怪物 「結」上-1-

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プレイ回数470難易度(5.0) 5307打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 daifuku 3597 D+ 3.8 93.8% 1380.7 5316 349 100 2024/08/22

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問題文

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(ながくなったので「けつ」はふたつにわけました。)

長くなったので「結」は二つに分けました。

(こんなじかんですが、「けつ」じょうをとうかします。)

こんな時間ですが、「結」上を投下します。

(「けつ」げはこんや。たぶん、いけるとおもう。げんざい、へんなかいぎょうにせいをだしています。)

「結」下は今夜。たぶん、いけると思う。現在、変な改行に精を出しています。

(もしおきているひとがいたらしえんをおねがいします。20れすくらいのよてい。)

もし起きている人がいたら支援をお願いします。20レスくらいの予定。

(そのひのほうかご、わたしはさんねんせいのきょうしつへむかった。)

その日の放課後、私は3年生の教室へ向かった。

(ぽるたーがいすとげんしょうのほんをかしてくれたせんぱいにあうためだ。)

ポルターガイスト現象の本を貸してくれた先輩に会うためだ。

(ろうかでなまえをだしてきいてみるとすぐにきょうしつはわかった。)

廊下で名前を出して聞いてみるとすぐに教室は分かった。

(せんぱいはわたしのかおをみるなりおっ、というかおをしててまねきをしたが、)

先輩は私の顔を見るなりオッ、という顔をして手招きをしたが、

(せきまでいくとすぐにりょうてをかおのまえであわせてあやまる。)

席まで行くとすぐに両手を顔の前で合わせて謝る。

(「ごめん。きょうはこれからぶかつなんだ」)

「ゴメン。今日はこれから部活なんだ」

(けんどうはやめたんじゃなかったんですか、ときくと「ぶんかけ~い」といって)

剣道は止めたんじゃなかったんですか、と聞くと「文科け~い」と言って

(とらんぺっとをふくまねをする。すいそうがくぶかなにからしい。)

トランペットを吹く真似をする。吹奏楽部かなにからしい。

(「ひとつだけおしえてください」そういうわたしに、「ま、すわりなさい」と)

「一つだけ教えてください」そう言う私に、「ま、座りなさい」と

(ちかくのせきからいすをひっぱってくる。)

近くの席から椅子を引っ張ってくる。

(そのまわりではかえりじたくをするせいとたちがわたしをものめずらしそうによこめでみている。)

その周りでは帰り支度をする生徒たちが私を物珍しそうに横目で見ている。

(たしょうはじかんをとってくれるようなので、じゅんじょだててきくことにする。)

多少は時間をとってくれるようなので、順序立てて聞くことにする。

(「せんぱいのいえでおこったぽるたーがいすとげんしょうは、いたずらでしたか?」)

「先輩の家で起こったポルターガイスト現象は、イタズラでしたか?」

(せんぱいはめをまるくしてからわらう。)

先輩は目を丸くしてから笑う。

(「いきなりだな。でもちがうよ。わたしだっておどろいてた。)

「いきなりだな。でも違うよ。私だって驚いてた。

(ほんとにめのまえではながちゅうにうかんだりしたんだ」)

ホントに目の前で花が宙に浮かんだりしたんだ」

など

(「じゃあげんいんはなんですか?」)

「じゃあ原因はなんですか?」

(「・・・・・・あのほんもうよんだんだ?わたしにきくってことは」)

「……あの本もう読んだんだ? 私に聞くってことは」

(うなずく。)

頷く。

(「まあ、しってるとおもうけど、あたしのいえってりょうしんがなかよくないわけよ。)

「まあ、知ってると思うけど、あたしの家って両親が仲良くないワケよ。

(いまもべっきょしてるし。そんでしょうがくよねんせいのころって、)

今も別居してるし。そんで小学4年生のころって、

(いちばんばちばちやりあってたじきなのよ。いえのなかでもかおあわせれば)

一番バチバチやりあってた時期なのよ。家の中でも顔あわせれば

(けんかばっかり。こどものめのまえでひどいこうろんしてたんだから。)

喧嘩ばっかり。子どもの目の前で酷い口論してたんだから。

(まるであたしがそこにいないみたいに」)

まるであたしがそこに居ないみたいに」

(わたしのいめーじのなかで、しるえっとのおとことおんながいがみあっている。)

私のイメージの中で、シルエットの男と女がいがみ合っている。

(そしてそのかたわらには10さいくらいのしょうじょがおびえたひょうじょうでからだをちぢませている。)

そしてその傍らには10歳くらいの少女が怯えた表情で身体を縮ませている。

(「ちょうのうりょくだかしんれいげんしょうだかしらないけど、たぶんげんいんは)

「超能力だか心霊現象だか知らないけど、たぶん原因は

(あたしなんだろうとおもう。いまとなっては、だけど」)

あたしなんだろうと思う。今となっては、だけど」

(「じゃあ。どうやってそれがおさまったんですか」)

