平家物語「扇の的」
問題文は原文準拠ですが、入力は現代仮名遣いです。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | そういち | 6669 | S+ | 7.1 | 94.2% | 225.2 | 1599 | 97 | 34 | 2024/11/03 |
2 | nagai | 4334 | C+ | 4.9 | 89.3% | 321.4 | 1582 | 189 | 34 | 2024/11/01 |
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問題文
(ころはにんがつじゅうはちにちのとりのこくばかりのことなるに)
ころは二月十八日の酉の刻ばかりの事なるに、
(おりふしきたかぜはげしくていそうつなみもたかかりけり)
折節北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。
(ふねはゆりあげゆりすえただよえばおうぎもくしにさだまらずひらめいたり)
舟は、揺り上げ揺り据ゑ漂へば、扇も串に定まらずひらめいたり。
(おきにはへいけふねをいちめんにならべてけんぶつす)
沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
(くがにはげんじくつばみをならべてこれをみる)
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
(いずれもいずれもはれならずということぞなき)
いづれもいづれも晴れならずといふ事ぞなき。
(よいちめをふさいで)
与一目をふさいで、
(なむはちまんだいぼさつわがくにのしんめいにっこうのごんげんうつのみやなすのゆぜんだいみょうじん)
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、
(ねがわくはあのおうぎのまんなかいさせてたばせたまえ)
願わくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまえ。
(これをいそんずるものならばゆみきりおりじがいして)
これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、
(ひとにふたたびおもてをむこうべからず)
人に二度面を向かふべからず。
(いまいちどほんごくへむかえんとおぼしめさば)
今一度本国へ迎へんとおぼしめさば、
(このやはずさせたもうなとこころのうちにきねんしてめをみひらいたれば)
この矢外させ給ふな。」と心の内に祈念して、目を見開いたれば、
(かぜもすこしふきよわりおうぎもいよげにぞなったりける)
風も少し吹き弱り、扇も射よげにぞなつたりける。
(よいちかぶらをとってつがいよっぴいてひょうどはなつ)
与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてひやうど放つ。
(こひょうというじょうじゅうにそくみつぶせゆみはつよしうらひびくほどながなりして)
小兵といふ条、十二束三伏、弓は強し、浦響くほど長鳴りして、
(あやまたずおうぎのかなめぎはいっすんばかりおいてひいふっとぞいきったる)
あやまたず扇の要際一寸ばかり置いて、ひいふつとぞ射切つたる。
(かぶらはうみにいりければおうぎはそらへぞあがりける)
かぶらは海に入りければ、扇は空へぞ上がりける。
(しばしはこくうにひらめきけるがはるかぜにひともみふたもみもまれて)
しばしは虚空にひらめきけるが、春風に一揉み二揉み揉まれて、
(うみへさっとぞちったりける)
海へさつとぞ散つたりける。
(ゆうひのかかやいたるにみなぐれないのひいだしたるが)
夕日のかかやいたるに、みな紅の扇の日出だしたるが、
(しらなみのうえにただよいうきぬしずみぬゆられければ)
白波の上に漂ひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、
(おきにはへいけふなばたをたたいてかんじたり)
沖には平家、ふなばたを叩いて感じたり。
(くがにはげんじえびらをたたいてどよめきけり)
陸には源氏、えびらを叩いてどよめきけり。
(あまりのおもしろさにかんにこらえざるにやとおぼしくて)
あまりのおもしろさに、感に堪へざるにやおぼしくて、
(ふねのうちよりとしごじゅうばかりなるおのこの)
舟のうちより、年五十ばかりなる男の、
(くろかわおどしのよろいきてしらえのなぎなたもったるが)
黒革をどしの鎧着て、白柄の長刀持ったるが、
(おうぎたてたりけるところにたってまいしめたり)
扇立てたりける所に立つて舞ひ締めたり。
(いせのさぶろうよしもりよいちがうしろにあゆませよってごじょうぞつかまつれ)
伊勢三郎義盛、与一が後ろへ歩ませ寄つて、「御定ぞ、つかまつれ。」
(といいければこんどはなかざしとってうちくわせ)
と言ひければ、今度は中差取つてうちくはせ、
(よっぴいてしゃくびのほねをひょうふっといてふなぞこへさかさまにいたおす)
よつぴいて、しや頸の骨をひやうふつと射て、舟底へ逆さまに射倒す。
(へいけのかたにはおともせずげんじのかたにはまたえびらをたたいてどよめきけり)
平家の方には音もせず、源氏の方にはまたえびらをたたいてどよめきけり。
(あいたりというひともありまた)
「あ、射たり。」という人もあり、また、
(なさけなしというものもあり)
「情けなし。」と言ふ者もあり。