追跡-4-

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プレイ回数414難易度(5.0) 4947打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5016 B+ 5.2 96.4% 975.2 5077 185 90 2024/11/02
2 daifuku 3776 D++ 4.0 94.6% 1239.1 4960 280 90 2024/11/01

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問題文

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(「で、はいるの?」いつもとかわらないこわいろにむしろきんちょうしてくる。)

「で、入るの?」いつもと変わらない声色にむしろ緊張してくる。

(じーんずのおしりにはさんで、かなりしわくちゃになってきた「ついせき」をひろげ、)

ジーンズのお尻に挟んで、かなりシワクチャになってきた『追跡』を広げ、

(「はいります」という。「でも」といいかけたおれをひっぱるように)

「入ります」と言う。「でも」と言いかけた俺を引っ張るように

(かのじょはなかにはいっていった。おれはこのしちゅえーしょんに)

彼女は中に入っていった。俺はこのシチュエーションに

(しんぞうをばくばくさせながらもついていく。「205ごうしつ」とおれにいわせ、)

心臓をバクバクさせながらもついていく。「205号室」と俺に言わせ、

(かのじょはてしかみえないひとからなにかのかーどをうけとる。)

彼女は手しか見えない人から何かのカードを受け取る。

(ずんずんとろうかをすすみ、へやばんごうにあかりのとぼったどあをあける。)

ズンズンと廊下を進み、部屋番号に明かりの点ったドアを開ける。

(はいるなり、ばさっ、とかのじょはべっどにうつぶせにたおれこんだ。)

入るなり、バサッ、と彼女はベッドにうつ伏せに倒れこんだ。

(あしがつかれた、というようなことをいいながらためいきをついている。)

足が疲れた、というようなことを言いながら溜息をついている。

(おれはいたたまれなくなって、じょうだんのつもりでししょうのなまえをよびながら)

俺はいたたまれなくなって、冗談のつもりで師匠の名前を呼びながら

(くろぜっとやひきだしをあけていった。まくらもとのこばこは、あけるきにならない。)

クロゼットや引き出しを開けていった。枕元の小箱は、開ける気にならない。

(ふろばのとびらをあけたとき、いっしゅん、ひろいゆぶねのなかにししょうのあおじろいかおが)

風呂場の扉を開けたとき、一瞬、広い湯船の中に師匠の青白い顔が

(うかんでいるようなさっかくをおぼえてめまいがした。)

浮かんでいるような錯覚を覚えて眩暈がした。

(そしてゆげのなか、ほんとうにゆがでっぱなしのじょうたいになっていることに)

そして湯気のなか、本当に湯が出っぱなしの状態になっていることに

(きづき、ぞくりとしながらじゃぐちをしめた。)

気づき、ゾクリとしながら蛇口を閉めた。

(さーっとゆぶねからみずがあふれるおとがする。すこし、きれいなおとだった。)

サーッと湯船から水があふれる音がする。少し、綺麗な音だった。

(これはそうじたんとうしゃのしめわすれなのか、こういうさーびすなのか)

これは掃除担当者の閉め忘れなのか、こういうサービスなのか

(はんだんがつかなかったが、すくなくともそのどちらかだとおもうようにする。)

判断がつかなかったが、少なくともそのどちらかだと思うようにする。

(へやにもどると、かのじょがうつぶせからあおむけになっていて、どきっとした。)

部屋に戻ると、彼女がうつ伏せから仰向けになっていて、ドキッとした。

(「てがかりは?」「かみのけです」)

「手掛かりは?」「髪の毛です」

など

(ふろばでしゃわーののずるにからみついていた、)

風呂場でシャワーのノズルに絡み付いていた、

(かなりいろをぬいてあるちゃぱつをつまんでみせる。ながいかみだった。)

かなり色を抜いてある茶髪をつまんでみせる。長い髪だった。

(そのあと、かのじょのことばはなかったのでそれはごみばこにすてた。)

そのあと、彼女の言葉はなかったのでそれはゴミ箱に捨てた。

(「もうでましょう。・・・・・・わりかんで」そういいながらかのじょはみをおこした。)

「もう出ましょう。……割り勘で」そう言いながら彼女は身を起こした。

(おれがはらいますとくちにしたくなったが、どうかんがえてもわりかんが)

俺が払いますと口にしたくなったが、どう考えても割り勘が

(ここからのべすとのだっしゅつほうほうだった。)

ここからのベストの脱出方法だった。

(さきばらいしていたかのじょににぶんのいちをはすうまできっちりてわたし、)

先払いしていた彼女に2分の1を端数まできっちり手渡し、

(いらだちときはずかしさで、おれは(はいはい、はやくてわるかったね)と)