「じゃあ。どうやってそれが収まったんですか」

(「きのういわなかったっけ?きとうしがきたの。いえに。)

「昨日言わなかったっけ? 祈祷師が来たの。家に。

(そんで、うんじゃらなんじゃら、えいやーってやったわけよ。)

そんで、ウンジャラナンジャラ、エイヤーってやったわけよ。

(そしたらへんなことはほとんどなくなったな」)

そしたら変なことはほとんどなくなったな」

(「きとうしがぽるたーがいすとをしずめたんですか」)

「祈祷師がポルターガイストを鎮めたんですか」

(「・・・・・・なんかいじわるになったね、あなた。わかってるくせに。)

「……なんかいじわるになったね、あなた。分かってるクセに。

(たぶん、まんぞくしたんだとおもうよ。あたしが。)

たぶん、満足したんだと思うよ。あたしが。

(「おやがここまでやってくれた」って。いまでもおぼえてるもん。りょうしんがふたりとも、)

『親がここまでやってくれた』って。今でも覚えてるもん。両親が二人とも、

(きとうしのうしろでひっしになっててをあわせておがんでんの。)

祈祷師の後ろで必死になって手を合わせて拝んでんの。

(それで、おいのりがおわったあとにあたしのあたまをだいて)

それで、お祈りが終わった後にあたしの頭を抱いて

(「これでだいじょうぶだ」ってふたりしていうの。)

『これで大丈夫だ』って二人して言うの。

(それであたしもなんだかほっとして、ああこれでだいじょうぶなんだ、っておもった。)

それであたしもなんだかホッとして、ああこれで大丈夫なんだ、って思った。

(さいしょはふたりともらっぷおんとか、おさらがわれたりしたこととか、)

最初は二人ともラップ音とか、お皿が割れたりしたこととか、

(なんでもないことみたいにむししてたのよ。)

なんでもないことみたいに無視してたのよ。

(きみがわるいもんだから、きのせいだ、みてない、きいてないってね。)

気味が悪いもんだから、気のせいだ、見てない、聞いてないってね。

(それをきっとそのころのあたしは、じぶんをむしされたみたいにかんじてたのね。)

それをきっとそのころのあたしは、自分を無視されたみたいに感じてたのね。

(だからよけいにひどくなっていったんだとおもう」)

だから余計に酷くなっていったんだと思う」

(けっきょく、ししゅんきのこどもがおこすいたずらとおなじなのだ、とわたしはおもった。)

結局、思春期の子どもが起こすイタズラと同じなのだ、と私は思った。

(じぶんをみてほしくて、かまってほしくて、とんでもないことをしでかすのだ。)

自分を見て欲しくて、構って欲しくて、とんでもないことをしでかすのだ。

(それでおこられることがわかっていながら、しないではいられない。)

それで怒られることが分かっていながら、しないではいられない。

(それはあいでんてぃてぃのめばえとふかくかんけいしているぶぶんだからなのだろう。)

それはアイデンティティの芽生えと深く関係している部分だからなのだろう。

(じぶんがじぶんであるために、みぢかなたしゃのしせんがひつようなのだ。)

自分が自分であるために、身近な他者の視線が必要なのだ。

(「どうしてこんなことがきになるの」)

「どうしてこんなことが気になるの」

(せんぱいのめがわたしのめにむいている。)

先輩の目が私の目に向いている。

(せんぱいもこのまちをさわがせているかいげんしょうのうわさくらいきいているだろう。)

先輩もこの街を騒がせている怪現象の噂くらい聞いているだろう。

(それが、たったひとりのにんげんがしょうてんとなっている)

それが、たった一人の人間が焦点となっている

(ぽるたーがいすとげんしょうなのだときかされたら、わらうだろうか。)

ポルターガイスト現象なのだと聞かされたら、笑うだろうか。

(わたしはそれにこたえないまま、べつのことをいった。)

私はそれに答えないまま、別のことを言った。

(「せんぱいがみたっていうこわいゆめは、もしかしておかあさんをころすゆめですか」)

「先輩が見たっていう怖い夢は、もしかしてお母さんを殺す夢ですか」

(くうきがかわった。おっとりとしてやさしげだっためもとがけわしくなる。)

空気が変わった。おっとりとして優しげだった目元が険しくなる。

(「どうしてしってるの」そのはくりょくにのまれそうになりながら、わたしはことばをつなぐ。)

「どうして知ってるの」その迫力に呑まれそうになりながら、私は言葉を繋ぐ。

(「せんぱいがいっていた、「ありえないゆめ」って、べっきょしていていないはずの)

「先輩が言っていた、『ありえない夢』って、別居していていないはずの

(おかあさんを、いえのげんかんでさしころすゆめだったんでしょう」)

お母さんを、家の玄関で刺し殺す夢だったんでしょう」

(がたん、といすがなってせんぱいがたちあがる。)

ガタン、と椅子が鳴って先輩が立ち上がる。

(「あなた、うらないがすきとかいってたわね。そんなこと、かってにうらなったの?」)

