天使-7-

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プレイ回数480難易度(5.0) 3329打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 だったかもしれな 7309 7.5 97.5% 450.8 3381 86 63 2024/09/05
2 ちゅけ 5221 B+ 5.3 97.5% 619.4 3316 82 63 2024/08/11

関連タイピング

問題文

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(「どうしたの」ときくよーこをよこめでみながら、)

「どうしたの」と聞くヨーコを横目で見ながら、

(「ごめん、きゅうようおもいだした。さきかえる」といっぽうてきにいって、)

「ゴメン、急用思い出した。先帰る」と一方的に言って、

(おすすめけーきとあいすてぃーのだいきんをてーぶるにおき、でぐちにむかう。)

おすすめケーキとアイスティーの代金をテーブルに置き、出口に向かう。

(よーこのひなんするようなこえがせなかにとどいたが、むしした。)

ヨーコの非難するような声が背中に届いたが、無視した。

(みせをでたあと、そのあしをまちのとしょかんへとむける。)

店を出た後、その足を町の図書館へと向ける。

(いやなよかんがする。じぶんのきおくがまちがっていてくれたら、とおもう。)

嫌な予感がする。自分の記憶が間違っていてくれたら、と思う。

(けれどその30ぷんご、ひろげたおおきなじてんのなかにそのなまえをみつけたとき、)

けれどその30分後、広げた大きな事典の中にその名前を見つけた時、

(ひとけのないしずかなとしょかんのかたすみでわたしはふかいいきをついた。)

人気の無い静かな図書館の片隅で私は深い息をついた。

(しんぞうがつめたいちをぜんしんにおくっている。)

心臓が冷たい血を全身に送っている。

(そしてそれはぐるぐるとめぐり、もういちどしんぞうにかえってくる。)

そしてそれはぐるぐると巡り、もう一度心臓に還って来る。

(すべてがつながっていく。とてもれいこくに。)

すべてが繋がっていく。とても冷酷に。

(ばらばらだったぱずるのかけらがひとつ、ひとつとつなぎあわされ、)

バラバラだったパズルの欠片がひとつ、ひとつと繋ぎ合わされ、

(みえつつあるえのむこうからとほうもなくくらいだれかのめがのぞいていた。)

見えつつある絵の向こうから途方もなく暗い誰かの目が覗いていた。

(こわいゆめをみていたきがする。)

怖い夢を見ていた気がする。

(まくらもとのめざましどけいをとめ、からだをべっどからおこしながらおもいだそうとする。)

枕元の目覚まし時計を止め、身体をベッドから起こしながら思い出そうとする。

(かーてんのすきまからさしこむひかりにめをほそめ、おもいだそうとしたものをふりはらう。)

カーテンの隙間から射し込む光に目を細め、思い出そうとしたものを振り払う。

(せーらーふくにそでをとおし、あさごはんをかきこんで)

セーラー服に袖を通し、朝ごはんをかきこんで

(いえをでたあしがすいすいとまえにでない。)

家を出た足がスイスイと前に出ない。

(きぶんがしずんだまま、いつもよりじかんをかけてがっこうにたどりついた。)

気分が沈んだまま、いつもより時間をかけて学校にたどり着いた。

(ひとでごったがえすしょうこうぐちで、くつばこからうわばきをだしていると)

人でごった返す昇降口で、靴箱から上履きを出していると

など

(ろうかのほうにめがいった。)

廊下の方に目が行った。

(すらりとしたちょうしん。しょーとかっとのかみがみみもとにゆれる。きれながのすずしいめ。)

スラリとした長身。ショートカットの髪が耳元に揺れる。切れ長の涼しい目。

(すきとおるようなしろいはだ。まさききょうこだった。)

透き通るような白い肌。間崎京子だった。

(あっというまにとおりすぎてみえなくなったかのじょを、そのざんぞうを、)

あっという間に通り過ぎて見えなくなった彼女を、その残像を、

(にらみつけてわたしはこころのなかであばれるかんじょうをおさえていた。)

睨みつけて私は心の中で暴れる感情を抑えていた。

(そのひのいちじかんめはえいごのじゅぎょうだった。)

その日の1時間目は英語の授業だった。

(こくばんのえいぶんをのーとにかきうつしているわたしのつくえに、)

黒板の英文をノートに書き写している私の机に、

(まるめたかみがこつんとおちてきた。)

丸めた紙がコツンと落ちて来た。

(ひろげると「やい、ちひろ。おかげでけーきふたつもくっちまったぞ。)

広げると『やい、ちひろ。おかげでケーキふたつも食っちまったゾ。

(おでぶちゃんになったらどうしてくれる”さら”」というぶんめん。)

おデブちゃんになったらどうしてくれる "皿"』という文面。

(「すまん。すまんついでにひるやすみ、ちょっとつきあってくれ」)

