業の邪魔にならぬよう、椅子を
(たちあがった。おい、どうしたんだい。だれかきたのかい それともしらぬ)
立ち上がった。「おい、どうしたんだい。だれかきたのかい」それとも知らぬ
(あけちは、いすのそとのいようなけはいに、おひとよしなふしんをいだいている。)
明智は、椅子のそとの異様なけはいに、お人好しな不審をいだいている。
(ええ、いまろーぷをまいているのよ やがて、なわはほとんどいすぜんたいに)
「ええ、今ロープを巻いているのよ」やがて、縄はほとんど椅子全体に
(まきつけられてしまった。ろーぷだって?ええそうよ。めいたんていをすまきに)
まきつけられてしまった。「ロープだって?」「ええそうよ。名探偵を簀巻きに
(しているところよ。ほほほほほ いまや くろとかげ はあくまのほんしょうをばくろした。)
しているところよ。ホホホホホ」今や「黒トカゲ」は悪魔の本性を暴露した。
(かのじょはいっぴきのくろいおにのぎょうそうですっくとたちはだかると、じょせいとはおもわれぬ)
彼女は一匹の黒い鬼の形相でスックと立ちはだかると、女性とは思われぬ
(はげしいくちょうでさしずをあたえた。さあ、みんな、そのいすをかつぐんだ。そして)
烈しい口調で指図を与えた。「さあ、みんな、その椅子をかつぐんだ。そして
(かんぱんへ・・・・・・ろくにんのおとこが、くもなくすまきのながいすをかつぎあげると、)
甲板へ……」六人の男が、苦もなく簀巻きの長椅子をかつぎ上げると、
(どたどたとろうかからかいだんへいそいだ。いすのなかでは、かわいそうなたんていが、あみに)
ドタドタと廊下から階段へ急いだ。椅子の中では、可哀そうな探偵が、網に
(かかったさかなのように、ぴちぴちとみもだえしているのがかんじられた。かんぱんのうえは)
かかった魚のように、ピチピチと身もだえしているのが感じられた。甲板の上は
(ほしひとつないやみよであった。そらもみずもただいちめんのこくあんあん。そのなかに、すくりゅーで)
星一つない闇夜であった。空も水もただ一面の黒暗々。その中に、スクリューで
(あわだてられたやこうちゅうのりんこうが、ひとすじのおびとなって、いようにしろじろとながいおを)
泡立てられた夜光虫の燐光が、一条の帯となって、異様に白々と長い尾を
(ひいていた。ろくにんのくろぼうしがが、かんおけのようなながいすをかついだまま、ふなべりに)
引いていた。六人の黒法師が、棺桶のような長椅子をかついだまま、船べりに
(たった。いち、にっ、さん かけごえもろともげんそくをすべるくろいかげ。どぶんと)
立った。「一チ、二ッ、三ン」掛け声もろとも舷側をすべる黒い影。ドブンと
(りんこうのみずけむり。ああ、めいたんていあけちこごろうはついに、あまりにもあっけなく、)
燐光の水けむり。ああ、名探偵明智小五郎はついに、あまりにもあっけなく、
(たいへいようのもくずときえさったのであった。)
太平洋の藻屑と消え去ったのであった。