田舎 前編-1-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5164 B+ 5.3 96.7% 1034.6 5529 186 97 2024/10/05
2 daifuku 3585 D+ 3.8 93.9% 1405.0 5384 347 97 2024/09/20
3 上半身が痛い 2885 E+ 3.1 91.3% 1676.9 5342 503 97 2024/09/21

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問題文

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(だいがくいっかいせいのあき。そのころうちのだいがくにはしけんやすみというものがあって、)

大学1回生の秋。その頃うちの大学には試験休みというものがあって、

(なつやすみ>ぜんきしけん>しけんやすみというなんともちゅうとはんぱな)

夏休み>前期試験>試験休みというなんとも中途半端な

(かりきゅらむとなっていた。なつやすみはわれながらやりすぎとおもうほど)

カリキュラムとなっていた。夏休みは我ながらやりすぎと思うほど

(あそびまくり、じっかへのきせいもごくみじかいあいだだった。)

遊びまくり、実家への帰省もごく短い間だった。

(そこへふってわいたしけんやすみなるびみょうなながさのきゅうか。)

そこへ降って沸いた試験休みなる微妙な長さの休暇。

(おれはこのやすみを、ははかたのいなかへのきせいにつかおうとかんがえた。)

俺はこの休みを、母方の田舎への帰省に使おうと考えた。

(こうこうせいのときにそぼがなくなってそのときにはあしをはこんだが、)

高校生の時に祖母が亡くなってその時には足を運んだが、

(まともにとうりゅうするとなるとちゅうがくせいいらいか。)

まともに逗留するとなると中学生以来か。

(ははのあにであるおじも「いちどかおをだしなさい」といっていたので、)

母の兄である伯父も「一度顔を出しなさい」と言っていたので、

(ちょうどいい。そのけいかくを、しけんしーずんのはじまったころに)

ちょうどいい。その計画を、試験シーズンの始まったころに

(さーくるのせんぱいになんとはなしにはなした。「すごいいなかですよ」)

サークルの先輩になんとはなしに話した。「すごい田舎ですよ」

(とそのいなかっぷりをかたっていたのであるが、ふとおもいだして)

とその田舎っぷりを語っていたのであるが、ふと思い出して

(しょうがくせいのころにそこでたいけんした「いぬのゆうれい」のはなしをした。)

小学生のころにそこで体験した「犬の幽霊」の話をした。

(よなかにあかんぼうのどうたいをくわえたいぬがいえのまえをはしり、そのあかんぼうのくびが)

夜中に赤ん坊の胴体を銜えた犬が家の前を走り、その赤ん坊の首が

(わらいながらあとをおいかけていくという、)

笑いながら後を追いかけていくという、

(なんともゆめともうつつともつかないきみょうなたいけんだった。)

なんとも夢ともうつつともつかない奇妙な体験だった。

(せんぱいは「ふーん」とあまりきょうみなさそうにきいていたが、)

先輩は「ふーん」とあまり興味なさそうに聞いていたが、

(おれがそのいなかのむらのなまえをだしたとたんにみをのりだした。)

俺がその田舎の村の名前を出した途端に身を乗り出した。

(「いまなんてった?」めんくらってふくしょうすると、)

「いまなんてった?」面食らって復唱すると、

(せんぱいはめをぎらぎらさせて「つれてけ」という。)

先輩は目をギラギラさせて「つれてけ」と言う。

など

(おれがししょうとよび、おかるとのいろはをおそわっている)

俺が師匠と呼び、オカルトのいろはを教わっている

(そのひとのきんせんにふれるものがあったようだ。)

その人の琴線に触れるものがあったようだ。

(おじのいえはでかいのでひとりふたりふえてもぜんぜんだいじょうぶだったし、)

伯父の家はデカイので一人二人増えても全然大丈夫だったし、

(おおらかなとちがらなのでゆうじんをつれていくくらいなんでもないことだった。)

おおらかな土地柄なので友人を連れて行くくらいなんでもないことだった。

(「いいですけど」けっきょくししょうをともなってきせいすることとなったのだが、)

「いいですけど」結局師匠を伴って帰省することとなったのだが、

(それだけではおわらなかった。しけんきかんちゅうにもかかわらずおれは)

それだけでは終わらなかった。試験期間中にもかかわらず俺は

(じもとのおかるとけいねっとなかまがあつまるおふかいにさんかしていた。)

地元のオカルト系ネット仲間が集まるオフ会に参加していた。

(そんなじきにしけんがあるなんてうちのだいがくくらいなわけで、)

そんな時期に試験があるなんてウチの大学くらいなわけで、

(ふりーたーやしゃかいじんがおおいそのおふかいはおかまいなしにひらかれた。)

フリーターや社会人が多いそのオフ会はお構いなしに開かれた。

(それならさんかしなければいいだけのはなしのはずだが、)

それなら参加しなければいいだけの話のはずだが、

(おかるとにかんすることにふれているじかんがなによりたのしかった)

オカルトに関することに触れている時間がなにより楽しかった

(そのころのおれは、あたりまえのようにふぁみれすにあしをはこんだのだった。)

