黒蜥蜴48
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ひま | 5411 | B++ | 5.7 | 94.6% | 1156.9 | 6638 | 378 | 92 | 2024/10/19 |
2 | もっちゃん先生 | 4690 | C++ | 4.9 | 94.5% | 1312.4 | 6529 | 373 | 92 | 2024/10/20 |
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問題文
(それはほんとうでしょうか。でも、さるぐつわをはめられていたまつこうが、)
「それはほんとうでしょうか。でも、猿ぐつわをはめられていた松公が、
(どうしてあんなにものをいったのでしょう。あのとき、あたしたちは、くっしょんを)
どうしてあんなに物を言ったのでしょう。あの時、あたしたちは、クッションを
(へだてていすのそととなかとで、いろいろはなしあったじゃありませんか)
へだてて椅子のそとと中とで、いろいろ話し合ったじゃありませんか」
(はなしをしたのはぼくでしたよ まあ、それじゃあ・・・・・・あのせんしつには、おおきな)
「話をしたのは僕でしたよ」「まあ、それじゃあ……」「あの船室には、大きな
(いしょうとだながおいてありますね。ぼくはあのなかにかくれてものをいっていたのだ。)
衣裳戸棚がおいてありますね。僕はあの中にかくれて物をいっていたのだ。
(それが、きみにはいすのなかからのようにきこえたのですよ。げんにいすのなかで)
それが、君には椅子の中からのように聞こえたのですよ。現に椅子の中で
(もごもごしているやつがあるんだから、きみがかんちがいしたのもむりはないのです)
モゴモゴしているやつがあるんだから、君が勘違いしたのも無理はないのです」
(すると、すると、さなえさんをどっかへかくしたのも、あのおおさかのしんぶんをいすの)
「すると、すると、早苗さんをどっかへ隠したのも、あの大阪の新聞を椅子の
(うえへのせておいたのも、あんたのしわざだったのね そのとおりです)
上へのせておいたのも、あんたの仕業だったのね」「その通りです」
(まあごねんのはいったことだわね。しんぶんのぎぞうまでして、あたしをいじめようと)
「まあ御念の入ったことだわね。新聞の偽造までして、あたしをいじめようと
(なすったの?ぎぞう?ばかなことをいいたまえ。あんなしんぶんがきゅうにぎぞうなんか)
なすったの?」「偽造?ばかなことを言いたまえ。あんな新聞が急に偽造なんか
(できるものか。あのきじもあのしゃしんも、しょうしんしょうめいのじじつですよ ほほほほほ、)
できるものか。あの記事もあの写真も、正真正銘の事実ですよ」「ホホホホホ、
(いくらなんでも、さなえさんがふたりになるなんて、そんなばかばかしい・・・・・・)
いくらなんでも、早苗さんが二人になるなんて、そんなばかばかしい……」
(ふたりになったんじゃない。ここにゆうかいされてきたさなえさんは)
「二人になったんじゃない。ここに誘拐されてきた早苗さんは
(にせものなんだよ。さなえさんのかえだまをさがすのにぼくはどれほどほねをおったろう。)
にせものなんだよ。早苗さんの替玉を探すのに僕はどれほど骨を折ったろう。
(むろんぶじにたすけだすじしんはあった。だが、しんゆうのひとつぶだねを、そんなきけんに)
むろん無事に助け出す自信はあった。だが、親友の一粒種を、そんな危険に
(さらすきにはなれなかったのでね。きみがさなえさんとしんじきっていたあのむすめはね、)
さらす気にはなれなかったのでね。君が早苗さんと信じ切っていたあの娘はね、
(さくらやまようこという、おやもみよりもないこじなんだよ。しかもしょうしょうふりょうせいをおびた)
桜山葉子という、親も身寄りもない孤児なんだよ。しかも少々不良性をおびた
(もだん・がーるなんだよ。ふりょうむすめなればこそ、このおおしばいをまんまとしこなす)
モダン・ガールなんだよ。不良娘なればこそ、この大芝居をまんまと仕こなす
(ことができたし、あれほどのめにあってもがんばりとおすきもったまがあったのさ。)
ことができたし、あれほどの目にあってもがんばり通す胆っ玉があったのさ。
(ようこはあんなにないたりわめいたりしながらも、ぼくをしんじきっていた。)
葉子はあんなに泣いたりわめいたりしながらも、僕を信じ切っていた。
