怪人二十面相10

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(「はしばさん、あなたこそうごいてはいけませんね。」)

「羽柴さん、あなたこそ動いてはいけませんね。」

(おどろいたことには、こがちちをはしばさんとよびました。)

おどろいたことには、子が父を羽柴さんと呼びました。

(そして、ぽけっとからこがたのぴすとるをとりだすと、)

そして、ポケットから小型のピストルをとりだすと、

(そのてをひくくわきにあてて、じっとおとうさんに)

その手をひくくわきにあてて、じっとおとうさんに

(ねらいをさだめたではありませんか。)

ねらいをさだめたではありませんか。

(かおはやっぱりにやにやとわらっているのです。)

顔はやっぱりニヤニヤと笑っているのです。

(そうたろうしは、ぴすとるをみると、たちすくんだまま、)

壮太郎氏は、ピストルを見ると、立ちすくんだまま、

(うごけなくなりました。)

動けなくなりました。

(「ひとをよんではいけません。こえをおたてになれば、ぼくは、)

「人を呼んではいけません。声をおたてになれば、ぼくは、

(かまわずひきがねをひきますよ。」)

かまわず引き金をひきますよ。」

(「きさまはいったいなにものだ。もしや・・・・・・。」)

「きさまはいったい何者だ。もしや……。」

(「ははは・・・・・・、やっとおわかりになったようですね、ごあんしんなさい。)

「ハハハ……、やっとおわかりになったようですね、ご安心なさい。

(ぼくは、あなたのむすこのそういちくんじゃありません。)

ぼくは、あなたのむすこの壮一君じゃありません。

(おさっしのとおり、あなたがたがにじゅうめんしょうとよんでいるとうぞくです。」)

お察しのとおり、あなた方が二十面相と呼んでいる盗賊です。」

(そうたろうしはおばけでもみるように、あいてのかおをみつめました。)

壮太郎氏はお化けでも見るように、相手の顔を見つめました。

(どうしても、とけないなぞがあったからです。では、あのぼるねおとう)

どうしても、とけないなぞがあったからです。では、あのボルネオ島

(からのてがみは、だれがかいたのだ。あのしゃしんはだれのしゃしんなのだ。)

からの手紙は、だれが書いたのだ。あの写真はだれの写真なのだ。

(「ははは・・・・・・、にじゅうめんしょうはどうわのなかのまほうつかいです。)

「ハハハ……、二十面相は童話の中の魔法使いです。

(だれにでもできないことを、じっこうしてみせるのです。はしばさん、)

だれにでもできないことを、実行してみせるのです。羽柴さん、

(だいやもんどをちょうだいしたおれいに、たねあかしをしましょうか。」)

ダイヤモンドをちょうだいしたお礼に、種明かしをしましょうか。」

など

(かいせいねんはみのきけんをしらぬように、おちつきはらってせつめいしました。)

怪青年は身の危険を知らぬように、落ちつきはらって説明しました。

(「ぼくは、そういちくんのゆくえふめいになっていることをさぐりだしました。)

「ぼくは、壮一君のゆくえ不明になっていることをさぐりだしました。

(どうくんのいえでいぜんのしゃしんもてにはいれました。そして、じゅうねんのあいだに)

同君の家出以前の写真も手に入れました。そして、十年のあいだに

(そういちくんがどんなかおにかわるということをそうぞうして、まあ、)

壮一君がどんな顔にかわるということを想像して、まあ、

(こんなかおをつくりあげたのです。」)

こんな顔をつくりあげたのです。」

(かれはそういって、じぶんのほおをぴたぴたとたたいてみせました。)

彼はそういって、自分のほおをピタピタとたたいてみせました。

(「ですから、あのしゃしんは、ほかでもない、このぼくのしゃしんなのです。)

「ですから、あの写真は、ほかでもない、このぼくの写真なのです。

(てがみもぼくがかきました。そして、ぼるねおとうにいるぼくのともだちに、)

手紙もぼくが書きました。そして、ボルネオ島にいるぼくの友だちに、

(あのてがみとしゃしんをおくって、そこからあなたあてにゆうそうさせたわけですよ。)

あの手紙と写真を送って、そこからあなたあてに郵送させたわけですよ。

(おきのどくですが、そういちくんはいまだにゆくえふめいなのです。)

お気のどくですが、壮一君はいまだにゆくえ不明なのです。

(ぼるねおとうなんかにいやしないのです。あれはすっかり、)

ボルネオ島なんかにいやしないのです。あれはすっかり、

(はじめからおしまいまで、このにじゅうめんしょうのしくんだおしばいですよ。」)

はじめからおしまいまで、この二十面相のしくんだお芝居ですよ。」

(はしばいっかのひとびとは、おとうさまもおかあさまも、なつかしい)

羽柴一家の人々は、おとうさまもおかあさまも、なつかしい

(ちょうなんがかえったというよろこびに、とりのぼせて、そこにこんな)

長男が帰ったという喜びに、とりのぼせて、そこにこんな

(おそろしいからくりがあろうとは、まったくおもいもおよばなかったのでした。)

おそろしいカラクリがあろうとは、まったく思いもおよばなかったのでした。

(「ぼくはにんじゅつつかいです。」)

「ぼくは忍術使いです。」

(にじゅうめんしょうは、さも、とくいらしくつづけました。)

二十面相は、さも、とくいらしくつづけました。

(「わかりますか。ほら、さっきのぴんぽんのたまです。)

「わかりますか。ホラ、さっきのピンポンの玉です。

(あれがにんじゅつのたねなんです。あれはぼくがぽけっとからじゅうたんの)

あれが忍術の種なんです。あれはぼくがポケットからじゅうたんの

(うえにほうりだしたのですよ。)

上にほうりだしたのですよ。

(あなたは、すこしのあいだたまにきをとられてしまいました。つくえのしたを)

あなたは、少しのあいだ玉に気をとられてしまいました。机の下を

(のぞきこんだりしました。そのすきにほうせきはこのなかから、)

のぞきこんだりしました。そのすきに宝石箱の中から、

(だいやもんどをとりだすのは、なんのぞうさもないことでした。)

ダイヤモンドをとりだすのは、なんのぞうさもないことでした。

(ははは・・・・・・、では、さようなら。」)

ハハハ……、では、さようなら。」

(ぞくはぴすとるをかまえながら、あとずさりをしていって、)

賊はピストルをかまえながら、あとずさりをしていって、

(ひだりてで、かぎあなにはめたままになっていたかぎをまわし)

左手で、かぎ穴にはめたままになっていたかぎをまわし

(さっとどあをひらくと、ろうかへとびだしました。)

サッとドアをひらくと、廊下へとびだしました。

(ろうかには、にわにめんしてまどがあります。ぞくはそのかけがねをはずして、)

廊下には、庭にめんして窓があります。賊はその掛け金をはずして、

(がらすどをひらき、ひらりとまどわくにまたがったかとおもうと)

ガラス戸をひらき、ヒラリと窓わくにまたがったかと思うと

(「これ、そうじくんのおもちゃにしてあげてください。)

「これ、壮二君のおもちゃにしてあげてください。

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