太宰治 みみずく通信3

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太宰治『みみずく通信』3
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 うねりん 6338 S 6.4 97.7% 351.2 2278 52 34 2024/06/01
2 miko 6174 A++ 6.3 97.4% 359.7 2281 60 34 2024/06/16
3 ばばあ 2976 E+ 3.2 93.1% 715.6 2298 168 34 2024/05/05

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問題文

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(やがてでてきたしゅにんのせんせいとあいさつして、それからかいじょうへでかけました。)

やがて出て来た主任の先生と挨拶して、それから会場へ出かけました。

(かいじょうにはせいとのほかにいっぱんしみんもつどっていました。すみに、おんなのひとも、ご、ろくにん)

会場には生徒の他に一般市民も集っていました。隅に、女の人も、五、六人

(かたまってこしかけていたようでした。わたしが、はいっていくと、はくしゅが)

かたまって腰かけていたようでした。私が、はいって行くと、拍手が

(おこりました。わたしは、すこしわらいました。「べつに、よういもしてまいりませんでした。)

起りました。私は、少し笑いました。「別に、用意もして参りませんでした。

(やどやでねながらかんがえてみましたが、まとまりませんでした。こんなことに)

宿屋で寝ながら考えてみましたが、まとまりませんでした。こんな事に

(なるかもしれぬとおもって、わたしのそうさくしゅうをにさつふところにいれて、とうきょうから)

なるかも知れぬと思って、私の創作集を二冊ふところに容れて、東京から

(もってまいりました。やはり、これを、よむよりほかは、ありません。)

持って参りました。やはり、之を、読むより他は、ありません。

(よんでいるうちになにかおもいつくでしょうから、おもいついたら、またそのときには、)

読んでいるうちに何か思いつくでしょうから、思いついたら、またその時には、

(もうしあげます。」わたしは、「おもいで」というしょきのさくひんを、いっしょうだけよみました。)

申し上げます。」私は、「思い出」という初期の作品を、一章だけ読みました。

(それから、ししょうせつについてすこしいいました。こくはくのげんどということにも)

それから、私小説に就いて少し言いました。告白の限度という事にも

(げんきゅうしました。ふい、ふいとおもいついたことを、てれくさいむしをおしころしおしころし)

言及しました。ふい、ふいと思いついた事を、てれくさい虫を押し殺し押し殺し

(どもりながらいいました。じこばくろのそこのあいじょうについてもいってみました。)

どもりながら言いました。自己暴露の底の愛情についても言ってみました。

(しばらくいっているうちに、だんだんいいたくなくなりました。)

しばらく言っているうちに、だんだん言いたくなくなりました。

(はなしが、とぎれてしまいました。わたしはし、ごはいみずをのんで、さらにもういっさつの)

話が、とぎれてしまいました。私は四、五はい水を飲んで、さらにもう一冊の

(そうさくしゅうをとりあげ、「はしれめろす」というきんさくをおおごえでよんでみました。)

創作集を取り上げ、「走れメロス」という近作を大声で読んでみました。

(するとまたいいたいこともでてきたので、みずをのみ、こんどはゆうじょうについて)

するとまた言いたい事も出て来たので、水を飲み、こんどは友情について

(はなしました。「せいしゅんは、ゆうじょうのかっとうであります。じゅんすいせいをゆうじょうにおいて)

話しました。「青春は、友情の葛藤であります。純粋性を友情に於いて

(じっしょうしようとつとめ、たがいにいたみ、ついにははんきょうらんのじゅんすいごっこにおちいることも)

実証しようと努め、互いに痛み、ついには半狂乱の純粋ごっこに落ちいる事も

(あります。」といいました。それから、そぼくのしんらいということについて)

あります。」と言いました。それから、素朴の信頼という事に就いて

(いいました。しるれるのしをひとつおしえました。りそうをすてるな、)

言いました。シルレルの詩を一つ教えました。理想を捨てるな、

など

(といいました。せいいっぱいのところでした。わたしのこうえんは、それでおわりました。)

と言いました。精一ぱいのところでした。私の講演は、それで終りました。

(いちじかんはんかかりました。つづいてざだんかいのはずでありましたが、いいんは、)

一時間半かかりました。つづいて座談会の筈でありましたが、委員は、

(おつかれのようですから、すこしきゅうけいなさい、とわたしにすすめてくれましたが、わたしは、)

お疲れのようですから、少し休憩なさい、と私にすすめてくれましたが、私は、

(「いいえ、わたしのほうはだいじょうぶです。あなたたちのほうがおつかれだったでしょう。」)

「いいえ、私のほうは大丈夫です。あなた達のほうがお疲れだったでしょう。」

(といいましたら、じょうないにしょうせいがわきました。くたくたにつかれてから、それから)

と言いましたら、場内に笑声が湧きました。くたくたに疲れてから、それから

(わたしはたいへんねばることができます。きみと、ごどうようです。)

私はたいへんねばる事が出来ます。君と、ご同様です。

(じゅっぷんかん、みなそのばにすわったままできゅうけいしました。それから、わたしはせいとたちの)

十分間、皆その場に坐ったままで休憩しました。それから、私は生徒たちの

(まんなかにせきをうつして、しつもんをまちました。「さっきの、ようねんじだいを)

まん中に席を移して、質問を待ちました。「さっきの、幼年時代を

(おかきになるとき、こどものこころになりきることも、むずかしいでしょうし、)

お書きになる時、子供の心になり切る事も、むずかしいでしょうし、

(やはりさくしゃとしてのおとなのこころもあんばいされているとおもうのですが。」)

やはり作者としての大人の心も案配されていると思うのですが。」

(もっともなしつもんであります。「いや、そのことについては、ぼくはあんしんしています。)

もっともな質問であります。「いや、その事に就いては、僕は安心しています。

(なぜなら、ぼくは、いまでもこどもですから。」みんなわらいました。)

なぜなら、僕は、いまでも子供ですから。」みんな笑いました。

(わたしは、わらわせるつもりでいったのではないのでした。)

私は、笑わせるつもりで言ったのではないのでした。

(わたしのなげきをまじめにこたえたつもりなのでした。)

私の嘆きを真面目に答えたつもりなのでした。

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