苛立ちと気恥ずかしさで、俺は(ハイハイ、早くて悪かったね)と

(あたまのなかでくりかえしながらかのじょよりまえをあるいてほてるをでた。)

頭の中で繰り返しながら彼女より前を歩いてホテルを出た。

(じぶんでもよくわからないが、どこかにあるだろうかんしかめらに)

自分でもよくわからないが、どこかにあるだろう監視カメラに

(ぶつけていたのかもしれない。)

ぶつけていたのかも知れない。

(ほてるがいをぬけてから、「ついせき」をひらいた。)

ホテル街を抜けてから、『追跡』を開いた。

(「つぎは、れすとらんにむかったようです」)

「次は、レストランに向かったようです」

(じゅんばんぎゃくだろ、とおもいながらことばをはきだした。)

順番逆だろ、と思いながら言葉を吐き出した。

(ひるまのうちにほてるなんて、まるでかねのないがくせいみたいじゃないか。)

昼間のうちにホテルなんて、まるで金の無い学生みたいじゃないか。

(いや、まさにそのきんのないがくせいなのだった。あのひとは。)

いや、まさにその金の無い学生なのだった。あの人は。

(れすとらんまであと50めーとるというほどうで、けっこんをみつける。)

レストランまであと50メートルという歩道で、血痕を見つける。

(ぺーじのなかほどにそのぶんしょうをみつけたとき、いっしゅんあしがとまった。)

ページの中ほどにその文章を見つけたとき、一瞬足が止まった。

(そしていそいでじてんしゃにのり、れすとらんへのとじょうでけっこんをさがした。)

そして急いで自転車に乗り、レストランへの途上で血痕を探した。

(あった。がいろじゅのあいだ。しゃどうがちかい。)

あった。街路樹の間。車道が近い。

(さがさなければきっとみおとしていただろうそれは、)

探さなければきっと見落としていただろうそれは、

(とっくにかわいている。だれのちだ?)

とっくに乾いている。誰の血だ?

(しゅういをみるが、ゆうぐれがちかづきいろあせたようなざっとうには)

周囲を見るが、夕暮れが近づき色褪せたような雑踏には

(なんのこたえもない。ただ、わずかすうめーとるさきからみぎへおれる)

なんの答えもない。ただ、わずか数メートル先から右へ折れる

(うらみちがやけにきになった。くるまがとおれるはばにくわえ、)

裏道がやけに気になった。車が通れる幅に加え、

(すぐにまたちょっかくにおれていてみとおしがわるい。)

すぐにまた直角に折れていて見通しが悪い。

(ひとひとりいなくなるのに、うってつけのけいろじゃないか。)

人ひとりいなくなるのに、うってつけの経路じゃないか。

(そんなもうそうともつかないことばがあたまのなかにうかぶ。)

そんな妄想ともつかない言葉が頭の中に浮かぶ。

(ねんのためにれすとらんまでいき、ししょうのにんそうふうていをつげるが)

念のためにレストランまで行き、師匠の人相風体を告げるが

(てんいんにおぼえているものはいなかった。でーとはここまでだったらしい。)

店員に覚えているものはいなかった。デートはここまでだったらしい。

(たしかになにかがおきている。「つづきは?」かのじょにうながされて、ぺーじをめくる。)

確かに何かが起きている。「続きは?」彼女に促されて、ページをめくる。

(「たくしーにのります」そしておれは、うんてんしゅに「じんめんそ」を)

「タクシーに乗ります」そして俺は、運転手に「人面疽」を

(しっているかときく。じんめんそ?どうしてそんなたんごがここででてくるのか。)

知っているかと聞く。人面疽?どうしてそんな単語がここで出てくるのか。

(こんわくしながらもよみすすめるが、どうやらこのぺーじはたくしーによる)

困惑しながらも読み進めるが、どうやらこのページはタクシーによる

(いどうのぶぶんしかかかれていないようだ。)

移動の部分しか書かれていないようだ。

(ふうけいなどのむだなびょうしゃがおおい。おれたちはたくしーをとめ、のりこむ。)

風景などの無駄な描写が多い。俺たちはタクシーを止め、乗り込む。

(そしてうんてんしゅににんめんしょをしっているかときいてみた。)

そして運転手に人面疽を知っているかと聞いてみた。

(40だいがらみのそのおとこは、「いやだなぁおきゃくさん、かいだんばなしはにがてなんですよ」)

40代がらみのその男は、「いやだなぁお客さん、怪談話は苦手なんですよ」

(といってしろいてぶくろをしたひだりてをかおのまえでふったあと、)

と言って白い手袋をした左手を顔の前で振った後、

(「じんめんそはよくしりませんけど、こないだおきゃくさんから)

