大豆物語　8巻

(おおさかのうらろじにいちする「だいずびりやーど」。)

大阪の裏路地に位置する「大豆ビリヤード」。

(そこは、びりやーどじょうとしてはしるひとぞしるかくれがてきなばしょだった。)

そこは、ビリヤード場としては知る人ぞ知る隠れ家的な場所だった。

(だいず、つうしょうそい、はそのみせのかんばんせんしゅで、かれのかんさいべんはどこかふうがわりで、)

大豆、通称ソイ、はその店の看板選手で、彼の関西弁はどこか風変わりで、

(うわさによればかれのかこにはさまざまなでんせつがまつわっているといわれていた。)

噂によれば彼の過去には様々な伝説が纏わっていると言われていた。

(あるひ、だいずのもとに、なもしれぬらいばる、なっとうじゃっくがあらわれた。)

ある日、大豆の元に、名も知れぬライバル、納豆ジャックが現れた。

(かれはぐんだんをひきつれて「おおさかのうらしゃかいはおれのものだ！」とせんせんふこくした。)

彼は軍団を引き連れて「大阪の裏社会はオレのものだ！」と宣戦布告した。

(だいずはれいせいにびりやーどのきゅーをぬぐいながら、)

大豆は冷静にビリヤードのキューを拭いながら、

(あいてにむかってほほえみかけた。)

相手に向かって微笑みかけた。

(「おお、そうかい？ここはびりやーどじょうやで。)

「おお、そうかい？　ここはビリヤード場やで。

(けんかのばしょじゃないねん」)

ケンカの場所じゃないねん」

(じゃっくはえみをうかべ、「おまえがよわいからいってんだよ。)

ジャックは笑みを浮かべ、「お前が弱いから言ってんだよ。

(このまちのるーるをかえるのはおれだ」といいはなった。)

この街のルールを変えるのはオレだ」と言い放った。

(すると、だいずはじっとじゃっくのめをみつめた。)

すると、大豆はじっとジャックの目を見つめた。

(「おい、じゃっく。びりやーどのきゅーではなしをつけるやりかたもあるで。)

「おい、ジャック。ビリヤードのキューで話をつけるやり方もあるで。

(おまえ、ちょっとためしにしょうぶしよか？」)

お前、ちょっと試しに勝負しよか？」

(らいばるどうし、びりやーどだいのまわりにひとびとがあつまりはじめた。)

ライバル同士、ビリヤード台の周りに人々が集まり始めた。

(ふたりはれいせいなひょうじょうできゅーをかまえ、げーむがはじまった。)

二人は冷静な表情でキューを構え、ゲームが始まった。

(たまがおとをたてながらころがり、ふたりのぎこうがこうさくするなか、)

球が音を立てながら転がり、二人の技巧が交錯する中、

(てんないのきんちょうかんはたかまっていく。)

店内の緊張感は高まっていく。

(だいずはいっしゅんたりともひょうじょうをくずさず、じゃっくもまたれいせいなぷれーをみせていた。)

大豆は一瞬たりとも表情を崩さず、ジャックもまた冷静なプレーを見せていた。