そのころの俺は、あたりまえのようにファミレスに足を運んだのだった。

(そのあとのにねんかんのりゅうねんのけいきがもうはじまっていたといえる。)

その後の2年間の留年の契機がもう始まっていたと言える。

(「しけんやすみにはいったら、ははかたのいなかにいくんすよ」)

「試験休みに入ったら、母方の田舎に行くんスよ」

(そこでもしょうねんじだいのきみょうなたいけんをひろうした。)

そこでも少年時代の奇妙な体験を披露した。

(はんのうはまずまずだったが「こどものころのはなし」というふぃるたーのためか、)

反応はまずまずだったが「子供のころの話」というフィルターのためか、

(おかるとまにあどのたかいかたがたのはーとにはあまりひびかなかったようだ。)

オカルトマニア度の高い方々のハートにはあまり響かなかったようだ。

(すぐにそのころほっとだったしんれいすぽっとである)

すぐにそのころホットだった心霊スポットである

(ひゃくとうだんちへのとつげきけいかくへはなしがうつっていった。)

ヒャクトウ団地への突撃計画へ話が移っていった。

(ところがそれをしりめに、あるせんぱいがつつっとおれのとなりへやってきて)

ところがそれを尻目に、ある先輩がつつッと俺の隣へやってきて

(「おまえのいなかはしこくだよな」という。おふでも「きょうすけ」という)

「おまえの田舎は四国だよな」と言う。オフでも「京介」という

(ねっとじょうのはんどるねーむでよばれるひとで、はっとするほど)

ネット上のハンドルネームで呼ばれる人で、ハッとするほど

(ととのったかおだちのじょせいだった。おれはこのひとにはなしかけられると、)

整った顔立ちの女性だった。俺はこの人に話しかけられると、

(いつもどきどきしてそれになれることがない。「そうです」とこたえると、)

いつもドキドキしてそれに慣れることがない。「そうです」と答えると、

(まじめなかおをして「しこくにはいぬにまつわるかいだんがおおい」といった。)

真面目な顔をして「四国には犬にまつわる怪談が多い」と言った。

(そして「なんといっても、おまえのこきょうはいぬかみのほんばだ」と、)

そして「なんと言っても、おまえの故郷は犬神の本場だ」と、

(なぜかおれのかたをばんばんとたたくのだった。)

何故か俺の肩をバンバンと叩くのだった。

(「いぬかみってなんですか」というおれのといに、こうやのしろばかまだとわらい)

「犬神ってなんですか」という俺の問いに、紺屋の白袴だと笑い

(「いぬをつかってひとをのろうじゅつだよ」とみみもとでささやいた。)

「犬を使って人を呪う術だよ」と耳元で囁いた。

(ひゃくとうだんちとつげきだんのかいきえんがそうぞうしかったためだが、)

ヒャクトウ団地突撃団の怪気炎が騒々しかったためだが、

(みみにいきがかかって、それがどうしようもなくおれをぞくぞくさせた。)

耳に息が掛かって、それがどうしようもなく俺をゾクゾクさせた。

(いなかはどんなところだときくので、せんじつししょうにしたようなはなしをした。)

田舎はどんなところだと聞くので、先日師匠にしたような話をした。

(そしてむらのなまえをだしたしゅんかんに、まるでせんじつのさいげんのように)

そして村の名前をだした瞬間に、まるで先日の再現のように

(みをおこして「ほんとか」というのである。)

身を起こして「ほんとか」と言うのである。

(これにはおれのほうがきつねにつままれたようなきもちで、)

これには俺の方が狐につままれたような気持ちで、

(さそうというよりなかばぎもんけいに「いっしょにいきますか?」といった。)

誘うというより半ば疑問系に「一緒に行きますか?」と言った。

(きょうすけさんはきれいなまゆげをまげて「うーん」とうなったあと、)

京介さんは綺麗な眉毛を曲げて「うーん」と唸ったあと、

(「ばいとがあるからなあ」とこぼした。)

「バイトがあるからなあ」とこぼした。

(「こら、おまえらもいくんだぞひゃくとうだんち」)

「コラ、おまえらも行くんだぞヒャクトウ団地」

(ほかのめんばーからほんじつのめいんてーまをふられて、)

他のメンバーから本日のメインテーマを振られて、

(そのはなしはそれまでだった。けれどおれはみのがさなかった。)

その話はそれまでだった。けれど俺は見逃さなかった。

(「ばいとがあるから」といったきょうすけさんが、そのあととつげきだんのわに)

「バイトがあるから」と言った京介さんが、そのあと突撃団の輪に

(せをむけてちいさなすけじゅーるちょうをなんどもかくにんしているのを。)

背を向けて小さなスケジュール帳をなんども確認しているのを。

(きょうすけさんはたぶん、いきたがっている。)

京介さんはたぶん、行きたがっている。

(ばいとがあるのもほんとうだろうが、なかばおとうとぶんとはいえ、)

