怪物 「転」-7-(完)

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(いらっとした。そんなこと、こいつになんのかんけいがあるんだ。)

イラッとした。そんなこと、こいつになんの関係があるんだ。

(わたしのひょうじょうにいらだちをよみとったのかたかのしほは「ごめん」とあたまをさげ、)

私の表情に苛立ちを読み取ったのか高野志穂は「ゴメン」と頭を下げ、

(それでもいをけっしたようなかおでつづけた。)

それでも意を決したような顔で続けた。

(「やまなかさん、なにかせおいこんでるようにみえるから。)

「山中さん、なにか背負い込んでるように見えるから。

(もしてつだえることがあったら、てつだうよ」)

もし手伝えることがあったら、手伝うよ」

(そういったあと、かのじょはもういちど「ごめん」とあたまをさげて、きびすをかえそうとした。)

そう言ったあと、彼女はもう一度「ゴメン」と頭を下げて、踵を返そうとした。

(そのしゅんかん、でじゃヴのしょうたいがきゅうにわかった。)

その瞬間、デジャヴの正体が急に分かった。

(あのときもたかのしほはろうかでわたしにはなしかけてきた。)

あのときも高野志穂は廊下で私に話し掛けてきた。

(そして「わたしもみたよ。こわいゆめ。・・・・・・やまなかさん。)

そして『私も見たよ。怖い夢。……山中さん。

(ちょっとうらなってくれないかな」といった。)

ちょっと占ってくれないかな』と言った。

(あれはいつだった?くらすめーとが「おもいだせないこわいゆめ」について)

あれはいつだった? クラスメートが「思い出せない怖い夢」について

(はなしているのをはじめてきいたときだ。)

話しているのを初めて聞いた時だ。

(すいようび?いや、すいようびはがっこうをぬけだしていしのあめのげんばをみたひだ。)

水曜日? いや、水曜日は学校を抜け出して石の雨の現場を見た日だ。

(ということはそのまえ。かようびだ。)

ということはその前。火曜日だ。

(わたしのなかで、かすかにかんじていたひっかかりがきゅうにふくらんでいく。)

私の中で、微かに感じていた引っ掛かりが急に膨らんでいく。

(たかのしほはうらなってほしいとわたしにたのんだ。なにを?とうぜんゆめのことだ。)

高野志穂は占って欲しいと私に頼んだ。何を? 当然夢のことだ。

(そして、そのじてんでかのじょはわたしにとらんぷだかたろっとだかで)

そして、その時点で彼女は私にトランプだかタロットだかで

(うらなってもらうだけの”ざいりょう”をもっていたことになる。)

占ってもらうだけの"材料"を持っていたことになる。

(「たかのさん、おかあさんをころすゆめをみた?」)

「高野さん、お母さんを殺す夢を見た?」

(たかのしほはおどろいたかおをしたあと、こくりとうなずく。)

高野志穂は驚いた顔をしたあと、コクリと頷く。

など

(「かようびのあさがはじめて?」)

「火曜日の朝が初めて?」

(かのじょはすこしくびをひねり、おもいだすそぶりをしたあとでくちをひらいた。)

彼女は少し首を捻り、思い出す素振りをしたあとで口を開いた。

(「げつようび」それをきいたしゅんかん、わたしはつばをのんだ。)

「月曜日」それを聞いた瞬間、私は唾を飲んだ。

(みんなより、そしてわたしより、みっかもはやい。)

みんなより、そして私より、3日も早い。

(わたしがはじめてゆめをおぼえていたのがもくようびのあさなのだから。)

私が初めて夢を覚えていたのが木曜日の朝なのだから。

(「きて」といってわたしはかのじょのてをとり、きょうしつにひきかえした。)

「来て」と言って私は彼女の手を取り、教室に引き返した。

(かのじょは「え?え?」ととまどいながらもついてくる。)

彼女は「え? え?」と戸惑いながらもついてくる。

(きょうしつのなかにはいり、わたしのつくえのなかからしないのちずをとりだしてひろげる。)

教室の中に入り、私の机の中から市内の地図を取り出して広げる。

(「あなたのいえはどのへん?」)

「あなたの家はどの辺?」

(やけにからふるになったちずをまえにしてたかのしほは)

やけにカラフルになった地図を前にして高野志穂は

(すこしちゅうちょするようすをみせたが、わたしのかおをうかがってからひとさしゆびをそっとおろす。)

少し躊躇する様子を見せたが、私の顔を伺ってから人差し指をそっと下ろす。

(おれんじのてんでできたいびつなえんのほぼちゅうしんをさしている。)

オレンジの点で出来たいびつな円のほぼ中心を指している。

(えんはかいげんしょうのもくげきぽいんとでこうせいされているけれど、)

円は怪現象の目撃ポイントで構成されているけれど、

(さんぷるがすくなすぎるためにせいかくなえんをつくれていなかった。)

サンプルが少なすぎるために正確な円を作れていなかった。

(しょせんくらすめーとのうわさばなしだけであつめたじょうほうなのだ。)

所詮クラスメートの噂話だけで集めた情報なのだ。

(たまたましらなかっただけのかいげんしょうがもしえんしゅうのそとがわにふきんにあったとすると、)

たまたま知らなかっただけの怪現象がもし円周の外側に付近にあったとすると、

(それだけでえんのかたちがかわり、そのちゅうしんのずれてしまう。)

それだけで円の形が変わり、その中心のズレてしまう。

(ちゅうしんにこそえきどながいるはずなのに。)

中心にこそエキドナがいるはずなのに。

(だがこれでそのちゅうしんのいちがほぼはんめいした。)

だがこれでその中心の位置がほぼ判明した。

(たかのしほのげつようびというのは”はやすぎる”。)

高野志穂の月曜日というのは"早すぎる"。

(だからかのじょはちゅうしんからきわめてちかいちいきにすんでいる。まちがいない。)

だから彼女は中心から極めて近い地域に住んでいる。間違いない。

(おおざっぱにひいたえんしゅうのせんからも、ほとんどむじゅんがない。)

大雑把に引いた円周の線からも、ほとんど矛盾がない。

(そこにあるのは、きゅうげきに「こわいゆめ」とかいげんしょうが)

そこにあるのは、急激に「怖い夢」と怪現象が

(えいきょうをかくだいしていくまえの、ちいさなえんだ。)

影響を拡大していく前の、小さな円だ。

(すっとかのじょのゆびさきのしたにぼーるぺんでまるをつけた。)

スッと彼女の指先の下にボールペンで丸をつけた。

(えきどなはそこにいる。かいぶつたちのちいさなまりあが。)

エキドナはそこにいる。怪物たちの小さなマリアが。

(いまもくらいへやにうずくまって。)

今も暗い部屋にうずくまって。

(わたしはほほえみをうかべようとして、それにすこししっぱいして、)

私は微笑みを浮かべようとして、それに少し失敗して、

(それでもなんとかわらって、ことばをのせた。)

それでもなんとか笑って、言葉を乗せた。

(「たすかった。・・・・・・ありがとう」)

「助かった。……ありがとう」

(たかのしほは、よくわからないままにれいをいわれたことに)

高野志穂は、よく分からないままに礼を言われたことに

(ふしぎなかおをしながらも、うれしそうに「うん」といった。)

不思議な顔をしながらも、嬉しそうに「うん」と言った。

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