「ジンメンソはよく知りませんけど、こないだお客さんから

(きいたはなしで・・・・・・」と、みょうにうれしそうにたくしーにまつわる)

聞いた話で……」と、妙に嬉しそうにタクシーにまつわる

(かいだんばなしをとうとうとしはじめた。かいだんずきのきゃくとみてとってのさーびすなのか、)

怪談話を滔々としはじめた。怪談好きの客と見てとってのサービスなのか、

(それとももともとそういうはなしがだいすきなのかわからなかなったが、)

それとも元々そういう話が大好きなのかわからなかなったが、

(ともかくかれはえんえんとしゃべりつづけ、おれはなにかそこにひんとがかくれているのか)

ともかく彼は延々と喋り続け、俺はなにかそこにヒントが隠れているのか

(としんけんにきいていたが、やがてもんきりがたのありがちな)

と真剣に聞いていたが、やがて紋切り型のありがちな

(おちばかりつづくのにへいこうしてふかくこしをかけなおした。)

オチばかり続くのに閉口して深く腰を掛け直した。

(たくしーはこうがいのみちをはしる。おりるべきばしょだけはわかっていたので、)

タクシーは郊外の道を走る。降りるべき場所だけはわかっていたので、

(おれたちはすわっているだけでよかった。)

俺たちは座っているだけで良かった。

(「じんめんそ」とは、からだのいちぶににんげんのかおのようなできものがうかびあがるげんしょうだ。)

「人面疽」とは、体の一部に人間の顔のような出来物が浮かび上がる現象だ。

(いや、びょうきといっていいのだろうか。おかるとずきならしっているだろうが、)

いや、病気と言っていいのだろうか。オカルト好きなら知っているだろうが、

(いっぱんじんにはあまりなじみのないなまえだろう。)

一般人にはあまり馴染みのない名前だろう。

(そういえば、ししょうがじんめんそについてかたっていたことがあったきがする。)

そういえば、師匠が人面疽について語っていたことがあった気がする。

(けっこうさいきんのことだったかもしれない。)

結構最近のことだったかも知れない。

(なにをはなしていたのだったか。ぎゅっとめをつぶるが、どうしてもおもいだせない。)

なにを話していたのだったか。ぎゅっと目を瞑るが、どうしても思い出せない。

(となりにはひざのうえにちいさなばっぐをのせたかのじょが、)

隣には膝の上に小さなバッグを乗せた彼女が、

(どこかくらいひょうじょうでまどのそとをみていた。)

どこか暗い表情で窓の外を見ていた。

(やがてたくしーはもくてきちにとうちゃくする。しゅういはすっかりくらくなっていた。)

やがてタクシーは目的地に到着する。周囲はすっかり暗くなっていた。

(うんちんをふたりではらい、くるまからおりようとするとうんてんしゅがきゅうにこえをひそめて、)

運賃を二人で払い、車から降りようとすると運転手が急に声を顰めて、

(「でもおきゃくさん。どうしてきづいたんですか」といいながら)

「でもお客さん。どうして気づいたんですか」と言いながら

(ひだりてのてぶくろのそろそろとずらすそぶりをみせた。)

左手の手袋のソロソロとずらす素振りをみせた。

(いっしゅんおれがいきをのむと、すぐにかれはじょうだんですよとかいかつにわらって)

一瞬俺が息をのむと、すぐに彼は冗談ですよと快活に笑って

(「くうしゃ」のひょうじをだしながらくるまをはっしんさせ、さっていった。)

『空車』の表示を出しながら車を発進させ、去っていった。

(どうやらもともとがかいだんずきだったらしい。)

どうやら元々が怪談好きだったらしい。

(おれはもうにどとひろわないようにそのたくしーのなんばーをおぼえた。)

俺はもう二度と拾わないようにそのタクシーのナンバーを覚えた。

(「で、ここからは」かのじょがあたりをみる。)

「で、ここからは」彼女があたりを見る。

(こうえんのいりぐちふきんで、がいとうがひとついまにもきえそうにまたたいている。)

公園の入り口付近で、街灯が一つ今にも消えそうに瞬いている。

(ふぇんすをかぜがゆらすおとがかすかにきこえる。)

フェンスを風が揺らす音がかすかに聞こえる。

(おれはぺんらいとをおしりのぽけっとからだして「ついせき」をひらく。)

俺はペンライトをお尻のポケットから出して『追跡』を開く。

(いつなんどきあのひとがきまぐれをおこすかわからないので、)

いつなんどきあの人が気まぐれを起こすかわからないので、

(さいていげんのあかりはできるだけもちあるくことにしていた。)

最低限の明かりはできるだけ持ち歩くことにしていた。

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