『スマン。スマンついでに昼休み、ちょっとつきあってくれ』

(とかいたのーとのきれはしをかえす。)

と書いたノートの切れ端を返す。

(「ok」のへんじ。なにごともなくじかんはすぎさり、やがてひるやすみをつげる)

『OK』の返事。何事もなく時間は過ぎ去り、やがて昼休みを告げる

(ちゃいむがなった。ざわめきがきょうしつにひろがるなかわたしはたちあがり、)

チャイムが鳴った。ざわめきが教室に広がるなか私は立ち上がり、

(たかのしほのせきへむかう。「ちょっときて」)

高野志穂の席へ向う。「ちょっと来て」

(そのしゅんかん、きんちょうしたようなくうきがしゅういにながれる。)

その瞬間、緊張したような空気が周囲に流れる。

(わたしはかまわず、かなしばりにあったようにみをかたくした)

私はかまわず、金縛りにあったように身を固くした

(たかのしほのうでをとって、ごういんにたたせた。)

高野志穂の腕を取って、強引に立たせた。

(「ちょっと、ちひろ」といいながらちかづいてきたよーこにも、)

「ちょっと、ちひろ」と言いながら近づいてきたヨーコにも、

(うむをいわせないくちょうで「いっしょにきて」とつげる。)

有無を言わせない口調で「一緒に来て」と告げる。

(くらすじゅうのとくめいのしせんをあびながらわたしはふたりとともにきょうしつをでた。)

クラス中の匿名の視線を浴びながら私は二人とともに教室を出た。

(はやあしで、こうしゃうらのひみつのばしょにむかう。)

早足で、校舎裏の秘密の場所に向かう。

(ふさわしいばしょは、そこしかないようなきがしていた。)

相応しい場所は、そこしかないような気がしていた。

(なにかぶつぶついいながらもついてくるよーこはふきげんなかおをかくさなかった。)

なにかぶつぶつ言いながらもついてくるヨーコは不機嫌な顔を隠さなかった。

(たかのしほはそうはくともいっていいかおいろで、あしどりもふらついてみえる。)

高野志穂は蒼白とも言っていい顔色で、足取りもふらついて見える。

(わたしはかのじょのうでをつかむてにかるくちからをこめた。しっかりあるけ、と。)

私は彼女の腕をつかむ手に軽く力を込めた。しっかり歩け、と。

(だれもいないそのばしょについて、わたしはたかのしほをかべがわにたたせた。)

誰もいないその場所に着いて、私は高野志穂を壁側に立たせた。

(いまはとおくのざわめきもきこえない。)

今は遠くのざわめきも聞こえない。

(こうしゃのかべにはんしゃして、ひざしがめにいたい。)

校舎の壁に反射して、陽射しが目に痛い。

(しろくかがやきながら、なつがもうそこまできている。「こわがらずにこたえてほしい」)

白く輝きながら、夏がもうそこまで来ている。「怖がらずに答えて欲しい」

(たかのしほはなまつばをのみながら、それでもこくこくとうなずく。)

高野志穂は生唾を飲みながら、それでもコクコクと頷く。

(そのめはしょうたいなくおよいでいる。)

その目は正体なく泳いでいる。

(「しまざきさんがじさつしようとしたりゆうをしってるな」うなずく。)

「島崎さんが自殺しようとした理由を知ってるな」頷く。

(「そのことで、かのじょはまさききょうこのところへそうだんにいったな」うなずく。)

「そのことで、彼女は間崎京子の所へ相談に行ったな」頷く。

(「うらなってもらったけっかをしって、しょっくをうけたかのじょは)

「占ってもらった結果を知って、ショックを受けた彼女は

(おもいあまっててくびをきった」うなずく。)

思い余って手首を切った」頷く。

(「そのばんそうこうのしたは、ばれーぶのれんしゅうでついたきずじゃないな」うなずく。)

「その絆創膏の下は、バレー部の練習でついた傷じゃないな」頷く。

(「しまざきさんとあなた。ふたりともだれかにきょうかつされていたな」・・・・・・うなずく。)

「島崎さんとあなた。二人とも誰かに恐喝されていたな」……頷く。

(「かなりのがくのおかねをおどしとられていたな」うなずく。)

「かなりの額のお金を脅し取られていたな」頷く。

(「ほかのひとにいえば、もっとこわいひとからひどいめにあわされると?」うなずく。うなずく。)

「他の人に言えば、もっと怖い人から酷い目に遭わされると?」頷く。頷く。

(「きょうかつしていたのは、こいつだな」よーこがひめいをあげた。)

「恐喝していたのは、こいつだな」ヨーコが悲鳴をあげた。

(わたしがつよいちからでうでをひっぱったからだ。)

私が強い力で腕を引っ張ったからだ。

(「ちょ、ちょっと、なにいうのよ、ちひろ。いたい。いたいって」)

「ちょ、ちょっと、なに言うのよ、ちひろ。痛い。痛いって」

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