(ぼくがかならずすくいだしにくるということを、かくしんしていたのだよ どくしゃしょくんは、)
僕が必らず救い出しにくるということを、確信していたのだよ」読者諸君は、
(このものがたりのはじめのほうの かいろうじん といういっしょうをきおくされるであろう。)
この物語りのはじめの方の「怪老人」という一章を記憶されるであろう。
(めいたんていあけちこごろうのぎまんさぎょうは、じつにあのときにおこなわれたのであった。)
名探偵明智小五郎のぎまん作業は、実にあの時に行なわれたのであった。
(かいろうじんはつまりあけちのへんそうすがたにほかならなかった。そして、あのよるから、)
怪老人はつまり明智の変装姿にほかならなかった。そして、あの夜から、
(ほんとうのさなえさんは、あけちだけがしっている、べつのばしょにかくまわれ、)
ほんとうの早苗さんは、明智だけが知っている、別の場所にかくまわれ、
(それといれちがいに、さなえさんになりすましたさくらやまようこがいわせけにいりこんだので)
それと入れ違いに、早苗さんになりすました桜山葉子が岩瀬家に入りこんだので
(あった。そのよくじつから、さなえさんはひとまにとじこもったきり、かじんにはかおを)
あった。その翌日から、早苗さんは一間にとじこもったきり、家人には顔を
(みられることさえいやがるそぶりをしめした。いわせしふさいはさなえさんはうちつづく)
見られることさえいやがるそぶりを示した。岩瀬氏夫妻は早苗さんはうちつづく
(はくがいに、いっしゅのきうつしょうになったものときめてしまって、かのじょがにせものだ)
迫害に、一種の気鬱症になったものときめてしまって、彼女がにせものだ
(などとはうたがいさえもしなかった。ようこのめいゆうぶりはこのときからして、すでに)
などとは疑いさえもしなかった。葉子の名優ぶりはこの時からして、すでに
(ばつぐんであったのだ。めいたんていの、いがいにつぐにいがいをもってするものがたりを)
抜群であったのだ。名探偵の、意外につぐに意外をもってする物語を
(きくにしたがって、くろこふじんはもう、しんそこからこのたいてきのまえにかぶとをぬいだ。)
聞くにしたがって、黒衣婦人はもう、心底からこの大敵の前に兜をぬいだ。
(あけちこごろうといういっこふかしぎのだいじんぶつを、こころからすうはいしたいほどの)
明智小五郎という一個不可思議の大人物を、心から崇拝したいほどの
(きもちになっていた。だが、かのじょのぶかのむちなあらくれおとこどもは、けっしてかれを)
気持になっていた。だが、彼女の部下の無知な荒くれ男どもは、決して彼を
(すうはいしなかった。それどころか、しゅりょうにまんまといっぱいくわしたふとどきものとして)
崇拝しなかった。それどころか、首領にまんまと一ぱい喰わした不届き者として
(かつはかれらのどうりょうまつこうをかいていのもくずとしたきゅうてきとして、かぎりなきぞうおと)
かつは彼らの同僚松公を海底のもくずとした仇敵として、かぎりなき憎悪と
(ふんげきをかんじた。かれらはこのながばなしをじりじりしながらきいていたが、もんどうが)
憤激を感じた。彼らはこの長話をジリジリしながら聞いていたが、問答が
(ひとだんらくしたとみるや、もうがまんができなかった。めんどうだっ、やっつけて)
一段落したとみるや、もう我慢ができなかった。「めんどうだっ、やっつけて
(しまえ ひとりのさけびごえがどうかせんとなって、そうぜいよにんのおおおとこが、こりつむえんの)
しまえ」一人の叫び声が導火線となって、総勢四人の大男が、孤立無援の
(めいたんていめがけてとびかかっていった。にょぞくのいぼうをもってしても、このいきおいを)
名探偵めがけて飛びかかって行った。女賊の威望を以てしても、この勢いを
(はばむことはできなかった。うしろからのどをしめるもの、りょうてをねじあげるもの)
はばむことはできなかった。うしろから喉をしめるもの、両手をねじ上げるもの
(いかなあけちこごろうとて、このしにものぐるいのたいてきには、まったくちからをふるうすべが)
いかな明智小五郎とて、この死にもの狂いの大敵には、全く力をふるうすべが
(なかった。あぶない、あぶない。せっかくここまでこぎつけて、さいごの)
なかった。あぶない、あぶない。せっかくここまでこぎつけて、最後の
(どたんばで、けいせいぎゃくてんするようなことになるのではあるまいか。いちだいのめいたんていも)
