孤独と人生(1)

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自身にそなわっているものこそ幸福にとってもっとも本質的である。
ショーペンハウアー「孤独と人生」からの抜粋。人生の価値は、第一に人がなんであるか、広い意味での人格、健康、力、美しさ、知性。次に人が持っているもの、財産はじめ所有。そして人が思い浮かべるもの、他人の考えの中に占める地位。名誉や名声である。

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問題文

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(にんげんのうんめいのなかにみられるくべつをかたちづくるものはつぎのみっつ)

人間の運命の中に見られる区別を形作るものは次の三つ

(いち.ひとがなんであるかということ、ひろいいみでのじんかく。けんこう、ちから、うつくしさ、ちせい)

一.人が何であるかということ、広い意味での人格。健康、力、美しさ、知性

(に.ひとがもっているもの。ざいさんはじめしょゆう。)

二.人が持っているもの。財産はじめ所有。

(さん.ひとがおもいうかべるもの。たにんのかんがえのなかにしめるちい。めいよ、めいせい。)

三.人が思いうかべるもの。他人の考えの中に占める地位。名誉、名声。

(じんかくのかちはほかのにこうもくのかちがたんにそうたいてきであるのとはちがってぜったいてきである)

人格の価値は他の二項目の価値が単に相対的であるのとは違って絶対的である

(じんかくはほかのにこうもくのように、うんめいにさゆうされず、うばいさられることもない。)

人格は他の二項目のように、運命に左右されず、奪い去られることもない。

(あたえられたじんかくからできるかぎりりえきをえるようにりようし、どりょくをかさね、)

与えられた人格からできる限り利益を得るように利用し、努力を重ね、

(じんかくにふさわしいほうこうにおのれをきたえ、ぴったりするしょくぎょうならびにせいかつほうしきをえらぶこと。)

人格に相応しい方向に己を鍛え、ぴったりする職業並びに生活方式を選ぶ事。

(とみをえることいじょうにおのれのけんこうをたもち、のうりょくをのばすべくつとめるのはけんめいなことだ。)

富を得ること以上に己の健康を保ち、能力を伸ばすべく務めるのは賢明な事だ。

(われわれをもっともちょくせつてきにこうふくにするものは、かんかくのめいろうさである。)

我々をもっとも直接的に幸福にするものは、感覚の明朗さである。

(ふきげんなものは10のうち9せいこうしてもひとつがしっぱいしたことできをわるくする。)

不機嫌な者は10の内9成功しても一つが失敗したことで気を悪くする。

(ほがらかなものは、9しっぱいしてもひとつせいこうしたことでこころをなぐさめあかるいきぶんになる。)

朗らかな者は、9失敗しても一つ成功したことで心を慰め明るい気分になる。

(おおくわらうものはこうふくであり、おおくなくものはふこうである。)

多く笑うものは幸福であり、多く泣くものは不幸である。

(のうふのあいだにほがらかなまんぞくしたひょうじょうがみうけられるいっぽう、)

農夫の間に朗らかな満足した表情が見受けられる一方、

(とんでこうきないえがらのものたちにふきげんなかおつきがうかがわれる。)

富んで高貴な家柄の者たちに不機嫌な顔つきがうかがわれる。

(こうふくのてきはくるしみとたいくつ。くるしみからとおざかるとたいくつがやってくる。ぎゃくもしかり)

幸福の敵は苦しみと退屈。苦しみから遠ざかると退屈がやってくる。逆もしかり

(まずしいひとがたえずくつうとたたかっているのにたいしとめるひとはつねにたいくつにいどんでいる。)

貧しい人がたえず苦痛と戦っているのに対し富める人は常に退屈に挑んでいる。

(じぶつではなくじぶつについてのいけんがひとをまどわせる。)

事物ではなく事物についての意見が人をまどわせる。

(じぶつがきゃっかんてきにじっさいはどうなっているかではなく、)

事物が客観的に実際はどうなっているかではなく、

(おのれのとらえかたのなかでじぶつがいかようになっているかということがこうかふこうをきめる)

己の把え方の中で事物がいかようになっているかという事が幸か不幸かを決める

など

(しゃこう、きばらし、ごらく、ぜいたくへのよっきゅうはないめんのくうきょさがもとになりはっせいする。)

社交、気晴らし、娯楽、贅沢への欲求は内面の空虚さがもとになり発生する。

(こうしたことにあしをふみいれるとかねばかりかかって、しまいにはふこうになる。)

こうした事に足を踏み入れると金ばかりかかって、しまいには不幸になる。

(このしゅのふこうからみをまもるためには、ないめんのとみ、せいしんのとみほどあんぜんなものはない)

この種の不幸から身を守るためには、内面の富、精神の富ほど安全なものはない

(せいしんのすぐれたとみをみにつければつけるほど、たいくつするよちがすくなくなる。)

精神の優れた富を身につければつけるほど、退屈する余地が少なくなる。

(ひとはおのれにぞうするところがおおきければおおきいほどそとからもとめるものがすくなくなり、)

人は己に蔵するところが大きければ大きいほど外から求めるものが少なくなり、

(がいぶのじぶつはかれをさゆうしにくくなる。そのためたくえつしたせいしんはひしゃこうてきになる。)

外部の事物は彼を左右しにくくなる。そのため卓越した精神は非社交的になる。

(なみのひとはじかんをつぶすことばかりかんがえる。さいのうあるものはじかんをりようしようとする。)

なみの人は時間を潰す事ばかり考える。才能ある者は時間を利用しようとする。

(こうふくは90%をけんこうにいぞんしている。けんこうであればあらゆることがよろこびのみなもとになる)

幸福は90%を健康に依存している。健康であればあらゆる事が喜びの源になる

(ざいか、せいしん、こころねなどのとくしつもびょうきになるととたんにしつがおち、ゆがんでしまう)

財貨、精神、心根などの特質も病気になるととたんに質が落ち、ゆがんでしまう

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