「あなた、占いが好きとか言ってたわね。そんなこと、勝手に占ったの?」

(しまった。おこらせた。ぽるたーがいすとげんしょうのしょうてんとなったことのあるにんげんに、)

しまった。怒らせた。ポルターガイスト現象の焦点となったことのある人間に、

(あのゆめはどううつったのか。それをきいてみたかっただけなのだ。)

あの夢はどう映ったのか。それを聞いてみたかっただけなのだ。

(そこになにかひんとがかくされているとおもって。)

そこになにかヒントが隠されていると思って。

(けれどせんぱいはわたしのことばをかんぜんにごかいし、しゅうせいがききそうにないふんいきだ。)

けれど先輩は私の言葉を完全に誤解し、修正が効きそうにない雰囲気だ。

(いや、ごかいではないのだろう。)

いや、誤解ではないのだろう。

(たにんにふれられたくないぶぶんをどそくでふみにじったのはじじつなのだから。)

他人に触れられたくない部分を土足で踏みにじったのは事実なのだから。

(「ごめんなさい」わたしはふかぶかとあたまをさげる。「もういいでしょう。)

「ごめんなさい」私は深々と頭を下げる。「もういいでしょう。

(ぶかつ、いくから」せんぱいのそのことばにわたしはひきさがらざるをえなかった。)

部活、行くから」先輩のその言葉に私は引き下がらざるを得なかった。

(しらないひとばかりのさんねんせいのきょうしつのろうかをうつむいてかえる。あしがおもい。)

知らない人ばかりの3年生の教室の廊下を俯いて帰る。足が重い。

((こんど、ちゃんとあやまらなきゃ)とおもう。)

(今度、ちゃんと謝らなきゃ)と思う。

(そういえばうらないなんてしばらくしていないことにきがつく。)

そういえば占いなんて暫くしていないことに気がつく。

(まさききょうこはどうやってしんそうにちかづいたのだろう。)

間崎京子はどうやって真相に近づいたのだろう。

(またたろっとうらないでもしたのだろうか?)

またタロット占いでもしたのだろうか?

(それともわたしのようにめとみみをつかってじょうほうをあつめ、すいりをかさねていったのか。)

それとも私のように目と耳を使って情報を集め、推理を重ねていったのか。

(ごじかんめのやすみじかんにきょうしつをのぞいてみたが、あいつはせきにいなかった。)

5時間目の休み時間に教室を覗いてみたが、あいつは席にいなかった。

(あさ、ろうかですれちがったのでたぶんまたそうたいだろう。)

朝、廊下ですれ違ったので多分また早退だろう。

(そういえばすれちがいさまに「ははおやをころすゆめをみたか」とといかけたとき、)

そういえばすれ違い様に「母親を殺す夢を見たか」と問い掛けたとき、

(あいつは「みてない」といった。)

あいつは「見てない」と言った。

(ちこくしそうだったので、さっていくうしろすがたをひきとめはしなかったが、)

遅刻しそうだったので、去っていく後姿を引き止めはしなかったが、

(あれはほんとうだったのだろうか。)

あれは本当だったのだろうか。

(たしかにあいつのいえはちずじょうのおれんじのえんのはしのほうにあり、)

確かにあいつの家は地図上のオレンジの円の端の方にあり、

(まだみたゆめをおもいだせないひとたちをあらわすみどりいろのてんがそんざいする)

まだ見た夢を思い出せない人たちを表す緑色の点が存在する

(えりあのなかなのではあったが、このふしぎなげんしょうがたんにきょりによる)

エリアの中なのではあったが、この不思議な現象が単に距離による

(あんてなのせいどだけにいぞんしているわけではないのはあきらかだ。)

アンテナの精度だけに依存している訳ではないのは明らかだ。

(いちねんせいのふろあにもどったわたしは、まだきたくせずのこっている)

1年生のフロアに戻った私は、まだ帰宅せず残っている

(ほかのくらすのせいとたちからできるだけのじょうほうをえる。)

他のクラスの生徒たちから出来るだけの情報を得る。

(そしてちずをけいこうぺんでうめていった。やはりだ。)

そして地図を蛍光ペンで埋めていった。やはりだ。

(あか、あお、みどりというゆめにかんするみっつのいろはばーむくーへんのように)

赤、青、緑という夢に関する3つの色はバームクーヘンのように

(はっきりえりあでわかれているけれど、なかにはおれんじのえんのがいしゅうにあたる)

はっきりエリアで別れているけれど、中にはオレンジの円の外周にあたる

(みどりのえりあのなかにぽつりとあおいてんがあったり、)

緑のエリアの中にぽつりと青い点があったり、

(あおのえりあにあかいてんがあったりしている。)

青のエリアに赤い点があったりしている。

(そういうこについかしゅざいをこころみるといずれもれいてきなたいけんを)

そういう子に追加取材を試みるといずれも霊的な体験を

(よくするというげんちがとれた。)

よくするという言質が取れた。

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