どたん場で、形勢逆転するようなことになるのではあるまいか。一代の名探偵も
(ついにこのあらくれおとこどものために、いのちをうしなうようなはめになるのでは)
ついにこの荒くれ男どものために、命を失うような羽目になるのでは
(あるまいか。だが、じつにきみょうなことには、このげきじょうのさなかに、ひともなげなる)
あるまいか。だが、実に奇妙なことには、この激情のさなかに、人もなげなる
(ほがらかなこうしょうがひびきわたったのである。しかもそのこうしょうのあるじは、よにんのおとこに)
朗らかな哄笑が響き渡ったのである。しかもその哄笑の主は、四人の男に
(くみしかれたあけちこごろうそのひとではなかったか。これはまあなんとしたことだ。)
組み敷かれた明智小五郎その人ではなかったか。これはまあなんとしたことだ。
(わははははは、きみたちめがないのか。よくみるがいい、ほらこのがらすのなかを)
「ワハハハハハ、君たち眼がないのか。よく見るがいい、ホラこのガラスの中を
(とくとみるがいい がらすというのは、れいのはくせいにんぎょうちんれつじょうの)
とくと見るがいい」ガラスというのは、例の剥製人形陳列場の
(しょう・ういんどうのようながらすばりのことにちがいない。ひとびとはおもわず)
ショウ・ウインドウのようなガラス張りのことにちがいない。人々は思わず
(そのほうにめをやった。かれらはうかつにも、そのがらすばりのなかに、どんなことが)
その方に眼をやった。彼らはうかつにも、そのガラス張りの中に、どんなことが
(おこっているか、すこしもきづかなかったのだ。げきじょうのせいもある。それに、)
起こっているか、少しも気づかなかったのだ。激情のせいもある。それに、
(かくとうのおこなわれたばしょからは、ちんれつしょがななめむこうになっていたために、めが)
格闘の行なわれた場所からは、陳列所が斜め向こうになっていたために、眼が
(とどかなかったせいもある。みると、そのがらすばりのなかには、またしても)
届かなかったせいもある。見ると、そのガラス張りの中には、またしても
(おどろくべきいへんがおこっていた。にんぎょうどもが、こんどはそろいもそろって、おとこのせびろふくを)
驚くべき異変が起こっていた。人形どもが、今度は揃いも揃って、男の背広服を
(きせられていたではないか。はくせいのだんじょが、もとのままのしせいで、しかつめらしい)
着せられていたではないか。剥製の男女が、元のままの姿勢で、しかつめらしい
(せびろふくをきて、すましかえっているのだ。むろんあけちのしわざにちがいないのだが、)
背広服を着て、すまし返っているのだ。むろん明智の仕業にちがいないのだが、
(いちどならずにどまでも、なんというつまらないいたずらをしたものであろう。)
一度ならず二度までも、なんというつまらないいたずらをしたものであろう。
(だが、まてよ。あけちともあろうものが、そんなむいみないたずらをする)
だが、待てよ。明智ともあろうものが、そんな無意味ないたずらをする
(はずはない。このきみょうないしょうのきせかえにも、またなにか、とほうもないいみが)
はずはない。この奇妙な衣裳の着せかえにも、また何か、途方もない意味が
(あったのではあるまいか。もっともはやくそれにきづいたのは、さすがにくろこふじんで)
あったのではあるまいか。最も早くそれに気づいたのは、さすがに黒衣婦人で
(あった。あっ、いけない がくぜんとしてにげごしになるすきもなく、にんぎょうどもが)
あった。「アッ、いけない」愕然として逃げ腰になるすきもなく、人形どもが
(むくむくとおきあがった。いしょうだけがかわっていたのではない、なかみまでもまったく)
ムクムクと起き上った。衣裳だけが変っていたのではない、中身までも全く
(べつものとおきかえられていたのだ。そこにははくせいにんぎょうではなくて、いきたにんげんが、)
別物と置きかえられていたのだ。そこには剥製人形ではなくて、生きた人間が、
(さもにんぎょうらしいぽーずをとって、じきのくるのをまちかまえていたのだ。みよ、)
さも人形らしいポーズを取って、時機のくるのを待ちかまえていたのだ。見よ、
(せびろのおとこどものてには、れいがいなくぴすとるがにぎられ、そのつつぐちがとうぞくたちに)
背広の男どもの手には、例外なくピストルがにぎられ、その筒口が盗賊たちに
