先生 後編 -2-

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師匠シリーズ
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問題文

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(そしたらみんなこわがって、いろいろいいわけしてにげた。)

そしたらみんな怖がって、いろいろ言い訳して逃げた。

(そしてこわがりだとおもわれたくないたろちゃんがもたもたしているうちに)

そして怖がりだと思われたくないタロちゃんがモタモタしているうちに

(しげちゃんにつかまってしまったのだ。)

シゲちゃんに捕まってしまったのだ。

(ぴん、ときた。ぼくのあたまがなにかをひらめいた。)

ピン、ときた。僕の頭がなにかを閃いた。

(それがどこかへいってしまわないようにひっしでかんがえをまとめる。あのよる、)

それがどこかへ行ってしまわないように必死で考えをまとめる。あの夜、

(やまおくのどうくつにはぼくとしげちゃんとたろちゃんのさんにんしかいなかったはずだ。)

山奥の洞窟には僕とシゲちゃんとタロちゃんの三人しかいなかったはずだ。

(あんなばしょによなか、ほかのだれもくるはずがない。でも、だ。)

あんな場所に夜中、ほかの誰もくるはずがない。でも、だ。

(ぼくらさんにんがそのよるあそこにくることをしっていたやつらがいる。)

僕ら三人がその夜あそこにくることを知っていたやつらがいる。

(こわがって、「いかない」といったほかのれんちゅうだ。)

怖がって、「行かない」と言ったほかの連中だ。

(そしてかおにゅうどうのはりぼて。)

そして顔入道のハリボテ。

(わかった!)

わかった!

(はりぼてのうしろがわにはじめからかくれていたんだ。ぼくらがどうくつにはいるまえから!)

ハリボテの後ろ側に初めから隠れていたんだ。僕らが洞窟に入る前から!

(あんなところにだれかがまちかまえているなんておもってもみなかった。)

あんな所に誰かが待ち構えているなんて思ってもみなかった。

(だけど、あいつらならそれができる。ぼくらがくることをしっていたんだから。)

だけど、あいつらならそれが出来る。僕らがくることを知っていたんだから。

(「おこるまえ」のはりぼてのうしろにかくれてぼくとしげちゃんをやりすごし、)

「怒る前」のハリボテの後ろに隠れて僕とシゲちゃんをやり過ごし、

(そのあとにはいったたろちゃんがやってくるまえに)

その後に入ったタロちゃんがやってくる前に

(もうひとつよういしていたはりぼてといれかえて、「おこったあと」にしたのだ。)

もう一つ用意していたハリボテと入れ替えて、「怒った後」にしたのだ。

(ひょっとしたら、まるいはりぼてのりょうめんにかおをえがいていて、)

ひょっとしたら、丸いハリボテの両面に顔を描いていて、

(くるりとうらがえしただけなのかもしれない。)

くるりと裏返しただけなのかも知れない。

(そしていわにえがかれているはずのかおがおkったことにおどろいたたろちゃんが)

そして岩に描かれているはずの顔が怒ったことに驚いたタロちゃんが

など

(ひめいをあげる。ぼくらがけがをしたたろちゃんをかついで)

悲鳴を上げる。僕らが怪我をしたタロちゃんを担いで

(やまをおりたあとではりぼてごとてっしゅうする・・・・・)

山を下りた後でハリボテごと撤収する・・・・・

(くそう。)

くそう。

(だれがやったんだ、こんないたずらを。たかちゃんか、としぼうか、)

誰がやったんだ、こんなイタズラを。タカちゃんか、トシボウか、

(ゆーすけか、それともかっちんか。ひょっとしたらふたり、)

ユースケか、それともカッチンか。ひょっとしたら二人、

(ううん、あのひみつきちにいたぜんいんかもしれない。)

ううん、あの秘密基地にいた全員かも知れない。

(ひきょうなやつらだ。ぶっころしてやる。)

卑怯なやつらだ。ブッコロしてやる。

(しげちゃんにもちくって、ふたりでしかえししてやる。)

シゲちゃんにもチクッて、二人で仕返ししてやる。

(そんなことをぼくがかんじょうにまかせてしゃべるのをせんせいはじっときいていたけれど、)

そんなことを僕が感情に任せて喋るのを先生はじっと聞いていたけれど、

(ふいにそのかおいろがかわった。)

ふいにその顔色が変わった。

(「ちょっとまちなさい。いまなんていったの」)

「ちょっと待ちなさい。今なんて言ったの」

(いつもはおだやかなかおをしているせんせいのほおがきんちょうしているのがわかる。)

いつもは穏やかな顔をしている先生の頬が緊張しているのが分かる。

(めがみひらかれて、しろめがおおきくなる。まゆげがつりあがる。)