バイトがあるのも本当だろうが、なかば弟分とはいえ、

(おとこであるおれとふたりでりょこうというのにもていこうがあるのだろう。)

男である俺と二人で旅行というのにも抵抗があるのだろう。

(いや、あんがいそんなことおかまいなしに「いいよ」と)

いや、案外そんなことおかまいなしに「いいよ」と

(あっさりしょうちするようなひとかもしれない。「いっしょにいきますか」などと)

あっさり承知するような人かもしれない。「一緒に行きますか」などと

(さらりといえてしまったのも、きっとそういういめーじがあったからだ。)

サラリと言えてしまったのも、きっとそういうイメージがあったからだ。

(ともかく、あとひとおしだというかんしょくはあった。)

ともかく、あと一押しだという感触はあった。

(いっしゅん、ふたりでいけたらなあというたのしげなもうそうがうかんだが、)

一瞬、二人で行けたらなあという楽しげな妄想が浮かんだが、

(ししょうもくるのだということをおもいだし、すこしざんねんなきもちになった。)

師匠も来るのだということを思い出し、少し残念な気持ちになった。

(しかし、ししょうときょうすけさんというこんびのおもしろさはじっかんしていたので、)

しかし、師匠と京介さんというコンビの面白さは実感していたので、

(これはなんとしてもふたりせっとでこさせたい。)

これはなんとしても二人セットで来させたい。

(ところがこのふたり、みずとあぶらのようになかがわるい。いっけいをあんじた。)

ところがこの二人、水と油のように仲が悪い。一計を案じた。

(おふかいがはねたあと、さんかいしていくひとのなかからcocoさんという、)

オフ会がハネたあと、散会していく人の中からCoCoさんという、

(そのあつまりのちゅうしんじんぶつをつかまえた。かのじょもおれとおなじだいがくだったが、)

その集まりの中心人物をつかまえた。彼女も俺と同じ大学だったが、

(しけんなどよりこちらのほうがだいじなのだろう。)

試験などよりこちらのほうが大事なのだろう。

(そしてかのじょはししょうのこいびとであり、きょうすけさんともしたしいなかであるという、)

そして彼女は師匠の恋人であり、京介さんとも親しい仲であるという、

(まさにみかたにひきいれなければならないひとだった。)

まさに味方に引き入れなければならない人だった。

(cocoさんはあっさりとおれのけいかくにのってくれた。)

CoCoさんはあっさりと俺の計画に乗ってくれた。

(むしろのりのりで、ああしてこうして、というしじまで)

むしろノリノリで、ああしてこうして、という指示まで

(おれにとばしはじめた。かんたんにいうと、ししょうには「ししょう、おれ、cocoさん」の)

俺に飛ばし始めた。簡単に言うと、師匠には「師匠、俺、CoCoさん」の

(さんにんりょこうだとおもわせ、きょうすけさんには「きょうすけさん、おれ、cocoさん」の)

3人旅行だと思わせ、京介さんには「京介さん、俺、CoCoさん」の

(さんにんたびだとおもわせるのだ。いずれとうぜんばれるが、げんちについてしまえば)

3人旅だと思わせるのだ。いずれ当然バレるが、現地についてしまえば

(なしくずしてきにどうとでもなる。つまりいつものおれのてぐちなのだった。)

なし崩し的にどうとでもなる。つまりいつもの俺の手口なのだった。

(よくじつ、cocoさんから「きょーすけok」とのめーるがきた。)

翌日、CoCoさんから「キョースケOK」とのメールが来た。

(おなじひに、「なんか、いっしょにきたいっていってるけどいいか?」と、)

同じ日に、「なんか、一緒に来たいって行ってるけどいいか?」と、

(cocoさんのどうこうをすこしもうしわけなさそうにししょうがたずねてきた。)

CoCoさんの同行を少し申し訳なさそうに師匠が尋ねてきた。

(もちろんきもちよくりょうしょうする。これでさとがえりのじゅんびがととのった。)

もちろん気持ちよく了承する。これで里帰りの準備が整った。

(そしてしけんのできはやはりひどいものだった。)

そして試験の出来はやはり酷いものだった。

(おれとししょうはなんぷうというとっきゅうでんしゃでみなみへむかっていた。)

俺と師匠は南風という特急電車で南へ向かっていた。

(あまぐりをたべながら、おれはししょうに「なぜおれのいなかにきょうみがあるのか」という)

甘栗を食べながら、俺は師匠に「何故俺の田舎に興味があるのか」という

(さいだいのぎもんをぶつけていた。)

最大の疑問をぶつけていた。

(きょうすけさんとcocoさんはひとつあとのなんぷうでくるはずだ。)

京介さんとCoCoさんは一つ後の南風で来るはずだ。

(ししょうにはcocoさんがようじがあり、すこしおくれてくることになっており、)

師匠にはCoCoさんが用事があり、少し遅れて来ることになっており、

(きょうすけさんにたいしては、おれはいちにちはやくきせいしてまっていることになっていた。)

京介さんに対しては、俺は一日早く帰省して待っていることになっていた。

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