「白昼夢」5 江戸川乱歩

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タグ小説 長文
江戸川乱歩の小説「白昼夢」です。
今はあまり使われていない、漢字や読み方、表現などがありますが、原文のままです。
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1 pechi 5546 A 6.2 90.1% 219.6 1368 150 21 2024/11/04

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(「うけあいやく」・・・・・・みおぼえのあるまるごしっくのしょたい、そして、そのおくの)

「請合薬」・・・・・・見覚えのある丸ゴシックの書体、そして、その奥の

(がらすばりのなかのじんたいもけい、そのおとこは、なになにどらっぐというしょうごうをもった、)

ガラス張りの中の人体模型、その男は、何々ドラッグという称号を持った、

(くすりやのしゅじんであった。「ね、いるでしょう。もっとよくわたしのかわいいおんなを)

薬屋の主人であった。「ね、いるでしょう。もっとよく私の可愛い女を

(みてやってください」なにがそうさせたのか。わたしはいつのまにかひおおいのなかへ)

見てやって下さい」何がそうさせたのか。私はいつの間にか日覆の中へ

(はいっていた。わたしのめのまえのがらすばこのなかにおんなのかおがあった。)

這入っていた。私の目の前のガラス箱の中に女の顔があった。

(かのじょはいときりばをむきだしてにっこりわらっていた。いまわしいろうざいくの)

彼女は糸切歯をむき出してニッコリ笑っていた。いまわしい蝋細工の

(しゅもつのおくに、しんじつのにんげんのひふがくろずんでみえた。)

腫物の奥に、真実の人間の皮膚が黒ずんで見えた。

(つくりものでないしょうこには、いちめんにうぶけがはえていた。)

作り物でない証拠には、一面にうぶ毛が生えていた。

(すーっとしんぞうがのどのところへとびあがった。わたしはたおれそうになるからだを、)

スーッと心臓が喉の所へ飛び上った。私は倒れ相になる身体を、

(あやうくささえてひおおいからのがれだした。そして、おとこにみつからないように)

危くささえて日覆からのがれ出した。そして、男に見つからない様に

(ちゅういしながら、ぐんしゅうのそばをはなれた。・・・・・・ふりかえってみると、)

注意しながら、群衆の側を離れた。・・・・・・ふり返ってみると、

(ぐんしゅうのうしろにひとりのけいかんがたっていた。かれもまた、ほかのひとたちと)

群衆のうしろに一人の警官が立っていた。彼も亦、他の人達と

(おなじようににこにこわらいながら、おとこのえんぜつをきいていた。)

同じ様にニコニコ笑いながら、男の演説を聞いていた。

(「なにをわらっているのです。きみのしょくむのてまえそれでいいのですか。)

「何を笑っているのです。君の職務の手前それでいいのですか。

(あのおとこのいっていることがわかりませんか。うそだとおもうならあのひおおいのなかへ)

あの男のいっていることが分りませんか。嘘だと思うならあの日覆の中へ

(はいってごらんなさい。とうきょうのまちのまんなかで、にんげんのしがいがさらしものに)

這入って御覧なさい。東京の町の真中で、人間の死骸がさらしものに

(なっているじゃありませんか」)

なっているじゃありませんか」

(むしんけいなけいかんのかたをたたいて、こうつげてやろうかとおもった。けれどわたしには)

無神経な警官の肩を叩いて、こう告げてやろうかと思った。けれど私には

(それをじっこうするだけのきりょくがなかった。わたしはめまいをかんじながら)

それを実行する丈けの気力がなかった。私は眩暈を感じながら

(ひょろひょろとあるきだした。ゆくてには、どこまでもどこまでもはてしのない)

ヒョロヒョロと歩き出した。行手には、どこまでもどこまでも果しのない

など

(しろいだいどうがつづいていた。かげろうが、たちならぶでんちゅうをかいそうのようにゆすっていた。)

白い大道が続いていた。陽炎が、立並ぶ電柱を海藻の様に揺すっていた。

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