目が見開かれて、白目が大きくなる。眉毛が吊りあがる。

(そのことばはしつもんしているのではない。)

その言葉は質問しているのではない。

(こちらのこたえなんてどうでもいい。そんなばくはつまえのかくにんのぎしきだ。)

こちらの答えなんてどうでもいい。そんな爆発前の確認の儀式だ。

(「なんていったの」)

「なんて言ったの」

(そのこえはきりきりときしむようにとがっている。)

その声はキリキリと軋むように尖っている。

(「あ、いや、えと」)

「あ、いや、えと」

(いきなりのおもってもいなかったてんかいにぼくはあしがふるえてきた。)

いきなりの思ってもいなかった展開に僕は足が震えてきた。

(これからどうなるかわかるのだ。うちのたんにんのせんせいとおなじだ。)

これからどうなるか分かるのだ。うちの担任の先生と同じだ。

(ぼくはこのじかんがいちばんいやだ。なにかわるいことをしてどなられるのは)

僕はこの時間が一番嫌だ。なにか悪いことをして怒鳴られるのは

(しょっちゅうだけど、どなるまえの「ため」のじかん。)

しょっちゅうだけど、怒鳴る前の「溜め」の時間。

(かたまったようにうごけなくなるじかんがぼくにはいちばんこわかった。)

固まったように動けなくなる時間が僕には一番怖かった。

(なんでだろう。「ぶっころしてやる」がまずかったのか。)

なんでだろう。「ブッコロしてやる」がまずかったのか。

(それともじぶんでもきづかないようなへまをしたのだろうか。)

それとも自分でも気づかないようなヘマをしたのだろうか。

(であってからあんまりたっていないのに、わけしりかおで「やさしいせんせい」だなんて)

出会ってからあんまり経っていないのに、訳知り顔で「優しい先生」だなんて

(かってにおもってよろこんでいたのが、ばかみたいだ。)

勝手に思って喜んでいたのが、バカみたいだ。

(いったいなにがせんせいをおこらせたのだろう。)

一体なにが先生を怒らせたのだろう。

(そんなことを、やがてくるためこんだいかりのばくはつをただまつみのぼくはかんがえ、)

そんなことを、やがてくる溜め込んだ怒りの爆発をただ待つ身の僕は考え、

(そのにらみつけてくるおそろしいしせんにたえきれず、おもわずめをつぶってしまった。)

その睨みつけてくる恐ろしい視線に耐え切れず、思わず目を瞑ってしまった。

(「あなたじぶんがなにをいったのかわかってるの」)

「あなた自分がなにを言ったのか分かってるの」

(おしころしたようなこえが、ぐっとちかづいてくる。)

押し殺したような声が、ぐっと近づいてくる。

(あ、ひっぱたかれる。)

あ、ひっぱたかれる。

(そうおもったしゅんかんだ。)

そう思った瞬間だ。

(ぼくのほっぺたにやわらかいものがふれた。ぐにっとほおにくがさゆうにひっぱられる。)

僕の頬っぺたに柔らかいものが触れた。ぐにっと頬にくが左右に引っ張られる。

(ぼくはおどろいてめをあけた。そのめのまえに、にこっとわらうせんせいのやさしいかおがあった。)

僕は驚いて目を開けた。その目の前に、ニコッと笑う先生の優しい顔があった。

(「ごめんね。おこられるとおもった?」)

「ごめんね。怒られると思った?」

(こんなにちかくでみるのははじめてだったけど、まえがみをみじかくそろえたそのかおは)

こんなに近くで見るのは初めてだったけど、前髪を短くそろえたその顔は

(すんなりとのびたながいくびのうえにかわいくのっていて、ぼくよりずっと)

すんなりと伸びた長い首の上にかわいく乗っていて、僕よりずっと

(としうえだとおもっていたのに、そのときはほんのすこしとしうえのおんなのこのようにみえた。)

年上だと思っていたのに、その時はほんの少し年上の女の子のように見えた。

(そのせいでむねがどきどきする。)

そのせいで胸がドキドキする。

(いかられるとおもったきんちょうもまざっていたかもしれないけれど。)

怒られると思った緊張も混ざっていたかも知れないけれど。

(「あなたがかんちがいをしていたから、)

「あなたが勘違いをしていたから、

(わかりやすくおしえてあげようとおもっただけなの」)

分かりやすく教えてあげようと思っただけなの」

(せんせいはよくわからないことをいいながら、)

先生はよく分からないことを言いながら、

(すっとぼくのそばをはなれてきょうだんにもどっていった。)

スッと僕のそばを離れて教壇に戻って行った。

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