(むけられているではないか。たちまち がちゃん ともののこわれるおと、)
向けられているではないか。たちまち「ガチャン」と物のこわれる音、
(しょう・ういんどうのがらすにぽっかりとおおきなあながあいた。そのあなからせびろの)
ショウ・ウインドウのガラスにポッカリと大きな穴があいた。その穴から背広の
(おとこたちがすばやくとびだしてくる。ごようだっ、くろとかげ しんみょうにしろ)
男たちが素早く飛び出してくる。「御用だっ、『黒トカゲ』神妙にしろ」
(おそろしくおおじだいなしったのこえがなりひびいた。げんだいのけいさつかんにもこのゆうこうなかけごえは)
恐ろしく大時代な叱咤の声が鳴り響いた。現代の警察官にもこの有効な掛け声は
(あんがいしばしばしようされているのだ。いうまでもなくせびろのひとたちは、)
案外しばしば使用されているのだ。いうまでもなく背広の人たちは、
(あけちのてびきでちていにしんにゅうした、けいしちょうのうでききけいじのいちだんであった。)
明智の手引きで地底に侵入した、警視庁の腕利き刑事の一団であった。
(さいぜんあけちは、いりぐちのはりばんをしていたきたむらだけが、なぜしばられたのか、)
さいぜん明智は、入り口の張り番をしていた北村だけが、なぜ縛られたのか、
(そのいみがわかるかとたずねたが、それはあんにけいかんのらいえんをほのめかしたので)
その意味がわかるかとたずねたが、それは暗に警官の来援をほのめかしたので
(あった。いりぐちをひらかせるあいずのしんごうは、あけちからでんわでけいしちょうにしらせて)
あった。入り口をひらかせる合図の信号は、明智から電話で警視庁に知らせて
(あった。そのしんごうによって、けいじたちはなんなくちていにはいることが)
あった。その信号によって、刑事たちはなんなく地底にはいることが
(できたのだ。そしていりぐちをはいるとどうじにそこのみはりばんのきたむらをてきとうに)
できたのだ。そして入り口をはいると同時にそこの見張り番の北村を適当に
(しょりしたまでのことであった。ないぶからあけちがてつだったことはいうまでもない。)
処理したまでのことであった。内部から明智が手伝ったことはいうまでもない。
(さっき、しばらく、じゅんちゃんがゆくえふめいになっていたあいだのできごとだ。)
さっき、しばらく、潤ちゃんが行方不明になっていたあいだの出来事だ。
(では、かれらはなぜすぐさま、くろとかげ のたいほにむかわなかったのか。)
では、彼らはなぜすぐさま、「黒トカゲ」の逮捕に向かわなかったのか。
(それは、このとりものをじゅうぶんこうかてきにするための、あけちのさしずであった。けいじとて、)
それは、この捕物を充分効果的にするための、明智の指図であった。刑事とて、
(しゃれをげせぬぼくねんじんばかりではないのである。いうまでもなくべつのいったいは、)
洒落を解せぬ朴念仁ばかりではないのである。いうまでもなく別の一隊は、
(すいじょうしょときょうりょくをしてかいじょうのぞくせんにむかっていた。もういまごろは、くろとかげ の)
水上署と協力をして海上の賊船に向かっていた。もう今頃は、「黒トカゲ」の
(ぶかたちは、きせんもろともひとりのこさずめしとられていることにちがいない。ちていの)
部下たちは、汽船もろとも一人残さず召捕られていることに違いない。地底の
(ぞくとたちも、たちまちにして、けいじたちのぴすとるのまえにあたまをさげた。さしもに)
賊徒たちも、たちまちにして、刑事たちのピストルの前に頭を下げた。さしもに
(どうもうなあらくれおとこどもも、このあくむのようなふいうちには、どうてむかいする)
獰猛な荒くれ男どもも、この悪夢のような不意打ちには、どう手向かいする
(すきもなく、ことごとくなわにかけられてしまった。だが、しゅりょうの)
すきもなく、ことごとく縄にかけられてしまった。だが、首領の
(くろとかげ だけは、さすがにびんしょうであった。まっさきにせびろにんぎょうのいみをさとった)
「黒トカゲ」だけは、さすがに敏捷であった。まっ先に背広人形の意味を悟った
(かのじょは、にげあしもはやく、ひとりのけいじにつかまれたうでをふりはらって、ひちょうのように)
彼女は、逃げ足も早く、一人の刑事につかまれた腕を振り払って、飛鳥のように
(ろうかのおくのかのじょのししつへにげこんで、なかからかぎをかけてしまった。)
廊下の奥の彼女の私室へ逃げこんで、中から鍵をかけてしまった。