やわらかな日＜斉藤和義＞

(れーずんいりのこーんふれーく)

レーズン入りのコーンフレーク

(かーてんをあければさんしゃいん)

カーテンを開ければサンシャイン

(ふたりぶんのこーひーがわいた)

二人分のコーヒーが沸いた

(ちょっとこのきじよんでみて)

ちょっとこの記事読んでみて

(かのじょがてわたしたしんぶんにはこうかいてあった)

彼女が手渡した新聞にはこう書いてあった

(じこでなくしたおっとのからだからとりだしたせいしでじゅせいせいこう)

事故で亡くした夫の体から取り出したせいしで受精成功

(かのじょはいった)

彼女は言った

(すごいあいだとおもわない？)

すごい愛だと思わない？

(きょうにほんめのたばこ)

今日二本目の煙草

(もしもぼくがこのきじのおっとだったら)

もしも僕がこの記事の夫だったら

(かんがえてみる)

考えてみる

(すこしこわいきもあるしちょっとうれしいきもする)

少し怖い気もあるし　ちょっと嬉しい気もする

(ねぇどうなの？かのじょがせかす)

ねぇ　どうなの？彼女がせかす

(ねぇものすごいあいだってあなたはおもわないの？)

ねぇ　ものすごい愛だって　あなたは思わないの？

(まだなにもいってないだろ)

まだ何も言ってないだろ

(じゃどうなの？)

じゃどうなの？

(うんそうだね)

うん　そうだね

(もうつまんないひと)

もう　つまんない人

(だれよりたいせつなきみとのこんなあさがぼくはすき)

誰より大切な君との　こんな朝が僕は好き

(なによりだいじなこたえをきみはしってるから)

何より大事な答えを　君は知ってるから

(べじたぶるかれーらいす)

ベジタブルカレーライス

(まどをあければむーんらいと)

窓を開ければムーンライト

(ふたりぶんのびーるをついだ)

二人分のビールをついだ

(きょうねだれかがいってたの)

今日ね誰かが言ってたの

(かのじょがはなすひとみにはとまどいがあった)

彼女が話す瞳には戸惑いがあった

(どんなにすきなひともごねんたてばさめるって)

どんなに好きな人も五年たてば冷めるって

(わたしたちはだいじょうぶでしょ？ねぇどうなの？)

私たちは大丈夫でしょ？ねぇどうなの？

(うんそうだね)

うん　そうだね

(もうつまんないひと)

もう　つまんない人

(だれよりたいせつなきみとのこんなよるがぼくはすき)

誰より大切な君とのこんな夜が僕は好き

(そいつをことばにしたらそのあとどこをみりゃいいの？)

そいつを言葉にしたら　その後何処を見りゃいいの？

(ねぇものすごいあいだってあなたはおもわないの？)

ねぇ　ものすごい愛だって　あなたは思わないの？

(まだなにもいってないだろ)

まだ何も言ってないだろ

(じゃどうなの？)

じゃどうなの？

(うんそうだねそうおもうよ)

うん　そうだね　そう思うよ

(だれよりたいせつなきみとのこんなあさがぼくはすき)

誰より大切な君との　こんな朝が僕は好き

(なによりだいじなこたえをきみはしってるから)

何より大事な答えを君は知ってるから

(ことばはむねのなかきみにはみえてるはずさそうだろ？)

言葉は胸の中　君には見えてるはずさ　そうだろ？

(それよりさわりたいそのやわらかなはだに)

それより触りたい　そのやわらかな肌に

(もっとずっともっとずっと)

もっとずっと　もっとずっと

(れーずんいりのこーんふれーく)

レーズン入りのコーンフレーク

(かーてんをあければさんしゃいん)

カーテンを開ければサンシャイン

(ふたりぶんのこーひーがわいた)

二人分のコーヒーが沸いた