森の中の三人のこびと 2
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問題文
(そとにでて、さむくてこごえしぬにちがいないとおもっていたおかあさんは、)
外に出て、寒くて凍え死ぬにちがいないと思っていたお母さんは、
(くやしくてなりません。)
くやしくてなりません。
(「わたしもきんかがでるようになってやる。)
「私も金貨が出るようになってやる。
(わたしももりへいくわ。」いもうとがさけびました。)
私も森へ行くわ。」妹が叫びました。
(「おやめ。さむくてこごえてしまうよ。」)
「おやめ。寒くて凍えてしまうよ。」
(おかあさんがとめましたが、きかないので、ふかふかのけがわのこーとをきせ、)
お母さんがとめましたが、きかないので、ふかふかの毛皮のコートを着せ、
(おいしいばたーぱんに、けーきまでもたせて)
おいしいバターパンに、ケーキまで持たせて
(「きをつけていくんだよ。」と、おくりだしました。)
「気をつけて行くんだよ。」と、送り出しました。
(いもうとは、もりへどんどんあるいていきました。)
妹は、森へどんどん歩いて行きました。
(すると、もりのなかにちいさないえがみえました。)
すると、森の中に小さな家が見えました。
(まどから、こびとがさんにん、のぞいていました。)
窓から、こびとが三人、覗いていました。
(いもうとは、「こんにちは。」ともいわないで)
妹は、「こんにちは。」とも言わないで
(どかどかいえにあがりこみ、さっさとすとーぶのそばにすわりこみました。)
どかどか家にあがりこみ、さっさとストーブのそばに座り込みました。
(それから、ばたーぱんとけーきをだして、)
それから、バターパンとケーキを出して、
(ひとりでむしゃむしゃたべはじめました。)
ひとりでむしゃむしゃ食べ始めました。
(「すこし、わけておくれよ。」とこびとたちがいいました。)
「少し、わけておくれよ。」とこびとたちが言いました。
(「あんたたちにあげたら、なくなるわ。」)
「あんたたちにあげたら、なくなるわ。」
(いもうとは、へいきでたべてしまいました。)
妹は、平気で食べてしまいました。
(こびとたちはいいました。)
こびとたちは言いました。
(「おい、そこのほうきで、うらぐちのゆきをはいておくれよ。」)
「おい、そこのほうきで、裏口の雪を掃いておくれよ。」
(「じぶんではきなさいよ。あんたたちのめしつかいじゃないんですからね。」)
「自分で掃きなさいよ。あんたたちの召使いじゃないんですからね。」
(おんなのこはそういって、こびとたちがなにもくれないのででていきました。)
女の子はそう言って、こびとたちがなにもくれないので出て行きました。
(こびとたちは、あきれていいあいました。)
こびとたちは、あきれて言い合いました。
(「なんてらんぼうで、いじわるなむすめだろう。)
「なんて乱暴で、意地悪な娘だろう。
(あんないやなこには、なにをやったらいいだろう。」)
あんな嫌な子には、なにをやったらいいだろう。」
(「ひがたつごとに、みにくくなるようにしてやる。」)
「日がたつごとに、醜くなるようにしてやる。」
(「ものをいうたびに、いやらしいひきがえるがとびだすようにしてやろう。」)
「物を言うたびに、いやらしいひきがえるが飛び出すようにしてやろう。」
(「ふこうなしにかたをするようにしてやるぞ。」)
「不幸な死に方をするようにしてやるぞ。」
(いもうとは、いちごをさがしてもみつからないので)
妹は、いちごを探しても見つからないので
(ぷりぷりして、うちへかえりました。)
ぷりぷりして、うちへ帰りました。
(もりでおこったことを、おかあさんにはなそうとすると)
森でおこったことを、お母さんに話そうとすると
(いきなりくちから、ひきがえるがとびだしました。)
いきなり口から、ひきがえるが飛び出しました。
(きゃっとさけぶと、またいっぴき。)
キャッと叫ぶと、また一匹。
(あとからあとから、ごそごそ、ぴょんぴょん)
あとからあとから、ごそごそ、ぴょんぴょん
(ひきがえるだらけになりました。)
ひきがえるだらけになりました。
(いじわるないもうとは、こんなわけで、いっそうひとにきらわれるようになりました。)
意地悪な妹は、こんなわけで、いっそう人に嫌われるようになりました。
(おかあさんは、いもうとがかわいそうでなりません。)
お母さんは、妹がかわいそうでなりません。
(こんななさけないすがたになったのも、みなおんなのこのせいです。)
こんな情けない姿になったのも、みな女の子のせいです。
(じぶんたちのわるいことは、そっちのけで)
自分たちの悪いことは、そっちのけで
(どうしたら、おんなのこをひどいめにあわせてやれるか。)
どうしたら、女の子をひどいめにあわせてやれるか。
(そんなことばかり、かんがえるようになりました。)
そんなことばかり、考えるようになりました。
(そうして、そんなことにはかんけいなく、)
そうして、そんなことには関係なく、
(おんなのこのほうは、ひましにうつくしくなっていきました。)
女の子のほうは、日増しに美しくなっていきました。