大豆物語 10巻

関連タイピング
-
プレイ回数12長文かな1323打
-
プレイ回数33長文かな1014打
-
プレイ回数30長文1360打
-
プレイ回数50かな355打
-
左手集中編
プレイ回数74長文1811打 -
"お金にまみれた大豆の驚きの物語"
プレイ回数195長文1685打 -
美しい蝶の羽ばたきが、愛と癒しの物語を紡ぐ
プレイ回数49長文かな1054打 -
プレイ回数24長文かな3140打
問題文
(だいずはむらのぼくじんである。ふえをふき、ひつじとあそんでくらしてきた。)
大豆は村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。
(だいずのいもうとはむらのりちぎないちぼくじんを)
大豆の妹は村の律儀な一牧人を
(はなむことしてむかえることになっていた。)
花婿として迎えることになっていた。
(だいずははなよめのいしょうやらしゅくえんのごちそうやらをかいに)
大豆は花嫁の衣装やら祝宴のごちそうやらを買いに
(はるばるまちにやってきたのだ。)
はるばる町にやって来たのだ。
(だいずにはちくばのともがあった。もるふぉである。)
大豆には竹馬の友があった。モルフォである。
(そのともをこれからたずねてみるつもりなのだ。)
その友をこれから訪ねてみるつもりなのだ。
(あるいているうちにだいずはまちのようすをあやしくおもった。)
歩いているうちに大豆は町の様子を怪しく思った。
(みちであったろうやをつかまえて、にねんまえは)
道で会った老爺をつかまえて、二年前は
(まちはにぎやかであったはずだが、としつもんした。)
町はにぎやかであったはずだが、と質問した。
(「おうさまは、ひとをころします。」)
「王様は、人を殺します。」
(きいてだいずはげきどした。)
聞いて大豆は激怒した。
(だいずはたんじゅんなおとこであった。)
大豆は単純な男であった。
(かいものをせおったままで、のそのそおうじょうにはいっていった。)
買い物を背負ったままで、のそのそ王城に入っていった。
(たちまちかれはほばくされた。)
たちまち彼は捕縛された。
(だいずはおうのまえにひきだされた。)
大豆は王の前に引き出された。
(このたんとうでなにをするつもりであったか。いえ!)
この短刀で何をするつもりであったか。言え!
(まちをぼうくんのてからすくうのだ。と)
町を暴君の手から救うのだ。と
(だいずはわるびれずにこたえた。)
大豆は悪びれずに答えた。
(くちではどんなきよらかなことでもいえる。)
口ではどんな清らかなことでも言える。
(おまえだっていまにはりつけになってから)
おまえだって今にはりつけになってから
(ないてわびたってきかぬぞ。)
泣いてわびたって聞かぬぞ。
(わたしはちゃんとしぬるかくごでいるのに。)
わたしはちゃんと死ぬる覚悟でいるのに。
(いのちごいなどけっしてしない。ただ、といいかけて)
命ごいなど決してしない。ただ、と言いかけて
(だいずはあしもとにしせんをおとししゅんじためらい、)
大豆は足元に視線を落とし瞬時ためらい、
(ただわたしになさけをかけたいつもりなら)
ただわたしに情けをかけたいつもりなら
(しょけいまでにみっかかんのにちげんをあたえてください。)
処刑までに三日間の日限を与えてください。
(たったひとりのいもうとにていしゅをもたせてやりたいのです。)
たった一人の妹に亭主をもたせてやりたいのです。
(ばかな。とぼうくんはしゃがれたこえでひくくわらった。)
ばかな。と暴君はしゃがれた声で低く笑った。
(わたしをみっかかんだけゆるしてください。)
わたしを三日間だけ許してください。
(そんなにわたしをしんじられないならばよろしい、)
そんなにわたしを信じられないならばよろしい、
(このまちにもるふぉというすししょくにんがいます。)
この町にモルフォという寿司職人がいます。
(わたしのむにのゆうじんだ。)
わたしの無二の友人だ。
(あれをひとじちとしてここにおいていこう。)
あれを人質としてここに置いていこう。
(わたしがにげてしまってみっかめのひぐれまで)
わたしが逃げてしまって三日目の日暮れまで
(ここにかえってこなかったら、あのゆうじんをしめころしてください。)
ここに帰ってこなかったら、あの友人を絞め殺してください。
(たのむ。そうしてください。)
頼む。そうしてください。
(なまいきなことをいうわい。)
生意気なことを言うわい。
(どうせかえってこないにきまっている。)
どうせ帰ってこないに決まっている。
(ひとはこれだからしんじられぬとわしはかなしいかおした。)
人はこれだから信じられぬとわしは悲しい顔した。
(ねがいをきいた。みっかめにはにちぼつまでにかえってこい。)
願いを聞いた。三日目には日没までに帰ってこい。
(おくれたらそのみがわりをきっところすぞ。)
遅れたらその身代わりをきっと殺すぞ。
(ちょっとおくれてくるがいい。)
ちょっと遅れてくるがいい。
(おまえのつみはえいえんにゆるしてやろうぞ。)
おまえの罪は永遠に許してやろうぞ。
(ちくばのとももるふぉは、しんや、おうじょうにめされた。)
竹馬の友モルフォは、深夜、王城に召された。
(だいずはともにいっさいのじじょうをかたった。)
大豆は友に一切の事情を語った。
(もるふぉはむごんでうなずきだいずをひしとだきしめた。)
モルフォは無言でうなずき大豆をひしと抱きしめた。
(だいずはすぐにしゅっぱつした。)
大豆はすぐに出発した。
(だいずがかえってくることはなかった。)
大豆が帰ってくることはなかった。
(もるふぉはすぐにしょけいされたのだった。)
モルフォはすぐに処刑されたのだった。